創造紀エヴァンゲリオン ―外来意識の介入―   作:最上 イズモ

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マグマダイバー

ネルフ本部。

昼休み前の廊下は、次の作戦準備と日常が交錯する、独特の緊張に満ちていた。

 

アスカ「えーー、修学旅行に行っちゃダメ〜〜?」

アスカ「なんでよ。せっかく日本の文化体験なのに!」

 

シンジ(イズモ)「ネルフに来た時点で、覚悟はしてたはずだ」

シンジ(イズモ)「俺たちは学生である前に戦力だ。使徒が来たら、代わりはいない」

 

アスカは腕を組んで唇を尖らせる。

だが、その目はただの駄々ではなかった。

現実を理解した上での不満だ。

 

ミサト「まあまあ」

ミサト「その代わりって言うのも変だけど、プールは自由に使っていいわよ」

ミサト「息抜きも仕事のうちだから」

 

シンジ(イズモ)「二人で使えばいい」

シンジ(イズモ)「俺は第三ケージでやることがある」

 

アスカ「はぁ? なんであんた抜けるのよ」

 

シンジ(イズモ)「準備だ」

シンジ(イズモ)「次の使徒、嫌な予感がする」

 

アスカ「……そういう言い方、ズルいのよ」

アスカ「分かったわよ。もう」

 

第三ケージ。

巨大な炉心区画の奥で、整備用アームが初号機の装甲をなぞる。

赤い警告灯が周期的に瞬き、熱を帯びた風が金属臭を運んでいた。

 

シンジ(イズモ)「サンダルフォン対策、最終確認」

 

端末を操作する指は止まらない。

 

シンジ(イズモ)「極地ミサイル、冷凍グレネード、冷凍ガン出力安定」

シンジ(イズモ)「極地装甲も問題なし」

 

彼にとってエヴァは、奇跡ではない。

最悪を想定するための器だった。

 

シンジ(イズモ)「レーザーブレードと自由電子レーザー……」

シンジ(イズモ)「……十分だな」

 

その瞬間、司令室からの警報が割り込む。

 

ミサト「浅間山マグマ内に使徒反応! 緊急出動!」

 

シンジ(イズモ)「回収案件じゃない」

シンジ(イズモ)「羽化したら、終わりだ」

 

ミサト「羽化前に処理できるなら理想」

ミサト「最悪、殲滅でいい。動ける?」

 

アスカ「私が行くわ!」

アスカ「弐号機、出せるでしょ!」

 

シンジ(イズモ)「なら、これを持っていけ」

シンジ(イズモ)「冷凍ガンと、極地装備」

 

アスカ「了解!」

 

浅間山山頂。

硫黄の匂いと噴き上がる蒸気が、視界を白く染める。

 

極地装甲を纏った弐号機が、重い足取りで火口へ向かう。

 

アスカ「なによこれ……見た目、最悪じゃない!」

 

シンジ(イズモ)「機能優先だ」

シンジ(イズモ)「嫌なら、俺が行く」

 

アスカ「冗談じゃないわよ!」

アスカ「ダサくても、勝てばいいのよ!」

 

ミサト「作戦開始。慎重に進んで」

 

岩盤が割れ、弐号機がマグマ層へと潜行する。

 

アスカ〈無線〉「……確認。サンダルフォン」

アスカ〈無線〉「まだ羽化前」

 

ミサト〈無線〉「回収を試みて」

 

アスカ〈無線〉「無理! 羽化が始まってる!」

 

ミサト〈無線〉「回収中止。即時殲滅!」

 

アスカ〈無線〉「了解!」

 

シンジ(イズモ)「冷凍グレネード投下!」

シンジ(イズモ)「キャッチしろ!」

 

アスカ〈無線〉「受け取った!」

 

シンジ(イズモ)「極地ミサイル、続けて送る!」

 

白い衝撃が赤い地底を覆い、

凍結が一気に広がる。

 

次の爆発で、使徒は粉砕された。

 

アスカ〈無線〉「……完了」

アスカ〈無線〉「正直、ギリギリだったわ」

 

シンジ(イズモ)「お疲れ」

シンジ(イズモ)「帰ったら、温泉行こう」

 

一瞬の間。

 

アスカ〈無線〉「……それ、悪くない」

 

ミサト〈無線〉「賛成!」

 

箱根湯本温泉。

湯けむりと木の香りが、三人を包む。

 

アスカ「生き返るわ……」

 

シンジ(イズモ)「たまには、戦場から離れないと」

 

レイ「……温かい」

 

ミサト「こういう時間があるから、また戦えるのよ」

 

翌日。

学校の昼休み。

陽光が教室を満たしていた。

 

シンジ(イズモ)「授業、正直退屈だな」

 

アスカ「政府に都合のいい話ばっかり」

アスカ「これで歴史って、笑えるわ」

 

シンジ(イズモ)「真実は、教科書には載らない」

 

アスカ「……あんた、妙に大人よね」

 

シンジ(イズモ)「暇つぶしに、学校のLANを覗いた」

 

端末に、黒い文書が映る。

 

――極秘 人類補完計画

 

アスカ「……なによ、これ」

 

シンジ(イズモ)「ネルフ中枢の極秘文書だ」

シンジ(イズモ)「たぶん、俺たちは――その駒」

 

チャイムが鳴る。

昼休みの終わり。

 

シンジ(イズモ)「……また日常だ」

 

アスカ「……それ、本当に日常って言っていいの?」

 

放課後。

夕焼けの帰り道。

 

シンジ(イズモ)「暇だったから、ゲーム作った」

 

アスカ「は? 本気?」

 

シンジ(イズモ)「どうぞ」

 

アスカ「……来週返す」

 

シンジ(イズモ)「あげる」

 

アスカ「……じゃ、もらっとく」

 

二人の影が、並んで夕暮れに伸びていく。

 

それはまだ、

壊れていない日常の形だった。




突然停電する第三東京市
さらに追い討ちをかけるような使徒襲来イズモはこの危機を乗り越えられるか?
次回創造紀エヴァンゲリオン
静止した暗闇の中で
次回もサービス
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