「それで、結局どのクエストをするかなんだけどな。俺は翔馬の実力を見るために適当な討伐クエストを受けようと思う。」
カズマが話をまとめる為に自分の意見を提案した。俺自身は特に問題は無いのだが…。
「ちょっとカズマ。適当なモンスターって言っても碌なやつがいないじゃない。残ってるのはアンデット系のモンスターかジャイアントトードぐらいしかないわよ。」
ジャイアントトード?日本語で訳すると「巨大なカエル」という意味だったか。
「別にいいじゃないか、アンデットで。それに、今の俺たちでも倒せる手ごろなモンスターなんてほとんどいないじゃないか。だからこれでいいんだよ。」
「嫌よ汚らわしいアンデットなんて!また神々しい私が襲われたらどうすんのよ!」
「そのまま置いて帰る。」
「ちょっと!!カズマの分際で私の事おいて意向だなんて何考えてんのよ!」
「知るか!お前が役に立つのは囮ぐらいしかないんだから黙って喰われてろ!この駄女神!」
「うわぁぁぁん!!カズマが私の事また駄女神っていったぁぁぁぁ!!」
口論している最中に話しかけるのは気が引けるが、俺も確認したいことがある。
「申し訳ないが、俺はまだ武器すら持っていないんだが。」
「ああ、新しい装備を俺の金で買おうと思ってたからお前のもついでに買うよ。」
「そうか。それはありがたいな。」
「よし、それじゃ今から買いに行くか!めぐみんたちは先に町の入り口で待っといてくれ。」
「分かりました。それじゃ行きますよ、ダクネス。」
「ああ。ほら、アクアも。」
「ひっぐ、えぐ、うぐ。」
めぐみんたちと一旦分かれて、カズマと共に武器屋へ向かった。
「よし、俺はこんなもんかな。」
「俺も決まったぞ。」
武器屋で色々と見て回っていた俺とカズマはそれぞれ自分の納得がいく物を見つけた。
カズマは緑色のマントと剣一本。それに軽装備を購入していた。俺の方は赤いコートとブーツ。それと長身の剣を一本買うことに決めた。
「よし、それじゃさっさと買おうぜ。あんまりあいつらを待たせると面倒だからな。」
「ああ、そうだな。」
「ところでさ、翔馬は何が原因で死んだんだ?」
買い物が終わった後、カズマが質問してきた。
「俺が死んだ原因か…。」
正直に言ったとして、信じてもらえるとは思えん。少なくとも、普通の人間には。
「そう言うカズマは、何が原因でこの世界に来たんだ?」
「うぐ!そ、それはちょっと言えないかなー、なんて。」
「?何故だ?」
「お、おおお俺にも色々事情があってさ。そ、それよりも、翔馬が死んだ理由について教えてくれよ。」
「そうだな、何から話したものか…。」
「別に、言いたくないなら言わなくてもいいんだぞ?」
「…そうだな、別に教えてもいいが。他言しないでくれるか?」
「いいぜ。俺は約束は破らない男だからな。」
ニカッと歯を見せながらサムズアップしてくるカズマ。この男なら、別に話しても特に問題ないだろう。
「じゃあ、話すとしようか。…実は、俺が死んだ理由は化け物と遭遇したからなんだ。」
「化け物?なんだそりゃ。」
「ああ。現に、俺はその化け物と戦って死んだ。とある少女を守りながらな。」
「へ、へー。」
「どうした?カズマ。何か変なことでも言ったか?」
「い、いや?気にしないで続けてくれ。」
「?まあいいか。それで、その少女はもともと俺がある村から助けた少女でな。少女は村の人間から酷い扱いを受けていたんだ。」
「酷い扱い?」
「ああ。というのも、その村の人間はある神話の神を崇拝している連中でな。そいつらは毎年、十歳に満たない少女を生贄に捧げて自分たちが崇め奉っている神を召喚しようとしていたんだ。俺が助けた少女は、生まれつき魔力というか、霊力が強くてな。生まれた時から生贄にされる事が決まっていたんだ。」
「ま、マジかよ…。」
「俺はどうしても納得がいかず、その少女を助けようとして村の連中全員と敵対したんだ。結果としては村の連中が召喚した化け物どもが、見境なく奴らを皆殺しにしていたよ。それで、俺と少女は急いでその場から逃げ出して、別の村に行ったんだ。」
「……。」
「その村で、食料や少女の衣類を買って宿に泊まったんだ。今後の行動をどうするかを決めるために。翌日、俺と少女は飛行機に乗って日本に帰ろうとしたが、その飛行機のパイロットが、でかい虫に寄生されていてな。飛行機そのものが落ちるようにその虫はしたんだ。飛行機の中はもうパンデミックと言ってもおかしくないくらい荒れていてな。慌てて逃げ出そうとして今自分が空中にいるってことを忘れそうになっている奴や、自分が持っていたパラシュートで逃げ出そうとする奴、そいつらを逃がさんとする怪物共。正に、この世の地獄だった。俺達は乗客の持っていたパラシュートで飛行機から離脱したんだがな。降りている最中に怪物が槍を投げてきたんだ。運悪く俺の足に刺さってしまい、そのまま町の近くの山に落ちたんだ。」
「…それで、結局どうなったんだ?」
「足の治療をするために、一時的に身を隠せる穴蔵に入ったんだ。そこで応急措置はしたものの、下山できる程怪我じゃなかった。だから、俺は少女に町へ逃げるように言って、追いかけてきた怪物共と闘った。………そして、蛙のような見た目をした化け物に、俺は殺されたんだ。」
「…………。」
「長話をしてしまってすまない。それで、結局カズマは何が原因で死んだんだ?」
「うぐっ!そ、そそそれはだなぁ…。(言えない!こんな超格好いい生き方をして、その上小さな女の子を庇って死んだ奴に、俺の、あの、死に方を、どう説明すりゃいいんだよ!)えーと、お、俺もトラックに轢かれそうになった女の子を助けるために死んじまったんだ!」
「…そうか。カズマも、誰かを庇って死んだんだな。俺と同じように。」
「ゲフゥ!!!そ、そうなんだよ。俺とお前は似た者同士ってことだ!」
「そうだな。出来れば、俺はもう一度あの少女に会いたいが、カズマはどうだ?」
「うぇ!?そ、そうだな。俺も出来れば、あの子に会いたいなー、なんて。」
「…そうか。なら、俺達が魔王を倒して、元の世界に帰ろう。」
「あ、ああ。ソウダネ…。(言えない!その女の子に無駄に怪我させちまった上に、トラクターに殺されたと思って失禁しながらショック死したなんて言えない…。)」
そんな話をしていたら、門の付近にアクア達が待っていた。
「ほらカズマ。あいつらが待ってるし、早く行こう。」
「お、おう…。」
こうして、俺達の冒険が始まろうとしていた。
如何でしたか?今回のネタは、クトゥルフ神話という物に関わる話でした。わかる人はわかると思います。それと、ヒロインに関しては元からいるあの三人ではなく、ちゃんとしたヒロインを用意すりつもりなので、ご安心を。それでは、また次回。