白音は仙術を使わず気を扱うようです 作:煌めく伯爵
オーフィスと出会ってから数十日たった。今、白音達は山から下りて、町にいた。時刻は夕暮れ、毎日この時間には下りてきて、銭湯にいている。今日も今日とて銭湯で風呂に入り、山へと帰る途中である。
「やはり、お風呂はいいですね。心が洗われるようです」
「そうね。風呂は気持ちいいものね」
風呂に入った所為で、何処か色っぽくなってる4人はこのあとどうしようか考える。その内容は、夕食をどうしようかである。川で魚釣って、熊もしくは猪を狩って鍋にしても良し、レストランによっても良し。ちなみに、畑もあり、野菜も植えてある。
「私は今日は猪鍋が食べたいですね」
「アーシアはそう思うのね。私は久しぶりにレストランで食べたいわ」
「私はどっちでもいいですけどね」
「うちもっすね。どっちも美味しいし」
話し合いながら、山へと向かっていく白音たち。猪鍋かレストランか、話し合いながら結局決まらなさそうだ。そうなると帰路についているので猪鍋になる。
「アーシア・アルジェントとお見受けするが?」
突然、フード2人組に声をかけられた。言い方的にアーシアの知り合いか教会関係か、どっちかであろう。ちらりとアーシアを見ると誰?と言いたそうな顔をしているので、知り合いの線は消えた。
「確かに、私はアーシア・アルジェントですが?」
「こんな場所で『魔女』に会えるとは思わなかったよ」
「貴女があの有名な『魔女』なんだ!」
「ええ、そうですね。それが何か?」
たまに、主は言いました、なんて言うものの本当に神を信じているのかすら最近は怪しいアーシア。そんなアーシアに『魔女』呼びはもうどうでもいいことだった。
「何って『魔女』なんだし、私たちが主のところに返してあげようか?」
「顔も見せない人達が何言ってるんですか?そもそも、貴女達は誰ですか?」
「ああ、名乗ってなかったな。私はゼノヴィア」
「私はイリナ。短い間だろうけど、よろしくね!」
未だフードを外さずに名乗る2人。ただ、どう見ても2人がアーシアに勝つ事は無理だろう。未だ2倍すら出来ないとはいえ、界王拳を習得したアーシアに勝てたら大したものである。
「ゼノヴィアさんにイリナさんですか。まあ、やれるものならやってみれば良いじゃないですか」
「へーそういうこと言うんだ。流石『魔女』だね」
「なら遠慮なくやらせてもらおう。主の名のもとにね」
2人が獲物を取り出し、構える。対するアーシアは自然体である。白音もレイナーレもミッテルトも心配した様子はない。当たり前である。しかし、ここで邪魔が入った。そう、腹の虫である。白音達は夕食を食べていない為に腹がなったのだ。
「アーシアさん。ここまでにしましょう。お腹減りました」
「そうっすよ。うちお腹減ったっす」
「そうですね。私もお腹ペコペコなんですよ。行きましょう」
アーシアはくるっと振り返り、白音達に近づく。突然、背を向けたアーシアに勝機を見出したのか。2人はアーシアに襲いかかった。しかし、アーシアは無造作に手だけをそちらに向けると、気合砲を放ち2人を吹っ飛ばした。レイナーレがさらっと張った人避け結界のお陰で誰もその光景は見ていない。結界を解き、話し合いの末レストランへと向かう白音達だった。