ガタノゾーア in FGO 作:深淵を泳ぐもの
特異点から帰還した立香達は、サーヴァントを召喚するかどうか迷っていた。と言うのも現状でレイシフト許容人数が限界に達しているので、これ以上の召喚は誰かカルデアに待機させる事になるだろう。とはいえ、もし特異点先で1人になってしまった場合、緊急で送り出すサーヴァントがいないとなると合流するまで確実に相手の的になってしまうことになる。そう考えると召喚したほうがいいような気もする。
「今回は聖晶石が3つしかないから一回しか召喚できませんけど、ライダーとか召喚できると馬とか召喚できるサーヴァントだったら、移動の時短が出来ますね」
「そうね。それにアサシンとかだと気配遮断を使った情報収集とかも出来るわね。……と言うより、エクストラクラスが既に3人いるこの状況がおかしい気もするけど」
エクストラとはなんだったのかと頭を悩ませるオルガマリー。それを見て、困ったように笑う立香。話し合いの末、結局召喚することになった。未だ召喚できていないクラスのどれかが召喚されれば良いなと言う期待を込めて。
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「今回は私が引くわね。貴女は、あの黒いジャンヌ……ジャンヌ・オルタと契約したのだし、良いわよね?」
「良いですよ。もしやばそうな奴が召喚されたときは私に任せてください」
いつでも令呪でサーヴァントを呼び出せるようにしながら、オルガマリーの召喚を見守る立香。ここに来る途中、ミゼーアに自分を触媒にしない?と笑いながら聞かれたが、嫌な予感がしたため丁重に断った。一番上の存在を触媒に召喚なんてしたら、その配下が来てしまうだろう。それはよろしくない。下手をすれば今度こそ狂ってしまうかもしれないから。
「クラスだけでも絞れれば良いけど、無い物ねだりしても仕方ないしさっさと召喚してしましょうか」
いつも通り聖晶石を投げ込んで、砕けた聖晶石が光を放ち人型を成す。光は次第に収まり、そこには白髪の青年が立っていた。
「サーヴァントアーチャー、召喚に──ん?……成る程そう来るか。失礼マスター、今回私はアーチャーではなくキャスターのようだ。このクラスで召喚されるのは初めてだが、なに足手まといにはならないさ」
そう語るキャスターに2人は見覚えがあった。あの黒き騎士王と戦った最初の特異点、そこでアーチャーとして自分達と対峙しサーヴァントにそっくりだった。黒化していたあの時とは違い、赤い外套をその身に纏っている。
「よろしくね、キャスター。早速で悪いけど貴方真名はなんて言うのかしら?色々と都合があってもうキャスターは1人いるから、真名で呼ぶことになるから教えて欲しいのだけど」
「そう言うことか。私の真名はエミヤだ。聞いたことないだろうが、私はちゃんとした英霊ではないからな。その辺は理解してくれ」
「ちゃんと英霊ではない?気になるけど、今は私たちに協力してくれるならそれで良いわ」
「ああ、そこは信用してもらえて構わない」
「そう、ならここの案内をするからついてきて頂戴」
キャスター改めエミヤを引き連れてカルデアを案内する事にしたオルガマリー。数分後、青いキャスターと赤いキャスターがバッタリ出会い口喧嘩を始めるのだった。