FGO in ガタノゾーア   作:深淵を泳ぐもの

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ミゼーア

その異臭が辺りを漂い始めた瞬間、ガタノゾーアの目つきが鋭くなった。この異臭は『角ばった時間』に棲む存在が『こっち』に現れる時に発生するものであり、『それ』はガタノゾーアの予想よりも早く、その上想定していない方法でやってきた事を示していた。内心舌打ちをするが、来てしまったものは仕方ないと割り切り、ひっそりと戦闘態勢に入る。そんな中それは現れた。

 

「やあ、僕はミゼーア。クラスは復讐者(アヴェンジャー)。よろしくね」

 

ニッコリと笑いながらそう告げるミゼーア。顔こそ普通の女の子であったが、その腕には肥大した歪な爪があり、恐ろしく長い尻尾を備え、頭部には対となる獣の耳が3つ生えており、そのどれもが3人を除いた全員に恐怖を与える。その3人と言うのは『そう言う存在』であるガタノゾーアとこれまた『そう言う存在』であるツァトゥグアにあった事により耐性が出来たオルガマリーと宇宙人であり精神構造が人間と違うメフィラスである。それ以外は、精神を恐怖で蝕まれ、あまりの恐ろしさに狂気に心が染まりそうになる。

 

「おい」

 

が、ガタノゾーアがそう呟くと、全員が我に返り平常心を持ち直した。それをみて面白くなさそうな顔をするミゼーア。ガタノゾーアはそんなミゼーアを睨みつける。

 

「貴様、何しに来た?」

 

「何しにって、僕と目を合わせたそこの彼女に会いに来たんだよ。過去の偉人を呼び出すなんて事やってるからそれを利用して、こうして早めに来たわけさ」

 

「なるほどな。で、我が人間(マスター)を殺すのか?」

 

「オイオイ、僕達の目的は君も知っているだろう?何処ぞの馬の骨とも知らない奴に横取りされるのは癪なんでね。手を貸してやろうってわけさ。でも、さっきので発狂してたらそれはそれで殺してたかもね」

 

なんの悪気もなくそう言うミゼーアに小さく悲鳴をあげる立香。そして、それを守る様に前に出るマシュとクー・フーリン。そんな彼らをみてミゼーアはおどけた様に肩を竦めた。

 

「ハハハ、冗談だよ。でも、この程度でいちいち恐怖に呑まれてちゃこれから大変だよ?そっちの彼女はわかってるかもしれないけどね」

 

そう言って、先程狂いかける事のなかったオルガマリーに目を向ける。ツァトゥグアにあった手前その発言をオルガマリーは否定できないのであった。

 

「まあ、何にせよ僕は君達に協力するよ。理由はさっきガタノゾーアに言った通りさ。それに早くこれたのはいいんだけど、一応僕もサーヴァントとして扱われるみたいだ。だから、令呪さえ使えば僕を殺せるかもね」

 

口角を釣り上げながらそう告げるミゼーアに立香は直感的に令呪は通じないと察した。だからこそ、ミゼーアが差し出した手を握ることができなかった。

 

「信用されてないみたいだね。まあ、当然か。でもね、時間に干渉してるから僕みたいなのに目をつけられるんだよ?しょうがない事とはいえ、僕らにはそっちの事情なんて知らないからね」

 

下手したら喰われるかもよ?とまでは言わなかった。ミゼーアがいる以上、他の『住民』や『猟犬』なんかはやって来ないので余計な心配をかけるわけにはいかない。それによって、やる気が削がれてしまうのは清浄に棲むもの全てその中でも特に人間を憎むミゼーアにとって、それはとてもよろしくないからである。そんなミゼーアの心中を知らない立香には気になることがあるようだ。

 

「僕らって事は、何人も君みたいなのがいるの?」

 

若干怯えながらそう聞いてくる立香。それを聞いてちょっと失敗したかなと思いながら、その質問にミゼーアは答えた。

 

「うん。いるけど、僕がいる以上来ないよ。僕が最も上の存在だからね。まあ、僕が呼べばくるけど、どうする?呼ぼうか?」

 

「いや、遠慮しとくよ」

 

「それが懸命だよ。まあ、よろしくね。信用してくれなくてもいいけどさ」

 

ニコニコと笑いながらそう言うミゼーアにガタノゾーアがいい加減姿を変えろと言うそれを聞いたミゼーアはそのおぞましき部分を人と同じ容姿に変えた。

 

「これでいいかい?ガタノゾーア」

 

「ああ、あんな姿をずっとしてたら、怖がられるだけだぞ」

 

「そっか。ごめん、そこまで気が回らなかったよ」

 

立香にそう言うミゼーア。それを聞いて謝れるんだなと思う立香。それで少し気持ちが緩んだのもあるが、結局の所、召喚したサーヴァントとは仲良くなりたいと思ってる立香なので、とりあえず恐怖心を押し込めて、ミゼーアと話そうと決め、他愛もない話題を振るのであった。


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