白音は仙術を使わず気を扱うようです   作:煌めく伯爵

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赤と白の戦い

「思ったよりも多いですね」

 

魔術師っぽい奴らを倒しながら、白音は悪態を吐く。一人一人は白音と比べると圧倒的に弱いが数が多いのが厄介だった。ちなみに、先程から時間は正常に動き始めている為、止まっていた者達も動き始め迎撃を開始している。

 

「苦戦……はしてないようだが、手こずってるようだな?白音」

「コカビエルさんですか。ええ、なにぶん数が多いですからね」

「貴様のことだ。あの時よりも強くなったのだろう?何か、新技でもないのか」

「ありますけど、ちょっと被害が大きいから使えないんですよね」

「そうか。それは残念だ」

「でも、見せてない技なら今からしますよ?」

「ほう。興味深いな、見せてもらおうか」

「では」

 

そう言って、白音は一度息を吐き、両手首を合わせてを開き、体の前方から後方へ持って行き、包み込むようにして掌に気を集中させる。やがて、青白い光が白音の手の中から発せられ、それは白音が腕を突き出すことで極光に変わる。

 

「かめはめ波!」

 

白音が放ったかめはめ波は、魔術師が十数人で張った防御壁の様なものを一瞬で貫通し、魔術師達を空の彼方へ吹っ飛ばした。それを見ていたコカビエルは感心の声を漏らす。

 

「面白い技だ。貴様が魔力とは違うナニカを使っているのは先の戦いから知っていたが、これほどまでとはな。手数が増えるのは、良いことだし、俺も教わるべきか?」

「私としては再戦する時の事を考えると、教えたくないんですね」

「ハハハ!違いない!」

「でも、そうですね。どうしてもと言うのなら、ミッテルトさんやレイナーレさん辺りに聞けば教えてもらえると思いますよ?」

「そうか……奴らも使えるんだったな」

 

そこまで言って、殺気を感じ取った2人はそこから移動する。すると、そこに魔力弾が打ち込まれた。2人が同時にその魔力弾が放たれた方を見ると、そこにはヴァーリがいた。

 

「お前が裏切るのか。ヴァーリ」

「こっちについた方が強いやつと戦えるからな」

「俺は、お前に世界を滅ぼす要因にはなるなと言ったはずだが?」

 

合流したアザゼルがヴァーリにそう言うが、ヴァーリはどこ吹く風で受け流している。

 

「俺は、今回赤龍帝と戦うためにここに来たんだ。まあ、俺が裏切ったってのをアンタらに知らせる為でもあるが。と言うより、カテレアの相手をしてるんじゃないのか?」

「いや、レイナーレが変わってくれたからな。俺はこっちに来たわけだ」

「そうか」

 

ヴァーリはそう呟いて、一誠の方へと向かい何やら話し合った後、赤と白の戦いが始まった。大体、ヴァーリが挑発して一誠がそれに乗った感じだろう。

 

「俺だけじゃなく、部長の悪口まで言いやがって!!許さねえ!!」

「許さねえ、か。だが今のお前では俺には勝てんぞ?ああ、そうだ。俺が勝ったらお前と親しいものでも殺して回ろうか?そうなると、親辺りが最初か?」

「ッ!?てめぇぇぇ!」

 

ヴァーリの挑発で、一誠は赤い鎧を纏いはじめ、それを見たヴァーリも白い鎧を纏った。あれが、禁手と呼ばれるものだろうと白音は思う。しかし、それでも差は歴然の様だ。ヴァーリは小さく

 

「これではまだダメか」

 

と呟いて、何か思いついたのか、一誠の攻撃を受け止めたままで、再び挑発をする。ヴァーリが見聞きした事を纏めた結果、これが一番だろうと思った挑発である。

 

「俺はな、物体を半減する事も出来る。この意味がわかるか?お前が好きな女性の胸もその気になれば、文字どうり胸の大きさが半分なるだろう」

 

と言う普通だったら何言ってんだこいつ、で済む様な挑発だったが一誠には効果覿面だった様で先ほどの親しいものを殺す云々よりも、キレているのが見てわかる。ヴァーリはニヤリと笑みを浮かべる。

 

「許せねえ……お前は絶対許すわけにはいかねえ!」

 

そう言って、一誠はヴァーリと互角の戦いを繰り広げ始める。両者がぶつかり合うと、衝撃が辺りを襲う。どう見ても、ヴァーリは本気を出していない様に見えるが、楽しんではいるようだ。

 

「赤は親より欲の方が上、白は戦闘狂ですか」

 

呆れたように呟く白音を他所に、戦いは激化していく。が、ここで一誠が放った一撃が急所に入ったのか一瞬ヴァーリの動きが止まる。一誠はそこを突き、渾身の一発を放つ。それを受けたヴァーリは吹っ飛び、その際にヴァーリの白い鎧の腕の部分から宝玉が転げ落ちた。それを拾った一誠は、腕に話しかける。

 

「あれは何をやってるんですか?」

「ん?ああ、お前は知らないんだったな。あいつらは二天龍と言われる龍が宿った神器が宿っているんだ。兵藤一誠はドライグ、ヴァーリは、アルビオンといった具合にな。大方、一誠は今ドライグと神器を通じて話してるんだろう」

 

なるほどと白音は納得する。そんな事を話しているうちに、一誠はその宝玉を、自分の赤い鎧の腕の宝玉部に押し込見始めた。数分苦しんだが、成功したのだろう。鎧の片腕が白く染まっていた。それを見たヴァーリは口角をつりあげる。が、そこに1人の乱入者がいた。

 

「美猴か。と言う事はもうそんな時間か。赤龍帝、いや兵藤一誠。また会おう」

 

そう言って、ヴァーリはその男とともに去って行った。それを見ていたアザゼルはなにやら呟いた後、白音の方を振り返った。

 

「白音、少し話したいことがある。ちょうど良い機会だ。お前に言っておきたいことがある。あいつらは、もうすぐ帰るだろう。今回の目的である和平を結んだんだからな。だからこそ、この後で良いか?」

「……良いですよ」

 

なにやら深刻な顔でそう告げるアザゼルに不安を覚える白音だった。

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