エッチいイラストは妄想が働いて仕方がないですなぁ……
この感触を何かに例えるなら……そう。ありふれた例えになってしまうが、まるでつきたてのお餅のよう。
手の平で包み込め、ピッタリと収まる大きさ。自分の体温よりも少しだけ温かく、指先に少しだけ力を入れれば柔らかく沈むのと同時に、こちらを押し返す弾力も持っている。
いくら触れていても、どれだけ揉んでいても、不思議と飽きが来ることは無い感触。このままずっと、両手が離れる事は無いのかもしれない。
「ま……ますたぁ?」
と、天国に意識が飛んでいた俺だったが、小さく自分を呼ぶ声で意識が身体に戻ってきた。
そう、手の平の感触を楽しみながら現実逃避している場合ではない。この状況を一刻も早くなんとかしなければいけない。
なぜならば、驚きと恥ずかしさで真っ赤に染まった顔をこちらに向ける少女。お栄ちゃんのモチモチ柔らかおっぱいを揉んでしまっているからだ。
誰か───特にマシュや清姫───に誤解されたくないので心の中で言い訳の練習をしておくが、これは決してわざとではない。
何かのコンセントのコードに足を引っ掛け、つまづいた時に前に出た手が、偶然お栄ちゃんのお胸を鷲掴みにしてしまったのだ。
不慮の事故であり、不可抗力。決してわざとではない事を理解して欲しい。
「あ……あのよぅ……ますたぁ? その……だな。そろそろ……手を……」
「ご、ごめん! すぐにどけるね!」
どうしたらいいのかわからずにモジモジとしながら、蚊の鳴くような声でぼそぼそと呟くお栄ちゃん。
いつもの男らしさすら感じる快活な姿と打って変わり、恥じらいの色で全身を染める少女の姿。そのギャップにドキッとしながら、名残り惜しさと共に手を離す。(モミモミ)
「ひゃう!」
はなす。(モミモミモミ)
「きゃうん!」
は・な・す!(モミモミモミモミ)
「ひぅ……ん!」
……手を離すどころか、吸い付いて離れない。
別に手がタコの吸盤に付いているとか、魔術や呪いの類が発動しているわけではない。ただ単に、俺の本能が離したくないと抵抗しているだけだ。
理性は「お栄ちゃんのために手を離さなければいけない」と主張し、本能は「手を離すのは男としてどうにかしている」と主張している。
その理性と本能のせめぎ合いが、本能優勢で手の平で繰り広げられていた。
「ご……ごめん……」
自分の意思の弱さに、謝る事しか出来ない。
この体験をした今なら、ラッキースケベイベントを体験した主人公の気持ちが分かる気がする。
「…………」
首から耳まで真っ赤になり、とうとう完全に黙ってしまったお栄ちゃん。
(もうどんな言い訳をしても、絶対に許してもらえない……)
そう感じた自分は手を離すのを諦め、どこまでも広がる青い空を仰ぎながら、お栄ちゃんのニ刀流で真っ二つになる覚悟を決めた自分。
沈黙の帳が降りた世界に、波の音だけが響く。
「ますたぁ?」
その沈黙を先に破ったのは、お栄ちゃんだった。
こちらに顔を向けた気配がするが、どんな顔をしているだろうか?
怒りに震えているだろうか? 気にしていない風に笑っているだろうか? 軽蔑の視線を向けているだろうか?
たとえどんな顔をしていても。どんな罰でも。甘んじて受け止めなければいけない。
手を離す覚悟はなくとも、男としての最低限の覚悟を決めて、お栄ちゃんに向きなおる。
「!!」
お栄ちゃんは、怒っていなかった。
無理に笑っても、いなかった。
見下すように蔑んでも、いなかった。
白い頬を赤く染め、甘く、熱い息をつき、潤んだ瞳でこちらを見つめていた。
「ますたぁ……」
お栄ちゃんと視線が合うと、寂しげに、どこか物欲しそうに、こちらを呼ぶ。
バクバクとうるさく鳴る鼓動は、一体どちらのものだろうか。
「お栄ちゃん……」
この状況に、俺は……