実は既に話は完成していたのに投稿やらなんやら忘れてるのと、書きだめを作ってたという理由で投稿が遅れました。因みにこの話から恋愛成分がシリアスになっていくような……イチャイチャさせたいんですけど、ね。
では、そんな話ですが今回も閲覧なさって下さると幸いです!
僕達のチームの圧勝で、試合は終わった。こちらは一つも被害なし。久しぶりに母さんの教えとそのアレンジだけで戦ったけど、まあ思ったよりも上手く行ったものだ。ぶっちゃけ、相手のレベルが僕達より低かったのはあるけど、作戦が上手くハマったとも思う。指示命令は念の為相手に聞こえてもいいように、僕が予め用意した命令系統を使ったりも出来て、満足だった。まあ、コードは知る人ぞ知るマクロスのだけど、ね。
「神田の坊主。少しいいか」
「……何用でしょうか、花田源三氏」
終わったところで一息つこうとしたら、あの花田源三がやってきた。僕に用があるらしいけど、どういう事だろうか。まあ、僕の勘が正しければ悪いことでは無いはずだが。
「まずは流石だ。末端とはいえ、西住流を降すに十分の実力だ」
「そうですかね? 私はまだ精進の身分ですから」
「それでもだ。しっかりと気持ちが入っていた」
いつの間にか来ていた千代さんと愛里寿も、それを聞いて驚いている。まあ、ここまで認められるなんて、誰も思ってすらなかったんだろう。
「神田の坊主。……いや、神田裕翔。お前の覚悟、しかと見届けた。何があっても島田の娘を守るという気迫をな」
「ありがとうございます。まぁ、貴方は最初から気づいてたんでしょうね、花田源三氏」
「源三で良い。坊主。……ワシの考えた通りなら、虫除け。とでも言う所だろう? お前は」
「あはは、やっぱりお見通しでしたか。……では、源三さんで」
愛里寿は分からないという顔をしているが、千代さんは僕の意図に気づいていたし、源三さんの言葉に思う所はあるのだろう。だからこそ、千代さんは驚き続けているのかもしれない。
「さて、神田の坊主には褒美をやらなければな。大学戦車道のチームで使える戦車を、お前のところへ回そうと思う。それと……時間はかかると思うが、ワシも男の戦車道を認めて貰えるよう、手伝おう。なに、ワシも昔はそれを夢見ていた」
「源三さんも、だったんですね」
「ああ。おかげで懐かしいものを、思い出せた気がするな」
やっぱり僕の思った通り源三さんは、気難しいだけの人だった。認めた相手にはとても甘いという事なんだ。だからこそ認められて、少しだけほっとした。やっぱり戦車道は、人を繋ぐ力があると思うから。
「……あれ? 伯父上? なぜ伯父上がここに?」
「ん? 結衣こそなぜここにいる。なぜ神田の坊主の戦車から出てきた」
「だって、師匠ですから!」
「……ほう? これは姪が世話になっていたのか」
「……め、姪!?」
そして僕の目の前で、衝撃の事実が披露される。いや、まさか結衣さんが源三さんの姪だなんて、僕は知らなかったんだ。まさかこんな事になるなんて。まあ、これはこれで味方が強力になるし、良いのかな?
「裕翔さん。もしかして今回の件の、政略結婚の相手って……」
「源三さんだよ。大方、一部の上役に言われたんだろうね」
「そういう事だ。まぁそもそも嫌がる娘とは、結婚なぞする気は無いがな」
「伯父上……」
戦車道の重役だからこそ、そんな面倒事に絡まれているのか、源三さんはやれやれと言った様子だ。まあ、そりゃあ歳も離れていて、なおかつ嫌がる女の子と一緒になったら、何を言われるかはわからないしね。まあ、源三さんはやっぱり思った通り、切れ者だったって所かな。
「とりあえず、ワシは帰るとする。久しぶりに良い物が見られたからな」
「あ、はい。伯父上。また会いましょう!」
「源三さん。お気をつけて」
そうして源三さんは、用意されていたのかいつの間にか来ていた車に乗って、そのまま帰っていった。なんというか、頑固そうなところはあるけど、しっかり話してみると優しい所がある。という事が分かったから、普通に収穫はあった。僕の味方になるのも、約束してくれたしね。ああいう人は約束を破らないから。
「さて、それじゃあ打ち上げでもする? こうしてみんな揃ってるんだし」
「良いですね、師匠! あ、でもその前に……」
「ん?」
結衣が何かを言おうとして僕は止まる。もしかして、まだ何かあったかな? と思うと、それを聞くことにした。本当に何かあったっけ?
「行ってきてあげてくださいよ。隊長の所に。何か言いたいみたいですし」
「ああ、了解。ありがとう、結衣」
「いえいえ」
なんの事か考えている僕を見て、結衣はクスッと笑うと愛里寿の事を教えてくれた。確かに、さっき来てたもんね。そのまま僕が愛里寿の方へ向かうと、愛里寿はむしろ走って近づいてきて、僕に抱きついた。
「ありがとう、裕翔!」
「どういたしまして、愛里寿」
少なくとも、愛里寿は政略結婚についてはかなり怖かったと思う。だから、それを止めてくれて。という事なのは分かる。まあ、僕が”虫除け”という事は理解してないみたいだから、そこは触れないだろうけど。まあ、正式な婚約者じゃないのは確かかな。だってきっと、愛里寿も好きになる人が居るはずだから。
「……裕翔。本当にかっこよかったよ。啖呵をきった時も、今日の戦車道も」
「ん、ありがとう。まぁ愛里寿の為だって思ったら、ね?」
勿論僕が司令塔をやるのは楽しみだった。でも、ちゃんと愛里寿の為に。というのは考えていた。まあ、源三さんは愛里寿に似合うかテストするって言ってたけど、それは多分虫除け役として、人から見た時に手を出しにくいか。という事だと思う。流石に、僕が愛里寿の砲手になろうとした理由も知らないだろうし、ね。
「……ほんと、裕翔ってずるいよね」
「ん、そうかな? 愛里寿」
珍しく愛里寿が小声で呟いた事が聞こえたから、僕は聞き返す。すると、僕の胸に顔を埋めてから、ふふっと笑った。
「うん、ずるい。そういうのは女の子にやったら、勘違いするからね?」
「なるほど。これはいつも僕が言ってる事だから、一本取られたね」
多分愛里寿は、してやったりって顔をしてると思う。確かに、いつも僕が言っている事だから、それで返されたからには僕も認めるしかない。うーん、そんなずるいって事をしてる気は無いんだけど、ね。
「……裕翔」
「何かな? 愛里寿」
そんなことを考えていると、愛里寿は僕に声をかけてくる。どうしたのかな。と思っていると、僕の体をぎゅっと抱きしめてきた。
「……今回、裕翔が居なかったらもっと大変になってた。怖かった」
「そう、かな。千代さんも居たし、なんとかなったかもしれない。……僕はまあ、まだ子供だからこれくらいしか」
「それでも、だよ。私にとっては、裕翔が助けてくれた事が嬉しいの」
「……愛里寿」
まあ、僕としても愛里寿を助けるのは、本望だったりする。それが僕の役目だとも思っているから。まあ、自惚れない程度にはね。愛里寿に好きな人ができるその日までは、きっと僕は愛里寿を守り続けるだろう。それくらいの覚悟はある。僕はそれでいい。それでいいはずなんだ。
「……裕翔ってさ、私に優しいよね。なんで?」
「なんで、か」
だからこの質問も、いつものように返す。愛里寿には基本的に本音を伝える。そして僕は”はぐらかす”んだ。
「そうだね、僕は愛里寿の戦車道に惚れ込んでるから。昔から、ね。だからそれを守る為ってね」
僕の想いは隠していい。それがきっと正解だから。最善をいつも尽くして、愛里寿には素敵な人を見つけて欲しいから。
「……そっか」
でも、愛里寿の顔は優れない。嬉しい部分もあるけど、なんというかそれだけじゃない。というのが見えた気がする。僕はまた、答え方を間違えたらしい。こういう時に愛里寿の質問に答えるのは、なんとなく難しい気もする。だから、この雰囲気を誤魔化すことにした。
「さて、とりあえず久しぶりに本気出したら、お腹すいちゃったなぁ。愛里寿、家に戻ろっか」
「……うん」
■■■
「って感じなのよ、ゆりっぺ」
『なるほどねぇ、ちよきち。裕翔が愛里寿ちゃんの”虫除けの婚約者”に、かぁ』
現在私島田千代は、裕翔君の母親であり友人である、ゆりっぺこと神田由利に電話をかけていた。内容に関しては、ゆりっぺが呟いた通り。裕翔君は愛里寿の為に、”偽りの婚約者”になったのだ。
「愛里寿の事を思って、なんだろうけど。あまりにも皮肉よね」
『そうね。あの時裕翔は愛里寿ちゃんの隣にと宣言して、その言葉の通りに専属砲手と彼女に言わせてる。それなのに、ねぇ。自分からそれを認めてるなんてね』
あの子の鈍さは父さんに似たのかしらね。とゆりっぺは苦笑いをしたと思う。実際ゆりっぺもゆりっぺで、今の愛里寿と同じ悩みを抱えていたから、共感できるのだろう。
「多分、裕翔君は愛里寿に素敵な人が見つかるまで。とかなんとか思ってるのかしらね、きっと」
『でしょうね。虫除けを買って出て、愛里寿ちゃんが旦那を見つけて。と考えてるんでしょうけど……ほんと裕翔も素直じゃないわね』
「素直じゃない?」
『そうよ』
裕翔君が素直じゃない。というのは少し気になる。私の想像が正しければ、そういう事なのだろうが。その答えをゆりっぺはきっと知っているはずだ。
『多分ちよきちの考えた通りね。愛里寿ちゃんの隣に。といったあの時から、裕翔はきっと愛里寿ちゃんの事が好きだもの』
「……そうなのね。でもそれを表に出せない、か。何が裕翔君を戸惑わせるのかしら?」
『多分、あの子の事だから子供らしくない理由を、いつものように並べてるんでしょうね。年齢が年齢だし教えた訳でもないのに、裕翔は大人びているから。まあ、そこも魅力の一つなんだけど』
「……子供らしくない理由を、か。愛里寿は、子供らしくもあるけど、しっかりアピールしてるのよねぇ」
『ほんとよね、どうしてあそこまで気付かないのかしら』
裕翔君はもしかすると、きっと線を引いているじゃないかと思う。愛里寿とはある程度以上、進んではいけないと感じている。
「もし裕翔君が線を引いているなら、愛里寿の為にどうやって取っ払えばいいのかしらね」
『どうにかして外してあげたいわ。このままじゃ愛里寿ちゃんが不憫だもの。いっその事、無理矢理にでも前に進ませる方法を、とか……』
「まあ、私達でもなんとかできるように、考えていきましょうか」
『ええ、そうね。……裕翔にしっかりと愛里寿ちゃんの気持ちが伝わるように、行動しましょうか』
私としては、娘が結婚する相手はきっちり好きな人であって欲しい。政略結婚なんかじゃなくて、両想いになった末の結婚。その相手が裕翔君なら、私は全力でフォローしていく。
「それにしても、裕翔君はそんなに愛里寿の事が好きなら、ゆりっぺの言う通り素直になればいいのに」
『そうね。まあ、愛里寿ちゃんが何故裕翔を好きになったのか、気付いてないのもあると思うけど』
「そうなんでしょうねぇ。だって愛里寿はあの時から__」
■【後書きのコーナー】■
愛里寿「作者」
suryu-「な、なんでしょう?」
愛里寿「……イチャイチャあるって言ったよね、本当に?」
suryu-「……ありますよ、多分」
愛里寿「嘘つき」
suryu-「だ、大丈夫。今後あるから。あるから。ね?」
愛里寿「……ぐすん」
千代「お話しましょ?」
suryu-「ちょ、やめ、くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」」
裕翔「え、えーっと……次回も閲覧なさって下さると幸いです!」