神筆使いと錫の兵隊   作:ファイターおじ

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新兵ちゃんカワイイと思ったので衝動に突き動かされて
書いてしまいました。

【注意】作者は白書を購入していませんのでキャストの設定や呼称が
違う可能性があります。

wikiで確認しながら進めますが念の為、独自設定のタグを登録しています。

※Wonderland Wars-七つ色の-冒険譚ロマンス- 冒険譚モードのストーリー内容
を含む可能性があります。まだプレイしてなくて、ネタバレが無理という方はこの作品を
読まないように注意をお願いします。




0話 神筆使い

 【Wonderland】

 

 創聖によって作られた舞台

 

 盤上を舞う、語り継がれし主人公

 

 彼らの生きた戦記

 

 本当の【おとぎ話】

 

 

 

 

 【図書館】それはWonderlandに存在する神筆使いを育成する場である。

 

 四人の創聖により導かれ、素質のある者が神筆使いとして日夜訓練に明け暮れている。

その方法は多岐に渡る。ある時は他の神筆使いと共同で訓練を行ったり、またある時は競い合わせながらその力を磨き続けている。

 

 創聖が神筆使いを育成するには理由がある。かつて世界を襲った闇に再び対抗する為、またその闇と戦う者達を操り戦うという才を磨く為である。

 

 

 ここ数年の間で世界を襲う闇は、創聖と数多の神筆使い達が禁書として封じ込めてきた。

 

 そして物語は新しい段階へと進む。

 

 

 

 

 

 【図書館】の一角、広大な本棚に囲まれた場所にポツンと長机が置かれている。本来は誰もいないその場所に一人の男が座っている。本がたくさん積み上げられている様子から、その場所で何時間も本を読んでいたと思われる。その男の瞳は一度も本から離れることはなく、人を近付かせないオーラを纏っていた。

 

 どれ程の時が経ったか、本を読み続ける彼に近づく影が現れた。純白のドレスを纏い、美しい金の髪を揺らしながら優雅に佇むその姿は、人々が思い描くお姫様そのものだった。そんな彼女が身動き一つしない男に声を掛ける。

 

「失礼します、マスター。マメールさんが貴方に話があるそうです」

 

 その言葉を聞き、今まで本に向けられていた瞳が声の主へと向けられる。ふぅと一息つくと、美しい翡翠の瞳と目が合う。男は軽く体を動かしながら本を閉じ、席を立った。

 

「伝言ありがとう、サンドリヨン。片付けたら向かうとするよ」

 

 そう男は言うと片付けを始める。積み上げられた本は十冊以上もあり、元の棚に戻すとなると中々に時間が掛かる。それほどたくさんの知識が集約されたこの図書館は広大であり、神筆使いやキャストにとっては力の源となる場所でもある。

 

 せっせと本を運ぶ男の傍にサンドリヨンと呼ばれた女性が近付く。

 

「私にも手伝わせてください。こう見えてお掃除や片付けは得意なんです」

 

 彼女はそう言うと、本を半分ほど持って本棚の海へと消えていった。そんな彼女を横目で見ながら、男は彼女に負けじと本を片付けていく。男のプライドが彼女よりも早く片付けを終わらせろと叫ぶが、結局サンドリヨンの方が先に片付けを終わらしてしまい、男は頭を掻きながらサンドリヨンにお礼を伝える。

 

 

 

 

 

 お礼もそこそこにマメールの元へ向かいながら男はサンドリヨンと言葉を交わす。

 

「そういえばマメールさんから話の内容とかは聞いてる?」

 

「いえ、ただ貴方に来るようにと。恐らくキャストには言えないことではないでしょうか?」

 

「うーん、何だろうね?新しいキャストとかなら君にも伝えるはずだし…」

 

「新しい舞闘会…とかでしょうか?最近は色々な方法でマスター達に試練や競争をさせているみたいですし」

 

 男は雑談をしながらマメールの元へと向かう。その最中に悪戯好きの女の子にタックルを喰らったり、大きい鬼から森で見つけた果物のおすそ分けを貰ったりして時間が掛かったが無事にマメールに指定された場所へたどり着くことが出来た。

 

「それでは私はこれで失礼します」

 

 サンドリヨンは優雅にお辞儀をしながら、そう言い残すと男とは別の方向へ歩いていく。

 

(サンドリヨンは流石に盗み聞きをするようなお茶目な子じゃないか…)

 

 そんなことを考えながら男は目の前の扉をノックする。マメールに促され入室するとそこには二人の人物が待っていた。

 

 一人はマメール・ロワ。創聖の一人であり、男を神筆使い候補として取り立てた張本人。他にも沢山の神筆使いを取り立て育てているらしい。見目麗しいその姿とは裏腹に、神出鬼没で何処にでも現れる立ち振る舞いと、多数の妖精を使役する姿から魔女等と呼ばれている。本人はあまり嬉しくなさそうだが魔女と呼ばれるのも当然だと男は思っていた。

 

 そしてもう一人、白と黒を基調とした衣装に身を包む、謎の人物。男か女かパッと見ただけでは分からないその振る舞い、そして目立つのは爪や服に刻まれた七つ色の装飾。

 

 男はマメールともう一人の人物を交互に見比べる。そして顎に手を当てながら息を殺しながら様子を伺う。警戒心を向ける男に対して語り掛けたのは、意外にも(くだん)の謎の人物からだった。

 

「よく来てくれたね!君がマメールの推すマスター君だね?ここに鍵は揃った、新しい世界の門が開くとはまさにこのことだね!」

 

 マスターと呼ばれた男は訝し気な表情を浮かべながら謎の人物を見つめる。

 

「悪いけど分かるように言ってくれませんか?何を言っているのかさっぱりわかりませんけど…」

 

「おっと失礼、自己紹介がまだだったね。僕はアナスン、ご覧の通り創立者(アーティスト)さ」

 

「アーティスト?芸術家ってことですか?」

 

「アーティストはアーティストさ。一概に芸術家という括りにまとめて欲しくはないかな。大工や鍛冶師だって素晴らしい技術が使われたり、高い価値が生まれたりすれば芸術家となる訳だしね。新しい何かを創造する者とでも思ってくれたらいいよ!」

 

「お互いの自己紹介は済みましたか?」

 

 今まで話に参加していなかったマメールが話を前へと進める。アナスンが捲し立てるような勢いで話す口調なのに対し、マメールは静かに相手に悟すような口調で語りかける。さながら動と静と言わんばかりの対照的な性格は不思議と調和が取れていた。そしてある程度落ち着いたところでアナスンが切り出した。

 

 

 

 

「さてと、それじゃ本題に入ろう!創聖のみんなと話し合ってね。ある程度成長した神筆使い(テイルマスター)に新しいことに挑戦してもらおうということになったんだ」

 

「その新しいこと、というのがこちらの本、  ()()()  つまり新しい物語を貴方に書き進めてもらいたいのです。」

 

 アナスンとマメールにそう言われた男は首を傾げる。

 

「しかし俺は本は読む専門ですよ。物語なんて書いたこともないし、書こうと思ったこともない。素人には難しいのでは?」

 

 そういうとアナスンはニヤリと笑いながら話し続ける。

 

「ベースは既にあるんだ。そこで、この子を君に預けたい」

 

 アナスンは手元から一枚の紙を取り出す。写真のように鮮明に映る絵がその紙には描かれていた。一風変わった帽子と制服、そして猟銃のような武器を持った女の子が描かれている紙をひらひらさせながら、アナスンは続ける。

 

「錫の新兵、何だって受け入れて成長する、文字通り無垢な器さ。君にはこの子の物語を完成させて欲しいんだ。この子の冒険譚をね」

 

「その冒険譚を書き進めることは俺の成長に関係あるんですか?仲間たちと研鑽を積んだり競い合うだけでは得られない物がそこにはあると?」

 

「それは分かりません。ですがアナスンや私、他の創聖達もこの子の物語には干渉出来ません。この子は特異点足りうる存在です。私たちが干渉は出来ませんが、本来の物語に関係のないキャスト、そして貴方が書き進め記述を深めることによって、この子の物語は完成しキャストとしても完成するのです」

 

「俺は物語を作り出せるような高潔な人間じゃないですよ。普通のどこら辺にでもいる普通の人間です」

 

「それがいいのさ!普通の人間だからこそ、この子の心はより人間に近いキャストへと変わるんだ」

 

「子育ての経験も、恋愛経験すらないですよ。そんな人間がキャストを、ましてや心さえも作れと?」

 

「キャストは様々な知識や経験を吸収します。幸い、貴方の周りには頼れる仲間達が居ると思いますが?」

 

 

 

 

 男は少し迷いながら最後に一つマメールへと問いかけた。

 

「…それは俺にしか出来ないことですか?」

 

「少なくとも私達は貴方が適任だと結論を出しました」

 

 

 

「分かりました。協力します」

 

「よしきた!それじゃ僕は新兵の最終調整をしなきゃいけないから、もう行くね!明日の朝、またここに集合ってことでよろしく!」

 

 そう言うとアナスンは風のように駆け抜けていった。マメールも苦笑いを浮かべながら部屋を出ていく。男はアナスンの置いていった絵をもう一度手に取り、しばらくの間、ぼんやりと眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 アナスンとマメールが部屋を出て行って暫くして男は部屋から退出した。ぼんやりと明日からのことを考えながら、行く当てもなく図書館をブラブラとする。途中で着火大好き魔法少女にお茶会に誘われたり、イケメンな森の守護者に狩りに誘われたりしたが、用事があると言って断った。

 

 

 

 

 ブラブラと歩きながらモヤモヤする気持ちの整理をしていると、ふと横から声が掛けられる。

 

「フン、何があったかは知らんが前はしっかり確認しろ。悪戯されるぞ」

 

「前は見ていたさ。上は確かに見てなかったかもしれんが」

 

「最近は多いからな、上だけじゃなく下にも注意を払わなければならん」

 

「注意を払わないといけないのはアンタと俺ぐらいじゃないか?フック?」

 

 軽口を叩き合いながら窓際に座っていた男へと近付く。フックと呼ばれた男はマスターと呼ばれていた男と比べると、倍近く体格に差がある。そして世間的に言うなら強面の男だ。さらに言うと彼の右腕は機械の義手によってさらに威圧感を周りに与えている。傍から見れば不良の親分と下っ端のように見える風体だが、会話の内容から彼らが対等な関係であることが伺える。

 

「なにやら難題を押し付けられたと見たが… どうだ?当たってるか?」

 

「当たりだよ。やっぱアンタには隠せないな」

 

「何年貴様と組んでやってきたと思ってる?それこそ何千という戦いを一緒に戦った仲だ。顔を見れば分かる」

 

「だな、久しぶりに飲むか?」

 

「よかろう、後で俺の部屋に来い。上物のワインがあったはずだ。くれぐれも小僧やガキ共に見つかるなよ」

 

 そう笑いながら言い残すとフックは席を立ち、どこかへ歩いて行った。

 

 

 

(あれは何か食い物でも調達しに行ったな… 声を掛けてくれれば一緒に手伝ったんだが…まぁこっちから手伝うのは野暮ってことかな)

 

 などと考えながら男は自室に戻る。彼の部屋はいたってシンプルな部屋で、机や本棚といったインテリアを中心にベッドが備え付けられた生活感のある部屋である。一方のフックの部屋は海賊の王らしい、豪華な船室風のインテリアで飾られた部屋である。当然のことながら酒を飲むに適した雰囲気なのはフックの部屋となる。

 

 暫くの間、男は部屋の整理をして、軽く時間をつぶし慎重にフックの部屋へと向かう。

 

 彼がコソコソしながらフックの元へと向かう理由はシンプルだ。彼と犬猿の仲であるピーターや悪戯好きな子供にバレると確実に引っ付いてくるからである。そしてフックの部屋に入れてしまった暁には、集めたお宝や家具が大変なことになること間違いなし。

 

 そんな悲しい運命を避けるべく決死の思いでフックの部屋へと向かう男。幸い日が暮れた後だったので無事にフックの部屋へとたどり着くことが出来た。

 

 

 

 コンコンというノックの音が廊下に響く。

 

「入れ」

 

 そう言われサッと部屋へ入る男。

 

「誰にも会ってないから大丈夫、多分」

 

「多分では困るが…まぁいいお前を信じてやる、椅子はそこら辺にあるやつを使え」

 

「あいよ、上物のワインってのは?」

 

「ああ、こいつだ。中々いい香りだろう。城の兵士共から頂戴した」

 

 そう言って自慢げにワイン樽を見せつけるフック

 

「ほどほどにしとけよ。後でマメールに怒られるぞ」

 

「飲めば共犯だ。何かあったら貴様も地獄行きだ」

 

 そう言いながらフックはグラスに並々とワインを注ぐ。

 

「本当はジョッキでいきたいところだがワインにはちと似合わん、足りないワイン分は貴様の話を肴とさせてもらうとしよう」

 

「大した話じゃない。新しい試練みたいなもんだ」

 

 男はそう切り出すと新兵の話やアナスンという人物の話を続ける。フックは特に口を挟むこともなくただ黙々とグラスのワインを飲み話を聞いていた。お互いがグラスを数杯空けた頃、男が切り出した。

 

「まぁ色々あったが、もうやると決めちまった。後には引けない」

 

「そうだな」

 

「新しい物語?新兵?無垢な器? そんな奴とどうやって接すればいいか?そんなこと考えたこともない」

 

「ああ」

 

「俺は出来ると思うか?」

 

「知らん」

 

 その言葉を聞いた男はガックリと肩を落とす。そうしてまたワインを煽る。開けたグラスは五杯を超え、そこそこ酔いが回ってきている。そんな男の様子を見てかフックが男のグラスにワインを注ぐ。

 

「俺たちが会って何年だ?3年、いや4年か。これまでいろんなことがあったが、貴様が闇の軍勢に負けたことはあったか?」

 

「神筆使い同士の鍛錬で負けたことはあったけど、闇の軍勢は何とかなってるな… 今のところは…」

 

 自信なさげに俯く男に向けてフックは言い放つ

 

「ならば今回もそうなるだろう、確証は持てんがな」

 

「そうだな、なるようになるだけだ」

 

「そういうことだ、まぁ何かあったら俺に言え、こう見えて顔は広い」

 

「ああ、頼らせてもらうよ。ワイン旨かった。ありがとう」

 

 そう言って男は席を立つ。夜も遅くなり、早く帰って明日に備えようと思い、扉に手を掛ける。

 

「最後に一言、言っておいてやる。 たとえお前自身が信じられないとしても俺を信じろ。海賊王の俺を。お前という神筆使いを信じる俺を。今までずっとそうだっただろう、()()

 

「分かってるさ。いつも一緒に戦ってきた奴を疑ったことはないよ、()()

 

「ならいい。さっさと帰って寝ろ」

 

「ああ、おやすみ」

 

 

 

 そう言うと男は扉を開く。夜の図書館は昼の喧騒が嘘のように静かだった。まるで大海原の夜の海のように。

 

 




0話なので新兵は出てきません。

神筆使いはフックがメインキャストのファイター使いという設定です。

一応、究極のフック使い称号を持っているぐらいには一緒に戦場に出たことがあるという設定です。

勝ち負け数は想像にお任せします。



あとフックが神筆使いのことをお前と貴様と二つの呼び方で呼んでいるのは意図的です。
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