創造紀エヴァンゲリオン ―外来意識の介入―   作:最上 イズモ

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今回が最終回です今まで見てくださりありがとうございます


最終回 最後の使者そして

ターミナルドグマ。

ネルフ本部、最深層。

 

外界の振動も、警報も、

ここには届かない。

 

冷え切った空気の中、

最終装甲の巨大な鉄扉が闇の奥にそびえていた。

赤い警戒灯が規則正しく点滅し、

そのたびに地下空間へ重い反響が広がる。

 

マヤ「ターミナルドグマに、強力なATフィールドを確認」

マヤ「パターン解析結果……使徒とエヴァの複合反応です」

 

シンジ(イズモ)「……やっぱり来たか」

 

初号機が一歩進むごとに、

地面が低く唸った。

 

イズモは操縦席で静かに呼吸を整える。

隣に存在する、カエデの意識を感じながら。

 

シンジ(イズモ)「最終装甲は突破しない」

シンジ(イズモ)「ここは、開くべき時じゃない」

 

初号機が停止した、その前方。

闇の中から、ひとりの少年が歩み出た。

 

カヲル「遅かったね」

 

穏やかな声。

だが、どこか覚悟を終えた響き。

 

シンジ(イズモ)「言ったはずだ」

シンジ(イズモ)「アダムには近づけない。ここは封印だ」

 

カヲル「それでも、僕はここに来る運命だった」

 

シンジ(イズモ)「……だから、殺してほしい?」

 

カヲルは微笑んだ。

恐怖も、迷いもない。

 

カヲル「なら、君の手で終わらせてくれないか」

 

シンジ(イズモ)「協力的とは言えないな」

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)「俺の計画に、君が死ぬ未来は含まれてない」

 

カヲル「どういう意味だい?」

 

シンジ(イズモ)「君は生きろ」

シンジ(イズモ)「ゼーレの囮として、存在していればいい」

 

カヲル「……甘いね」

カヲル「彼らは、そこまで単純じゃない」

 

シンジ(イズモ)「それでもだ」

シンジ(イズモ)「君が“いる”だけで、世界は一手遅れる」

 

カヲルは目を閉じ、静かに息を吐いた。

 

カヲル「生と死は、僕にとって等価だ」

カヲル「でも……君のやり方は、嫌いじゃない」

 

目を開く。

 

カヲル「わかった。君の作戦に乗ろう」

 

ターミナルドグマに残ったのは、

決意だけだった。

 

ネルフ本部・作戦説明室。

 

緊急招集された職員たちの視線が、

自然とイズモへ集まる。

 

シンジ(イズモ)「ゼーレは必ず、強硬手段に出る」

シンジ(イズモ)「内部侵入を前提に、迎撃網を構築する」

 

誰も、異論を挟まない。

 

ミサトは黙って頷き、

リツコも反論しなかった。

 

ゲンドウ、冬月、リツコ。

三名は“システム異常”としてログ上隔離される。

何も起きなかったことにされる。

 

翌日。

 

ネルフ本部に、赤い非常灯が灯る。

 

マヤ「戦略自衛隊、ネルフ本部に侵入!」

 

アナウンス「武装侵入者確認。第一駆除システム作動」

 

天井から降下した銃塔が火を噴く。

だが装甲車両の反撃で、次々と破壊されていく。

 

アナウンス「第二駆除システム作動」

 

地下から無人兵器群が展開し、

侵入部隊を包囲する。

 

やがて、外周部隊は撤退した。

 

アナウンス「侵入者、排除完了」

 

シンジ(イズモ)「……まだ終わらない」

シンジ(イズモ)「アスカと弐号機を射出して」

 

ミサト「了解」

 

シンジ(イズモ)「俺も出る」

 

ミサト「……気をつけて」

 

地上。

曇天の空の下。

 

初号機の隣で、弐号機が起動する。

 

アスカ無線「ねえ……弐号機、ちょっと変」

シンジ(イズモ)「動作異常か?」

 

アスカ無線「一瞬、重かっただけ。今は大丈夫」

 

マヤ無線「シンクロカット、解除します!」

 

アスカ無線「助かったわ」

 

シンジ(イズモ)「戦える?」

 

アスカ無線「当たり前でしょ!」

 

その時、地平線の向こうから白い影が降りてくる。

 

量産型エヴァ。

十数体。

 

シンジ(イズモ)「来るぞ」

シンジ(イズモ)「手を貸してくれ」

 

アスカ無線「望むところ!」

カエデ「了解しました」

 

街のビル群が変形し、

隠されていた兵装が姿を現す。

 

メタルギア型エヴァ兵器。

ポジトロン砲。

マスティマ。

自由電子レーザー。

 

シンジ(イズモ)「――全門、解放」

 

都市そのものが火力を吐いた。

 

だが、量産機はなおも前進する。

 

シンジ(イズモ)「弱点は背中」

シンジ(イズモ)「ダミーシステムだ!」

 

赤黒い刃が空を裂き、

量産機は次々と沈黙する。

 

白い翼が、地面に散った。

 

発令所。

 

ミサト「……勝った?」

 

シンジ(イズモ)「いいや」

シンジ(イズモ)「ここまでやったなら、反撃する」

 

ミサト「ゼーレの位置は?」

 

シンジ(イズモ)「把握済み」

 

ゲンドウ「……構わん」

ゲンドウ「老人たちには、もう用はない」

 

初号機の胸部が光を帯びる。

青白い輝きが、機体全体に広がっていく。

 

シンジ(イズモ)「覚醒リミッター、解除」

 

カエデ「了解しました」

 

マヤ「シンジ君、それ以上は……!」

 

計測器の針が振り切れ、

数値が消えた。

 

測定不能。

 

その瞬間、

発令所のスクリーンに映像が流れる。

 

シンジ(イズモ)〈記録〉

「これを見ている頃、シンクロ率は測定不能になっているはずだ」

 

ミサト「……え?」

 

シンジ(イズモ)〈記録〉

「俺は、碇シンジじゃない」

 

静まり返る発令所。

 

「俺は最上イズモ。別の宇宙の地球で生きていた人間だ」

「事故で魂が入れ替わり、この世界に来た」

 

誰も、言葉を発せない。

 

「元の碇シンジを戻すには、サードインパクトを止める必要があった」

「だから、創造の力を使った」

 

声は、静かだった。

 

「これで別れだ」

「本来の碇シンジと、仲良くしてやってほしい」

「ゼーレ残党用の兵器は残しておく」

 

一拍。

 

「さらば、ネルフ」

「さらば、エヴァンゲリオン」

 

映像は、そこで終わった。

 

サルベージルーム。

 

白い照明の下、

少年が、ゆっくりと目を開ける。

 

シンジ「……ここは?」

 

胸の奥に、

説明できない余韻だけが残っていた。

 

温かくて、

切ない、

誰かの記憶。

 

少年は、それを掴めないまま、

静かに息を吸った。




次回からはイズモとカエデがいろんな世界で活躍します
第1弾はオリジナル小説 大学教授殺人未遂事件です
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