あれから数分掛けて今居るだけのELIDを片付けた。
それから陣地の周りに瓦礫や死骸を積み上げて即席のバリケードを構築した。
構築中にもう一波来たのは流石に笑えんかった。
レイジングロアと唐沢で凪ぎ払ったけど。
でもこれで、後一回凌げば終了だ。
バリケードを構築する片手間にELIDを調べて見たが、皮膚がセラミック化していた。
セラミックは堅いし熱に強い。
そこに心臓に同化している崩壊結晶片からエネルギーを供給されることにより、擬似的な相転移装甲と化すようだ。
ただ、対崩壊兵器の共振作用には無力な様だ。
我々人形は、機甲・生物・異能の三竦みで言えば機甲に属し、ELIDは生物に属する。
相性的には此方が優位な筈なのだ。
にもかかわらず、この世界の人形は優位に立てず苦戦している。
対崩壊技術が未熟………いや、ごく一部の者しか理解出来てないからだ。
あの世界は“天命”と“ネゲントロピー”と言う2大組織が存在していたからこそあそこまで発展する事ができた。
お陰で色々と普及していたからなあ。
AK-15「あの、改めて救援に感謝します」
気にすんな、奴等を潰してたら此処にたどり着いただけだから。
ところで…………あんたがAK-15?
AK-15「あ、はい、そうです。対ELID試作戦術人形“AK-15”です。何故私の事をご存じで?私の事は軍事機密に属するのですが」
私の元々のコンセプト上、索敵範囲内に入っただけで周囲に有る電子機器を勝手にハッキングしちまうんだ。
ああ、安心してくれ。
後ろ暗い奴の情報ならスギ花粉みたいにばら蒔くけど、機密関連は厳重に管理するから。
で、その外骨格だけど……………エネルギーロスし過ぎ。
AK-15「試作機なので致し方無いかと」
うん、それでもその外骨格の出力だけど、既存の1.5倍が良いところだよ。
あんた自身からエネルギーをダイレクトに供給しているみたいだけど、それ……緊急時の供給ライン程度の出力だから。
AK-15「だから私の活動時間が既存の人形の1.2倍程度になっているのですか」
そう言うこと。
外骨格さえ無ければ既存の活動時間の2~2.5倍は行けるね。
索敵範囲に入った時点からその外骨格を解析してたんだけど、さっき言ったようにエネルギーロスが酷くて既存の1.5倍程度でしかないんだよね。
で、解析用2機と
AK-15「………………いつの間に」
解析が終わった時点でこれまでの運用データとパーツの消耗具合から、エネルギーロスが発生しないように、エネルギー経路から配線、ネジ一本の位置まで全部再設計した。
お陰で量産を前提としながらも、従来品の3割増になった。
AK-15「解析用と私専用では何が違うのですか?」
材質と事故再生機能の性能と動力源の性能。
まず材質だけど、解析用は凍結に強いゴールドチタニウム合金製。
対して専用機は電解着色を施した錆びず最高の耐摩耗性と靱性を誇るクリスタライズゴールドチタニウム合金製。
ついでに言うと、解析用と専用機は素材その物にナノマシン浸透処理とマテリアルシステム適応処理を施してある。
だから事故再生機能が付いてる。
AK-15「……何気にぶっ壊れ性能なんですが」
そうでもないよ。
解析用の方は応急処置レベルだし、専用機の方は使用者が殺られたら自壊する様に設定してあるもん。
逆に言えば、使用者さえ無事なら半永久的に稼働できるけどね。
『十分ぶっ壊れ性能です!/だ!/だよ!』
これでも解析できるように性能落としているんだが………………………………。
AK-15「で?動力源の性能の違いは何ですか?」
あ、スルーですか。
まあ、一言で言えば、燃料の変換効率。
SVV「変換効率?それ以前に燃料は何使ってるの?」
燃料は液体が含まれてるモノ。
極端な話、ELIDの肉片でも肥溜めの汚水でも人形の生体部品や疑似血液でも、ともかく水分を含んでれば何でもいい。
出力的には、解析用は水1Lから戦闘出力で2時間稼働できるエネルギーを取り出し、専用機は水1Lから戦闘出力で12時間稼働できるエネルギーを取り出す事ができる。
ちなみに、変換効率最大の奴は水1Lで丸二日を戦闘できる。
でもそうすると量産できなくなるから、解析用は4%に、専用機は25%に落としてある。
解析できれば8%位の物が造れる様になるはずだ。
ちなみに、取り付けてあるタンクは容量3Lです。
AK-12「口も大きくて入れやすそうね」
AK-47「それよりも気になってたんだけどさ…………この会話って確か、HQに丸聞こえじゃなかったっけ?」
AK-15「言われてみれば、主任が静かです」
そりゃそうだ。
通信その物を私が
つっても、妨害しているのは向こうからの通信だけで、こっちの声は向こうに聞こえてるから気にしないで。
AK-15「妨害した理由は?」
ヒステリックなオッサンの声なんざ聞きたくない。
PP-19「ブッ、確かに!」
まあ、そんな訳だ。
解析用は誰でもいいから装備してくれ。
AK-15は専用機に変更してくれ。
AK-15「わかりました。12、47、お二人が装備してください」
AK-47/AK-12「「了解!」」
そろそろ最後の集団が来るぞ!
気張れよ!
「「「「「「「「おーーーーーー!」」」」」」」」
AK-15「所で通信は?」
戦闘終わるまではこのままで。
五月蝿すぎて戦闘に集中できないから。
「「「「「「確かに」」」」」」
試作強化外骨格
AK-15の初期装備の外骨格。
多様な作戦への適応を前提としている次世代型の試作実験機。
従来型のパワーアシストのみならず、高効率大容量のエネルギー伝達経路を内蔵しており、その性能は従来型の3倍になる。
その結果、従来型では不可能であった各種オプションユニットの搭載運用が可能となり、兵士を兵器運用のためのマルチプラットフォームとして使用することが可能。
らしいのだが、O.Dの解析によると性能は従来品の1.5倍程度でしかないとのこと。
原因はエネルギー伝達回路自体に無駄が多すぎて、その結果エネルギーロスが生じていたからである。
要するに設計段階からの計算ミス。
また、試作実験機であるがゆえに量産性は無い。
つまり、量産しようものなら一から設計しなおさなくてはならない。
AS-M8
O.Dが製作した量産型強化外骨格。
試作強化外骨格のコンセプトと機能を継承、強化した物。
フレームにはゴールドチタニウムが使用され、極めて高い剛性と対凍結性を誇る。
ナノマシン浸透処理とマテリアルシステム適応処理が施されている為、ある程度までは自己修復される。
解析されてもいいように、業と性能を落としている。
それでも従来品の4倍の性能を誇る。
両腕にはAdvanced.Multi.purpose.Gauntlet-78を内蔵している。
背中には、パラシュートパックや小型輸送コンテナを固定するHPがあり、腰からは可動式ウェポンラックが伸びている。
強化外骨格脚部に仕込まれている指向性爆薬も勿論継承している。
AS-M9
O.Dが製作したAK-15専用の外骨格。
AS-M8と同一の量産を前提とした設計になっているが、こちらはクリスタライズゴールドチタニウム合金製で、更に電解着色を施してある。
解析用とは出力・再生機能に違いがあるため、従来品の5倍の性能を誇る。
小型動力炉“
小型崩壊エネルギー炉の一種。
O.Dの作り出したAS-M8/AS-M9用に造った動力源で、元は天命機甲に積まれてた動力炉を解析、再設計した物。
燃料は、液体が含まれている、若しくは液体その物ならば何でも良い事から名付けられた。
エネルギーの変換効率は以下の通り。
※戦闘出力による最大稼働時間。
100%=48時間
75%=36時間
50%=24時間
25%=12時間:AS-M9
8%=約4時間
4%=約2時間:AS-M8