俺と転校生の恋物語 スクールアイドルを添えて 作:メタリックな彼
桜内さん勧誘作戦に同意した俺は放課後に高海の家で作戦会議をするからと呼び出され今まさに学校を出ようとしていた。
渡辺が言ってたのはこの事だったのか・・・
「あっそう言えば・・・高海の家ってどこだ?」
スマホを取り出し高海に電話を掛ける。
がいつまでたっても聞こえるのは呼び出し音だけである。
んーなかなか出ないな。電源を切ってるのか?
とここでLINEにメッセージが届く。
『生徒会室に来て!大至急!』
何か厄介事に巻き込まれている感じがしてならなかった。
急いで生徒会室に行くと扉のところで渡辺が立っていた。
「あっ海人君。どうしたの?」
「いや、高海の家に行こうと思ってたんだけど分かんなくて、電話で聞こうとしたらこのメッセージが帰ってきた。」
そう言って俺は先程のやつを見せた。
「あぁ・・・それは・・・」
渡辺が困った顔で生徒会室の中を指さす。
ここの扉は窓がついていて外から中が見えるのだが、中では高海と生徒会長の・・・あれ?誰だっけ?・・・・・・まぁその人が言い合いをしていた。
面倒くさいので中には入りたくないのだが渡辺に言われ渋々中に入る。
「失礼します。2年の田野ですけど・・・」
そう言って中に入ると2人の目線がこちらに向いた。
「あっ海人君!来てくれたんだね!」
「あなたは?」
と生徒会長に聞かれるが、俺さっき名乗ったんだよなぁ・・・
しょうがねぇなぁ(孫悟空)
「はい。私世界で一番桜内さんを愛している田野海人と申します。以後お見知りおきを。あっ一応スクールアイドル部員です。」
クックック・・・決まった。
「えーと・・・田野さんっでしたっけ?どういった要件ですか?」
え・・・スルーされたんだけど・・・。
「それはそこにいる高海に呼び出されたんですよ。至急ここに来いって。」
生徒会長は高海の方を一瞥した。
「で、何の用だ?」
何も無いなら早く行きたいんだけど。
「海人君に生徒会長を説得してほしいの!」
「何を?」
「部の設立を認めてもらえるようにだよ!」
「5人揃ったのか?」
「まだ・・・です。」
「じゃあ・・・諦めてどうぞ。」
「えっー!?もしかして海人君も生徒会長の味方するの!?」
いや、味方も何も条件をクリアしてないんじゃどうがんばっても認めてくれないだろ。
「とにかく今は諦めろ。」
そう言うと高海は少し何かを考え、次にこう言った。
「このままじゃ梨子ちゃんも入ってくれないよ。」
「生徒会長なんとかなりませんかねぇ!」グイッ
俺は机に身を乗り出し生徒会長に問い詰める。
「えぇ・・・(困惑)」
プライドを捨ててでも俺は桜内さんをこの部に入れなければならない!
「じゃあ生徒会長がスクールアイドル部に入るっていうのはどうですか?」
その瞬間、生徒会長の表情が少し曇った気がしたが気にしない。
「そ、それだよ!生徒会長が入ってくれたら私達も嬉しいなーなんて・・・。」
「ダメですか?」
「ダメですわ。」
「そこをなんとか・・・。」
「ダメと言ったらダメですわ!」
こうなったら最終手段を使うしかないのか。
「生徒会長。手を出してください。」
「な、何をするつもりですの?」
怪訝そうな目で俺を見る生徒会長ちょっといいかも。なんて思いながら彼女の手の上にブツを渡す。
「これは・・・何かのチケットですか?」
そう言ってヒラヒラと俺が渡したものを見ている。
聞いて驚くことなかれ・・・それは・・・
「俺のバイト先のレストランの割引券です!!」
本来は常連さんにしか渡さないのだが、今回は特別にね。
「これは中々いいではありませんか。・・・・・・ハッ! 私としたことが危うく騙されるところでしたわ。と、とにかく部員が揃ってないのなら許可は出せませんわ。それに・・・できたらできたで作曲はどうするおつもりですか?」
やはりダメか・・・ていうかちゃっかり割引券を財布の中に入れてるし。
ん?
作曲?
「えっとどういうことですか?」
「あなた知らないんですの?全く・・・」
「いいですか?スクールアイドルがラブライブで歌えるのは未発表の曲に限りますわ。つまり自分たちで曲を作らなければいけないということですわ。」
なるほど・・・ラブライブ?というのに出るには曲作りができないといけないわけか・・・。
俺は高海の方をちらりと見る。
「高海は作れるのか?」
「はい!全くできません!」
そうだろうと思ってた。期待はしてなかった。ならば・・・
「渡辺は?」
「はい船長!私も全くです!・・・あっでも衣装なら作れるであります!」
さすがカースト上位、曲作りが出来なくても衣装を作れるのはポイントが高い。
でも・・・これじゃあ生徒会長の言う通り部の設立を認められても意味がないな・・・。
「だから桜内さんを誘うの!桜内さんは作曲ができるの!」
「それは本当か?」
「うん!でもさっきやってくれないか聞いたら断られて・・・だから海人君の力を貸してほしいの!」
そういうことなら・・・大体やることは決まったな。
「生徒会長!」
ビクッ!
急に呼ばれてびっくりする生徒会長カワイイ。
「な、なんですの?」
「とりあえず今日はこのくらいにしておきます。ですが!またいつか必ずここに戻ってきますから! We'll be back!」
親指を突き立て俺達は生徒会室を後にした。
「い、一体なんですのあの殿方は・・・」
というわけで本来の予定通り高海の家にお邪魔させてもらうわけだが・・・
「はぇ〜すっごい大きい(小並感)」
高海の家はなんと旅館を経営していて建物もかなり立派である。
どうすごいでしょ?と言わんばかりに高海が誇らしげにしているが素直にすごいと思ったから何も言わなかった。
扉を開けて「お邪魔します。」と中に入るとそこには20代ぐらいの女性の方が2人いた。片方は茶髪のショートカットでもう片方が黒髪ロングの人だった。
2人は俺達を見ると驚いた様子で話していた。
「し、志満ねぇ、千歌が男連れてきたんだけど。」
「も、もしかして千歌ちゃんの彼氏とか?」
盛大な勘違いをしているところ悪いですけど俺は高海の彼氏ではないです。
「ちょっと美渡ねぇに志満ねぇもあの人はそんなんじゃないよー!」
高海が困った様子で必死に弁明している。
「海人君からも言ってあげてよ!」
ふむ・・・確かにいらぬ誤解を受けるのは不本意だな。
「初めまして。俺は高海さんと同じクラスの田野海人といいます。
高海さんとは・・・名を預ける関係です。」
「「!?」」
「ち、千歌ちゃん!ちょっとお話があります!」
「えっ?ちょ、待ってよー!」
高海が2人に連れていかれて俺と渡辺が玄関に残された。
「俺なんか変なこと言ったかな?」
「あはは・・・大丈夫だよ・・・たぶん。」
しばらくして3人が戻ってきて志満さんと呼ばれていた人が俺に言った。
「不束者ですが千歌をよろしくお願いします。」ペコり
「?」
よく分からないことを言われ頭を下げられたので一応こちらも「よろしくお願いします。」と言って頭を下げた。
「とにかく私の部屋に行くよ!!」
「では・・・これから第一回桜内さん勧誘作戦会議を始めます。」
パチパチパチ
司会は俺、他に高海と渡辺の2人。
「それでは高海さん現状報告をお願いします。」
「はい。私が今日一日桜内さんに接触したところ彼女は全くスクールアイドルに興味が無いようでした。・・・しかし彼女はピアノの経験者で作曲もできるということなので我々に必要な人物だと思います。」
「なるほど・・・ではこれから先どうやって勧誘しますか?」
「はい。スクールアイドルの魅力を伝えるのがいいかと。」
「やりますねぇ。その案有力候補のひとつにしましょう。」
「では田野さんはどうでしょうか?」
「やはり・・・私が愛を伝えるのが得策だと。」
「・・・却下で。」
「はい。」
「あの・・・」
「どうしたんだ渡辺?」
「どうしたの曜ちゃん?」
「この茶番は一体・・・。」
耐えきれなくなった渡辺がとうとうツッコんできた。
結局彼女にスクールアイドルの魅力を伝える作戦に決まった。
なんで俺の案は採用されなかったんだ・・・
スクールアイドルは俺にはさっぱりだからその辺は2人に任せるとしよう。
ボーンボーンと18時を知らせる音が鳴る。
「あっそろそろバイト行くわ。」
「え?海人君アルバイトしてるの?」
『え?』はこっちのセリフだよ。生徒会室で俺言ってたよバイトしてるって。
「まぁちょっと沼津の方でな。」
「へぇーそうなんだ。私沼津の方に住んでるから今度行こうかな?」
やめてくれよ・・・。本当に気まづくなるから。
「じゃあそういうことなんで。アデュー。」
「私達も解散しようか曜ちゃん。」
「うんそうだね。」
「では皆さん明日からがんばりましょう!」
「「おぉー!」」
そんなこんなで俺は沼津に向かっているのだが・・・
「なんでいるの?」
俺は隣に座る渡辺に問いた。
「いいじゃん♪私もこっちなんだし。」
別に一緒に帰る分には問題ないが・・・なんか距離が近くない?
「ねぇ。」
「ふぇ?」
突然声をかけられて声が裏返ってしまった。恥ずかしい。
「本当に桜内さんのこと好きなの?」
ふっ。全く愚問だな。
「当たり前だよなぁ。でなかったら告白なんてしないぞ。」
そう言うと渡辺はフフッと笑った。
「何がおかしい。」
失礼な奴だ。
「ううん。そういう意味じゃないの。ただすごいなって思ったの。海人君のこと。」
思いもよらない言葉に俺は困惑した。
「自分の想いをストレートに伝えられるってすごいことだと思う。誰にでもできることじゃないよ。」
「・・・」
「私も見習わなくちゃなぁ。」
俺は渡辺のことをスクールカースト上位のただのキラキラした奴かと思っていた。
だがそれは間違いだった。他人を素直に尊敬できる渡辺こそすごいと思う。失礼だったのは俺の方だったな。
「渡辺にもいるのか?自分の想いを伝えたい人。もしかして俺に惚れたとか?」
「それはない。」
そんなにハッキリと言わなくてもいいじゃないか。
「でもいるんだ。伝えたくてもそれができなかった子が。ずっと・・・ずっと前から。」
それ以上は聞かなかった。
沼津駅前の停留所で俺と渡辺はバスを降りた。
「じゃあ俺はこっちだから。おつかれ。・・・あと『すごい』って言われたの嬉しかった・・・ありがと。」
「!」
あぁ〜恥ずかしい!!!相手はなんでもないただの友達だぞ!!お礼を言っただけ・・・それだけ・・・。
「もしかして私に惚れたとか?」ニヤニヤ
「それはない。」
2人で顔を見合わせて笑った。
なんだか俺は渡辺といる時間が案外悪くないと思っていた。