白音は仙術を使わず気を扱うようです   作:煌めく伯爵

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使い魔

アザゼルから重力増加装置をもらってから数日、10倍の重力に完全に慣れた白音達は本来の目的である冥界に生息している強い奴と戦いに向かう事にした。ばったり出会ったアザゼルにそのことを言うと、使い魔が多く生息している森に行ったらどうだと提案を受け、その場所を聞き行ってみる事にした。

 

「じゃあ、ここからは別行動ですね」

 

森に辿り着いた白音達は各自別れて自分が行きたい所に向かう事にした。気を探ればいつでも合流出来るし、第一4人だと相手が一体だった場合、3人が手持ち無沙汰になってしまうので効率が悪いのだ。だからこその単独での行動である。

 

「あ、それとさっきザトゥージさんから貰ったこれも渡しておきますね」

 

そう言って、白音はこの森に入る前使い魔マスターを目指しているらしい悪魔、ザトゥージからもらった簡易的な召喚の為の魔法陣が描かれた紙を配る。ザトゥージ曰く、使い魔にしたい奴が見つかったらこれで俺を呼び出してくれよな、との事。使い魔になった魔物や魔獣は記録しているんだそうだ。因みに白音達は悪魔では無いが、使い魔を持ってはいけないわけでは無いらしい。

 

「では、私はこっちに行ってみます」

 

「なら、私はこっちね」

 

「ウチはこっちにしてみるっす」

 

「で、では私はこっちに」

 

各自が行きたい方を指差して、互いに手を振りつつその方向に進んでいく。どんな使い魔がいるのか心を躍らせながら。

 

 

「気が無かったら、絶対迷ってしまいますね。私」

 

そんなことを呟きながら、森を進むアーシア。未だに魔物にも魔獣にも会えていないが、気による周囲のサーチはずっと行なっているので実際は周囲に小さい気しかなく、会えて避けて通っていたりする。弱き者を虐める趣味は無いのだ。

 

「あれ?」

 

気による周囲のサーチを広げて、アーシアは小さくなっていく2つの気に気づいた。その近くには大きな気が存在している。ともなると、その大きな気の持ち主が襲っていると考えるのが妥当だろう。弱肉強食とは言うものの気づいてしまった以上放って置けないアーシアは、その方向に高速で向かっていった

 

「あれですね」

 

高速移動により、すぐさま距離を縮めたアーシアの目に入ってきたのは、小さい羽を持った二足歩行のアーシアより少し小さめの龍とその龍よりもかなり小さな子龍、そして巨大な猪。その猪は持ち前の角で、2匹をまるでボールのように弾いて遊んでいる。それをやめさせる為、アーシアは瞬時に接近し、ゼロ距離で気合砲を放ち吹き飛ばす。吹っ飛んだ事を確認しアーシアは2匹に向き直り、神器での治癒を開始する。

 

「大丈夫ですよ。私が治してあげますから」

 

一瞬警戒の色を見せた2匹だったが、本能的にアーシアが危害を加えない人間だと悟ったのか、治癒を受け入れる。先の猪が戻って来る前に、治しきりたいアーシアにとってそれは嬉しい事だった。そして、タイミングよく2匹を治したと同時に猪はやってきた。雰囲気からして怒り狂ってるのがよく分かる。まあ、本人的には楽しみを邪魔されたのだから当然と言うべきか。そんな猪を見て、アーシアは自身の気を高め、青白いオーラを纏う。

 

「先程ので逃げてくれれば良かったんですけど、やはりそう甘くは無いですね」

 

唸り声を上げながら威嚇してくる猪を見ながら、アーシアはそう呟く。気を高めたとはいえ、特に構える事もなく自然体で立っているアーシアと怒りのままに今にも突っ込んで来そうな猪。このまま睨み合っていても拉致があかないので、一瞬目線をずらす。それを隙と取った猪が勢いよく突っ込んでくる。しかし、アーシアとしてはそれが目的だったわけで、角を掴み気を解放しそのまま上空へ投げ飛ばす。残念なことに、突っ込む位しか攻撃手段のない猪は、空中に投げられた時点で勝機は1%も残っていなかった。アーシアは何処かへと飛んでいく猪を見送り、再び2匹に向き直った。

 

「さあ、貴方達を虐めていた猪は私が退治しましたから、もう安心ですよ。これで少しは平和に過ごせるはずです」

 

通じているとは思わないが、とりあえずそう伝えてその場から去ろうとするアーシア。しかし、袖を引っ張られて去ることは出来なかった。何事かと思い、後ろを振り返ると、小さい羽の生えた方の龍が何か言いたげに袖を引っ張っていた。もう一方も、アーシアの周りをくるくると飛び回っている。なんとなく言いたいことが分かったアーシアは、確認のために聞いてみることにした。

 

「私と一緒に行きたいんですか?」

 

こちらの言ってる事を理解しているのか、首を縦に振る2匹。それらならばと例の魔法陣が描かれた紙を取り出し、魔力を流して、ザトゥージを召喚する。

 

「俺を呼んだって事は使い魔にしたい奴が見つかったんだな?良いぜ、俺にかかればどんな奴でもゲットだぜ!で、その使い魔にしたい奴はそいつらで良いのか?」

 

「はい。この子達で良いです。あ、でも1人が2匹の使い魔を持つと言うのは平気なんですか?」

 

「ん〜?別に平気だぜ〜。まあ、多すぎるのは問題だが、2匹位なら問題ないぜ。しかし、蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)にハイヤードラゴンか、なかなか珍しい奴らだぜ。特にハイヤードラゴンは珍しい二足歩行の龍だ。基本人間態以外は如何に龍といえど四足歩行だからな。ちなみに、その小さな羽で飛ぶ事もできる。まあ、龍は基本飛べるけどな。それじゃ、そろそろ始めるか」

 

そういうと、ザトゥージはアーシアに使い魔契約の方法を教えた。アーシアはそれに従い、2匹との契約をすませたのであった。

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