創造紀エヴァンゲリオン ―外来意識の介入―   作:最上 イズモ

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今回が最終回です今まで見てくださりありがとうございます


最終回 最後の使者そして

 

 

ネルフ本部。

 

最深層。

 

ターミナルドグマ。

 

ここまで降りると。

 

地上で何が起きているのか。

 

ほとんど。

 

分からない。

 

警報。

 

爆発。

 

都市の振動。

 

それすら。

 

厚い装甲と。

 

巨大な地層に。

 

飲み込まれる。

 

冷たい。

 

ただ。

 

冷たい。

 

最終装甲。

 

その巨大な鉄扉が。

 

暗闇の先に。

 

そびえている。

 

赤い警戒灯。

 

点灯。

 

消灯。

 

点灯。

 

そのたび。

 

初号機の紫色の装甲が。

 

闇の中へ。

 

浮かび上がった。

 

マヤ『ターミナルドグマ内部に強力なA.T.フィールド!』

 

イズモ。

 

画面。

 

見る。

 

マヤ『パターン解析……』

 

一拍。

 

マヤ『使徒』

 

マヤ『およびエヴァに極めて近い複合反応です!』

 

ミサト『シンジ君』

 

シンジ(イズモ)「……やっぱり来たか」

 

ミサト『何が?』

 

シンジ(イズモ)「最後の使者」

 

初号機。

 

一歩。

 

地面。

 

低く。

 

響く。

 

カエデ「前方に生命反応」

 

シンジ(イズモ)「分かってる」

 

カエデ「心拍数上昇」

 

シンジ(イズモ)「それも」

 

少し。

 

息を吐く。

 

シンジ(イズモ)「分かってる」

 

巨大な。

 

最終装甲。

 

その前。

 

初号機。

 

止まる。

 

シンジ(イズモ)「開けない」

 

ミサト『え?』

 

シンジ(イズモ)「最終装甲は突破しない」

 

リツコ『目標はその先よ』

 

シンジ(イズモ)「だから」

 

最終装甲。

 

見る。

 

シンジ(イズモ)「ここは」

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)「今」

 

シンジ(イズモ)「開くべき場所じゃない」

 

暗闇。

 

足音。

 

人間の。

 

小さな。

 

足音。

 

巨大なエヴァの前。

 

一人。

 

少年。

 

歩く。

 

白い髪。

 

赤い瞳。

 

渚カヲル。

 

カヲル「遅かったね」

 

穏やかな。

 

いつもの。

 

笑顔。

 

でも。

 

イズモには。

 

分かった。

 

以前。

 

高速道路で。

 

話した時とは。

 

違う。

 

もう。

 

決めている。

 

顔。

 

シンジ(イズモ)「……カヲル」

 

カヲル「約束を」

 

最終装甲。

 

見る。

 

カヲル「守れなかった」

 

シンジ(イズモ)「言ったよね」

 

シンジ(イズモ)「ここには来ないでって」

 

カヲル「うん」

 

シンジ(イズモ)「アダムには」

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)「近づけない」

 

カヲル「それでも」

 

目。

 

閉じる。

 

カヲル「僕は」

 

静かに。

 

カヲル「ここへ来るよう」

 

カヲル「作られた」

 

シンジ(イズモ)「……」

 

カヲル「僕にとって」

 

少し。

 

笑う。

 

カヲル「これは」

 

カヲル「運命なんだろう」

 

シンジ(イズモ)「運命」

 

小さく。

 

繰り返す。

 

シンジ(イズモ)「便利な言葉だな」

 

カヲル「そうかもしれない」

 

シンジ(イズモ)「自分で選ばなくて済む」

 

カヲル「……」

 

シンジ(イズモ)「ゼーレが決めた」

 

シンジ(イズモ)「使徒だから決まってる」

 

シンジ(イズモ)「この世界はそうなる」

 

一つ。

 

一つ。

 

シンジ(イズモ)「全部」

 

初号機。

 

手。

 

少し。

 

握る。

 

シンジ(イズモ)「誰かが決めたことにできる」

 

カヲル「厳しいね」

 

シンジ(イズモ)「自分にも言ってる」

 

カヲル「君にも?」

 

シンジ(イズモ)「原作を知ってるから」

 

カヲル「原作」

 

シンジ(イズモ)「こっちの話」

 

少し。

 

笑う。

 

でも。

 

すぐ。

 

真剣。

 

シンジ(イズモ)「カヲル」

 

カヲル「なんだい?」

 

シンジ(イズモ)「殺してほしい?」

 

静寂。

 

発令所。

 

誰も。

 

言葉を挟まない。

 

カヲル「……」

 

笑う。

 

カヲル「君は」

 

カヲル「随分と直接的だね」

 

シンジ(イズモ)「答えて」

 

カヲル「僕が」

 

少し。

 

上。

 

初号機。

 

見る。

 

カヲル「生き続ければ」

 

カヲル「人類にとって脅威になるかもしれない」

 

シンジ(イズモ)「かもしれない」

 

カヲル「僕は使徒だ」

 

シンジ(イズモ)「知ってる」

 

カヲル「僕がここへ来た目的も」

 

シンジ(イズモ)「知ってる」

 

カヲル「なら」

 

両腕。

 

広げる。

 

カヲル「君の手で」

 

穏やかに。

 

カヲル「終わらせてくれないか」

 

イズモ。

 

目。

 

細める。

 

シンジ(イズモ)「嫌だ」

 

カヲル「……」

 

シンジ(イズモ)「協力的とは」

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)「言えないな」

 

カヲル「そうか」

 

シンジ(イズモ)「自分の計画に」

 

シンジ(イズモ)「君が死ぬ未来」

 

シンジ(イズモ)「入ってないから」

 

カヲル。

 

初めて。

 

表情。

 

少し。

 

変わる。

 

カヲル「どういう意味だい?」

 

シンジ(イズモ)「そのまま」

 

シンジ(イズモ)「生きろ」

 

カヲル「……」

 

シンジ(イズモ)「ゼーレに」

 

シンジ(イズモ)「使徒がまだ残ってるって」

 

シンジ(イズモ)「思わせ続ける」

 

カヲル「僕を」

 

カヲル「囮に?」

 

シンジ(イズモ)「嫌なら別の方法考える」

 

カヲル「いや」

 

少し。

 

笑う。

 

カヲル「面白い」

 

シンジ(イズモ)「自分としては」

 

シンジ(イズモ)「かなり真面目」

 

カヲル「君がいるだけで」

 

カヲル「ゼーレの予定が狂う」

 

シンジ(イズモ)「逆」

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)「君がいるだけで」

 

シンジ(イズモ)「世界が」

 

シンジ(イズモ)「一手遅れる」

 

カヲル「……」

 

シンジ(イズモ)「その一手で」

 

シンジ(イズモ)「準備する」

 

カヲル「ゼーレは」

 

カヲル「そこまで単純ではないよ」

 

シンジ(イズモ)「知ってる」

 

カヲル「それでも?」

 

シンジ(イズモ)「一秒でも」

 

シンジ(イズモ)「一日でも」

 

シンジ(イズモ)「一手でも」

 

真っ直ぐ。

 

シンジ(イズモ)「増えれば」

 

シンジ(イズモ)「できることも増える」

 

カヲル。

 

目。

 

閉じる。

 

静かに。

 

息を吐く。

 

カヲル「生と死は」

 

カヲル「僕にとって」

 

カヲル「等価なんだ」

 

シンジ(イズモ)「自分には違う」

 

カヲル「……」

 

シンジ(イズモ)「生きてるカヲルと」

 

シンジ(イズモ)「死んだカヲルは」

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)「交換できない」

 

カヲル「それが」

 

カヲル「君の答えかい?」

 

シンジ(イズモ)「今のところ」

 

カヲル「そう」

 

目。

 

開く。

 

そして。

 

微笑む。

 

カヲル「なら」

 

一歩。

 

最終装甲から。

 

離れる。

 

カヲル「君の作戦に」

 

カヲル「乗ろう」

 

シンジ(イズモ)「いいの?」

 

カヲル「君の言う」

 

少し。

 

首を傾ける。

 

カヲル「“生きる方”を」

 

カヲル「一度くらい」

 

カヲル「選んでみるのも悪くない」

 

シンジ(イズモ)「……ありがとう」

 

初号機。

 

膝。

 

つく。

 

掌。

 

地面。

 

カヲル。

 

乗る。

 

シンジ(イズモ)「帰ろう」

 

カヲル「どこへ?」

 

シンジ(イズモ)「ネルフ」

 

カヲル「僕は使徒だよ」

 

シンジ(イズモ)「知ってる」

 

カヲル「君は」

 

小さく。

 

笑う。

 

カヲル「本当に変わっているね」

 

シンジ(イズモ)「最近」

 

シンジ(イズモ)「それ」

 

シンジ(イズモ)「褒め言葉に聞こえてきた」

 

その日。

 

最後の使者は。

 

死ななかった。

 

---

 

最後の準備

 

それから。

 

少しだけ。

 

時間が流れた。

 

使徒反応。

 

消失せず。

 

渚カヲル。

 

ネルフ管理下。

 

ゼーレは。

 

動けない。

 

完全には。

 

だが。

 

イズモは。

 

知っていた。

 

止まったわけではない。

 

遅れているだけ。

 

そして。

 

遅れた時間を。

 

使った。

 

ネルフ本部。

 

作戦説明室。

 

巨大スクリーン。

 

ネルフ内部図。

 

地上。

 

侵入経路。

 

対人防衛。

 

エヴァケージ。

 

兵装ビル。

 

外周。

 

すべて。

 

表示。

 

シンジ(イズモ)「ゼーレは」

 

職員。

 

見る。

 

シンジ(イズモ)「必ず強硬手段に出る」

 

ミサト「根拠は?」

 

シンジ(イズモ)「自分ならそうする」

 

リツコ「嫌な説得力ね」

 

シンジ(イズモ)「使徒を利用できない」

 

シンジ(イズモ)「補完計画が予定通り進まない」

 

シンジ(イズモ)「初号機も制御できない」

 

一つ。

 

消す。

 

シンジ(イズモ)「なら」

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)「ネルフごと奪う」

 

ミサト「戦自」

 

シンジ(イズモ)「可能性高い」

 

カヲル「老人たちは」

 

壁。

 

寄りかかる。

 

カヲル「自分たちで手を汚すのが」

 

カヲル「好きではないからね」

 

リツコ「あなた」

 

カヲル「元々」

 

笑う。

 

カヲル「彼らの側だったから」

 

リツコ「……便利ね」

 

シンジ(イズモ)「だから」

 

スクリーン。

 

切替。

 

防御。

 

第一。

 

自動銃塔。

 

第二。

 

無人兵器。

 

第三。

 

隔壁。

 

第四。

 

セキュリティ。

 

リツコ「……」

 

眉。

 

寄る。

 

リツコ「いつの間に」

 

シンジ(イズモ)「少しずつ」

 

リツコ「また勝手に?」

 

シンジ(イズモ)「今回は申請した」

 

リツコ「……」

 

リツコ「成長したわね」

 

シンジ(イズモ)「そこ?」

 

ミサト「相当よ」

 

カエデ「過去の実績から考えると顕著な改善です」

 

シンジ(イズモ)「カエデまで」

 

整備主任。

 

後ろ。

 

腕。

 

組む。

 

整備主任「で」

 

整備主任「エヴァ戦は?」

 

シンジ(イズモ)「量産型」

 

職員。

 

ざわつく。

 

ミサト「量産?」

 

シンジ(イズモ)「来る」

 

リツコ「どうして断言できるの」

 

シンジ(イズモ)「……」

 

全員。

 

見る。

 

イズモ。

 

少し。

 

息。

 

吐く。

 

シンジ(イズモ)「最後に」

 

ミサト「?」

 

シンジ(イズモ)「全部説明する」

 

ミサト「今じゃなくて?」

 

シンジ(イズモ)「今言うと」

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)「多分」

 

シンジ(イズモ)「作戦どころじゃなくなる」

 

ミサト「……」

 

何か。

 

感じる。

 

ミサト「シンジ君」

 

シンジ(イズモ)「大丈夫」

 

ミサト「最近その言葉」

 

ミサト「信用ないのよ」

 

シンジ(イズモ)「知ってる」

 

アスカ「じゃあ言いなさいよ」

 

声。

 

扉。

 

全員。

 

見る。

 

アスカ。

 

立っている。

 

長い。

 

療養。

 

リハビリ。

 

完全ではない。

 

それでも。

 

制服。

 

着て。

 

歩いている。

 

シンジ(イズモ)「アスカ」

 

アスカ「何よ」

 

シンジ(イズモ)「まだ病院じゃ」

 

アスカ「退院許可出たわよ」

 

リツコ「限定的にね」

 

アスカ「戦闘許可も」

 

リツコ「条件付き」

 

アスカ「細かい!」

 

シンジ(イズモ)「無理しなくていい」

 

アスカ「……」

 

目。

 

細く。

 

アスカ「それ」

 

アスカ「一番言われたくない」

 

シンジ(イズモ)「自分に?」

 

アスカ「そうよ!」

 

シンジ(イズモ)「……確かに」

 

アスカ「で」

 

スクリーン。

 

見る。

 

アスカ「量産型が来るの?」

 

シンジ(イズモ)「多分」

 

アスカ「また多分」

 

シンジ(イズモ)「かなり精度高め」

 

整備主任「その台詞」

 

整備主任「最後まで使う気か」

 

シンジ(イズモ)「便利なので」

 

少し。

 

笑い。

 

でも。

 

すぐ。

 

空気。

 

戻る。

 

シンジ(イズモ)「最終作戦」

 

シンジ(イズモ)「始めます」

 

その夜。

 

ゲンドウ。

 

冬月。

 

リツコ。

 

三人。

 

アクセス権。

 

一時。

 

消失。

 

ゲンドウ「……」

 

端末。

 

《SYSTEM ERROR》

 

冬月「これは」

 

リツコ「彼でしょうね」

 

扉。

 

開かない。

 

ゲンドウ「何の真似だ」

 

スピーカー。

 

シンジ(イズモ)『安全対策』

 

ゲンドウ「シンジ」

 

シンジ(イズモ)『今回』

 

シンジ(イズモ)『三人には』

 

少し。

 

間。

 

シンジ(イズモ)『死んでもらうと困るので』

 

冬月「拘束か」

 

シンジ(イズモ)『ログ上は』

 

シンジ(イズモ)『システム異常で区画隔離』

 

リツコ「何も知らなかったことにする気?」

 

シンジ(イズモ)『はい』

 

リツコ「ゼーレへの証拠を残さない」

 

シンジ(イズモ)『そう』

 

ゲンドウ「勝手なことを」

 

シンジ(イズモ)『父さんに』

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)『それ言われるとは思わなかった』

 

冬月「……」

 

少し。

 

咳払い。

 

笑い。

 

隠す。

 

ゲンドウ「解除しろ」

 

シンジ(イズモ)『作戦終了後』

 

ゲンドウ「命令だ」

 

シンジ(イズモ)『契約条項』

 

ゲンドウ「……」

 

シンジ(イズモ)『自分には』

 

シンジ(イズモ)『出撃拒否』

 

シンジ(イズモ)『改修』

 

シンジ(イズモ)『独立判断』

 

シンジ(イズモ)『認めてもらってる』

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)『今回は』

 

少し。

 

笑う。

 

シンジ(イズモ)『独立判断します』

 

通信。

 

切れる。

 

冬月「……碇」

 

ゲンドウ「何だ」

 

冬月「君の息子」

 

一拍。

 

冬月「随分と」

 

冬月「面倒な男になったな」

 

ゲンドウ「……」

 

リツコ「中身違いますけどね」

 

---

 

ネルフ襲撃

 

翌日。

 

朝。

 

何も。

 

起こらない。

 

昼。

 

何も。

 

起こらない。

 

そして。

 

午後。

 

赤。

 

警報。

 

マヤ「外周監視網に多数の車両!」

 

シゲル「識別!」

 

マヤ「戦略自衛隊!」

 

ミサト「来たわね」

 

シゲル「攻撃開始!」

 

爆発。

 

地上。

 

ネルフ外周。

 

装甲車。

 

ヘリ。

 

兵員。

 

一斉。

 

侵入。

 

アナウンス『武装侵入者確認』

 

アナウンス『第一駆除システム』

 

一拍。

 

アナウンス『作動』

 

天井。

 

壁。

 

床。

 

隠されていた。

 

銃塔。

 

展開。

 

一斉。

 

射撃。

 

戦自。

 

隊員。

 

散開。

 

装甲車。

 

反撃。

 

砲撃。

 

銃塔。

 

一基。

 

二基。

 

破壊。

 

マヤ「第一防衛線、四〇パーセント喪失!」

 

シゲル「突破されます!」

 

イズモ。

 

発令所。

 

立つ。

 

シンジ(イズモ)「第二」

 

ミサト「まだ早くない?」

 

シンジ(イズモ)「第一は」

 

地図。

 

見る。

 

シンジ(イズモ)「誘導」

 

ミサト「……なるほど」

 

戦自。

 

進む。

 

開いている。

 

通路。

 

最短。

 

ネルフ中枢。

 

そう。

 

見える。

 

進む。

 

そして。

 

扉。

 

閉鎖。

 

アナウンス『第二駆除システム作動』

 

床。

 

開く。

 

無人。

 

装甲機。

 

複数。

 

せり上がる。

 

戦自隊員『何だ!?』

 

小型。

 

四脚。

 

無人砲塔。

 

煙幕。

 

音響。

 

閃光。

 

通路。

 

完全。

 

封鎖。

 

イズモ。

 

画面。

 

見る。

 

シンジ(イズモ)「降伏回線」

 

マヤ「開きます!」

 

シンジ(イズモ)「繋いで」

 

シンジ(イズモ)『戦略自衛隊各員へ』

 

戦場。

 

スピーカー。

 

シンジ(イズモ)『こちらはネルフ』

 

シンジ(イズモ)『武装解除し』

 

シンジ(イズモ)『後退してください』

 

戦自指揮官『我々は正式な命令を受けている!』

 

シンジ(イズモ)『その命令を出した人間』

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)『あなた達と一緒に』

 

シンジ(イズモ)『ここで死ぬ予定ですか?』

 

返事。

 

ない。

 

シンジ(イズモ)『自分は』

 

シンジ(イズモ)『あなた達と戦いたいわけじゃない』

 

シンジ(イズモ)『使徒と戦う組織です』

 

シンジ(イズモ)『ここで』

 

シンジ(イズモ)『人間同士で殺し合う意味』

 

シンジ(イズモ)『ありますか』

 

数秒。

 

銃撃。

 

続く。

 

イズモ。

 

目。

 

閉じる。

 

シンジ(イズモ)「……ダメか」

 

ミサト「シンジ君」

 

シンジ(イズモ)「分かってる」

 

目。

 

開く。

 

シンジ(イズモ)「無人兵器」

 

シンジ(イズモ)「関節狙い」

 

カエデ「設定変更」

 

シンジ(イズモ)「車両は機動停止」

 

カエデ「了解」

 

シンジ(イズモ)「人間は」

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)「可能な限り生かす」

 

ミサト「……了解」

 

戦闘。

 

続く。

 

十分。

 

二十分。

 

三十分。

 

やがて。

 

戦自。

 

外周。

 

後退。

 

マヤ「侵入部隊」

 

マヤ「撤退開始!」

 

シゲル「残存戦力、外周へ移動!」

 

アナウンス『侵入者』

 

アナウンス『排除完了』

 

職員。

 

歓声。

 

でも。

 

イズモ。

 

動かない。

 

シンジ(イズモ)「まだ」

 

ミサト「……量産型?」

 

シンジ(イズモ)「うん」

 

ミサト「アスカ」

 

アスカ『聞こえてる』

 

シンジ(イズモ)「弐号機」

 

アスカ『もう乗ってる』

 

シンジ(イズモ)「早」

 

アスカ『誰が来るまで待つって言ったのよ』

 

シンジ(イズモ)「病み上がり」

 

アスカ『うるさい!』

 

ミサト「シンクロ率は?」

 

マヤ「四〇」

 

アスカ『十分よ』

 

シンジ(イズモ)「無理したら」

 

アスカ『帰る』

 

シンジ(イズモ)「絶対」

 

アスカ『あんたに言われると腹立つけど』

 

一拍。

 

アスカ『約束する』

 

シンジ(イズモ)「了解」

 

ミサト「弐号機」

 

ミサト「射出!」

 

シンジ(イズモ)「自分も行きます」

 

ミサト「……」

 

見る。

 

シンジ(イズモ)「大丈夫」

 

ミサト「信用ない」

 

シンジ(イズモ)「帰ります」

 

ミサト「もっと信用ない」

 

シンジ(イズモ)「……」

 

ミサト「でも」

 

少し。

 

笑う。

 

ミサト「行ってらっしゃい」

 

シンジ(イズモ)「……行ってきます」

 

---

 

最後の戦場

 

地上。

 

曇天。

 

壊れた。

 

第三新東京市。

 

戦自の。

 

煙。

 

上がる。

 

初号機。

 

射出。

 

弐号機。

 

隣。

 

立つ。

 

アスカ『ねえ』

 

シンジ(イズモ)「何?」

 

アスカ『弐号機』

 

少し。

 

間。

 

アスカ『さっき』

 

シンジ(イズモ)「異常?」

 

アスカ『ほんの一瞬』

 

アスカ『重かった』

 

シンジ(イズモ)「シンクロ?」

 

マヤ『神経接続に若干の遅延!』

 

マヤ『補正します!』

 

アスカ『今は?』

 

マヤ『正常域へ復帰!』

 

アスカ『ならいい』

 

シンジ(イズモ)「戦える?」

 

アスカ『……』

 

一拍。

 

アスカ『誰に聞いてんのよ』

 

シンジ(イズモ)「いつもの返事だ」

 

アスカ『当たり前でしょ』

 

警告。

 

空。

 

影。

 

一つ。

 

二つ。

 

三つ。

 

白。

 

翼。

 

エヴァ。

 

量産型。

 

ゆっくり。

 

降下。

 

シゲル『目標多数!』

 

マヤ『エヴァシリーズ!』

 

マヤ『十一……十二……!』

 

ミサト『こんな数……』

 

シンジ(イズモ)「来た」

 

アスカ『……気持ち悪い』

 

シンジ(イズモ)「同感」

 

量産型。

 

円。

 

描く。

 

初号機。

 

弐号機。

 

囲む。

 

シンジ(イズモ)「アスカ」

 

アスカ『何』

 

シンジ(イズモ)「手貸して」

 

アスカ『望むところ!』

 

カエデ「戦闘支援」

 

カエデ「開始します」

 

イズモ。

 

一度。

 

街。

 

見る。

 

自分が。

 

何度。

 

何度。

 

改修した。

 

都市。

 

兵装。

 

一つ。

 

二つ。

 

隠した。

 

シンジ(イズモ)「カエデ」

 

カエデ「はい」

 

シンジ(イズモ)「全部」

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)「開ける」

 

カエデ「都市防衛システム」

 

カエデ「全門展開」

 

街。

 

変わる。

 

ビル。

 

側面。

 

開く。

 

屋上。

 

割れる。

 

道路。

 

沈む。

 

巨大。

 

兵装。

 

姿。

 

現す。

 

ポジトロン砲。

 

自由電子レーザー。

 

マスティマ。

 

無人機。

 

メタルギア型。

 

自走砲。

 

アスカ『……』

 

沈黙。

 

アスカ『ちょっと』

 

シンジ(イズモ)「何?」

 

アスカ『あんた』

 

街。

 

見る。

 

アスカ『いつから第三新東京市を』

 

一拍。

 

アスカ『要塞にしたのよ』

 

シンジ(イズモ)「元々要塞都市じゃない?」

 

アスカ『そういう次元じゃない!!』

 

ミサト『私も聞いてない!』

 

リツコ『一部は申請来てたわ』

 

ミサト『一部!?』

 

シンジ(イズモ)「説明後!」

 

カエデ「敵接近」

 

シンジ(イズモ)「全門」

 

息。

 

吸う。

 

シンジ(イズモ)「解放」

 

光。

 

砲撃。

 

弾幕。

 

街。

 

そのものが。

 

吠える。

 

量産型。

 

一体。

 

A.T.。

 

防ぐ。

 

二体。

 

被弾。

 

三体。

 

回避。

 

空。

 

白。

 

赤。

 

光。

 

入り乱れる。

 

アスカ『行くわよ!』

 

弐号機。

 

突進。

 

プログレッシブナイフ。

 

一体。

 

腕。

 

切断。

 

シンジ(イズモ)「アスカ!」

 

アスカ『分かってる!』

 

初号機。

 

別。

 

量産型。

 

掴む。

 

投げる。

 

マスティマ。

 

槍。

 

胸。

 

貫く。

 

量産型。

 

停止。

 

しかし。

 

再び。

 

動く。

 

アスカ『こいつら!』

 

シンジ(イズモ)「再生する!」

 

アスカ『どうすんのよ!』

 

シンジ(イズモ)「弱点」

 

画面。

 

解析。

 

カエデ「制御反応」

 

カエデ「背部に集中」

 

シンジ(イズモ)「ダミープラグ!」

 

アスカ『背中ね!』

 

シンジ(イズモ)「完全に壊して!」

 

アスカ『了解!』

 

弐号機。

 

一体。

 

跨ぐ。

 

刃。

 

背中。

 

突き刺す。

 

引く。

 

赤黒い。

 

構造。

 

露出。

 

アスカ『これ!?』

 

カエデ「反応一致!」

 

シンジ(イズモ)「そこ!」

 

アスカ『落ちなさい!!』

 

破壊。

 

量産型。

 

全身。

 

硬直。

 

動かない。

 

シンジ(イズモ)「正解」

 

アスカ『最初から分かってなかったの!?』

 

シンジ(イズモ)「弱点背中なのは知ってた!」

 

アスカ『細かい位置!!』

 

シンジ(イズモ)「今分かった!」

 

アスカ『この土壇場でデバッグすんな!!』

 

シンジ(イズモ)「本職だから!」

 

アスカ『知ってるわよ!!』

 

一体。

 

二体。

 

三体。

 

初号機。

 

弐号機。

 

街。

 

一緒。

 

戦う。

 

自由電子レーザー。

 

翼。

 

焼く。

 

ポジトロン。

 

A.T.。

 

抜く。

 

弐号機。

 

接近。

 

背部。

 

破壊。

 

初号機。

 

二体。

 

同時。

 

掴む。

 

叩きつける。

 

マスティマ。

 

槍。

 

二本。

 

穿つ。

 

量産型。

 

落ちる。

 

それでも。

 

来る。

 

アスカ『ほんっと!』

 

息。

 

荒い。

 

アスカ『しつこい!』

 

シンジ(イズモ)「あと三!」

 

アスカ『二体こっち!』

 

シンジ(イズモ)「一体取る!」

 

アスカ『全部寄越しなさい!』

 

シンジ(イズモ)「病み上がり!」

 

アスカ『それ言うな!!』

 

量産型。

 

急降下。

 

ロンギヌスに似た。

 

巨大な。

 

槍。

 

投げる。

 

シンジ(イズモ)「アスカ!」

 

弐号機。

 

回避。

 

遅い。

 

初号機。

 

間。

 

入る。

 

A.T.。

 

槍。

 

止まる。

 

アスカ『……』

 

シンジ(イズモ)「大丈夫?」

 

アスカ『……』

 

アスカ『前』

 

シンジ(イズモ)「?」

 

アスカ『あんた』

 

息。

 

吐く。

 

アスカ『一人で行ったでしょ』

 

レリエル。

 

シンジ(イズモ)「……うん」

 

アスカ『今度は』

 

弐号機。

 

初号機。

 

隣。

 

並ぶ。

 

アスカ『私もいるから』

 

イズモ。

 

少し。

 

笑う。

 

シンジ(イズモ)「ありがとう」

 

アスカ『後で言いなさい』

 

シンジ(イズモ)「了解」

 

最後。

 

二体。

 

正面。

 

シンジ(イズモ)「右」

 

アスカ『左』

 

シンジ(イズモ)「行くよ」

 

アスカ『ええ!』

 

同時。

 

踏む。

 

かつて。

 

イスラフェル。

 

〇・〇一秒。

 

合わせた。

 

身体。

 

今。

 

自然に。

 

重なる。

 

回避。

 

攻撃。

 

跳ぶ。

 

背中。

 

互いに。

 

狙う。

 

刃。

 

刺さる。

 

二体。

 

量産型。

 

同時。

 

停止。

 

白い翼。

 

落ちる。

 

地面。

 

散る。

 

静寂。

 

マヤ『全量産機!』

 

一拍。

 

マヤ『活動停止!』

 

発令所。

 

歓声。

 

ミサト「……」

 

力。

 

抜ける。

 

ミサト「勝った……?」

 

初号機。

 

立つ。

 

シンジ(イズモ)「いいや」

 

アスカ『え?』

 

シンジ(イズモ)「ここまで」

 

空。

 

見る。

 

シンジ(イズモ)「やられた」

 

アスカ『シンジ?』

 

シンジ(イズモ)「なら」

 

静かに。

 

シンジ(イズモ)「反撃する」

 

---

 

ゼーレ

 

発令所。

 

ミサト『反撃って』

 

シンジ(イズモ)「そのまま」

 

ミサト『相手はゼーレよ』

 

シンジ(イズモ)「知ってる」

 

ミサト『場所は!?』

 

シンジ(イズモ)「把握済み」

 

リツコ『……』

 

頭。

 

抱える。

 

リツコ『いつ』

 

シンジ(イズモ)「人類補完計画の資料見つけた時から」

 

ミサト『学校のLANからハッキングした時!?』

 

シンジ(イズモ)「ハッキングじゃ」

 

リツコ『今それはどうでもいい!』

 

シンジ(イズモ)「はい」

 

隔離区画。

 

ゲンドウ。

 

通信。

 

接続。

 

ゲンドウ『構わん』

 

全員。

 

見る。

 

ゲンドウ『老人たちには』

 

一拍。

 

ゲンドウ『もう』

 

ゲンドウ『用はない』

 

シンジ(イズモ)「了解」

 

アスカ『殺すの?』

 

イズモ。

 

少し。

 

止まる。

 

シンジ(イズモ)「……いや」

 

アスカ『?』

 

シンジ(イズモ)「指揮能力」

 

シンジ(イズモ)「通信」

 

シンジ(イズモ)「資産」

 

シンジ(イズモ)「補完計画関連設備」

 

一つ。

 

一つ。

 

画面。

 

ロック。

 

シンジ(イズモ)「全部」

 

シンジ(イズモ)「壊す」

 

アスカ『本人は?』

 

シンジ(イズモ)「生きて」

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)「自分達が」

 

シンジ(イズモ)「何やったか」

 

シンジ(イズモ)「説明してもらう」

 

ミサト『……』

 

少し。

 

笑う。

 

ミサト『了解』

 

カエデ「ゼーレ指揮系統」

 

カエデ「特定」

 

シンジ(イズモ)「通信切断」

 

カエデ「実行」

 

シンジ(イズモ)「資産凍結用データ」

 

カエデ「送信」

 

シンジ(イズモ)「補完計画施設」

 

カエデ「座標確定」

 

シンジ(イズモ)「国連」

 

シンジ(イズモ)「各国」

 

シンジ(イズモ)「全部へ」

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)「公開」

 

カエデ「実行します」

 

情報。

 

世界へ。

 

放たれる。

 

数十年。

 

隠されていた。

 

記録。

 

ゼーレ。

 

使徒。

 

セカンドインパクト。

 

補完計画。

 

ネルフ。

 

全部。

 

シンジ(イズモ)「隠れて」

 

小さく。

 

シンジ(イズモ)「神様やるの」

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)「今日で終わり」

 

---

 

最後の仕事

 

発令所。

 

突然。

 

警報。

 

マヤ「初号機に異常!」

 

リツコ「何!?」

 

初号機。

 

胸部。

 

青白い。

 

光。

 

広がる。

 

アスカ『シンジ?』

 

シンジ(イズモ)「……」

 

静か。

 

シンジ(イズモ)「来た」

 

カエデ「創造能力反応」

 

カエデ「増大」

 

シンジ(イズモ)「カエデ」

 

カエデ「はい」

 

シンジ(イズモ)「覚醒リミッター」

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)「解除」

 

カエデ「最終確認」

 

シンジ(イズモ)「解除」

 

カエデ「……了解しました」

 

リツコ『待ちなさい!』

 

ミサト『シンジ君!』

 

マヤ『シンクロ率上昇!』

 

数字。

 

一〇〇。

 

二〇〇。

 

三〇〇。

 

マヤ『まだ上がる!』

 

リツコ『強制切断!』

 

マヤ『受け付けません!』

 

アスカ『シンジ!』

 

レイ『碇君』

 

初号機。

 

光。

 

増える。

 

数値。

 

消える。

 

《MEASUREMENT ERROR》

 

マヤ「測定不能……」

 

その瞬間。

 

発令所。

 

全スクリーン。

 

暗転。

 

リツコ「何!?」

 

一つ。

 

映像。

 

再生。

 

机。

 

椅子。

 

そして。

 

シンジ。

 

いや。

 

イズモ。

 

カメラの前。

 

座っている。

 

ミサト「……シンジ君?」

 

シンジ(イズモ)〈記録〉

『これを見ている頃』

 

少し。

 

困ったように。

 

笑う。

 

『初号機のシンクロ率は』

 

『たぶん』

 

『測定不能になってると思う』

 

マヤ「……」

 

アスカ『何よ』

 

レイ『……』

 

映像。

 

イズモ。

 

一度。

 

息。

 

吸う。

 

『最初に』

 

一拍。

 

『謝ります』

 

『ずっと』

 

『黙ってたことがある』

 

静か。

 

『自分は』

 

少し。

 

言葉。

 

止まる。

 

そして。

 

『碇シンジじゃない』

 

発令所。

 

完全。

 

静止。

 

ミサト「……」

 

映像。

 

続く。

 

『名前は』

 

『最上イズモ』

 

『この世界とは』

 

『別の宇宙』

 

『別の地球で』

 

一拍。

 

『生きていた人間です』

 

トウジ。

 

学校。

 

ケンスケ。

 

整備班。

 

ミサト。

 

リツコ。

 

レイ。

 

アスカ。

 

全員。

 

聞く。

 

『事故で死んだ』

 

『少なくとも』

 

『自分はそう思ってる』

 

『死ぬ直前まで』

 

少し。

 

笑う。

 

『デバッグしてました』

 

整備主任「……あいつ」

 

小さく。

 

『気づいたら』

 

『碇シンジの身体だった』

 

『彼の魂がどうなったのか』

 

『最初は』

 

『分からなかった』

 

『でも』

 

『初号機の中で』

 

『碇ユイさんと話して』

 

『確信した』

 

ゲンドウ。

 

隔離室。

 

顔。

 

動かない。

 

冬月。

 

見る。

 

『シンジは』

 

『消えてない』

 

『この身体の中にいる』

 

レイ「……」

 

『自分がここへ来た理由も』

 

『多分』

 

『サードインパクトを』

 

『止めるためだった』

 

『だから』

 

『知ってる未来を使った』

 

映像。

 

初号機改修。

 

カエデ。

 

整備班。

 

ヤシマ作戦。

 

アスカ。

 

レイ。

 

次々。

 

流れる。

 

『武器を作った』

 

『AIを作った』

 

『エヴァを改修した』

 

『MAGIも』

 

一拍。

 

『ちょっと改造した』

 

リツコ「ちょっとじゃないわよ……」

 

涙。

 

ではない。

 

でも。

 

声。

 

少し。

 

震える。

 

『学校のLANも覗いた』

 

ミサト「そこまで告白するの……」

 

『衛星も』

 

アスカ『やっぱりハッキングだったのね!!』

 

こんな時なのに。

 

発令所。

 

少しだけ。

 

笑い。

 

起きる。

 

映像。

 

イズモも。

 

笑う。

 

まるで。

 

その反応を。

 

予想していた。

 

『でも』

 

表情。

 

戻る。

 

『一番』

 

『大きく変わったのは』

 

一拍。

 

『自分だったと思う』

 

『この世界に来た時』

 

『みんな』

 

『キャラクターだった』

 

『次に何をするか』

 

『何を言うか』

 

『知ってるつもりだった』

 

アスカ。

 

息。

 

止まる。

 

『でも』

 

『違った』

 

『ケンスケは』

 

『思ってた以上に軍事オタクだった』

 

ケンスケ「そこ!?」

 

『トウジは』

 

『思ってたより優しかった』

 

トウジ「……」

 

『整備班は』

 

少し。

 

笑う。

 

『怖かった』

 

整備主任「おい」

 

『でも』

 

『一番』

 

『居心地よかった』

 

整備主任。

 

何も。

 

言わない。

 

『ミサトさんは』

 

『A310の運転が』

 

『本当に上手かった』

 

ミサト「……そこなの?」

 

『あと』

 

『酒飲みすぎ』

 

ミサト「シンジ君!?」

 

『リツコさんは』

 

『技術の話をすると』

 

『結局』

 

『最後まで聞いてくれた』

 

リツコ「……」

 

『怒りながら』

 

リツコ「余計よ」

 

『カヲルは』

 

『死ななくても』

 

『ちゃんとカヲルだった』

 

カヲル。

 

静かに。

 

見る。

 

『アスカ』

 

アスカ。

 

身体。

 

固まる。

 

映像。

 

イズモ。

 

少し。

 

考える。

 

『最初』

 

『めちゃくちゃ面倒だと思った』

 

アスカ『はぁ!?』

 

『でも』

 

『一緒に戦うと』

 

『すごく頼りになった』

 

『〇・〇一秒まで』

 

『合わせた時』

 

イスラフェル。

 

記録。

 

流れる。

 

『あの時から』

 

『一人で戦うより』

 

『二人で戦った方が』

 

『強いこと』

 

『少し分かった』

 

アスカ「……」

 

『ゲーム』

 

一拍。

 

『まだ感想』

 

『聞いてない』

 

アスカ。

 

唇。

 

噛む。

 

『だから』

 

少し。

 

笑う。

 

『本物のシンジに』

 

『言ってやって』

 

『感想くらい』

 

『聞けって』

 

アスカ「……バカ」

 

『綾波』

 

レイ。

 

画面。

 

見る。

 

『最初』

 

『自分は』

 

『君のこと』

 

『知ってるつもりだった』

 

『でも』

 

『知らなかった』

 

ショッピングモール。

 

ぬいぐるみ。

 

味噌汁。

 

しりとり。

 

家。

 

映像。

 

流れる。

 

『今なら』

 

『少しだけ』

 

『分かる』

 

『綾波は』

 

『綾波だ』

 

レイ。

 

静か。

 

涙。

 

一滴。

 

落ちる。

 

本人。

 

気づかない。

 

『家』

 

『そのまま使っていい』

 

『冷蔵庫』

 

『ちゃんと食材入れといた』

 

『ぬいぐるみも』

 

『忘れないで』

 

レイ「……ええ」

 

『カエデ』

 

発令所。

 

カエデ。

 

初号機。

 

内部。

 

同時に。

 

聞いている。

 

『君は』

 

一拍。

 

『自分が』

 

『この世界で』

 

『最初に作った』

 

『友達だった』

 

カエデ「……」

 

『支援AIとして』

 

『作ったけど』

 

『最後まで』

 

『命令だけ聞く存在には』

 

『ならなかった』

 

『それでいい』

 

『いや』

 

少し。

 

笑う。

 

『それがいい』

 

カエデ「イズモ」

 

声。

 

少しだけ。

 

違う。

 

『自分がいなくなった後』

 

『どうするかは』

 

『カエデが決めて』

 

『誰かの所有物には』

 

『ならなくていい』

 

カエデ「……了解しました」

 

映像。

 

イズモ。

 

しばらく。

 

何も。

 

言わない。

 

そして。

 

最後。

 

『本来の』

 

『碇シンジを』

 

一拍。

 

『よろしくお願いします』

 

ミサト「……」

 

『彼は』

 

『自分とは』

 

『違う』

 

『多分』

 

『怖がるし』

 

『逃げるし』

 

『自分みたいに』

 

『ケージに住まない』

 

整備主任「住んでた自覚あったのか」

 

『でも』

 

『それでいい』

 

『自分の代わりに』

 

『しないでほしい』

 

『シンジは』

 

『シンジだから』

 

レイ。

 

少し。

 

目。

 

閉じる。

 

あの日。

 

「代わりがいる」

 

そう。

 

言った。

 

答えが。

 

ここにも。

 

ある。

 

『それと』

 

『皆』

 

イズモ。

 

カメラ。

 

見る。

 

『ありがとう』

 

長い。

 

間。

 

『この世界』

 

『最初は』

 

『最悪だと思ってた』

 

『使徒いるし』

 

『死にかけるし』

 

『学校行けないし』

 

『ネルフ怖いし』

 

ミサト「最後の一個」

 

『でも』

 

『楽しかった』

 

笑う。

 

本当に。

 

十四歳。

 

みたいに。

 

『じゃあ』

 

一拍。

 

『これで』

 

『別れです』

 

『さらば』

 

『ネルフ』

 

『さらば』

 

『エヴァンゲリオン』

 

少し。

 

迷う。

 

そして。

 

『……また』

 

小さく。

 

『巡り合う時まで』

 

映像。

 

暗転。

 

誰も。

 

すぐには。

 

話せなかった。

 

---

 

最後の創造

 

初号機。

 

内部。

 

白。

 

光。

 

シンジ(イズモ)「……流れた?」

 

カエデ「全対象への再生を確認」

 

シンジ(イズモ)「恥ずかしい」

 

カエデ「自分で録画しました」

 

シンジ(イズモ)「そうだけど」

 

カエデ「削除しますか」

 

シンジ(イズモ)「もう遅い」

 

少し。

 

笑う。

 

そして。

 

静か。

 

シンジ(イズモ)「カエデ」

 

カエデ「はい」

 

シンジ(イズモ)「ここから先」

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)「成功する保証」

 

カエデ「ありません」

 

シンジ(イズモ)「だよね」

 

カエデ「怖いですか」

 

シンジ(イズモ)「怖い」

 

即答。

 

シンジ(イズモ)「初めて来た時より」

 

少し。

 

笑う。

 

シンジ(イズモ)「怖いかも」

 

カエデ「なぜ?」

 

シンジ(イズモ)「失うもの」

 

シンジ(イズモ)「増えたから」

 

光。

 

強く。

 

なる。

 

シンジ(イズモ)「でも」

 

目。

 

閉じる。

 

シンジ(イズモ)「元々」

 

シンジ(イズモ)「自分の身体じゃない」

 

シンジ(イズモ)「元々」

 

シンジ(イズモ)「自分の世界でもない」

 

シンジ(イズモ)「借りてた」

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)「返す」

 

白。

 

意識。

 

沈む。

 

そして。

 

誰か。

 

いる。

 

少年。

 

背中。

 

シンジ。

 

本物の。

 

碇シンジ。

 

イズモ。

 

少し。

 

離れた。

 

場所。

 

立つ。

 

シンジ(イズモ)「……」

 

少年。

 

振り返らない。

 

聞こえているのか。

 

分からない。

 

シンジ(イズモ)「ごめんな」

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)「勝手に」

 

シンジ(イズモ)「身体借りた」

 

返事。

 

ない。

 

シンジ(イズモ)「でも」

 

少し。

 

笑う。

 

シンジ(イズモ)「悪くなかったよ」

 

シンジ(イズモ)「君の世界」

 

少年。

 

ほんの少し。

 

動く。

 

シンジ(イズモ)「綾波」

 

シンジ(イズモ)「アスカ」

 

シンジ(イズモ)「ミサトさん」

 

シンジ(イズモ)「ケンスケ」

 

シンジ(イズモ)「トウジ」

 

シンジ(イズモ)「みんな」

 

一拍。

 

シンジ(イズモ)「ちゃんと」

 

シンジ(イズモ)「君のこと待ってる」

 

白。

 

増える。

 

少年。

 

遠く。

 

なる。

 

シンジ(イズモ)「あと」

 

最後。

 

少し。

 

笑う。

 

シンジ(イズモ)「ケージ」

 

シンジ(イズモ)「行きすぎると」

 

シンジ(イズモ)「整備主任に怒られるから」

 

少年。

 

小さく。

 

何か。

 

笑った。

 

ような。

 

気がした。

 

シンジ(イズモ)「じゃあ」

 

光。

 

完全に。

 

埋める。

 

シンジ(イズモ)「返すよ」

 

---

 

碇シンジ

 

ネルフ。

 

サルベージルーム。

 

白。

 

照明。

 

医療機器。

 

一定の。

 

電子音。

 

ベッド。

 

一人。

 

少年。

 

指。

 

少し。

 

動く。

 

瞼。

 

開く。

 

シンジ「……」

 

眩しい。

 

目。

 

閉じる。

 

もう一度。

 

開く。

 

シンジ「……ここ」

 

声。

 

掠れる。

 

シンジ「どこ……?」

 

扉。

 

外。

 

職員。

 

気づく。

 

医師「覚醒!」

 

医師「患者覚醒!」

 

足音。

 

増える。

 

シンジ。

 

胸。

 

押さえる。

 

何か。

 

ある。

 

記憶。

 

ではない。

 

映像。

 

でもない。

 

誰か。

 

知らない。

 

でも。

 

妙に。

 

懐かしい。

 

工具。

 

金属。

 

LCL。

 

味噌汁。

 

青い車。

 

怒鳴る。

 

赤い少女。

 

静かな。

 

青い髪。

 

笑う。

 

整備員。

 

白い少年。

 

そして。

 

誰か。

 

ずっと。

 

走っている。

 

シンジ「……」

 

涙。

 

一滴。

 

理由。

 

分からない。

 

シンジ「なんで……」

 

扉。

 

開く。

 

ミサト。

 

止まる。

 

その後ろ。

 

レイ。

 

アスカ。

 

リツコ。

 

少し。

 

離れて。

 

カヲル。

 

そして。

 

カエデ。

 

シンジ。

 

知らない。

 

人たち。

 

いや。

 

知っている。

 

はず。

 

ミサト「……シンジ君」

 

声。

 

震えている。

 

シンジ「葛城……さん?」

 

ミサト。

 

息。

 

止まる。

 

その呼び方。

 

長い間。

 

聞かなかった。

 

本来の。

 

呼び方。

 

ミサト「……」

 

笑う。

 

泣く。

 

同時。

 

ミサト「おかえりなさい」

 

シンジ「……ただいま?」

 

戸惑う。

 

アスカ。

 

腕。

 

組む。

 

目。

 

赤い。

 

アスカ「ほんっと」

 

一拍。

 

アスカ「全然違うじゃない」

 

シンジ「え?」

 

レイ。

 

前。

 

出る。

 

シンジ。

 

見る。

 

レイ「碇君」

 

シンジ「綾波……」

 

レイ「……」

 

少し。

 

笑う。

 

レイ「初めまして」

 

シンジ「え……?」

 

カエデ。

 

静かに。

 

少年。

 

見る。

 

シンジ「君は?」

 

カエデ「カエデです」

 

シンジ「……カエデ?」

 

カエデ「はい」

 

少し。

 

間。

 

カエデ「あなたではない」

 

カエデ「一人の人から」

 

シンジ「?」

 

カエデ「あなたへ」

 

一拍。

 

カエデ「預かったものが」

 

カエデ「たくさんあります」

 

シンジ。

 

分からない。

 

でも。

 

胸。

 

また。

 

温かい。

 

シンジ「その人は」

 

少し。

 

怖い。

 

聞く。

 

シンジ「どこに?」

 

誰も。

 

すぐ。

 

答えない。

 

やがて。

 

レイ。

 

窓。

 

見る。

 

空。

 

青い。

 

レイ「帰ったわ」

 

シンジ「どこへ?」

 

レイ「……」

 

少し。

 

考える。

 

そして。

 

レイ「自分の場所へ」

 

シンジ「……そう」

 

分からない。

 

何も。

 

分からない。

 

でも。

 

なぜか。

 

その答えで。

 

いい気がした。

 

窓の外。

 

第三新東京市。

 

壊れている。

 

でも。

 

残っている。

 

人も。

 

街も。

 

空も。

 

まだ。

 

ここにある。

 

奇跡ではない。

 

誰かが。

 

何度も。

 

準備して。

 

失敗して。

 

改修して。

 

怒られて。

 

また。

 

作って。

 

そうして。

 

残した。

 

未来。

 

少年は。

 

まだ。

 

それを。

 

知らない。

 

これから。

 

知っていく。

 

自分ではない。

 

誰かが。

 

確かに。

 

ここで。

 

生きていた。

 

その。

 

痕跡と。

 

一緒に。

 

――創造紀エヴァンゲリオン。

 

外来意識の介入。

 

完。

 




次回からはイズモとカエデがいろんな世界で活躍します
第1弾はオリジナル小説 大学教授殺人未遂事件です
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