仮面ライダーW×戦姫絶唱シンフォギア 風が歌になって   作:クロ562

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※今回、オリジナルのメモリ、及びオリジナルW、更にはオリジナル形態のギアが登場します。苦手な方はお気をつけください。

あと、感想でディケイドのことを知っている翔ちゃんが今さら異世界ネタで驚いてることに違和感を感じるというものがありましたので、自分で言い訳のような解説をさせていただくと、
確かに翔太郎はディケイドの件から並行世界、異世界の存在は認知しています。
しかし今回の場合は相手が年端も行かぬ少女であったこと、仮面ライダーが存在しないこと、そして歌で倒せるノイズなど言ったディケイドの時とはまるで異なる異世界の説明を響のあのテンションで説明されたので、ガキの戯言と一蹴した。
という形になっております。
あと、感想の方、とても嬉しかったです!ありがとうございます!

では、第4話をどうぞ。


Nの愛した街/友のメモリ

─風都市内、風都タワー前

「切歌ちゃん!クリスちゃん!」

「響さん!待ってたデース!」

「おせーぞバカ!とっとと手伝え!」

風都タワー前へと来ると、そこではやはり先程戦闘したドーパント─いや、ノイズなのか?─と、これまた先程の立花響のような衣装に身を包んだ少女2人が戦っていた。

「響さん!こいつなんだかとっても硬いデス!」

「何発ぶち込んでも倒しきれやしねぇ!こいつがさっきお前がいってたヤツってことか!?」

「うん!そいつだよ!私も戦う!」

 

『Balwisyall nescell gungnir tron…』

 

立花響は胸のペンダントを構えると、さっきの時のような詠唱を唄い、その姿を変えた。

「♪〜!はぁぁあ!」

そのままの勢いでドーパントをぶん殴る。俺もダブルドライバーを腰に巻き、メモリを構える。

「フィリップ!俺達も行くぞ!」

【Joker!】

『あぁ、翔太郎』

【Cyclone!】

「『変身!』」

【Cyclone!Joker!】

再びダブルへと変身し、今度は最初からルナとトリガーのメモリへと入れ替える。

【Luna!Trigger!】

「立花ァ!俺たちが援護する!お前らは攻撃を続けろ!」

トリガーマグナムをぶっぱなしながら、立花響に声をかける。

「ええ!?なんデスかアイツ!?黄色と青のノイズデスか!?」

「くっ…新手か!?」

「切歌ちゃんクリスちゃん、違うよ!あの人は私たちの味方!」

立花響の仲間の少女─切歌とクリスと言ってたな─は一瞬異形の姿へ変わった俺に向かって敵意を向けるが、立花響はそれを一蹴して俺たちの銃撃に合わせるようにドーパントをぶん殴る。

「は、はぁ…味方デスか…」

「すっげー怪しい見た目してんだけどなぁ…ま、てめぇが言うならそうなんだろうよ!おいアンタ!アタシらの足引っ張んなよ!」

「そっちこそ間違えて俺たちの弾に当たんなよ!」

『翔太郎、大人気ないよ…』

2人とも一応は俺が味方だと理解したようだが、赤の装備に銀髪の少女がそんなことを言ってきたので、俺も言い返しておいた。フィリップがなんか言ってっけど無視だ無視。

 

「くそっ!なんだよあいつ!ホントに硬ぇな!?」

戦闘が開始してから既に10分は経過しようかという状況。ドーパントは俺たちの攻撃を意にも介してないかのようにピンピンしていた。

「一体全体、どんだけぶち込んだら倒れんだよアイツ!」

「流石にっ…疲れてきた、デス…」

「だとしても!ここで倒れるわけにはいかないんです!」

立花響達も流石に疲労の色が見えてきている。

「フィリップ、エクストリームで行けると思うか?」

『いや、あのドーパントはおそらく彼女たちの言っているノイズとやらの特色が強いように見える。理屈は不明だけどね、エクストリームでもおそらく対応しきれないだろう』

「だよなぁ!くそ、こうなりゃ一かバチかヒートトリガーのツインマキシマムで!」

『翔太郎!?軽率な行動は……!』

フィリップの静止も聞かず、ルナからヒートにメモリを変え、トリガーメモリをマグナムに込める。

そしてヒートメモリをベルト横のマキシマムスロットへと挿入しようとした時、ドーパントが腕を伸ばしてこちらへと攻撃してきた。

「何っ!?」

両手を同時に攻撃され、トリガーマグナムもヒートメモリも遠くへと弾き飛ばされてしまった。

変身維持の為、急いでサイクロンジョーカーへと変身しなおす…がそうしている間にも立花響達を振り切って俺たちへと向かってくるドーパント。下手に触れば肉体が炭化してしまうかもしれないため、こっちとしては距離をとるしかなく。結果としてトリガーメモリとヒートメモリとの距離が離れていく。

「くっ…」

距離を詰められてしまった為、攻撃を躱すことも手一杯となってしまった。実際、先程から数発ほど掠ってしまっており、その都度肉体の表面が炭化している。

「左さん!くっ……!」

少し遅れてドーパントと俺たちに追いついた立花響は弾かれたヒートメモリを取りに走り、メモリを掴んだ。

その時だった。

【Heat!】

「……へ?」

立花響が手に掴んだヒートメモリから、起動音声が聞こえた。

かと思いきや、ヒートメモリはそのまま宙を浮き始め、立花響の胸の宝石へと吸い込まれていった……って

「はぁあっ!?どうなってんだよフィリップ!」

『わからない…これは僕にもさっぱりだ!ゾクゾクするねぇ!』

「今してんじゃねぇ!」

「え、え、え、これなんですか!?ちょっとぉー!?」

ヒートメモリをとりこんだ宝石はさらに赤く輝き、その光は立花響を包み込んだ。

「立花ぁ!!!」

 

左さんがノイズに狙われて、赤と青のメモリを弾き飛ばされてしまった。

今は緑と黒で戦っているけど、あれだとノイズと肉弾戦しかできないみたいで、完全に防戦一方になっていた。

せめて落ちたメモリがあればと考えた私は近かった赤いメモリを手にしたんだけど…。

「なんですかこれぇー!」

メモリはヒート!と叫んだと思ったら私のギアのマイクユニットへと吸い込まれていき、代わりにマイクユニットがその赤さを増しながら更に光り輝いた。

その光は私を包み込み、かと思いきやいきなりギアに炎が燃えた。

「えっ!?嘘ぉ!?……って、熱く、ない?」

でも、その炎からは熱さは感じず、むしろ私に力を与えてくれるかのような暖かさを感じた。

『異世界の…少女よ』

その炎が激しく燃え盛った時、どこからか優しい男の人の声が聞こえてきたような気がした。

『私の愛したこの街を…そして仮面ライダーを…頼む』

その声が聞こえたと同時、体の炎は形を成し、光が晴れる。

「おいおい…あのバカ…なんだよありゃあ!」

「なんデスか!?あのギアは!」

「へ?って、これ何!?」

光が消え、私の姿を見直すと、ギアは大きく姿を変えていた。

腕と脚のギアは炎をそのまま固めたような形となり、スーツも真紅の色に染まっていた。

目には赤いゴーグルがつけられていて、頭部の形状も大きく変わっているみたい。

何よりも、体の奥から燃えるような力が湧いてくるのを感じた。

「これなら…はぁぁあ!!!」

私は勢いをつけてノイズへと飛びかかり─

「おらぁぁぁあ!!!」

思いきり、ノイズにアッパーをかましたのだった 。

 

「はっ!!てやっ!せい!はぁぁあ!!!」

ヒートメモリが入り込んだ立花響は、その姿を著しく変化させ、ドーパントに向かって殴り掛かり、現在完全に優勢に立っていた。

「おい、フィリップ…立花の攻撃…」

『あぁ、先程までとはまるで違う。確実にダメージを与えている』

どういうことだ…?まさか、ガイアメモリを取り込んだからか?

『その可能性は非常に高い。これは仮説だが、あのドーパントは彼女たちの言うノイズの性質を持ち合わせたドーパントなのだろう。さしずめノイズドーパント、と言ったところかな?故にダブルの力だけでもシンフォギアの力だけでも決定打を与えることが叶わなかった…しかし!』

「立花がヒートメモリの力を纏ったから、アイツにダメージが通るようになった、か…」

なるほどな。それなら話は通る。正確に言えば通じてはいたのだろうが、しかし受けたダメージとはもう片方の性質がそのダメージを軽減していたのだろう。立花響の話から断片的に得た情報で考えるなら、ノイズとやらが俺たちの攻撃をほぼ防げると仮定していい。故に俺たちの攻撃は足止め程度にしかならなかった。一方ドーパントの性能は人間の延長線みたいなものだ。故にシンフォギアでなら一定のダメージは見込めていた。さっきまでダメージがまるで通らなかったのは、おそらくノイズとドーパントの融合度が上がった、と見ていいだろう。

「はぁぁあ!!!」

と、立花響が仮称ノイズドーパントへ重い一撃を叩き込んだ時のことだった。

ノイズドーパントからメモリが排出されたのだ。

即座にノイズドーパントは腕を伸ばしてそのメモリを確保しようとする。

「フィリップ!」

『あぁ、必ずあれを掴み取るんだ!』

【Luna!Joker!】

サイクロンメモリをルナメモリへと変更し、ルナジョーカーへ。そのまま右腕を伸ばし、ノイズドーパントよりも一瞬早くメモリを掴みとる。

「これは…」

『ダブルのメモリと似ている…!だけど、T2では無さそうだ』

掴み取ったメモリにはNの文字。正式名称は……

「Noise…?」

『いや、違う。それこそがノイズだ。これは……!』

フィリップの言う通り、Noiseの文字が砂嵐のように滲み、消えていく。

そしてそこに表れた本当のメモリの名は

「ナ、ナスカ……だと!」

『何故、ナスカメモリがここに…しかもこの形状の!』

フィリップが狼狽するのも無理はねぇ。ナスカメモリは、かつてこの街を愛し、そして風となり散っていった俺たちのライバルにして俺の友、園咲霧彦の使っていたドーパントメモリだ。

それが何故このノイズドーパントから、しかも俺たちのメモリの形で出てきたのか、正直な所俺にもさっぱりわからない。

だが。

「フィリップ、こいつ使うぞ」

『翔太郎、本気かい?敵から出てきた正体不明のメモリを使うなんて…!』

「正体不明じゃねぇ。こいつは霧彦のメモリだ。はっきりわかる」

『そんなハズはない。園咲霧彦のナスカメモリは冴子姉さんが回収し、クレイドールによってメモリブレイクされたハズだ』

「ちげぇんだよフィリップ、そうじゃねぇんだ。そういう理屈じゃねぇ。心でわかんだよ…。俺を信じてくれ」

『……仕方ない。君がそうなると譲らないのは知っているからね。今回はボクがどこまでも相乗りする番さ』

「ありがとよ、相棒」

俺たちはルナメモリを抜き取り、そしてナスカメモリを構える。

【Nasca!】

「行くぜ…霧彦」

(あぁ、私たちの愛する街を、守るぞ。仮面ライダー)

「『(変身!)』」

メモリを装填し、ドライバーを展開する。

【Nasca!Joker!】

黄色のルナから、空を思わせる水色へ。

首にはオレンジのマフラーが巻き付き、身体が軽くなるのを感じた。

そして左手には、かつてのライバル、ナスカドーパントの使用した剣、ナスカブレード。

仮面ライダーW、ナスカジョーカーへと、俺たちは無事変身を遂げた。

 

「うぉらぁ!」

叩きつけるようにナスカブレードでノイズドーパントへと切りかかる。

「■□□□■□■■□!!?」

先程までとは異なり、ノイズドーパントは大きくよろめき、苦痛の悲鳴をあげた。

『攻撃が効いている?何故だい?翔太郎』

「簡単だ。立花がシンフォギアってやつを纏う際、歌ってたろ」

『あぁ、確か…Balwisyall nescell gungnir tronと…ガングニール…?まさか!』

「あぁそのまさかだ。ガングニールって響きだから混乱したが、つまりはグングニル。神代の槍のことだ」

『つまりあのノイズは、先史文明期の力に弱い、ということかい?』

「多分っな!だが!」

正直言えばこれは賭けだった。ナスカのメモリがヤツから出た理由もわからない以上、本当に攻撃が通るかまでは自信がなかった。

だが、霧彦が、背中を押してくれたような気がした。俺だけじゃねぇ。多分、立花響の背中も。

「何より、あいつの意思が残った力が届かねぇハズはねぇと思ったんだよ!」

『……やれやれ、キミはハーフボイルドだね』

「うるせぇ!…おい立花!」

「は、はい!」

俺たちのやりとりに完全においてけぼりになっていた立花響に声をかける。

「どうやらアイツにダメージ通せるのは、今は俺たちとお前だけみたいだ。呼吸を合わせていくぞ!」

「はい!」

立花響は俺の声に合わせて拳を構える。

まずは俺が一撃剣で切り込み、怯んだところを回し蹴りで吹っ飛ばす。

そこに立花響が拳を合わせて上空へとぶん殴る。

「行くぞ!」

「はい!」

掛け声に合わせ、ナスカメモリをドライバー横のスロット─マキシマムスロットへ差し込む。

【Nasca maximumdrive】

「はぁぁ……!!」

立花響も両腕を合わせ、右腕に装備を集結させる。

「『ナスカジョーカーエクストリーム!』」

俺たちはマントを羽根のように羽ばたかせ高速で宙に浮き、力を貯めたナスカブレードを横一文字に振り抜く。

「貫けぇえええ!!!!!」

その直後に全ての力を溜めた拳をノイズドーパントへと立花響がぶち込んだ。

「!!??!!■□■□■□■■□■□?!!!!??!」

俺たちと立花響が地面へ着地すると同時、ノイズドーパントは断末魔をあげながら爆散した。

「おお…ついにやったぜ!」

「響さーん!やったデス!勝ったデース!」

向こうから立花響の仲間が向かってくる。

「うん、切歌ちゃん、クリスちゃん、やったね!」

3人でハイタッチをしている立花響たちを横目に、俺たちはノイズドーパントの変身者を探す。しかし…

「どこにもいねぇな…逃げたか?」

『いや、ひょっとすると、変身者はそもそもいないのかもしれない』

「おいおい、それってどういうことだよ、フィリップ…」

『まだわからない。一度彼女たちの世界へ行ければ、あるいはなにか掴めるかもしれないが…』

あまりにも情報が不足しすぎていて、俺たちが行き詰まっていると、立花響はあっけらかんととんでもないことを言い出した。

「え!じゃあ行きますか?私たちの世界!」

「……はぁ!? 」

立花響の顔を見返すと、立花響は「?」と能天気な顔で笑っていた。




暁切歌「流石は響さん!よくわかんないノイズも無事に倒せたデース!でもあのギアはなんだったんデスかね?カッコよかったデース!」

次回、仮面ライダーW
「前見た時にはこんなもんなかったぞ…?」
「で?誰が残る?」
「ようこそ、S.O.N.G.へ。君を歓迎しよう」
「ここが並行世界…ゾクゾクするねぇ」
これで決まりだ。

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