Fate/Infinite Stratos リメイク版 作:ぬっく~
「う……?」
全身の痛みに呼び起され、一夏は目を覚ました。
なんだか状況がわからず周囲を見回すと、どうやら病院らしい。一夏が寝ていたのはベッドだ。
カーテンで仕切られた空間は狭いゆえに息苦しさと安堵の両方を感じる。一見矛盾しているようなそれを、一夏はぼんやりとした意識で感じながら情報の整理をはじめた。
(確か、暗殺者と対峙して―――)
「起きた?」
シャッとカーテンが引かれる。カーテンを引いたのは、20代前半の女性で。
「母さん!?」
一夏の母だった。
織斑かたな。20代前半のような見た目で、腰回りまで伸びた白い髪の女性。しかも、この見た目で二児の母なのだ。
「肩をバッサリとやったと聞いたから、結構心配したのよ」
「ごめん……」
一夏は謝ることしか思いつかなかった。
「いいのよ。相手が相手だったからしょうがないわ。一夏が生きていたことが私は嬉しいわ」
かたなは一夏の頭に手を差し伸べ、いこいこする。
いい年していこいこされるのは恥ずかしく思えるが、何故か嫌ではなかった。
「そうだ、母さん」
「なに?」
一夏はもし母さんに会ったら一つ聞きたいことがあった。
カバンの中にしまっていた一枚のカードを出すと、母さんの表情が一変する。
いつものように余裕のある表情ではなく、真剣な表情だった。
「俺が対峙した暗殺者がこれと同じカードを持っていたんだが、これは一体何なんだ?」
現実とは思えない程の出来事を一夏は体感したのだ。
しかも、一夏が持つカードはかたなが海外に出張する前日に渡された物であり、これが何なのか知っていてもおかしくない。
「その力を使ったのね……」
かたなは小言をこぼす。
いつかは気が付くだろうとは思っていたが、こうも早く来るとは思ってもいなかったのだ。
「いいわよ、一夏の知りたいことは全部話してあげる」
成人してから話すつもりでいたが、かたなは一夏に全てをさらけ出すことにした。
「まず、そのカードの正式名称は『サーヴァントカード』と呼ばれる物よ」
「『サーヴァントカード』?」
「そう。そのカードには英霊と呼ばれる者の力が宿っているの。一夏の身の保険として渡しておいたんだけど、役に立ったでしょ?」
「ああ。だけど、母さんがなんでこんな物を持っているんだ?」
「そりゃね、そのカードは裏社会―――魔術が使われているから。ちなみに私は魔術師と呼ばれる存在だから」
衝撃的な真実を一夏は知った。
今思え返せば、一般家庭とはかなりかけ離れた家庭だと思ったが……。
まさか母さんがそっち側の人間だったとは、思ってもいなかったのだ。
「あ! ちなみに千冬ちゃんは、知っていたから」
どうやら、姉の千冬姉は知っていたらしい。
「そんじゃあ、続けるね。『サーヴァントカード』はこの世界に7枚しか存在しない魔術礼装なのよ」
「そんな物をよく手に入れたな……」
「ちょっと前に協会の依頼報酬で脅―――お願いして譲ってもらったのよ」
(今、脅してって言いかけたよな……)
協会と言うのは何なんだかは分からないが、とりあえずこれは世界に7枚しか存在しない物らしい。
一夏の持つカードには弓兵の絵が描かれていた。
「このカードに描かれているは……」
「
『サーヴァントカード』には《限定展開》と《夢幻召喚》の二つがあるらしい。
前者はその英霊の力の一部を引き出すことができるらしい。後者は自身を媒介に英霊の力を具現化させることができるそうだ。
「魔術とかは、退院してから話すわ。今は治すことに集中しなさい。学校にはこっちから連絡入れといてあげるから」
「ああ」
「それと、千冬ちゃんから伝言よ。『帰ったらみっちり鍛えてやろう。どうだ、嬉しいだろ。』だってさ」
鬼や。鬼がいた。
最低手加減するとはいえ、パンクラチオン同士の試合だ。
ちなみに、パンクラチオンは母さんから教わりました。
絶対に腕の一本は持っていかれる。
「不幸だ……」
ズタボロになった上に、帰ってもズタボロにされる。
一夏にはこれ以上にない不幸が待っていた。