年明けてようやくってやべぇな…
跳side〜
「フッ、ハァッ!デヤァ!」
どうも、跳です。現在絶賛戦闘中です。相手は僕宛の追手が5人、全員がヘルメットつきの強化外骨格を身につけています。あと雑魚がダース単位でいましたが、木々の間を飛び回りながら蹴り飛ばしてたら数分もかからず終わってしまいました。問題は追手です。強化外骨格を身につけているだけならまだいいのですが、
「効かねぇなぁ!こんな程度かよ、ええ?オイ!」
「くっ、攻撃が通らない…!」
拳や蹴りが全くと言っていいほど通用しないのです。おそらく、強化外骨格に衝撃を吸収する機能がついてますね。打撃主体のホッパーアーマーとの相性は、はっきり言って最悪です。何度か攻撃してある程度強いものならよろめかせはできることが分かりましたが、結局そこ止まり。肝心の内部への攻撃は果たせません。ローカスエッジは1度召喚しましたが、情けないことに手を撃たれた際に取り落としてしまいました。
「オラ、背中がガラ空きだぜ!」ババババババババ!
「グッ…」
背中に連続した衝撃。いつの間にか背後に回っていた他の追手(ここではAとしましょう)、Aが持っていたアサルトライフルの射撃でした。追手達は森林という地形を利用し、僕から10mの距離を維持しつつ木々に姿を隠しながら僕を攻撃し続けているのです。ホッパーアーマーの持つ跳躍能力ならば10mの距離などないも同然なのですが、いかんせんその移動は直線的。見当違いの方向に飛んでしまえば大きな隙を晒す羽目になるのです。普段なら僅かな気配を探知してその場所にピンポイントで跳べばいいだけの話なのですが、今回ばかりはそうもいかないようです。
(…ダメだ、気配を探れない。超音波か何かで集中が散らされているようですね。アーマー自体の索敵機能もジャミングがかかっていますね)
こうなってしまうと、姿を見せた敵を1人づつ潰していく、という手段しか取れそうにありません。ハイウィンドストライクなら外骨格を貫通して攻撃が通るとは思いますが、あれは1度使うと20分は使えなくなるので、あまり連発はできません。
(もう戦闘開始から10分経っている。これ以上隠れんぼを繰り返していては、こっちのスタミナが持たない。このままでは打つ手なし、ですね…)
そう、
(まだ調整が終わって無いけど、これを使うしか道は無さそうです)
僕が鎧から取り出したのは、若草色のカプセル。あのドラゴンライダーの青年との戦闘データから作り出し、昨日までずっと調整を続けていた新装備です。
(まあ、試運転には丁度良いかも知れませんね)
インジェクトリガーを取り出し、その中に装填されているカプセルを入れ替える。
『Mantis!』
そして、左手を胸元で構え、インジェクトリガーを押し当て、引き金を引く。
「二重融合」
『Dual Injection!』
左手の掌を起点に、腕に、脚に、胸に、鎧の全体に波紋が走る。そして、鎧が融解し、その姿を人型のバッタから人型のカマキリへと変えていく。その細いシルエットの所々に武器が内蔵されている鎧は、一見すると暗殺者か忍者のように見える。加えて、背中から胸にかけてはカマキリの前脚のような装飾に覆われていた。
「インゼクター・マンティスアーマー、
これが僕の新装備、マンティスアーマー。機能は色々付いてますが、その辺りはまた後で。
「さて、ここからは僕のターンです」
「フン、姿が変わったぐらいで粋がってんじゃねぇ!」
「では、これの実力を体験させてあげましょう…命の保証はできませんが」
「抜かせ!」
追手の男(こいつはBですね)、Bが手の中の得物を向け、弾を撃ち出してきました。
「おっと」
横に転がって弾を避け、姿勢を立て直しながら両腰にマウントされていた2振りの鎌「プログレスシックル」を両手に構えます。
「そらそら、まだあるぜ!」
Bに加え、Aまでもが僕に向けて発砲します。迫りくる銃弾、僕はそれをプログレスシックルを振るって切断しました。
「な…」
「ぼんやりしてて良いんですか?」
「ハッ、しまっ…」
Aが何かを言い終える前に、僕は両手のプログレスシックルで挟み込む形でAの首を切断しました。どうやら、この強化外骨格は切断系統の攻撃には弱いようです。
「く、クソッ」
Bが急いで僕から離れようとしますが、
「逃がしませんよ」
右手のプログレスシックルをBの頭に向けて投げました。投げられたそれはBの後頭部に見事命中、鎌とヘルメットの間から噴水のように鮮血が吹き出します。
「う、うわぁぁぁぁぁ!」
隠れていた男、Cが叫びながら逃げようとします。
「おやおや、隠れんぼのルールをご存知ないのですか?
直後、胸の装飾、正確には
「行け」
僕の命令とともにアームが勢いよく伸び、逃げようとしていたCを捕らえました。
「やめろぉ!は、離せぇ!」
「引き寄せろ」
命令を受理したアームが行きと同じ速度で縮み、Cを僕の元に連れてきました。およそ時速50kmで近づいてくるC、正確にはその心臓にプログレスシックルの刃を向け、
ザクリ
「あ…が…」
僕の手にAの時と同じように肉を貫く感触が伝わります。相変わらず気持ち悪いものですが、今は我慢。プログレスシックルを右に動かして、脊椎もろともCを切り裂きました。
「クソォォォォォォ!」
自棄になったか残っていたD、Eが僕に銃を向けてきました……あまり時間を掛けたくはありませんしとっとと片付けてしまいましょう。
「これで、終わりです」
インジェクトリガーをプログレスシックルに接続し、引き金を引きます。
『Over injection!』
音声と同時にプログレスシックルとマニピュレーターアームにエネルギーが充填され発光し、その終わりと共に輝きがピークに達しエネルギーの刃を生成しました。
『Crescent Slicer!』
「ハァッ!」
腕を振り抜き、プログレスシックルとそれと連動しているアームから光刃を飛ばしました。光刃は周囲の木々を切り裂きながらDとEに迫ります。
「う、うあぁぁぁぁぁ!」
光刃に気づいたEが撃ち落とそうと試みますが、銃弾は光刃に触れるや否や溶断されていきます。そして、抵抗も虚しくDとEは光刃に両断されました。
「さようなら」
2体の死体が地面に転がる音に被せるように、小声でそう呟きました。
『追跡部隊の全滅、及び戦闘用強化外骨格全機の損壊を確認。損壊は修復不可能です。よって、機密漏洩防止の為自爆処理します』
そんな警告ののちに転がっていた死体の全てが爆散しました。それと同時にアーマーの索敵機能のモニターからモザイクが消滅しました。
「お、感覚と索敵機能が回復しましたね。伏兵はなし。雑魚は一番最初に片付けてポータルも破壊したから増援もなし」
モニターを見たところ、どうやらあちらも戦闘が終わったようですね。
「では、彼の所に行ってみますか」
錬side〜
ども、輝晶 錬だ。今俺はカメみたいなデカブツ、トータスソルジャーと睨み合っている。
え、雑魚?跳が真っ先にぶっ潰してましたが、何か?
話を戻そう。コイツは見た目からして動きは鈍そうだが、油断はできない。こういう奴って大抵パワー型だし、何より腕に取り付けられた盾が厄介だ。弾丸じゃまず歯が立たないし、そのまま殴るなんてアホの行動だ。ヴィブロ・ブレードならなんとか…ならないかもしれんな。分厚い金属板を斬るのはただの装甲を斬るのとは訳が違う。ましてやヒートブレードなんて熱の伝わり具合によってはもっと時間がかかるぞ。ヤベェ、選択ミスったかも…。
「い、いや、まだ火炎放射と熱線がある!アレでなんとか…なるかなぁ…」
とにかく、ダメ元でやるしかない。両腕の火炎放射器を展開し、構える。まずは小手調べだ。
「そらよっ!」
右手から炎を吹き出した。攻撃に反応してトータスソルジャーはすぐ様盾を突き出し、それに炎が当たる。盾の表面が赤くなり始めたが、一向に溶ける気配がない。当たり前か。
「なら、コイツも食らえ!」
左手からも炎を吹き出す。どちらもトータスの盾を焼き続けるが、盾の色を変えるだけだ。
(ん?いや違う。ちょっとだけど、表面が融けている)
熱による攻撃が効いてきている。このままダメ押しだ!
「ほら、遠慮なく食らえ!なんならおかわりもあるぞ!」
火炎放射の出力を上げ、さらに盾を融かす。そして肩のキャノン砲を展開し、エネルギーを溜める。しばらく後にエネルギーが許容量の100%に到達し、射撃の態勢に移る。
『Full charge!』
「いきなり全力だ、かなりの
砲撃。高圧の環境から解放された高温ガスが真っ直ぐトータスの盾に向かって飛び出す。「‼︎」
その攻撃の危険度を察知したのか表層が融けた盾をよりしっかりと構えるトータス。そして盾とガスが接触し、
ドゴォォォォォォォォンッッ!!
大爆発。爆風に軽く煽られるが、体が地面に固定されているため倒れることはない。土煙に紛れてトータスの姿は見えない。
「…奴はどうなった?」
やったか?とは言わない。それはフラグだ。
「………」
警戒を解くことなく消えゆく土煙の向こう側を睨む。その先には、
「………」
腕の盾は使い物にならないほどに砕けてはいるが、本体はピンピンしているトータスがいた。
「…どんっだけ硬いんだよ、あの盾は」
砲台の冷却を開始した。全力を撃ち出したんだ、さらに続けて撃とうものなら砲身が吹き飛ぶな。加えて本体のエネルギー残量も少ない、後数分もすれば装甲を維持出来なくなるだろう。
(さて、どうしたものか。ヒートはもう使えそうにないし、フォトンだと決定打に欠ける。ヴィブロ・ブレードならワンチャンあるか…)
ふと、攻撃の構えに移ろうとしているトータスの胸部を見る。やっぱり銃弾じゃかすり傷一つ付きそうにもない胸板には、しかし小指ほどの隙間が空いている部分があった。どうやらそこだけは装甲が薄くなっているようだ。
(参ったな、俺はヘッドショットはできても精密射撃は苦手なんだよ、反動でブレるからさ)
え、レーザーブラスター?あれは反動ないだろ?だったらそれ使え?今あれバージョンアップ中なんだよなぁ…ホントに間の悪いことだ。
(にしても、ホントどうするよ?ここには弾丸並みに小さくて反動がなくて、尚且つ高威力の武器なんて……まてよ、もしかしたらアレが使えるかも…)
腰のDフォンを取り外し『Expansion Arms』を起動、稲妻のエンブレムを選択する。
『0・0・3』
『Code electric stand by,ready?』
「イクスパンデッド・アームズ・オンッ!」
Dフォンの装填と同時に頭上の黄色のアーマーが分解され、素体スーツだけの俺に接続する。左右で形状の違う籠手、腰に装着された2門のニードルガン、ヒートとは反対の右肩に装着されたレールガン。両肩には鹿の角のような放電装置が付いている。全体のシルエットは所々に鹿の意匠がある日本の甲冑。
『Dragon warrior expanded』
「『ドラゴン・ウォリアー タイプ3:Electric』、コンプリート」
合体完了とともに衝撃波を添えて周囲に放電する。残念ながら大したダメージをトータスに与えることは出来なかったが、それでも少しの間動きを止めることはできた。
「今だ!」
腰のニードルガンを展開し、1カートリッジ分の針 ー後部には円柱形の発電機が付いているー を撃ち出した。針は1本残らずトータスに突き刺さり、発電機から電力が供給される。
「いくら外殻が硬くても、中身を狙われたらどうしようもないよな!」
左手に出現したスイッチを押して針の先端からトータスに放電、一呼吸置いてトータスの各部が爆発し、沈黙した。どうやら重要な回路が軒並みやられたらしい。運良く何処かのコードに刺さったのだろう。
「なーんか、あっけないなぁ………」
なんというか、消化不良だ。
ドゴォォン…………
「あ、向こうも終わったっぽいな」
索敵レーダーにはこっちに向かって移動してくる影が映っている。確実に跳だろう。
「あいつが来るまで待つか」
NO side〜
「お待たせしました」
「おー、そう時間も経ってないから気にしなくていいぞー」
既に変身を解いている錬に、こちらも変身を解きながら跳が歩み寄る。
「そっちは5人抜きだろ?なんとかなったか?」
「ええ。苦戦はしましたけど、新装備の性能テストに付き合ってもらいました」
「『試し斬りの的』の間違いだろ」
「まあ、そうとも言いますね。そちらは?」
「なんつーか、さっきまで苦戦してたのに方法を変えたらあっさり終わっちまった。消化不良の一言しかねぇな」
「…ちなみに、何をしたんですか?」
「え?熱が効かなかったから内側に高圧電流流し込んだ」
「そりゃあっさり終わりますよ⁈」
互いの戦闘の経緯・感想を伝え合う2人。両者の間には、数日前までの敵意はなかった。
「それで?お前はどうすんだ、跳?」
「んーそうですね、とりあえずこの付近で寝床になる場所を探します。僕には侵略者どもの出現を探知することはできないので、見つけ次第連絡してください。できる限りで駆けつけます」
「もし、協力するふりして俺の背中を狙ったら…」
「しませんよそんなこと。もうあなたと敵対する必要がないんですから、やったって損害が増えるだけです」
「そうか、ならよかった」
それでは、と寝床を探しに行こうとする跳、しかし錬は彼を呼び止めた。
「おい、跳」
「なんでしょう?」
「…いつか、決着つけようぜ」
「フッ…望むところです」
What's the next episode…?
はい、ちょっと雑でしたかね?