白音は仙術を使わず気を扱うようです   作:煌めく伯爵

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作者は英語が苦手なので、英語なんて、書けるわけがなかった。


聖女と猫又

山籠りを始めてはや数年、気を使いこなすことに成功した白音はその便利さに驚いていた。気を使えば、空を飛んだり、気弾を放ったり、色々な事が出来る。その上、身体中全て、頭のてっぺんから足の先までの気をコントロールし、瞬間的に増幅させる事により、全てが何倍にもなる技も習得した。界王拳と名付けたその技だが、気をコントロールを失敗したり、自身の体がついていけないほどの倍率を出せば、負担が大きくしっぺ返しを食らってしまうというハイリスクハイリターンな技だ。今の白音は2倍までなら耐えられる。人間や悪魔、堕天使等、種族によって気にちょっとした違いがある事も分かった。

 

また、年齢的にバイトが出来る年頃になった白音はバイトをしていた。心優しい今の店長が雇ってくれたのだ。ただ、接客業の為、外人が来ても良い様にとみっちり英語を教え込まれた。バイトで手に入れた金は貯金とかはせず、偶に、服を買う場合を除いて、全てお菓子、特に和菓子に変わる。白音としては、別にこのまま山籠り生活でもいいと思っているので、マンションに住もうだとかは思わない。

 

「あ、お菓子が無くなってしまいました。買いに行くとしますか。さて、今日は何処に行きましょうかね」

 

基本白音はお菓子の買い溜めはしない。理由は簡単。彼女が基本和菓子しか買わないのが原因なのだが、保存できないからだ。故に少しだけ買って、無くなったら買いに行くという感じになっている。しかし、決まった所に買いに行くわけでもないので、色んな場所をふらふらして良い感じな店を見つけたら立ち寄るという感じなのだ。

 

 

「包み屋は当たりだったようですね」

 

公園のベンチでどら焼きを齧りながらそう呟く。どら焼きが食べたくなったので寄った店だったのだが中々に当たりの店だった様だ。至福の時を堪能していると、背後から誰かが肩を叩く。くるりと顔だけをそちらに向けると、金髪の少女が立っていた。服装からしてシスターだろう。恐る恐るといった感じに彼女は口を開く。

 

「あ、あの〜」

 

英語だった。大凡、色々な人に話しかけたが、通じなかったのだろう。店長に教わっておいて良かったと思いながら白音は英語で返す。すると、彼女の顔がぱあっと明るくなった。

 

「ああ、ようやく私の言葉がわかる人と会えました。主よ感謝します」

 

やはりと言うべきかシスターの様だ。突然感謝の意を神に言い出すのはいささか不審に思われるが、まあしょうがない。シスターというのは神に全てを捧げているのだから。

 

「それで、何か用ですか?」

「そうでした。あの、この辺に教会ってありますか?私はそこに行きたいのですが」

「教会ですか?あるにはありますが、バイトの先輩曰く、もう何年も誰も使ってないらしいですよ?」

「そ、そうなんですか!?どうしましょう。でも、一応行ってみることにします。迷惑でないのなら道案内をしてくれると嬉しいのですが」

 

なんて話しているとその公園で遊んでいた少年が転び、どうやら膝を怪我した様で、泣き始めた。シスターはそれを見るとその少年に近づき手を添える。すると傷がみるみる治っていくではないか。姉が言っていた人間にだけ与えられる神器の一種だろうか?と白音は考える。傷が治った少年はお礼を言って再び元気に遊び始めた。まあ、その近くにいる少年の親と思われる女性はシスターを化け物を見る様な目で見ていたが。

 

「すみません。つい」

「大丈夫ですよ。あの子もお礼を言ってましたし」

「ああ!あれはお礼の言葉なんですね。私は日本語がわからないので」

「これからゆっくり覚えていけば良いんですよ。それじゃあ、教会に向かいましょうか」

 

教会への道のりは知っている。白音がバイトしている店にはこの街の地図があるので、それを思い出しながら、教会へと向かう。その途中、シスターの話を聞いたのだが、あの治癒の力は彼女曰く、神から貰ったものらしいが、そのせいで、最終的に『魔女』扱いされ追放されたとの事。シスターはこれは試練だと受け入れているらしい。しかし、白音は違った。足を止めて、シスターの方を向く。

 

「それは、本気で言ってるんですか?祈りが足りないから『魔女』と呼ばれて、追放されたと?」

「はい。私がこうなったのは祈りが足りないせいなんです」

「そうですか。じゃあ、これは例え話なんですが、その救った悪魔を傷つけたのが、神だったらどうします?」

「え?」

「だから、貴女が傷を治した悪魔が、神を殺そうとして、もしくは貴女のいた教会を襲おうとして失敗して返り討ちにされた悪魔だったら、と聞いているんです」

「そ、そんな事は-」

「ないと言えますか?」

「-…」

「まあ、私は当事者じゃないのでなんとも言えないのですけどね。誰かが貴女を貶めようとしたのかもしれませんからね。ですから、可能性の1つとして頭の隅にでも置いといてください」

 

再び、白音たちは教会へと向かい始めた。しかし、そこからはシスターも白音も一言も発する事はなかった。

 

 

「ここが教会です。どう見ても廃れてますね。人が住めるとは到底思えません」

 

まあ、中からは堕天使の気が感じられるが、外見は廃教会そのものだった。堕天使がシスターに何かしようとしているのかもしれないが白音にとってはどうでも良い事だ。

 

「あ、あの」

「なんですか?」

「そういえば、名前を聞いていないなと思いまして、私はアーシア・アルジェントと言います。恩人の名前も知らないと言うのは、どうかと思ったので」

「そうですか。私は白音と言います」

「白音さん、ですね」

 

シスター、アーシアは白音の名前を聞くと、目を瞑り、何かを考え始めた。そして、目を開くと、何か答えを出した様な顔つきになっていた。

 

「私、考えてたんです。白音さんが言ったことが本当だったらって。私は今まで祈りが足りないという逃げ道を使って、無意識のうちにその事を考えない様にしてたんだと思います。私は、あの行為を当然のものだと思っています。ですが、そう思ってない人がそれを見たらどう写るのか。戦争こそ終わりましたが、天使と悪魔と堕天使が未だ水面下で争っている事は習いました。冷静に考えれば、私のした事は『魔女』の烙印を押されて当然の行為です。なんせ、敵を治癒しているのですから」

 

そこまで言って突然アーシアは頭を下げてきた。これには白音も驚くばかりだ。どうやらアーシアは完全にとは言わないが、少しばかり吹っ切れた様だ。

 

「ありがとうございます。白音さんがいなかったら、私は一生逃げ続けていたと思います。今日、白音さんのおかげで私は少し、変われたような気がするんです」

「そうですか。それは良かったですね」

「はい!…それで、話は変わるんですけど、教会が廃れて住めないとなると私はこれからどうすれば良いんでしょうか?」

「そういえば、ここに住む筈だったんでしたね。山でサバイバルでも良いなら一緒に来ますか?」

 

教会の中には堕天使がいるのだが、それは無視。教会に入ったらわかる事なので、別に言わなくても良いだろう。今の吹っ切れたアーシアが堕天使と会ったらどうなるか少し不安だが、サバイバル生活では衣食住の内、衣食しかない。ならば、教会で堕天使に面倒を見てもらったほうがいいだろう。殺されるかも知れないが、彼女の神器の能力を知れば利用しようと考える筈だろうからその可能性は低い。また、普通に考えて、流石にアーシアも山でサバイバルは嫌がるだろうから可能性がほとんど無い上での駄目元の提案だったが、

 

「サバイバルですか、それも良いかもしれません。自然に触れて、自然の中で生きるというのも体験するべきではないでしょうか?主は言いました。多くを体験すればそれが知識、知恵になると。今まで、主のご意思に従って来ましたが、私は今日初めて自分の意思で行動しようと思います」

「えっと、それはつまり、私とサバイバル生活をするという事ですか?」

「はい!これからよろしくお願いします!」

 

アーシアは意外にも乗り気だった。まさか、乗り気になるとはかけらも思っていなかったため、どうしようかと考える。が、本人が乗り気ならいいのでは?という思いの元、白音はアーシアを連れて行くのだった。

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