白音は仙術を使わず気を扱うようです 作:煌めく伯爵
あれから数十日がたった。結局、白音はレイナーレ達にも気を教えることになった。理由は、気を使って完全に堕天使の気配を消せば、リアス・グレモリーに見つからずにバイトが出来るからとの事。金銭面まで世話になるわけにはいかないと、白音に頼み込んだのだ。そして、無事習得してバイトをしている。
「やっぱり、漢字が難しいです。何故こんなにも、複雑なものが多いのでしょうか」
今日は、白音もレイナーレ達もバイトに出ており、アーシア1人だった。ただ、アーシアもアーシアで、何もしていないわけではなく、日本語の勉強中である。日常会話程度なら話せるようになったが、未だ漢字が書けないのである。
「……」
黙々と漢字テキストをやっていると、後ろから誰かが肩を叩いてきた。手の大きさからして子供だろう。アーシアは迷子ではないかと思い振り返るとそこには、少女が立っていた。しかし、その少女からは驚くべき事に気を感じ取る事ができない。アーシアはこの数十日で気を完全に習得した。故に気の察知も当然出来る。しかし、目の前の少女からは気を感じることはできない。初めての経験だった。
「だ、誰ですか?」
若干の恐怖を抱きながらも、アーシアは少女に質問をする。相手が何者かわかれば、何故気を感じ取れないか分かるかもしれないと思ったのだ。
「我、オーフィス」
「オーフィスさん…ですか。なんで、ここにいるんですか?」
相手が名前を教えてくれた事により、恐怖心は薄れた。言葉が通じるなら会話が出来るという事である。会話が出来るという事は、目的などを聞くことができる。オーフィスという名前を聞いた事があるような気がするが、思い出せないのでそこは無視。
「我、お前の力欲しい」
「私の力?この神器の事でしょうか?」
「違う。そっちじゃない」
「じゃあ、気の事ですね」
「気?」
アーシアは気弾を手の上に作り、これが気であることを教える。
「そう。それ。我欲しい」
オーフィスはそう答える。ここで若干のすれ違いが発生した。オーフィスとしては、気を使えるアーシアを連れて行く気であり、断られたら白音やレイナーレ、ミッテルトの元へと向かうつもりだった。しかし、アーシアは使い方を教えてもらいたいのだと言っているのだと思った。故に、アーシアは言った。
「オーフィスさん。私よりも教えるのが上手い人がいるんです。もうすぐ帰ってくると思うので、一緒に待っていましょう」
オーフィスは最初、首を傾げたが、自分自身が使えるようになるのなら、それはそれで良いのではないかと考えて、一緒に待つ事にした。
*
しばらくして、白音が帰ってきた。
「あ、お帰りなさい。白音さん」
「ただいまです。アーシアさん。それで、その子は誰ですか?」
「オーフィスさんと言って、気を教えてもらいたんですって」
オーフィスから気を感じない事に警戒はしたが、アーシア一緒にいるので、大丈夫だろうと考えた白音は同時に、果たしてこの少女に気はあるのかと考えた。感じ取れない以上、ない可能性が高いだろうが、何かの理由で感じ取れないという可能性も捨てきれない。
「一応、やってみますか。えっとオーフィスさんでしたっけ?まずこうしてですね…」
故に、白音は一応、教える事にした。アーシアやレイナーレ達にも教えたようにオーフィスにも教えていく。結局、オーフィスは気をだす事は出来た。しかし、やはり気を感じ取る事は出来なかった。
「何故でしょうか?やはり、何事にも例外はあるという事でしょうか」
「でしょうね。こうやって気を使う事は出来ているのですから。ところで、オーフィスさんはなぜ気を使いたかったんですか?」
「我、倒したい奴いる。だから、力欲しい」
「そうですか。悪用だけはしないでくださいね。あと、他の人にも教えないように」
「ん。わかった」
その後、攻撃の仕方なども教えた。と言ってもアーシアと同じように手本だけ見せただけで、あとはオーフィスのイメージ次第だが。
「はい。これで終わりです。あとは日々の特訓あるのみです」
「特訓?」
「鍛える事ですよ。毎日特訓しないと身につかないですし、強くもなれないですからね」
「?」
「あまり理解できてないようですね。まあ、毎日続ければいいんですよ」
「わかった」
そう言って、オーフィスは何処かに行ってしまった。このあと、帰ってきたレイナーレやミッテルトにオーフィスの正体を聞いて、驚く白音とアーシアだった。