ガタノゾーア in FGO   作:深淵を泳ぐもの

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XX

「フォウ、フォウ」

 

「あれ?君が僕に会いに来るなんてね。君の性質上僕らに合うのはまずいんじゃないかい?……フォウって呼べばいいかな?」

 

「フォウ!」

 

自室でやることもなくのんびりと読書をしていたミゼーアは何の前触れもなく突然やってきたフォウに冗談交じりにそう話しかけた。ほとんどの人はミゼーアの言葉の意味が分からず首を傾げるだろうが、当のフォウはそこは心配いらないとばかりに鳴き声を発する。

 

「フォウ!フォフォウ!フォーウ!」

 

「え?人間どころかこの地球の生き物ですらない僕らは君の管轄外?アハハ!それはそうかもね。僕の場合は特にだけど。でもさ、ならどこぞの無貌はどうするのさ。あいつは人間社会にガッツリ混じりこんでるよ?」

 

「フォウ?」

 

「あー知らないのか。本人も自覚してない場合もあるから仕方ないのかな?ま、知らないなら知らないでいいんだよ。少なくとも今はジャンヌ・オルタ(クトゥグア)がいるから積極的には関わってこないと思うし」

 

「フォウ?フォーウ?」

 

「あいつはクトゥグアが苦手なのさ」

 

少しだけ可笑しそうに笑みを浮かべるミゼーアは不思議そうに首を傾げながら見上げるフォウを頭の上に乗せて、面白そうな気配を察知した為、自室から出ていった。

 

     *

 

第二特異点修復を終えた翌日、立香はベットの中で目を覚ました。今日は特にやることもなく、自室から出てカルデア内を適当にぶらつき始める。しかし、すぐさま空腹を感じ食堂へと歩を進めた。

 

「あら、立香。貴女、今から朝食かしら?」

 

「あ、所長。そうなんですよ。そう言う所長はもう済ませたんですか?」

 

「ええ、だからこれからサーヴァントでも召喚しようと思ってるわ。一応遠距離が出来るエミヤはいるけど、ちゃんとしたアーチャーも欲しいじゃない?あーでも前回も私がサーヴァントを召喚したのよね。立香、今回は貴女が召喚する?」

 

元々聖晶石は結構な数があったのだが、あの大爆発で大半が吹っ飛んでしまったために今は一気に大勢のサーヴァントを召喚することが出来なくなる位までには数が減っていた。ダ・ヴィンチが頑張って制作してるとはいえそう多くを作ることは出来ず、貴重なものであることに変わりはなかった。ならば、前回召喚した自分ではなく順番的に立香が召喚をすべきではないかと考えたオルガマリーは、訪ねつつ持っていた聖晶石三つを立香に渡そうとする。しかし、立香はそれを受け取らずポケットから黄金のチケットを取り出した。

 

「なによそれ?」

 

「ダ・ヴィンチちゃんが聖晶石を作る過程で出た余りを使って作ったものらしいです。これ一枚でサーヴァントを召喚出来るらしいんですけど、試作品だからうまく召喚出来るか試してくれって」

 

「それで変なものでも召喚したらどうするつもりなのかしら」

 

「だからこそ私に頼んだみたいですよ。ガタノゾーアにミゼーア、ジャンヌ・オルタまでいる君なら大丈夫さって言われました」

 

それはそうだろうが、オルガマリーはガタノゾーア達の本質を知っている。ジャンヌ・オルタに関しては彼女が身体の主導権を握っているようだから何とも言えないが、少なくともガタノゾーアとミゼーアは面白いと感じればそちら側につく可能性は十分にある。残念ながらそれを知ってるのは本人たちを除けば、オルガマリーだけなのでどうしようもないのだが。

 

     *

 

「じゃ、じゃあ行きますよ」

 

「ええ、何かあったらすぐ皆を呼ぶのよ?まあ、反応できればなんだけど」

 

「はは……そうですね」

 

実際、オルガマリーは邪神たちがその気になれば反応どころか認識すら出来ずに殺すことが出来る存在であることを知っているが、それを言ったところでどうしようもないので黙っている。一応オルガマリーのサーヴァントは連れてきているので、並大抵の事ならどうにかなりはするだろう。オルガマリーたちが見守る中で、立香の持つ黄金のチケットが光に変換され、それが人の形を取る。ただ、人ではなく人型のマシンであったが。

 

「ここにフォーリナーがいると聞いてやってきました。セイバーはいないようですが、確かにフォーリナー反応ありですね」

 

「えーと、あの?貴方が私のサーヴァントですよね?」

 

「はい?サーヴァント?……あ、ああ!あの火の玉が言ってたのはそういうことなんですね!ん?でもそれってある意味……いや、大丈夫でしょう!フォーリナー退治のためにはやむを得なかった事ですし!」

 

「??」

 

「ああ、紹介が遅れましたね。私はXX。これからよろしくお願いしますね、マスター君……でいいんですよね?」

 

「うん。私は藤丸立香。よろしくね、XX」

 

なにやら勝手に納得したらしいそのマシンのサーヴァントは残念ながら普通のサーヴァントではなさそうだった。XXなどという歴史上の偉人は少なくともここにいる誰も知らない。つまりはそういうことなのだろう。まあ、エミヤは若干顔が引きつってるような気もするが、きっと気のせいであろう。

 

「しかし、マスターですか。つまりは私の上司……のような立場なわけですよね。なら素顔も見せておくべきですね」

 

「素顔?」

 

聞き返す立香を無視してXXは再び発光し始め、光が収まるころには一人の女性に変わっていた。エミヤの顔の引きつりが深刻になる中、XXは得意そうに着脱可能な甲冑について語る。そんな時、召喚室の扉が開き、頭にフォウを乗せたミゼーアが入ってきた。ミゼーアはゆるりとXXを見た後何度か頷いた。逆に、ミゼーアを見たXXは目つきが鋭くなっていた。

 

「ふーん。僕たちの監視役としてと言ったところかな?ま、僕たちまだ何もしてないしね。手を出すわけにもいかないのかな」

 

「つかぬ事をお聞きしますが、貴方……フォーリナーですね?」

 

「いや、僕は復讐者(アヴェンジャー)だよ。残念ながらね」

 

「え、復讐者?こんなにもフォーリナー反応を感じるのに!?」

 

「否定はしないけどね」

 

「本当ですか!マスター君!」

 

「え、う、うん」

 

立香の肯定を聞いても、未だXXは納得できずにミゼーアを見る。しかし、残念ながらそれで突然クラスが変わるなんてことはなく、数分後XXは諦めたようにため息をついた。何故それほどまでにフォーリナーに拘るのか聞いてみるとなんとフォーリナー(とセイバー)を排除するためだと言う。ガタノゾーアもジャンヌ・オルタもいなくなるのは困るので、二人と戦うのは少なくとも全てが終わってからにしてもらうべく立香とオルガマリーは説得を開始するのだった。

 




エミヤがXXに反応を示していますが、XXはX(=アルトリア)の数シーズン後の姿なのでランサーのアルトリアよりはセイバーのアルトリアに近いと思うので、感覚的には数年後に知り合いに出会ったら八茶けてた的な感じになるのかなと思っているのであんな感じになりました。私の知らないところでちゃんとして情報があれば教えていただけると幸いです。そしたら書き直します。

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