創造紀エヴァンゲリオン ―外来意識の介入― 作:最上 イズモ
人の手で破壊するもの
薄暗い司令室で、モニターの光が碇ゲンドウの眼鏡に冷たく反射していた。
張り詰めた空気の中、MAGIの低い駆動音だけが、かろうじて静寂を保っている。
シンジ(イズモ)「三週間後、エヴァンゲリオンを改修したい。許可が欲しい」
自分でも驚くほど、声は落ち着いていた。
この世界に来てまだ日が浅い。
それでも――ネルフという組織の危うさと、
この男が立っている“位置”だけは、肌で理解している。
ゲンドウ「君の戦闘記録を見る限り、その期間に出撃予定はない」
眼鏡越しの視線が、ほんの一瞬だけこちらを射抜く。
値踏みする目。
許可ではなく、価値の測定。
シンジ(イズモ)「……なら、問題ありません」
ゲンドウはそれ以上言及せず、書類に視線を戻した。
承認とも黙認ともつかない沈黙。
だが、この男にとってはそれで十分なのだろう。
無機質な廊下を歩いていると、足音を速めてミサトが追いついてきた。
腕には分厚い資料の束。
ミサト「ねえシンジくん。明日、完成披露があるんだけど、一緒に行かない?」
シンジ(イズモ)「完成披露?」
ミサト「ジェットアーロンよ。対使徒用の国産ロボット」
シンジ(イズモ)「……サイズは?」
ミサト「エヴァと同クラス」
一瞬、言葉が途切れる。
人型、巨大、対使徒。
嫌な予感しかしない。
シンジ(イズモ)「予定はありません。行きます」
ミサトは、少しだけ安堵したように頷いた。
翌日。
かつて日本の首都だった街は、風の音だけに支配されていた。
折れた高層ビルの骨組みが、空に突き刺さる墓標のように並ぶ。
シンジ(イズモ)「……ここが、前の東京」
ミサト「セカンドインパクト以前のね」
シンジ(イズモ)「教科書で見るより、ずっとひどい」
数字や写真では、ここまでの重さは伝わらない。
ミサト「だから、使徒を止めなきゃいけない」
その声には、使命と、私怨と、後悔が混ざっていた。
シンジ(イズモ)「……急ぎましょう。嫌な予感がします」
完成披露会場は、場違いなほど豪奢だった。
シャンデリア、酒、笑顔。
その背後に、巨大スクリーンで映し出されるジェットアーロン。
開発責任者・シロウが、誇らしげに語る。
シロウ「ネルフは感情に頼りすぎです。我々は理性で戦います」
その言葉が放たれるたび、ネルフ関係者の表情が硬くなる。
シロウ「質問は?」
嘲るように視線を巡らせ、指を差す。
シロウ「はい、ネルフの方」
シンジ(イズモ)「動力は原子炉ですね。使徒相手に、自爆前提ですか?」
空気が、一瞬で凍りついた。
シロウ「……は?」
シンジ(イズモ)「あの出力でも、使徒には足りない。
しかも構造的に、戦闘中のメルトダウン確率が高い。
最悪、放射線汚染で人が一万年住めなくなります」
ざわめきが広がる。
シロウ「素人の戯言だ。君はパイロットだろう?」
シンジ(イズモ)「ええ。だから聞きます」
シンジ(イズモ)「ATフィールドは、どう突破するんです?」
シロウ「企業秘密の新兵器で」
シンジ(イズモ)「仮に突破できても、戦術として成立しません」
シンジ(イズモ)「この機体が役立つのは、輸送か――
エヴァの代わりに“捨てる”時だけです」
会場が完全に静まり返る。
シンジ(イズモ)「それと、核は使わないでください」
シンジ(イズモ)「勝っても、誰も住めない土地では意味がない」
シロウ「なぜ、そこまで言い切れる」
シンジ(イズモ)「整備課も手伝っています」
シンジ(イズモ)「エヴァの危険性も、精神汚染も、暴走の恐怖も知っている」
シンジ(イズモ)「それでも、必要だから乗っている」
言葉に、抑えきれない熱が混じる。
シンジ(イズモ)「だから、
“自分たちだけが正しい”みたいな言い方が、許せなかった」
シンジ(イズモ)「同じことを言われたら、どう思うか知りたかった」
シロウ「……不快だ」
シンジ(イズモ)「なら、やめてください」
沈黙。
それは勝利ではなく、溝が確定した音だった。
席へ戻ると、ネルフ関係者の間に微かな祝福ムードが流れていた。
ミサト「よく言ったわ」
リツコ「……技術者の矜持ね」
シンジは何も言わず、水を一口飲んだ。
胸の奥が、わずかに冷えている。
その直後、赤い警報灯が会場を染めた。
企業スタッフ「ジェットアーロン、制御不能!」
ミサト「……来たわね」
廃墟。
暴走するジェットアーロン。
初号機が出動する。
ミサト「原子炉だけは壊さないで!」
シンジ(イズモ)「承知!」
関節。
装甲。
武装。
最短で、機能だけを奪う。
最後に制御系を封じ、
安全装置を強制的に展開させる。
巨大な機体は、音もなく沈黙した。
シンジ(イズモ)「……終わりです」
勝った。
だが、胸の奥に残る感覚は、安堵ではない。
彼は理解していた。
今のやり取りで、
ネルフ以外の“正義”と完全に敵対したことを。
これはまだ、始まりに過ぎない。
空母オーバーザレインボーに行き新型エヴァンゲリオンの見学に行くことになるが突然使徒襲来パイロットとエヴァをどうコントロールするのか?
次回創造紀エヴァンゲリオンアスカ来日次回もサービスサービス