俺と転校生の恋物語 スクールアイドルを添えて   作:メタリックな彼

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今回は短めです。
あと、お気に入りや評価ありがとナス!


第3話 出会いは思いがけないってそれ一番言われてるから

今日もやっとバイトが終わったよ・・・

 

 

しかし今日は賄いが貰えなかったなぁ・・・妹ちゃん家で何か食べてくれてるかな?

 

 

とりあえず帰る前にスーパーに寄って、なにか特売になってないか見ていこう。

 

 

俺の密かな楽しみ。それは夜遅い時間にスーパーに出向いて半額シールが貼られた商品を探すこと。

 

 

さぁて今日は何があるかな?

 

 

ルンルン気分でスーパーをぐるりと回る。

 

 

惣菜コーナーに着いたところで俺の足が止まる。

 

 

あ、あれは!!!

 

 

「半額弁当!」

 

 

しかもあれは滅多に半額シールが貼られない『ふんわり玉子焼き弁当』!!

 

 

残りはあと一つ。間に合うか?

 

 

俺は人を避けながら弁当のもとへ走る。

 

 

そして俺は手を伸ばし弁当をGET・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

しようとした時に横から出てきた手が重なる。

 

 

クッ・・・同士がいたか・・・。

 

 

だがここは譲れな・・・

 

 

「あれ?もしかして海人君だよね?」

 

 

「」

 

 

 

 

嘘だろ・・・

 

 

な、なんでこんなところに桜内さんがいるんだ!?

 

 

もしかしてこの辺に住んでるのか?いや、それにしてもこんな時間にスーパーにいるのは一体・・・

 

 

「海人君?」

 

 

「えっと・・・あの・・・その・・・」

 

 

緊張で声が出ない。せっかく彼女とお話ができるチャンスなのに!!

 

 

「こんばんは・・・です。」

 

 

「こんばんは。海人君もお買い物?」

 

 

「さっきバイトが終わって・・・それで・・・」

 

 

「へぇ。海人君沼津でバイトしてるんだね。」

 

 

「桜内さんはどうしてここに?」

 

 

少しづつ落ち着きを取り戻してきたぞ。

 

 

「私は・・・・・・観光かな。」

 

 

やけに間があったのが気になるが、そうか観光か・・・確かに桜内さんは東京から転校してきたからあんまりこの地域のことは知らないのかも。

 

 

「あっ。」

 

 

気づけばさっきの半額弁当はいつの間にか誰かの手に渡っていたようだ。

 

 

「もしかしてさっきのお弁当食べたかったの?」

 

 

「恥ずかしながらまだ晩御飯を食べていなくて・・・」

 

 

「ごめんなさい。私邪魔しちゃったかな?」

 

 

「そんなことないですよ!!むしろ桜内さんに会えたのでそれで全然OKですよ!!」

 

 

そう言うと桜内さんはニコッと微笑んだ。

 

 

可愛い。

 

 

ぐぅぅぅ

 

 

今のは俺の腹の音じゃない。ということは・・・

 

 

「ん?あの・・・桜内さんももしかして晩御飯まだなんですか?」

 

 

「えぇ/////私も気付いたらこんな時間になってて、それに今日はお母さんも仕事で遅くて、だからどうしようかなって。」

 

 

これはチャンス!! 二人きりでご飯を・・・なんて。

 

 

一応妹に晩御飯食べたか聞こう。

 

 

スマホを取り出し電話をかける。

 

 

「何?」

 

 

「妹ちゃん!ご飯はもう食べた?」

 

 

「まぁ・・・一応食べたけど。」

 

 

「何食べた?」

 

 

「あんたは母親か!・・・なんでもいいでしょ。」

 

 

なんか言い方がきついがちゃんと食べてくれたならいいでしょう。

 

 

「お兄ちゃん、ちょっと遅くなるからなんかあったら電話ちょうだい。」

 

 

「りょーかい。・・・あんまり遅くなったらダメだからね。」

 

 

全くどっちが母親なんだか。

 

 

さぁーてこれで下準備はOK。あとは・・・桜内さんに聞くだけ。

 

 

「海人君って妹さんがいるんだね。」

 

 

「あれ?言ってませんでしたっけ?」

 

 

「ううん。初耳だよ。なんか良いお兄ちゃんしてるなって思って。」

 

 

「ありがとうございます。それでですね・・・もし良ければ・・・一緒にご飯でもどうですか?」

 

 

「!」

 

 

桜内さんはまさか誘われるとは思わなかったようでちょっとびっくりしている。

 

 

断られると思ったけど・・・

 

 

「うん。いいよ。せっかくこんな所で会えたんだからね。」

 

 

いぃぃぃやっっっほぅぅぅ!!もう俺は心の中で踊っていた。

 

 

こ、これは噂に聞くデートというやつではないのか!

 

 

今日上手くいけばもしかしたら・・・

 

 

俺と桜内さんは近くのハンバガーショップに入った。

 

 

二人ともトレーに注文した品を乗せて適当な席に座った。

 

 

「「いただきます。」」

 

 

まぁ桜内さんとの食事は楽しかったね。もう天にも昇る気分だよ。

 

 

「私ねこうして友達と一緒にご飯食べるの初めてなの。」

 

 

「こういうところにはあんまり来ないんですか?」

 

 

「私ね・・・小さい頃からずっとピアノばっかりやってて、学校が終わって周りの子が遊んだりしてる時間もピアノの練習してたの・・・だからかな、友達もあんまり多くなかったんだ。」

 

 

「桜内さん、どうですか?初めての体験は?」

 

 

「うん!とっても楽しい!」

 

 

俺はうんうんと頷く。桜内さんが楽しいなら何よりです。

 

 

 

 

 

「ところで今はピアノやってないんですか?」

 

 

 

 

「・・・今は弾いてないんだ。」

 

 

「どうしてですか?」

 

 

「ちょっと色々あってね。弾いてないというか弾けなくなったの。」

 

 

え?弾けないって・・・もしかして何か病気とかに・・・

 

 

そんな俺の気持ちを察した桜内さんはすぐに否定した。

 

 

「別にどこか悪いところがあるとかじゃないの。ただ・・・」

 

 

「ただ?」

 

 

「ううん。こんなこと友達の海人君に相談することじゃないよね。ごめんね。変な話しちゃって。」

 

 

俺は確かにあの時感じた・・・桜内さんの心が何かを伝えたいって。

 

 

桜内さんが何か悩んでることがあるってバカな俺でも分かった。

 

 

そんな女の子を放っとく男は男じゃない!

 

 

「友達だからですよ!桜内さん!」

 

 

「え?」

 

 

「何か悩んでたら友達に相談する。そしたら一緒に悩んでくれる。一緒に考えてくれる。

 

友達だから迷惑だなんてそんなことないです!

 

目の前で困ってる友達がいたら助けるのは当たり前ですよ!それが友達っていうものです。

 

だから俺に相談してください。

ちゃんと答えられるか分からないけど、それでも俺は桜内さんの力になりたい!

 

 

 

だって俺はあなたの友達であなたが・・・好きだから!」

 

 

「海人君・・・。私、あなたと友達で本当に良かった・・・。」

 

 

「俺もですよ。」

 

 

それから桜内さんは俺に話してくれた。ピアノを弾けない理由を。

 

 

「私ね・・・中学ではそれなりにピアノができたから高校では結構期待されてたんだ。

 

でも・・・あるコンクールの最中にふと思ったの。なんで私はピアノをやってるんだろうって。

 

別に親にやれって言われたわけでもなく、将来ピアニストになりたいわけでもなかった。

 

それでそんなことを考えてたら・・・急に指が動かなくなったの。

 

演奏の途中で早く動かさなきゃって頭で思っても体は動いてくれなかった。

 

それからかな・・・ピアノの前に立つと急に怖くなって。今じゃ鍵盤にも触れない。」

 

 

俺は黙って彼女の話を聞いていた。だが・・・

 

 

想像以上に重くてなんて言えばいいのか全く思い浮かばない。

 

 

さっきはカッコイイところを見せるためにあんなこと言ったけど、桜内さんの悩みが思いのほか深刻だった。

 

 

ぐぬぬ・・・こうなったら

 

 

「・・・桜内さんはスクールアイドルとかに興味無いですか?」

 

 

「スクールアイドル・・・あぁ高海さんが言ってた。」

 

 

「ごめんね。そういうのにはあんまり・・・」

 

 

「じ、じゃあ今度の日曜に俺ん家に来ませんか?高海も渡辺も一緒に。それでみんなで見てみませんか?本物の『スクールアイドル』ってやつを。」

 

 

「本物の『スクールアイドル』・・・。それってすごいの?」

 

 

「実は・・・俺もちゃんと見たことはなくて、ネットとかでたまに見かけるっていうぐらいで・・・でもきっとあの人達なら桜内さんに何かを伝えることができると思います。」

 

 

「うん。分かった。今度の日曜日にみんなで一緒に見てみる。きっと・・・何かが変わりそうな気がするから。」

 

 

「では待ってますね。それとあの二人には俺が声を掛けておきます。」

 

 

 

 

 

「・・・そういえば海人君は私をスクールアイドルに誘わないの?

 

確かあなたもスクールアイドル部の部員でしょ?」

 

 

いやぁ本当は勧誘して入ってもらったら嬉しいけど

 

 

「今はただ桜内さんにスクールアイドルを知ってほしい。

 

根拠なんてないけど何か変わりそうな気がするから。」

 

 

「うん!私信じてみる!」

 

 

こうして俺と桜内さんの楽しいデートが幕を閉じた。

 

 

あぁ〜可愛かったなぁ・・・。

 

 

 

 

 




次回もできるだけあくします。

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