この素晴らしい世界に剣豪を!   作:Mr.アヒルマン

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長らくお待たせしてしまい申し訳ありません。どうにか出来上がったので投稿いたします!


episode4 再会

真っ直ぐ伸びるプラチナブロンドの髪に、深海に写りこむ日光を表したかのような瑠璃色の瞳。見間違えるはずがない。俺の目の前にいる少女は、この世界に来る前に、俺が最後に守ろうとした、あの少女だった。

 

 

「鈴蘭…か…?」

 

気がつけば彼女の名を呼んでいた。こんな場所に居るはずない。まだ、彼女は生きているはずだ。だが、俺の体は自然と彼女の方へと歩み寄っていた。

 

「ッ翔馬さん!!」

 

彼女も俺の存在を認識したのか、俺の胸に飛び込んできた。

 

「ひぐっ…グスッ…翔馬さんだ…。本物の翔馬さんだ…!」

 

「鈴蘭…。一体何故、君が此処にいるんだ?いや、それよりも君はまだ…。」

 

「それは…」

 

鈴蘭が俺に事情を説明しようとした瞬間、

 

「ねえねえショウマ。その子誰なの?あ!もしかして、ショウマの妹とか?」

 

この空間で空気の読めない存在が一人いた。すまんアクア。できればお前には黙っていて欲しかった。

 

「そうだな…。何と言ったらいいか分からないが、とりあえず道端で話す内容ではないな。ギルドで報告のついでに事情を説明しよう。」

 

「それもそうだな。こっちも色々聞きたい事があるし、とっととギルドに行くか。」

 

カズマが同意の意思を示し、何か言いたげな三人を押しながらギルドへ向かって行った。

 

「さあ、鈴蘭も一緒に。」

 

「は、はい…。」

 

鈴蘭の手を取ってギルドに向かおうとしたが、何か様子が変だ。どうしたのだろうか?

 

「どうした?こころなしか顔が赤いようだが…。」

 

「い、いえ。気にしないでください。それより、早く行かないと皆さんに置いてかれちゃいますよ。」

 

「…そうだな。あまり待たせると何か言われるかもしれんし、行くとするか。」

 

 

ここで唐突に現れるナレーターでございます。さて、なにか運命の再会を果たしたみたいな雰囲気を醸し出しいる二人ですが、こっそりバレないように二人の心を読者の皆様にお見せしようかと思います。

 

 

 

「(はぅぅぅ…!しょ、翔馬さんと手を繋いじゃってる…!前に握ってもらった時、ここまでドキドキしなかったのに…!翔馬さんの手、大きくて暖かくて、私を抱き締めてくれた事思い出しちゃいそうで……ッて!!ダメダメ!今自分が凄くだらしない顔しちゃってるのが自分でも分かっちゃうんだもん。こんな顔見せたら幻滅されちゃう…!)」

 

「(……鈴蘭が何故ここに居るのか、俺の居た世界はどうなったのか、ほかにも聞きたいことは山ほどある。だが今は何よりも、鈴蘭とまた会えたことが嬉しい。しかし、再び会えたことへの喜びを隠せんとはな…。できればこの緩みきった頬を見せたくは無いな。少なくともアクアには絶対に。)」

 

お分かりいただけただろうか。少女、鈴蘭は頬を紅潮させながらパンデミック状態の心を落ち着かせようと奮闘している。その赤く染まりながらも、緩みきった頬にキラキラ輝く瞳は、まさに「恋する乙女の顔」の顔である。

 

しかし、喜びを感じているのは少女だけではない。男性、翔馬も表面上はクールを装ってはいるが、内心は二度と会えないだろうと思っていた少女にもう一度会えるという奇跡に、心から感謝している。

 

そんな微笑ましい光景を街の人から見られている事に、二人は気付かずギルドへ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「鈴蘭、何か食べたいものはあるか?」

 

「食べたいもの…ですか?」

 

「ああ。このメニュー表の中から好きなものを選ぶといい。」

 

ギルドに着いた俺たちは、ゾンビメーカー討伐任務の失敗を報告するため受け付けに向かおうとしたが、カズマが「俺だけで報告に行くから適当に飯でも注文して待っててくれ。」と言って行ったので俺たちは朝食を取ることにした。

 

「翔馬さん、このカエルの唐揚げってどんなのですか?」

 

「…すまん。俺もここでの食事はよく分からないんだ。めぐみん、教えてくれないか?」

 

「いいですよ。と言ってもカエルの唐揚げは、ざっくりと言ってしまえば鶏肉の唐揚げと同じような物ですが。」

 

「ああ。カエル肉は鶏肉より固めだが、淡白としていて中々旨いぞ。」

 

そうだったのか…。現実のカエルはそんなことはなかった気がするが、この世界ではそうなのだろう。

 

「あ、ありがとうございます。えっと…。」

 

「ああ、そういえばまだ自己紹介してませんでしたね。フッフッフ…。我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操りし者……!」

 

「えーと……。」

 

「鈴蘭、めぐみんの一族はこんな感じの人たちばかりだそうだ。あまり気にしない方がいい。」

 

「は、はい…。」

 

「次は私だな。私はダクネス。クルセイダーを生業としている者だ。硬いことくらいしか取り柄がないから、散々痛めつけてくれて構わないぞ。いやむしろそうしてくれ!」

 

「……。」

 

「それじゃ、最後じゃ私ね。私は水の女神アクア!アークプリーストを生業とし、魔王討伐を目指している麗しい女神様よ!スズランだっけ?貴女も是非我がアクシズ教に入信することをお勧めするわ!」

 

「……。」

 

完全に反応に困った顔をしている鈴蘭には申し訳ないが、俺もどうフォローすればいいか分からん…。

 

「おーい翔馬、報告終わったぞー。」

 

「ああ。お疲れ様。」

 

「あ、カズマ。今ね、私たちが自己紹介してる所だったのよ。アンタもどうせなら今の内にしときなさい。」

 

「ああ、それもそうだな。俺は佐藤カズマ。職業は、最弱職の冒険者って奴だ。まあ最弱の代わりに色んなスキルが使えるのが冒険者の良いところだな。よろしくな、スズラン。」

 

「は、はい。よろしくお願いします!」ニパッ

 

カズマが微笑んだ顔のまま停止した。衝撃を受けた直後のような、そんな雰囲気を感じられた。

 

「…………翔馬。ちょっとこっちに来てくれ。」

 

「?あ、ああ。」

 

カズマに連れられてギルドの隅に来たが、一体どうしたのだろうか。カズマが神妙な面持ちで、俺にこう言った。

 

「なあ、翔馬!なんだあの美少女!あんな可愛い子他に見たことないぞ!」

 

……………………………

 

 

「……は?」

 

「俺はこの世界に来て色んな女に出会ったけどさ、全員どこかしらヤバイ奴ばっかだったんだよ!でもさ、俺には分かるんだ…。あの子、スズランは正に天使だったんだ!」

 

「そ、そうか。良かったな。」

 

正直、がっかりしたというか、もっとこう、何か重要な話でもあると思った俺の時間を返してほしい。

 

「なんだよお前その適当な反応!あのな、俺が出会った女なんて者はだなぁ!!使えない自称女神のアークプリーストに、1日一発しか打てないなんちゃってアークウィザード!挙げ句の果てに攻撃が当たらずボコボコにされたがるドMクルセイダー!お前分かるのか!?そんな変人の巣窟としたパーティに、あんな、あんな美少女がよぉぉぉぉぉ!!」

 

ウガーーーーーーーっ!!!と頭を掻き毟りながら叫ぶカズマ。面倒だが、一旦落ち着かせるか。

 

「分かった、分かったから落ち着けカズマ!一度深呼吸してみろ!」

 

カズマは今までの不満が溜まっていたのか、色々と早口で捲し立てている。ギルドの隅であるにも関わらず大声で叫ぶ為、普通にギルド内に響いてしまっている。つまり、今カズマが文句を言っている最中のメンツにも聞こえているわけで…。

 

「ねーえカズマさん。ちょーーーーっと良いかしら?」

 

「ああ!?なん…だ…よ…。」

 

いつの間にか背後に迫っていたアクアたちが、それはもう良い笑顔でカズマの肩を掴んでいた。額には青筋が浮かんでいるのが見える。カズマもその事に気づいたのか、徐々に顔が青ざめていく。

 

「少しの間で良いの。ほんの少しだけ、表に出てくれるかしら?」

 

「い、いやでも、俺さ、まだ翔馬と話があるし……。」

 

「ショウマ。本当に、カズマと話があるのですか?」ニッコリ(^ω^#)

 

「…いや、話はもう終わったところだ。」

 

「ちょ!?お、おま、おまままま」

 

「そうか、ならカズマを連れていっても大丈夫だな。」

 

ダクネスが微笑みながらカズマの首根っこを掴んでギルドのドアから出て行こうとする。

 

「ちょ、待って、待ってください!ごめんなさい!謝ります!謝りますからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

怒り状態の三人に、カズマの要求が通るはずもなく………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イイイイイイヤアアアアアアアァァァァァァァァァァァ……………………………………………!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

ギルドにカズマの悲鳴が木霊した…。

 

 

 




翔馬は心の中では結構ひどいこと考えたりします。口には出さない(態度には出る)のが彼の流儀ですが。それではまた次回~。
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