戦姫絶唱シンフォギア―栄光の剣―   作:コロッサスマグナ

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1「蒼きガングニール」

 

「こちらセン、ノイズの殲滅は完了した」

 

『はーい! こっちでもノイズの反応消滅を確認したわ。迎えのヘリは手配してあるからそれで戻ってきてちょうだい』

 

 了子さんの応答を聞いたセンは身に纏っているギアを解除し、迎えを待つ。

 遠くの方からプロペラの音が聞こえてくる。音の方向には夜を照らす大都市の光があった。センの現在地は海岸線に近い廃墟となった工場だ。

 

「……暗い場所だ」

 

 民家もなければ街灯もない。

 そのおかげで今回のノイズ出現では被害者はゼロ。運が良かったと言えるだろう。

 

「さて、戻るか」

 

 今日もセンは1人で戦い、勝利の余韻も無く去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから数日が経った。

 再びノイズが出現し、センが殲滅任務にあたっていた時のこと。

 

「ノイズが別々の場所で同時出現だとぉ!?」

 

 特異災害対策機動部二課の司令官、風鳴弦十郎から驚愕と言わんばかりの声が聞こえた。

 それもそのはずである。

 現在まともにノイズを倒すことができるのはセンしかいない。もうひとり、風鳴弦十郎の姪である風鳴翼という少女もいるが、未成熟過ぎるが故、極少数のノイズが出現した時しか出動の許可は出ていない。

 

『げん……司令、ここのノイズを殲滅した後、すぐに向かう』

 

「了解した! 刻一刻を争う事態だ。今回は翼にも出動してもらうが基本的にセンのサポートに徹するんだ」

 

「はい!」

 

 センは市街地に出現したノイズを倒している一方で、翼は先に遺跡へ向かった。

 サポートに徹するとは言われたものの、数体程度のノイズの相手は許可されているので道中の比較的弱いノイズを蹴散らしていきながら目的地へ突き進んでいく。

 

 

 

 

 場所は変わって市街地。

 

「今日はノイズがやけに多い」

 

 狙いすましたかのように人がいる場所を同時に2箇所。作為的な予感がする。

 

「気の所為であればいいが」

 

 

 

 ~閃槍・ガングニール~

 

 

 歌を口にしながらフォニックゲインを高める。

 手元に蒼い槍を出現させ、投擲。投擲された槍はノイズの位相差障壁を易々と貫通し、塵にする。

 ガングニールの手元に戻ってくるという特性を活かした投擲で次々と撃破していく。

 

【落槍・蒼乱れ】

 

 無数の槍を上空からノイズへ向けて落とす技だ。広域殲滅に適した技だが、その分一つひとつの威力は減衰し、普通の投擲よりもずっと体力を消耗するが故に乱発はできない。

 

【豪進・撃突】

 

 背面に付いているブースターで一気に加速し、巨大化させた槍を正面に構えて突進。

 巨大ノイズを物ともせず風穴を空け、一瞬にして灰燼に帰す。

 

「ハッ!」

 

 市街地に残る最後のノイズを背後からとどめを刺す。

 

「市街地の殲滅完了。急いで遺跡へ向かう」

 

『セン、頼んだぞ』

 

「了解した」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぅ! 数が多い!」

 

 最初は少数だったノイズが突如増え始め、まるで足止めをするかのように翼への攻撃はほとんどしてこない。

 

「いくら攻撃してこないとはいえ、この数では間に合わないわ!」

 

 翼は叫ぶ。この先に人々を救いたいという気持ち。目の前のノイズを早く倒さなければという焦りからフォニックゲインの低下、判断、思考力の低下を招いてしまっていた。

 

『翼!」

 

「し、司令!?」

 

 大きな声に驚く翼。後に続く言葉はひどく落ち着いていた。

 

『今自分にできることを考えるんだ。翼が今、センが到着するまでにできることはなんだ』

 

「ノイズの数を少しでも減らすことです!」

 

『そうだ! 反撃してこないのならば相手は案山子同然。できる限り範囲を広げて攻撃するんだ』

 

「はい!」

 

 翼はアームドギアへフォニックゲインを集中させる。刀型のアームドギアは少しずつ巨大化していく。

 もっと、もっと、もっと、広く、長く、できる限り多くを。

 想いは自然と歌になり、フォニックゲインを高め、巨大化を促進する。

 

「――いきます!」

 

【蒼ノ一閃】

 

 巨大な斬撃が刀身から放たれる。向かう先はノイズの壁。

 斬撃がノイズに触れた瞬間、灰と化す。勢いは止まらずノイズの壁を容易く通り抜け、灰の丘を作り上げた。

 再びノイズが結集して壁を作ろうとするも、斬撃がその度に灰にしていく。

 

「この調子で行けば私ひとりでも……!?」

 

 気分が高揚し、油断してしまう翼。

 背後から迫るノイズに気づき、迎撃しようとするがもはや間に合わない。

 攻撃をしないただの壁となったノイズは最初から囮。本命は背後からの奇襲だ。

 

 (まさかノイズが連携をとってくるなんて)

 

 まさに絶体絶命である。

 

「せめて道連れに「やめなさい」……え?」

 

 蒼き閃光が迫るノイズを刺し貫く。目にも留まらぬ速さで奇襲を仕掛けたノイズ、さらには壁のように密集したノイズすら殲滅する。

 翼の前に現れた蒼き閃光は静かにつま先から降り立つ。

 

「翼、あなたの命をノイズにくれてやる必要はない」

 

 ぽん、と翼の頭の上に手を置く。

 

「よく頑張った。後は私に任せなさい」

 

「う”ん”」

 

 極度の緊張と恐怖から解放された反動か。翼は涙ぐみながら頷いた。

 

「じゃ、私は行くよ。またね」

 

 蒼きガングニールを纏う装者は遺跡を目指して飛び立った。

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