ガタノゾーア in FGO 作:深淵を泳ぐもの
ガリアを奪還した立香たちは、帰路を進んでいる最中に奇妙な話を聞いた。なんでも古き神が現れたらしい。ガタノゾーアたちからすればほとんどの神が新しいのだが、あくまで今を生きる人間から見ると古いといったところか。それとも、ガタノゾーアたちや旧き神すら知らないもっと前の神か。それはわからないが、できれば自軍に引き入れたいというネロの発言の下、その神が目撃された島へと行くことになった。
*
「三半規管が強化されていて助かりました。もし強化されていなかったらと思うと……想像したくありませんね」
「うむ!なかなかの航海だったな!」
ネロはそう言うが、残念ながらネロ以外のほとんどの人はひどい航海だったと思うだろう。何故ならば、その島へは船で行かねばならなかったのだが、ネロの操縦があまりにも荒く、ついてきた兵は酔って船から出てこれなくなってしまった。立香とオルガマリーは幸運にも三半規管が強かったので酔うことはなかったが、それでも多少の気持ち悪さを覚えながらその島へと降り立った。
「ふふ、ご機嫌よう、勇者の皆様。ようこそ、
そこへ一人の少女が待っていたとばかりに姿を現し、立香たちにそう声をかける。その身に纏う神性からしてその少女が女神であることがわかる。本人曰く一応サーヴァントでもあるらしい。ゆっくりと一行を見て、一瞬複雑そうな顔をしたが、すぐさま笑みを浮かべた。
「どんな勇者が来たのかと思ったけど、サーヴァントに見たこともない存在と私よりも古い……いえこれを言うのは野暮かしらね。それで、私に何の用かしら?最初に言っておくけど、私は
残念なことに、交渉をするよりも早く本人の口から戦力になれないと告げられてしまう。神にも種類はあるのだという。彼女は戦うことを求められた神ではない。故にサーヴァントになった際に最低限は得たがそれだけとのことだ。
「そういえば、自己紹介をしていなかったわね。私は、ステンノ。ゴルゴーンの三姉妹、その一柱。貴女たちが勇者だったなら、戯れにご褒美をあげても良かったのだけれどそうではないようですし」
それに勇者とは真逆の魔王がいるものねとまでは流石に言わなかったが、目線だけをその三人に向ける。実際は、その内の二人は確実に娯楽を楽しむであろうが、気まぐれで怒りを買って消滅させられかねない可能性がある以上、下手に綱渡りはしたくはないのだ。
「そうか……それは残念だ。確かに余は皇帝であって勇者ではないからな。まあ、なりたいと思ったことは何度かあるが」
「ふふ、勇者はなりたいと思ってなれるものではなくてよ?」
「わかってはいるのだがな。ただ、やはり憧れというものは捨てられんのだ」
ネロとステンノがそんなことを話していると、ロマニから何者かがこの島へと接近しているとの連絡が入る。反応からしてサーヴァントであるようだが、普通に泳いで迫ってきているようだ。サーヴァントであればそれくらいできないことではないだろうが、ここまで追ってくるとなると誰かは大体予想がつくというもの。
「ネロォォォオオオオオオ!」
その追ってきた人物、カリギュラは水の中からゆっくりとその姿を現した。あの時に捨て去った理性も戻っているようだ。相も変わらずネロを狙っているようだが、ネロ自身も覚悟を固めたようで持ち前の得物を構える。
「ネロオオオオ!」
「来るか、叔父上!今こそ『皇帝』を討ち取る時だ!行くぞ」
「クー・フーリン、エミヤ援護しなさい!」
「了解した」
「任せな!」
跳躍し、全体重を乗せた拳を振り下ろすカリギュラ。それは生身のネロが耐えきれるものではない。しかし、オルガマリーの指示を受けたランサーのクー・フーリンが、ネロが受けるよりも早くその朱槍で受け止める。受け止められたことで生じる一瞬の硬直、その隙を突くようにエミヤが矢を放ち、ネロは剣を突き出す。しかし、カリギュラは片手で剣をはじき、朱槍を掴みそれを軸として飛来する矢を蹴り飛ばした。しかし、さすがにそこからクー・フーリンに向かって攻撃をすることはできず、すぐさま槍を放し後方へと下がる。
「ネロ!ネロォオオオオ!!」
「むう、流石は叔父上だ。何という身のこなし」
「ハハッ!そうこなくっちゃなぁ!!」
「クー・フーリン援護して!」
「おう」
感心するネロを尻目に、クー・フーリンはカリギュラへと突撃する。突き、薙ぎ払いといった猛攻を加えるもカリギュラはそれを捌きカウンター気味に拳を放つ。しかし、クー・フーリンの後方より火球が飛来し、カリギュラの動きを阻害する。阻害された動きはそのまま隙となり、クー・フーリンはカリギュラを大きく蹴り飛ばした。そして火球を飛ばした人物、キャスターのクー・フーリンの方へと飛び退いた。
「ナイスアシストだったぜ」
「てめえは俺だからな。どう動くかくらいは手に取るようにわかんだよ。さて、マシュやるぞ」
「は、はい!」
教わった通りに空中にルーンを描くマシュを見て、満足そうに頷きながらキャスターのクー・フーリンも己の杖を振るう。
「「アンサズ!!」」
二つの火球が蹴り飛ばされたカリキュラムへと襲い掛かる。その合間を縫ってエミヤが放つ矢も飛来する。火球こそかき消すことが出来たが、矢までは防ぎきれずその肩を貫通した。いかにバーサーカーといえど肩に穴が開けば片腕を使うことは困難になるだろう。ランサーのクー・フーリンは再びカリギュラへと突撃するが、今度はネロも共にカリギュラへと接近する。人間であるネロはサーヴァントそれも最速に近いクー・フーリンと同等の速度で剣戟を繰り出すのは不可能である。しかし、今回に限ってはその差が相手のリズムを狂わせ結果的に追い込むことになった。
「
連続突きからの不意を突いた足払い。それにより体勢を崩したカリギュラの首を朱槍が貫き、その胸を剣が大きく切り裂く。それが致命傷となり、カリギュラはその場に崩れ落ちた。
「ネロ……ネロ……おまえは……とても……月の、女神よりも……聖杯よりも……美しい……」
そう言い残し、カリギュラは消滅した。それを複雑そうな顔で見送るネロを他所に付近の森からいつの間にか姿が見えなくなっていたガタノゾーアたちが誰かを捕えながら戻ってきた。
「アハハハハハハ!見事に捕まってしまったのだな。しかし、不意を突かれたのならタマモ地獄をお見せできぬのも致し方なし。煮るなり焼くなり好きにするのだな、アタシも好きにする」
「いきなり燃やしにかかってくるとかおかしくない!?|ドラゴンステーキなんて笑えないわよ!」
「隠れてたくせに何言ってんのよ。寧ろ本当にやらなかっただけ感謝してほしいくらいよ」
「……どうした?」
喧しい二人のサーヴァントを現在進行形で触手で絡めとっているガタノゾーアは、どこに行ってたんだと言わんばかりの目線を受けて不思議そうにそう返した。カリギュラがこの島にたどり着いた辺りで、隠れていた二人の気配を察知したガタノゾーア、ジャンヌ・オルタ、ミゼーア、メフィラスはまずメフィラスの瞬間移動で背後に回り込み、不意を突いてジャンヌ・オルタがわざと盛大に火をおこしそちらに注意を引かせ、ミゼーアが魔術を用いて拘束し、そしてガタノゾーアが触手で捕える。そんなことをしていたわけだが、無断で行ったためにマスター二人からそんな視線を投げかけられるもの仕方のないことだった。
「あら、捕まったのね。あなた達」
「知り合いなの?」
「ええ、あるものを作るためにね。現界する時に引っ張ってきて手伝ってもらってたから」
「そうよ!だから解放しなさい!」
「……良かろう」
そう言って、解放するガタノゾーア。もしも何かがあってもどうとでもできる故、警戒はすれどいつもの自然体に戻る。他の三人もそうだ。
「それで、貴女たちはサーヴァントよね?」
「ウム。では名乗らせていただこう。我こそはタマモナインの一人タマモキャットなのだな。クラスはバーサーカーだワン!で、こっちはエリザベートだな」
「なんであんたが言っちゃうのよ!」
「エリザベートはわかるけど、タマモキャット?聞いたことないけどバーサーカーってことは元々は弱い英霊なのかしら」
残念ながら普通に強い英霊であるタマモキャットであるが、本人は特に何を言うのでもなくただただ笑っているのみでやはりカリギュラとは違えどバーサーカーなのだなと思わざるを得ない。念のために共に戦わないかとネロが誘ってみるも、ステンノが無理やり引っ張ってきた影響かこの島から出ることが出来ないらしい。本格的にこの島へとやってきたのは無駄骨かと思ったが、ステンノがカリギュラを倒した御礼として連合ローマ帝国の首都、その位置を正確に教えてくれるとのこと。これだけでも、大いにこの島にやってきた価値があるといえるだろう。その情報を元に作戦を考えるために、一行は再びあのネロの荒い航海の下本拠地へと帰って行くのだった。
文才が欲しいです。戦闘はやはり書くのが難しいけど、それ以上に今から1.5部のカルデア産サーヴァントをどのタイミングで召喚するか考え中だったりする。それと、イベントのキャラなのにガッツリストーリーに絡んでくる約数名。まあ、そっちはこれ以上増えなければなんとかならんでもないけど、やっぱり問題は1.5部だな。ヘラクレスとかそれだけで無双が加速しちゃうしなぁ
あ、早ければ今日遅くとも明日までにはガタノゾーアにちこっと加筆しますが、まあ詳細を少し書くだけなので別に見なくても問題ないです