白音は仙術を使わず気を扱うようです 作:煌めく伯爵
それをした瞬間、ズキリと身体が悲鳴を上げ始める。しかし、それを顔に出さずに、ゆっくりとコカビエルを睨む。
「先程とは比べ物にならんくらい強くなったな。では、第二ラウンドとしゃれこむか?」
「ええ」
白音が地を蹴った。それを認識した時、既にコカビエルは宙を浮いていた。
「ハハハハハ!良いぞ!これこそが俺の求めていた戦いだ!だが…」
上空のコカビエルはゆっくりと降りて来て、こう呟いた。
「やめだ」
「やめ?やめとはどう言う事ですか」
「確かに貴様との戦いは面白い。が、貴様のその力は身を滅ぼすだろう?」
「!…なぜ分かったんですか?」
「そういう奴はよくいたからな。貴様との戦いは面白い。故に自滅してもらっては困る。さて…俺は帰るとするかな。フフ、良い収穫もあったしな。ああ、安心しろ。この街は壊さん。この街を壊すとなると貴様も殺さねばいけんからな」
「そう…ですか」
「ああ、そうだ。貴様、名は?」
「白音です」
「白音か。覚えたぞ。今度は本気で戦おう」
「やはり、本気じゃなかったんですね」
「俺は堕天使幹部だぞ?あの程度だったら幹部なぞ名乗れん」
そう言って、白音たちが開けた穴に向かう。しかし、ふと立ち止まり、レイナーレたちの方を向く。そしてニヤリと笑みを浮かべた。
「貴様らもあいつに近い実力を持っているな。まさか、下級堕天使だと思っていた奴らやシスターがここまで力をつけるとはわからんものだ。次は貴様らもあの戦いに入ってこれるよう精進することだ。貴様らとの戦いも楽しみにしているんだからな」
「「勿体無きお言葉」」
「ふ、ではな」
今度こそ、コカビエルは去っていった。それを見届けてから白音はその場に倒れた。もう既に界王拳は解いてあるが、20倍と言う無茶をやらかしたしっぺ返しは強烈だった。
「「「白音(さん)!」」」
倒れた白音に心配そうに近付く3人。その内のアーシアが神器を使って、界王拳20倍によってズタズタになった筋繊維などを癒していく。外傷ではなく内傷である為、効果は薄いがそれでも普通に比べたら早いものだ。そして、白音を抱き上げ、早々に撤退しようとすると、
「ちょっと待ちなさい!」
リアス・グレモリーが声を荒げた。それと同時に、彼女の騎士が切りかかってくる。白音とアーシアは動けないので、レイナーレが光の槍で受け止める。
「なかなかの挨拶ね。助けてもらって切りかかって来るなんて」
「僕としてはお礼を言いたいんだけどね。王の命令に逆らうわけにもいかないのさ。君たちが堕天使じゃなかったらこうはならなかったんだけどね」
「まあ、この展開を予期していなかったわけじゃないし、しょうがないってわかってるんだけどね!」
そこまで言って、騎士の少年を弾き飛ばす。弾き飛ばした騎士の少年の後ろから魔力弾が飛んで来るが、それも光の槍で弾く。聖剣使い2人が動く様子は無いが、荒事を起こしている暇もない。白音を回復させるのが一番だ。故に、レイナーレはこう叫ぶ。
「目を瞑って!」
その一言だけで、ミッテルトとアーシア、白音はレイナーレが何をするのかを察して目を閉じる。そしてレイナーレはそれを放った。
「太陽拳!!」
レイナーレがそう言うと、レイナーレを中心に眩い光が溢れ出し、リアス・グレモリーたちの目が眩む。その隙に、レイナーレたちはさっさとその場から逃げていった。