「カードキャプターさくら」ショートストーリー集 作:三流FLASH職人
お泊りがテーマだけに少しえっちな話になってます、R-15タグはこのためです、
ご注意ください。
さくらの家に小狼が泊まりに来ると知ったカード達は・・・
木之本家の2階、さくらの部屋。留守番のケルベロスはクロウ・カードの本を開け
中のカード達を空中に浮かべて悦に入る。
「しっかしまぁ、さくらのやつもよくまぁ全部集めたもんや。ま、守護者のワイの
力あってこそやけどな。」
さくら不在の時、たまにケロはこうやってカード達を本の外に出す。
命を持つカードは本に入れっぱなしだと陰の気が溜まりがちになるのと、あくまで基本は
本とカードなのでたまに虫干しの気分もかねてこうして空気に当てているのだ。
と、机の引き出しに仕舞っていた携帯が鳴り出す。とりあえずカードを漂わせたまま
携帯に出るケロ。
「おー、さくらか、どないした~?」
どうやら相手はカードの主、さくらのようだ。その声に空中のカード達も聞き耳を立てる。
「ふんふん、わかった。今日小僧が泊まりに来るんやな、まぁお父はんも兄ちゃんもおらんし・・・」
ケロは気づかなかった。その時、空中のカード達の過半数が異様な気配を発したことに。
「ああ、ほなな~まっとるで。」
そう言って携帯を切るケロ。ふと顔を上げると、今までむこうにいたカードが数十枚、ケロの
目前をリングになって漂っている。
「な、なんや!?って、おわあぁぁぁっ!!」
突如カード達が輝き、ケロの魔力を吸収し始める。ケロはまるで太陽のようにエネルギーを発し
カード達に魔力を吸われていく。
やがて、げっそりとやせ細ったケロは、床にぼとっ、と落下する。
「な、なんやねん・・・一体」
そう言って気絶するケロ。そしてそれと入れ替わるように、ケロの周囲にいたカード達が輝き
精霊として実体化を果たす。
それは、カード達の中でも「女性」として生み出された者たち。
ライト、ダーク、ウインディ、ウォーティ、アーシー、ミラー、ウッド、フラワー、イレイズ、
グロウ、レイン、サイレント、パワー、ミスト、ストーム、ファイト、スリープ、ソング、ボイス、
リトル、ビッグ、リターン、スイート、スノウ、クラウド、ドリーム、サンド、バブル、アロー、スルー、
そしてホープ。
たちまちさくらの部屋は、参加人数31人の女子会場と化してしまう。
床に倒れたケロを、第一配下のライトがそっと拾い上げ、抱き抱える。
「申し訳ありません守護者様、あとで甘い物用意しますから、しばらくお休みになっていてください。」
そう言ってスイートに目配せするライト。スイートは任せて!と親指を立てる。
「さぁ、それよりも!ついにこの時がきましたわよ!みなさん。」
ダークが目をキラキラさせながら言う。周囲の皆もうんうんと頷いて頬を赤らめ、目を潤ませる。
「生み出されて幾百年、ようやく色気のある展開が来たんですね、長かった~。」
「前の主(クロウ)は本当にもう、全く全然これっぽっちも浮いた話無かったですもの・・・」
「主様と李小狼さんが一つ屋根の下・・・これは事件です、萌えますっ!」
彼女たちはクロウによって生み出された精霊ではある、しかしなまじクロウが優秀だったせいで
まるで現実の女性のような「恋に恋する」性格を多少なりとも備えている。
とはいえクロウが全く恋愛に無頓着だったせいで、彼女たちは幾百年、悶々とした「トキメキ不足」を
抱え続けてきたのだ。
カードの主候補がさくらに、すなわち思春期の少女になったときは期待もしたが
よりによって好意を寄せる相手が雪兎=ユエ(自分たちの守護者、つまり上司)では萌えもへったくれもない。
そんな冷え切った彼女たちの恋ゴコロは、小狼がさくらに魅かれ始めてから再び火が灯された。
かつてカードの候補者として自分たちの一部を使役し、月の魔力を持つ彼が主に恋していく様は
カード達にとってまるで自分の青春のように思え、萌え転がったものだ。
そしてホープの誕生を経ての「だーいすきっ!」の主の言葉以来、彼女たちもこの日を待ちわびていた。
「主様が李小狼さんと結ばれれば、彼の魔力も得られるかも知れませんわ。そうなったら私たちも
もっともっと強くなれますわ、きっと。」
「お二人がくっつけば、私たちも安泰というワケですね~。」
カード達は主の魔力を吸ってこそ存在できる、いわば主に依存している存在である。
その主がもし二人になれば、カード達にとってはこれほどありがたいことは無い。
かつてケロは、さくらの魔力を「カード達のごはん」と称したが、もし小狼の魔力を得られれば
ごはんにおかずも付いてくるようなものだ。
まさに存在としても「心の乾き」を癒す上でも、さくらと小狼の蜜月はカード達待望の出来事なのだ。
「さぁ、それでは二人の初めての一夜に備えて、私たちに出来ることをしましょう!」
そのダークの言葉に、ライトが、え!?という顔をする。
「ちょ、ちょっとダーク、主はまだ小学生よ。そういうのはちょっと早・・・」
「何言ってるんですかライトさん、そういって先延ばしにしてると、クロウ・リードみたいに行き遅れますよ!」
「そうですよ!チャンスは前髪を掴むべきです!」
ウィンディとウォーティの力説に思わずたじろぐライト。彼女たちの暴走を心配して冷や汗を流す。
「でも、具体的にどうします?」
そのビッグの言葉に、ウッドが前に進み出て人差し指を立て、ウインクひとつ。
「こんな色気のないお子様ベッドじゃダメね、私に任せて!」
そう言うと自らの手を木の幹に変え、それを成長させて部屋にリング状に這わせる。やがて伸びる蔓や枝が
一台のベッドを形どっていく。
「はい、完成。」
「「おおーっ!」」
周囲からどよめきと拍手。彼女たちの目の前には、円状の天蓋付きダブルベッドが存在していた。
そんな中、ライトだけは冷や汗を増大させて呟く。
「こ、これって・・・ラ〇ホテルのベッドよね、だから主はまだ小学生・・・」
「じゃあ、花の香りの羽毛布団敷きましょう、フライ、手伝って。」
フラワーはそう言うと、カードだったフライを実体化させ、花と羽根でふかふかの羽毛布団を
ベッドに敷き詰める。
「ちょっとベッドが固いわね。ジャンプ!ベッド下のスプリング担当して!」
ダークの命令一下、実体化したジャンプが合点でい、とばかりにベッドの下に配置する。
「こういうベッドって動くものよね、私が動かしたらシャレにならないし・・・ムーブ、お願い。」
アーシーの依頼を受け、ムーブがベッドをくるくる動かす担当になる。
「だから主様はまだ小学生ですってば・・・」
「こういうのって、大きな鏡で自分たちを見るとより萌えます・・・よね。」
ベッド正面に大きな鏡になって位置するミラー、見物するミラーにとってはある意味特等席だ。
「ロマンティックな雰囲気作りは任せてください。」
グロウが無数の蛍火を灯す。確かにこれはロマンティックだ。
「モヤのかかった演出とかいかがですか?」
クラウドがうっすらと雲を掛ける、グロウと合わせるともう異世界ファンタジーの世界だ。
「ならば私も!窓の外は雪にしましょう。今は夏ですけど・・・」
スノウが季節外れの演出を担当。
「だから主はまだ小学生・・・」
「甘ーい歌、歌っちゃえばより雰囲気もアガりますよね。」
ソングとボイスが笑顔でBGMを受け持つ。
「元気になるドリンクもあるといいよっ!」
パワーが某スタミナドリンクへと変化する。
「飲み薬もいいけど、塗る薬もいいですよね~」
バブルがロー〇ョンにしか見えない化粧水へと変わる。
「だから主は・・・」
「そう!主様はまだまだ未熟だ!」
そこまで完全にスルーされていたライトに助け船を出したのはファイトだった。
「そ、そうよねファイト、やっぱり早いよね。」
第一配下のライトに同意され、ふふん、と腕を組んでニヤリと笑うファイト。
おもむろに1冊の本を取り出し、皆に提示する。
「未熟な二人ゆえ、まず大事なのはテクニックだ!この私愛読の48手本を置いておこう!」
豪快にずっこけるライトをよそに、全員がその本に注目する。
「えーと・・・(相撲)48手・・・監修、武蔵〇・・・」
ふっふーん、とドヤ顔のファイト。なにせ主と小狼の別れのシーンに割って入るほどの・・・
「ファイアリー、燃やせ。」
冷徹な目でファイアリーに命ずるダーク。その後、サイレントによってファイトは発言権を無くす。
「だ・か・ら!主様にはまだ早いっていってるでしょーーーーーっ!」
半分キレ気味で叫ぶライト。その剣幕にさすがに全員が一歩引く。ただ一人を除いて・・・
「そう、まだ早い。二人に間違いがあってはいけないの。」
そう言ったのは意外や意外、二人の仲を決定づけたカードにして、全てのカード達の裏の元締め
ナッシング改めホープだった。
「さ・す・が・よね~、まさにカードの陰陽の調整者にして最大の力の持ち主、よく分かってるわ~。」
ライトが万人の味方を得た表情でホープに抱きつく。そのままホープはベッドに一歩近づき、こう言った。
「間違いをなくすための必需品、ハートマークでおなじみのアイテムは私がやります。」
そしてタバコの箱ほどの大きさの入れ物になり、ベッドの枕元へ。
全員が、な~るほど、という表情で笑顔で頷く。
ただひとり、ライトだけは壁に向かってへたり込み、抱えてるケロに嘆きの言葉を吐く。
「ねぇ守護者様・・・私もう疲れました。」
(ただいまー。さ、小狼君上がって上がって。)
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
というリアクションを一斉に起こし、大急ぎでカードに戻る、または配置につく精霊達。
ついにこの時が来た、期待に胸を膨らませながら、一組のカップルの階段を上る足音を聞く。
やがて部屋に入ってくるさくらと小狼。手には大きなバッグを下げて。
「来てくれて助かったよ小狼君~」
「ったく、毎年毎年夏休みの宿題ためすぎだろ、今夜は徹夜だぞ。」
「は~い、じゃあまず算数から・・・」
ズコーーーーーーーーーーーーーーーーッ!
一斉にずっこける、正確に言うとばらばら落下するカード達。
そういや今日は8月31日、父も兄も不在のため小狼が助っ人に駆り出されたようだ。
「あれ?いまなんか『ずこー』って声が聞こえたような・・・?」
「そういや図工の宿題は終わってるのか?」
小狼の問いに困り顔のさくら。工作は毎年、夏休みの宿題の難関の一つだ。
「はう~。ま、まだだよォ・・・あれ、何あのベッド?」
さくらがいつものベッドの横にあるもうひとつのベッドに気づく。
再び「キタ――(゚∀゚)――!!」という表情になるカード達。
「このベッド・・・魔力を感じる。こ、これもしかして、カードさん達が?」
そういえば本に仕舞っているはずのカードがそこかしこに散らばっている。
精霊達はカードの中で「こくこくこく」と頷く。さぁ、宿題なんか後にして・・・
「ありがとー!これで図工の宿題もばっちりだよ」
・・・え?
「じゃあリトルさんお願いね、小さくすれば立派な手作りミニチュアベッドだよ」
そう言ってリトル(小)を拾い上げるさくら。
「封印解除(レリーズ)!そのベッドを小さくせよ、リトルーっ!」
かくしてベッドは図工の宿題、夏休みの工作作品となる。
(「「ちょ、おま!主様、これ学校に持っていく気っすか!?」」)
いやだから、それラ〇ホテルのベッド・・・ミニチュアとはいえあんなアイテムやこんなアイテムも
常備してるし、マセてる同級生や先生ならそれがどんなベッドなのか知ってる人もいるだろうに・・・
それを察してか小狼もツッコミを入れる。
「・・・いくらなんでも精巧すぎるだろ」
(「「つっこむ所そこ違うー!!」」)
翌朝、始業式後の友枝小の教室。さくらの周囲に人だかりができている。
「さすがさくらちゃん、素晴らしい出来ですわ」
「ホント、すっごーい、よく作れたねこんなの」
知世と奈緒子は素直に感心している。照れ照れで返すさくら。知らぬが仏とはこのことだ。
「えへへ・・・少し手伝ってもらったけどね」
その言葉を聞いて呆れる小狼。
(・・・あれを少しと言い張るか)
千春と利佳はそのベッドのモチーフをどうやら知っているらしく、言葉にしにくそうに
顔を赤らめて眺めている。その横から顔を出す山崎。
「ベッドっていうのはねー」
「言うなーっ!(首絞め)」
放課後、さくらは寺田先生に声を掛けられる。
「・・・木之本、ちょっと職員室に来なさい」
「ほえ?」
-お後がよろしいようで-