創造紀エヴァンゲリオン ―外来意識の介入― 作:最上 イズモ
第七ケージ前の通路は、非常灯だけが淡く点り、
地下特有の冷えた空気が肌にまとわりついていた。
巨大施設が稼働しているとは思えないほど人影は少なく、
遠くで機械の低い駆動音だけが反響している。
シンジ(イズモ)「赤木さん、少しお願いがあります」
リツコは足を止め、白衣の裾を揺らして振り返った。
その視線には、先日の戦闘以降――
少年を“被験者ではなく変数”として見る色が混じっている。
リツコ「なにかしら、碇シンジくん」
シンジ(イズモ)「三日間だけ、第七ケージを使わせてください」
リツコの眉が、ほんのわずかに動く。
エヴァンゲリオンは人類最後の切り札。
整備計画は秒単位で管理されている。
リツコ「理由を聞いても?」
シンジ(イズモ)「エヴァを“強く”したいわけじゃありません」
シンジ(イズモ)「間違えにくくしたいんです」
一拍の沈黙。
リツコ「……どういう意味?」
シンジは答えず、掌を前に差し出した。
シンジ(イズモ)「証拠を見せます」
空中に淡い光が集まり、
まるで見えない設計図に従うように構造が組み上がっていく。
金属片が結合し、配線が自律的に絡み合い、
数秒後、見慣れない端末が完成していた。
リツコ「……」
彼女は端末を受け取り、
外装ではなく内部構造を一瞥した瞬間、息を止める。
リツコ「この回路……既存理論じゃ説明できない」
リツコ「でも、再現性はある。マジックじゃないわね」
一度だけ目を伏せ、
科学者としてではなく、組織の一員として判断する。
リツコ「司令に話を通す必要があるわ。それでもいい?」
シンジ(イズモ)「はい」
――指令室。
壁一面のモニターに、戦況と都市データが流れている。
張り詰めた空気の中で、
シンジは再び端末を生成した。
ゲンドウは腕を組んだまま、無言でそれを見つめる。
ゲンドウ「条件を言え」
即席の契約書が表示される。
・出撃拒否権
・職員との同居拒否
・エヴァ改修の正式許可
ゲンドウは一瞬だけ目を細めた。
ゲンドウ「……よかろう」
承諾は、期待ではなく利用の判断だった。
第七ケージ。
巨大な初号機が沈黙したまま鎮座し、
作業灯の光が紫の装甲を照らしている。
シンジ(イズモ)「じゃあ、始めよう」
三日間。
彼が行ったのは、火力の増強ではない。
・攻撃選択肢の増設
・回避と撤退の判断速度向上
・人の感情に左右されない補助演算
結果として
腕部にガトリング砲、肩部にミサイル、腰部にブースターが付いた。
だがそれは“殴るため”ではなく、
選択肢を増やすための装備だった。
最後に、補助AIが起動する。
カエデ「戦闘補助モード、稼働確認」
シンジ(イズモ)「主導権は取らないで。あくまで補助」
カエデ「了解。判断権は常にパイロットにあります」
シンジ(イズモ)「……そういえば、学校も行かないと」
――学校。
教師「転入生を紹介します。碇シンジくんと、碇カエデさんです」
教室の視線が集まる。
シンジ(イズモ)「碇シンジです。よろしくお願いします」
カエデ「碇カエデです。よろしくお願いいたします」
授業中、端末が振動する。
生徒「ロボット乗ってるって本当?」
シンジ(イズモ)「Yだけど、授業中だから後で」
放課後、屋上。
トウジが拳を握りしめて立っていた。
トウジ「転校生、俺を殴れ」
シンジ(イズモ)「理由を聞いても?」
トウジ「妹を助けてくれたんやろ」
シンジ(イズモ)「……あの時の救助か」
シンジは殴らない。
代わりに、避難時の約束だけを交わす。
それで十分だった。
――戦闘区域。
ミサト「ライフルで牽制して!」
シンジ(イズモ)「カエデ、ダメージ判定」
カエデ「有効打なし。時間経過で不利になります」
シンジ(イズモ)「……了解」
一瞬の沈黙。
シンジ(イズモ)「契約第一項、適用します」
ミサト「はぁ!?」
だが止められない。
ガトリングとミサイルが火を噴き、
使徒の動きを封じる。
鞭を回避し、零距離。
最短で、終わらせる。
沈黙。
戦闘後、指令室。
ミサト「どうして命令を無視したの!」
シンジ(イズモ)「あの瞬間しか、被害を最小にできなかった」
否定も反論もない。
ただ、事実だけ。
研究室。
リツコ「……このコア、解析不能」
シンジ(イズモ)「そのための端末です」
使徒は記憶を共有し、
人類とほぼ同一の遺伝子を持つ存在だった。
シンジ(イズモ)「エヴァ外装にも同じ仕組みを組み込みました」
シンジ(イズモ)「情報はMAGIへ送られます」
リツコは、しばらく黙っていた。
リツコ「……ありがとう、シンジくん」
シンジ(イズモ)「そのコア、もらえますか」
シンジ(イズモ)「次を予測するために」
一瞬の逡巡。
そして、リツコは静かに頷いた。
起動実験中に使徒襲来イズモとカエデは使徒を倒すことができるか次回創造紀エヴァンゲリオン決戦第三東京市次回もサービスしちゃうわよ