創造紀エヴァンゲリオン ―外来意識の介入―   作:最上 イズモ

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今回から本編になります


使徒襲来

薄暗いモノレール車内に、非常灯の鈍い光だけが残っていた。

窓の外では風が荒れ、車体が軋むたびに金属音が低く響く。

座席はすべて空。人の気配はない。

 

静寂の中を流れるのは、制御系の微かな電子音だけだった。

 

シンジ(イズモ)「……モノレール、か」

 

声を出した瞬間、音が妙に反響する。

エヴァンゲリオン。第3東京市。箱根。モノレール。

知識としては揃っている。

 

だが――

ここに“立っている”感覚だけが、説明に追いついてこない。

 

シンジ(イズモ)「……誰もいないな」

 

恐怖は後回しだった。

まず、状況を把握する必要がある。

 

深く息を吸い、車内を見渡す。

破損なし。血痕なし。争った形跡もない。

そして、気づく。

 

車両はすでに停止している。

 

ドアが開く音とともに、湿った外気が流れ込んだ。

 

シンジ(イズモ)「……止まってるなら、出るか」

 

箱根湯本駅構内は、完全に無人だった。

蛍光灯が不安定に明滅し、足音の反響だけがやけに大きい。

避難後の都市特有の、空洞のような静けさ。

 

シンジ(イズモ)「……持ち物、確認しとこう」

 

学生証。

――碇シンジ。

 

財布。

携帯端末。

封筒。

写真。

 

知らない女性。

見覚えのない車。ルノー。

 

なのに、胸の奥がざわつく。

理屈ではなく、この世界の自分にとって重要だったと、感覚が告げていた。

 

シンジ(イズモ)「……今は、置いとく」

 

情報はあとで整理すればいい。

今は、生き延びることが優先だ。

 

駅ロータリーに出ると、空は鉛色に沈み、街全体が張り詰めていた。

携帯を確認する。圏外。

 

シンジ(イズモ)「……公衆電話も、か」

 

連絡手段はない。

なら――見られる場所を使う。

 

彼は防犯カメラを見上げ、紙に書いた文字を掲げた。

 

――ネルフ本部。

 

届く保証はない。

だが、やらない理由もなかった。

 

ネルフ本部、オペレーションルーム。

 

マヤ「箱根湯本駅ロータリーに生命反応」

マヤ「サードチルドレンの生体反応と一致します」

 

映像に映る少年。

落ち着きすぎている目。

異様な状況判断の速さ。

 

リツコ「……ミサト、迎えに行って」

 

ミサト「了解」

 

再び駅前。

 

地鳴りのような振動が伝わってくる。

遠方で爆発音。

 

シンジ(イズモ)「……サキエル、来てるな」

 

知識として知っていても、現実の揺れは別物だった。

心拍が一段、速くなる。

 

直後、上空でVTOLが撃墜され、炎が夜空を裂く。

同時に、ルノーが急制動で目の前に滑り込んだ。

 

ミサト「碇シンジ君ね。乗って!」

 

圧倒される。

だが、判断は早かった。

 

シンジ(イズモ)「はい」

 

車は凄まじい加速で走り出す。

身体がシートに叩きつけられ、これは“映画”ではないと理解する。

 

ミサト「N2を使うわ」

 

シンジ(イズモ)「……二足歩行兵器に?」

 

ミサト「使徒よ。人類の敵」

 

その声に迷いはない。

覚悟だけが、そこにあった。

 

閃光。

衝撃波。

世界が裏返る。

 

ネルフ本部。地下。

 

迷うミサトを横目に、シンジは端末を操作する。

即席で組んだ解析。

最短ルート。

 

シンジ(イズモ)「……こっちです」

 

第7ケージ。

シャッターが開き、巨影が現れる。

 

シンジ(イズモ)「……エヴァ初号機」

 

ゲンドウの視線が突き刺さる。

 

ゲンドウ「乗れ」

 

シンジ(イズモ)「……分かってます。乗ります」

 

エントリープラグ。

LCL注水。

 

知識では知っていた。

だが現実は違う。

 

液体が肺に流れ込む感覚に、喉が引きつる。

視界が一瞬、白くなる。

 

シンジ(イズモ)「……っ」

 

――だが、呼吸できる。

 

身体が、理解していく。

これは“制御”できる感覚だと。

 

ミサト「発進!」

 

地上。

使徒との対峙。

 

シンジ(イズモ)「……ATフィールド」

 

本当に、ある。

 

拳が弾かれる。

だが、焦りはなかった。

 

シンジ(イズモ)「……いけるな」

 

力を振り回さない。

構造を読む。

 

フィールドを刃に変える。

最小限の動き。

最短の斬撃。

 

突破。

コア破壊。

 

沈黙。

 

シンジ(イズモ)「……終わりました」

 

戦闘は終わった。

だが、胸に残る感覚が消えない。

 

これは訓練でも、作品でもない。

ここは――

間違えたら、死ぬ世界だ。

 

そしてなぜか、

自分はこの世界と“噛み合ってしまった”。




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