白音は仙術を使わず気を扱うようです 作:煌めく伯爵
白音の異変を感じ取り、黒歌は一歩下がった。これから何かが起こる気がしたからだ。実際それは正解だった。白音の髪は逆上がり、少し筋肉がついた様に見える。しかし、そこまで力が上がった様には見えず、この程度ならとトドメの一撃を放とうとする。が、本当の変化はここからだった。
「うあぁああ!!」
その雄叫びと共に、真の変化が訪れる。逆立った髪は黄金に染まり、目つきは鋭くなり瞳の色も碧へと変化し、纏う雰囲気も荒々しいものへと変わっていた。そのあまりの変化に黒歌は動きを止めた。
「姉さん。覚悟はいいですか?」
白音が発したそれを聞いた時、既に白音は目の前から消えていた。次いで、腹部に走る衝撃。そちらを見ると、白音の拳が腹にめり込んでいた。
「……え?」
一瞬の出来事故に、黒歌の神経がついていけず、遅れて痛みがやってくる。その痛みは想像を絶するものであり、黒歌は痛みのあまり吐きそうになるが寸前で耐える。
「ゲホッ!ゲホッ!一体何が……?」
「これがアザゼルが言っていた超サイヤ人というものですか。まあ、もしかしたら違うかもしれないですが、あんたを倒せるんなら何でもいいですね」
射抜く様に見つめながら、そう言う白音。それを聞いた黒歌は魔力と仙術による気を混ぜ合わせ、それを巨大な玉へと変える。
「あまり私を舐めないことね白音。確かに、貴女は強くなったかもしれない。でも、私には勝てない!姉より強い妹なんていない!!」
そう叫び、その玉を投げつけてくる。しかし、白音は落ち着いて、迫りくるそれを見ていた。そして、
「かめはめ……」
そう呟きゆっくりと腰に両手を持って行き、
「波ぁあああ!」
その手を前に突き出し、かめはめ波を放つ。放たれたかめはめ波は黒歌が放った巨大な玉を貫き、そのまま黒歌を飲み込まんとばかりに迫る。
「クッ!」
寸での所でそれを避けるが、既に避けた先には白音が立っていた。仙術で気を乱せばと仙術を拳に纏わせ、殴る。気を乱れさえすれば一瞬の隙をついて逃げることが出来ると考えていたのだが、白音は全く効いていないとばかりに、即座に蹴りを放ってきた。黒歌はそれをまともにくらい木に叩きつけられる。
「なん……で……?」
「まだ分からないんですか?私が仙術を使えない理由は姉さんが呑まれたからその恐怖心で使えないだけ、その恐怖心の元がピンピンして自由に仙術を使っていれば私の恐怖心も無くなりますよ。恐怖心という枷がなくなれば、私だって仙術を使えると思いません?そもそも、私も使えないわけじゃないんですし、もし本当に姉さんがあの時仙術に呑まれていたとしても、今の姉さんが使いこなせるなら、その姉さんより上の私が使えないわけないじゃないですか」
当然だろうと言わんばかりに白音は黒歌に言う。認めたくないが、黄金の姿になってから白音は確かに黒歌よりも強くなった。だがら仙術を使えるのかもしれない。しかし、初めて使ったであろうから無駄がないわけではない。ただ、確実なのは黒歌だけでは白音を連れて行くのは無理であるということだけだ。
「しかし、前も思いましたがどっちも気だとややこしいですね。本来なら仙術の方を気と言うべきでしょうが、やはり今まで使ってきた気の方が愛着もありますし仙術の方を氣と呼びましょうか」
そんな事を呟いて、黒歌から色々聞き出すために気絶させようと拳を握る。それに気づいた黒歌は魔力を自分の体の前で爆発させその爆風で吹っ飛び森の中へ消えていった。気を追えば追いかけることも出来るが、深追いは危険と考えてその場に留まる白音。辺りの気を感知できるようになったことから黒歌が張った結界は解除されたようだ。それと同時に、こちらに向かってくるいくつかの見知った気に気づく。もう数秒でつくだろう。
「し、白音さん……その姿は?」
思った通り数秒後やってきたアーシア、レイナーレ、ミッテルトのうちアーシアが代表して全員が思っているであろう疑問を述べた。それを聞いた白音は多分これが超サイヤ人だと語った。