ガタノゾーア in FGO   作:深淵を泳ぐもの

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再スタートというわけです


特異点F
邪神の目覚め


一般枠の募集に見事受かり、カルデアへとやって来た藤丸立香は自分以外の47人のマスターの補欠的な扱いになるはずだった。しかし、カルデアの管制室で起きた謎の爆発とそれによって引き起こされた火災。運良く管制室にいなかった彼女は、自分を先輩と呼ぶ少女……マシュ・キリエライトが心配になり管制室へと向かった。そこで瀕死のマシュと共に、突発的なレイシフトに巻き込まれ、特異点Fへと飛ばされてしまい、デミ・サーヴァントと化した後輩のマシュと途中合流したオルガマリー・アニムスフィアと共に襲いくる骸骨兵を退けて、ようやく初めてのサーヴァント召喚を行おうとしていた。

 

願わくばとても強いサーヴァントをと願いを込めて、詠唱なしでサーヴァントを召喚するための道具である聖晶石を召喚サークルに投げ込む。光が弾け、それが一箇所に集まり人の形をかたどる。光が治るとそこにいたのは幼女だった。スク水を着て、その背にはデカイアンモナイトの様な貝殻を背負っている。その幼女が口を開いた。

 

「はじめまして。()はクラスフォーリナー。真名は……聞きたいか?」

 

「えっとできればお願いしたいかな」

 

「そうかそうか。なら言おう。ガタノゾーアだ。よろしくな。人間(マスター)

 

ガタノゾーアは薄く笑みを浮かべながらそう言う。だが、見た目が幼女なため、あまり強そうには見えない。だからこそ、立香は何ができるか聞いて見ることにした。

 

「ほう。妾の実力を疑っていると見える。と言ってもこの姿では当たり前か。なら、今から飛来する矢を全て防ぎきってみせよう」

 

「え?」

 

上を向いたガタノゾーアにつられ立香も上を見ると、キラリと何かが光り大量の矢が降り注いできた。マシュが、立香を守ろうと前に出ようとするが、それよりも早くガタノゾーアは息を吐くと共に黒い霧の様なもの……シャドウミストをここにいる4人を覆うように吐き出し、そのシャドウミストに触れた矢は例外なく破壊された。

 

「どうだ?妾の力を見ての感想は?」

 

吐き出したシャドウミストを吸い込みながら立香にそう尋ねるガタノゾーア。その言葉にああついでにと付け加え、

 

「そこでこっちの様子を見ている奴らも片付けてやろう」

 

そう言って、目から紫色のビームを放ち、影でこちらを覗いていた2人を消滅させるガタノゾーア。そして、先ほどの言葉を再び立香に投げかける。

 

「すごい!すごいよガタノゾーア!こんなにちっちゃいのに!」

 

「勘違いするな。小回りが利いて動きやすいからこの姿になっているだけだ。本来の妾はもっとデカイ」

 

「そうなの?でもその背中の貝殻は重いんじゃ」

 

「いや、とても軽いぞ?なんなら持ってみるか?」

 

そう言うならと貝殻を少し手で下から押してみる。想像以上に軽かった。立香は驚きのあまり、マシュやオルガマリーにも持ってみなよと進める。

 

「わっ!本当に軽いですね。みた感じ重そうなのに」

 

「ね。私もびっくりしたよ。所長もどうです?」

 

しかし、オルガマリーはその呼びかけに応えず、なにやら考え事をしているようだ。

 

「ガタノゾーア?何処かで聞いたことあるような」

 

「所長?どうかしました?」

 

「え?あ、いえなんでもありません。それよりもサーヴァントは召喚できたのだから先に進みましょう」

 

「なら、俺も連れて行ってくれや」

 

突如聞こえた知らない男の声に、ガタノゾーア以外が辺りを見渡すと、近くの瓦礫の中から青いフードの男がこちらにやってきていた。警戒態勢に入りながら、オルガマリーが代表して話しかける。

 

「貴方は?」

 

「俺はキャスターのサーヴァントさ。この聖杯戦争で召喚された。真名は、まあ教えてもいいか。クー・フーリンだ」

 

「貴方があの光の御子。なぜ、私たちに近づいてきたのですか?」

 

「あー堅苦しいのは苦手だから、いつも通りでいいぞ?で、俺があんた達に近づいた理由はこの聖杯戦争は色々おかしくなっちまったからな。原因であろう奴を倒そうにも俺1人じゃ力不足で、『泥』によって黒化したサーヴァント程度ならなんとかなるんだが。現にランサーの野郎は倒したぜ?まあ、でも結構苦戦しちまったし、やっぱ冬木でキャスターは無理だわ」

 

「そうなのね。こちらとしても戦力が増えるのは嬉しいし、立香、仮契約でもしなさいな」

 

「え、私がですか?」

 

「そうよ。マスター適性があるのは貴女だけなんだから」

 

「わかりました」

 

オルガマリーにそう言われ、クー・フーリンと仮契約を結ぶ立香。その様子を見て、ガタノゾーアはクー・フーリンに手を差し出した。クー・フーリンはそれをいまいち理解できていなさそうな表情で見つめる。それを感じ取ったガタノゾーアはこう言う。

 

「握手……と言うのだろう?仲間になったものにはする行為だと思っていたが、違ったか?」

 

「ああ、そう言うことか。……本当に信頼していいんだよな?」

 

「ああ、勿論だ。“光”の御子、クー・フーリン」

 

 

そうして、2人は手を握り合った。


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