とある飛空士への召喚録   作:創作家ZERO零

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第1章《転移召喚編》
第1話〜接触〜


中央暦1639年1月24日午前8時

 

クワ・トイネ公国軍 第六飛龍隊 哨戒任務中の竜騎士

 

空。

 

透き通るような青い空。文字通りの快晴、視界はまっさらな青に染まり目を彩っていた。雲は遠くに見えるのみで透明度が高くはっきりと見えていた。

 

その空に、一際勇ましい姿をした生き物が羽ばたいていた。漆黒の胴体に、鋭い尻尾。手と一体化した巨大な翼。そして炎を吐き出さんとするような大きなトカゲのような口。

 

現代のものがそれを見たならば、『飛竜』と呼ぶだろう。クワ・トイネ公国の竜騎士マールパティマは、『ワイバーン』と呼ばれるその飛竜を操り、公国北東方向の警戒任務に就いていた。

 

 

「!?」

 

 

竜にまたがり警戒任務についている彼は、海原の向こうに何か光るものを見つけた。

 

 

「なんだ、あれは!?」

 

 

自分以外に誰もいるはずのない空に、何が見えた。緊張が高まる隣国のロウリア王国からここまで、ワイバーンでは航続距離が絶対的に不足している。そのため、先に哨戒に出た友軍騎以外には考えられない。やがて、光の粒のように見えた飛行物の全容が明らかになる。それが近づくにつれ、いよいよ味方のワイバーンでないことを確信した。

 

 

「羽ばたいていない……?」

 

 

遠目に見える翼は、全く羽ばたいていなかった。カモメの翼を逆向きにしたような翼のシルエットは、まるで滑空する渡り鳥のように動いていない。

 

 

『我、未確認騎を発見。これより要撃し、確認を行う。現在地は……』

 

 

彼は迷わず通信魔法具を用いて司令部に通信をする。これから未確認騎への接触を行うことを手短に伝える。幸いにも、未確認騎との高度差はほとんどない。こちらのことを知ってか知らずか、真っ直ぐ裏庭を散歩するような飛び方で進んでいる。

 

彼は未確認騎と一度すれ違ってから距離を詰める作戦を立てた。そして、竜騎士は未確認騎と高速ですれ違った。接触は相手の方から避けてくれた為、空中衝突することはなかった。近くから見れば、その騎の異様さが伝わる。

 

ピンッと貼ったカモメの様な翼に、真っ青な海に溶け込む体色。青色の胴体に盾に剣が携えられたマークが描かれ、翼を羽ばたかせずに飛び、鼻先についた四枚の風車が高速で回転していた。尻尾は尖っておらず、代わりに水平の羽を挟み込む様な垂直の二枚の羽が付いていた。彼はすぐさま愛騎を羽ばたかせて反転し、そして一気に距離を詰める……はずだったが、全く追いつけない。

 

 

「速すぎる……!」

 

 

ワイバーンの最高速度は時速235キロ。生物の中では改良種を除いてほぼ最速を誇り、機動性に富んだ正に『空の王者』だったはずだ。しかし、それが全く追いつけなかった。最早、相手が生物なのか怪しかった。

 

 

「くっっ……!なんなんだ、あいつは!!」

 

 

驚愕の一言であった。

 

 

『司令部!司令部!我、未確認騎を確認しようとするも速度が違いすぎて追いつけない!!未確認騎は本土『マイハーク』方面へと進行!繰り返す、マイハーク方向へ進行した!!』

 

 

やがて、竜騎士は完全に振り切られてしまった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

神聖レヴァーム皇国空軍 とある水上偵察機

 

レヴァーム空軍水上偵察機サンタ・クルスは巡航速度で大陸に入っていった。島と呼ぶには大きすぎる陸地。真昼間の暖かな日差しから降り注ぐ太陽の元、穀倉地帯らしき畑群が色とりどりの穀物を咲かせている。

 

 

「凄いですね、辺り一面畑だらけだ」

 

 

興奮鳴り止まない後部座席をなだめるより先に、操縦席に座った狩乃シャルルは驚愕で固まっていた。現在地はレヴァームのシエラ・カディス群島から()()()()()()()()()南側へ約1000キロ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

神聖レヴァーム皇国。

 

帝政天ツ上。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()この世界において、その二つの強大な国家の存在を知らぬ者などいない。そもそも、人類は大瀑布を隔てたその二つの国家にしかいないはずだ。そのほかに国家はもちろん、大陸などもあるはずがなかった。世界は東方大陸と西方大陸の二つしかなく、残りは果てのない海と端のない滝だけである。それが世界の常識だったはずだ。

 

 

「凄いなぁ、さっきの竜といい、あの地平線といい、本当に()()()に来ちゃったのかな?」

 

 

水上偵察機、サンタ・クルスの後部座席に座っているメリエル・アルバスは少々興奮気味にるんるんと語り始める。

 

メリエル・アルバス、彼女は若干20歳ながらもレヴァーム空軍のエースパイロットに入る逸材だ。その明るい性格で他の飛空士達とも仲の良い。元水偵乗りで、サンタ・クルスにも乗ったことがある。

 

今回、彼女がサンタ・クルスの後席に選ばれたのは、彼女の水偵乗りとしての技量を買われたからだ。メリエルとシャルルは顔見知りで、メリエルの方からよく絡んできており、シャルルのことを「さん」付けで呼んでくれている。

 

 

「シャルルさん?聞いてますか?」

「え?あ、うん……聞いてるよ。にしても勝手に領空侵犯をして本当に大丈夫なのかな?」

「仕方ないですよ、命令では「領空侵犯をしてでも情報を持ち帰れ〜」と言っていましたから」

 

 

そう、彼らが勝手にこの国の領空内に入っているのは、上官からの命令に尽きる。世界がまるっきり変わってしまった以上、周辺の情報を模索する必要があったからだ。

 

 

「にしてもあの竜かっこよかったなぁ、見た目はレヴァームの竜に似ていたけど……」

 

 

キラキラと目を輝かせて語るメリエルに、シャルルは少し引き気味だ。彼女の言葉のその中には興奮の模様が映し出されている。そして、シャルルの目線の先。遠い遠い大陸の向こう側は空と陸地の色で隔てられている。これは、()()()()にはないはずだった地平線だった。

 

 

「?」

 

 

その視線の先、わずかに空気で霞む空に小さな点がポツポツと見え始めた。目を凝らしてよく見れば、それらは編隊を組んで羽ばたきながらこちらへ向かってくる。シャルルの天性の視力は一万メートル離れていても見つけられる。先ほどの竜の仲間だろうか?

 

 

「前方、距離一万にさっきのと同じ飛竜がいる」

「了解、確認しますね」

 

 

メリエルが双眼鏡を取り出して前方のひらけた空を見据える。ぽつんぽつんと見える大きな鳥のようなものが12、サンタ・クルスと同高度で相対している。

 

 

「数は12機、いや『12騎』か。真っ直ぐに接近してきます」

「迎撃?」

「いえ、それはないと思いますよ。さっきの竜騎士、通信機なんてものは持ってなかったですし」

 

 

シャルルもメリエルと同じくスクランブルだとは考え辛かった。相手の装備から察するに、遠く離れたこの場所まで即座に情報を伝達できる代物があるとは思えなかった。

 

12騎は速度を変えずにそのままサンタ・クルスめがけて隊列を組んだ。ドラゴン達は相対速度を変えないまま正面に相対する。ドラゴン達の鱗と模様まで見て取れる。しかし。

 

 

──避けろ。

 

 

「!?」

 

 

どこからか、そう囁くかの様な声が聞こえた。まるで、自分以外の誰かがシャルルに危険を知らせにきた様な感覚だった。理屈ではない、シャルルの周りの何かがあのドラゴンが敵意を向いていることを察知したのだ。直感の様なものだった。

 

 

──今すぐ避けるんだ!

 

 

一瞬目を凝らして相手のドラゴン達をよく見れば、口の中に光り輝く炎の様が光っていることに気づいた。

 

 

「メリエル!捕まって!!」

 

 

後席の返事を待つことなく、シャルルはサンタ・クルスを翻した。シャルルは一瞬のうちに操縦桿を左胸に引き寄せると、右フットバーを思いっきり蹴りつけた。その操作に補助翼と操舵翼が反応してサンタ・クルスは反時計回りに急横転した。

 

 

「うわぁ!!」

 

 

あまりに急な出来事であったため、メリエルはわけもわからず振り回される。その機体の真横を、火球達が12個。サンタ・クルスを炙る様に横切って行く。こちらを撃ち落とさんとばかりに12個の弾幕達が、さっきまでサンタ・クルスのいた場所を通り過ぎて行く。

 

 

「いきなりどうしたんです!!」

 

 

メリエルの疑問に満ちた声が伝音管に轟く。サンタ・クルスの後部座席は前席と向かい合っているために前方から見えるドラゴンの様子がわからなかった。

 

 

「攻撃してきた!あのドラゴン、こっちを撃墜しようとしている!!」

「嘘!?」

 

 

シャルルは後方を振り返らずにそう答える。メリエルにも、ドラゴン達が一斉に反転して追撃の体制に入っているのが目に入った。

 

 

「後方から竜が追尾してきます!」

「捕まってて!!」

 

 

報告を聞いたシャルルの反応は早かった。スロットル把柄に手を掛けて最大まで上げる。フルスロットルを超えたサンタ・クルスのオーバーブーストが作動し始めた。プロペラが唸り、排気管から青白い排気炎と白煙を噴出する。

 

 

「ちゃんと電力数えてるんですか!?」

「もしもの時はフロートで着水するから!」

「そんな!?」

 

 

メリエルの呆れと驚愕が混じった声に返す暇はなかった。シャルルは操縦桿をまっすぐにしてとにかく機速を上げることに集中していた。そして、シャルルは手頃な雲を見つけた。快晴の空の中にポツンとあった大きめの雲だ。迷わずそこに突っ込んで行く、水滴が風貌に取り付き、小さな雨の中にいるかの様だ。

 

 

「くっ!!」

 

 

雲中飛行は水偵に乗ったシャルルの十八番。かつての中央海戦争のあの作戦で頻繁に潜った雲の中、空間失調症になることはまずない。やがて雲が晴れる。雲中飛行にしては短い長さだった。オーバーブーストは続いている。後方の空に一直線の排熱の煙が立ち上り、飛行機雲の様な形を作り出す。

 

振り返ると後ろにあのドラゴンは一匹もいない、振り切ったのだろうか?シャルルは前から新しいドラゴンが出てこないか見張りながら全速飛行を続ける。

 

 

「!?、あれは……」

 

 

すると、遠目の地上に城か砦の様なものが見え始めた。地上の陸地に敷設させられた赤土の滑走路とテント作りの建物。一目見たなら、飛空場だと確信するであろうその施設。その赤土からまた新たに数騎のドラゴン達が滑走して行く。新たな迎撃騎がシャルル達を出迎えていた。

 

 

「お出ましだな……!」

 

 

サンタ・クルスの腹めがけて一気に上昇する構えだ。おそらく迎撃の第2波、またドラゴン達に弾幕攻撃を受けるだろう。やけに情報伝達が早い。先ほどの迎撃といいまるで通信設備があるかのような迅速さだ。おそらく、何らかの力による通信設備が整っていると考えていい。

 

 

「シャルルさん!!」

「分かってる!!」

 

 

ならば、逃げ延びる手段はただ一つだ。シャルルは操縦桿を前に一気に押し倒す。機体が地面に向かって急降下して行く。高度を下げたことによって機速はむしろ増している。

 

おそらく相手機はすれ違うほんの一瞬で攻撃を仕掛けてくるであろう。ならば、その照準を狂わせるためにまっすぐに突っ込んで相対速度を上げるしかない。

 

降下角度は60度。急降下爆撃もかくやという角度と速度だ。機速はスペック上の最高速度をゆうに超えており、サンタ・クルスのジェラルミンがガタガタと揺れる。シャルルの腕でなければ、あっという間に空中分解する機速だ。その手前、空を登っている竜に乗った飛空士の目が見開かれるのが見えた。

 

サンタ・クルスとドラゴンは高度二千メートルですれ違った。横目に飛空士の唖然とした様子を流しつつ、すぐに引き離す。時速は700キロを超えている。

 

すれ違ったのを確認したシャルルは、操縦桿を一気に引き戻して大ぶりの上昇をし始める。上昇角度30度、速度がガタンと落ちる。しかし、続けていたオーバーブーストにより機速を保っている。

 

 

「このまま一気に6000まで登る……!」

 

 

プロペラとDCモーターの電気音に身を包み、サンタ・クルスはぐんぐんと高度を上げて行く。後方を振り返っている暇はない、あのドラゴンがどこまで速度が出るかわからない以上、一心不乱に逃げ続けるしかないだろう。

 

 

「!?、シャルルさん!」

 

 

後席から伝音管越しにメリエルの声が聞こえる。同じ水偵乗りで目のいい彼女は、また新手のドラゴンを発見したのかもしれない。シャルルはじっと彼女の報告に耳を貸す。

 

 

「ドラゴンが追いつけていない様です……」

「え?」

 

 

だが、その報告は拍子抜けたものだった。思わず上昇をやめて水平飛行に移る。高度は約5000メートル。呆気にとられて後ろを見る。振り返った先には驚異と見なしていたドラゴンの姿は全くない。

 

 

「えっと、高度4000メートルあたりで息が切れている様です。これ以上登ってこれないみたいですね」

「4000でスタミナ切れって事?」

「多分そうですね。速度も200キロくらいしか出ていませんし、どんどん引き離されています」

 

 

なんと拍子抜けな。どうやら相手のドラゴンはシャルルが警戒したのよりもずっと『生物』という単位に縛られていたらしい。たしかに生物なら飛空機械と違い、空気の濃さも関係なしに高度4000まで上がればそれでスタミナが切れるだろうし、風の影響をもろに受けるから速度も出そうとしても出せない。

 

 

「これじゃあ、オーバーブーストは使わない方が良かったね……」

「ですね……」

 

 

今の空戦機動で電力残量がかなり減ったと後悔する、今となっては遅いことだったが。一応、サンタ・クルスは着水すれば電力を補給できるようにはなっているとは言え、やはり電力残量は心配の種だ。

 

 

「?」

 

 

シャルルが前方に何かを見つけた。大陸の小麦色の穀倉地帯とはまた違う、優しい色の文明の影であった。

 

 

「都市だ……」

「え?」

「海の向こう側に都市が見える」

 

 

観音寺もその方向へと目を向ける。後方から振り返る形だが、目が鍛えられたメリエルにはそれでも十分見えている。海の向こう側なので、機体の高度からも見えやすい。

 

 

「本当だ、街が見えますね」

「うん、行ってみよう」

 

 

シャルルはサンタ・クルスを翻す。翼の揚力を頼りに突き進む。その都市は経済都市マイハークと言った。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

ロデニウス大陸の北東に位置するクワ・トイネ公国。

 

超農業大国の北東に位置する経済都市マイハーク。古びた洋風の建築物が立ち並び、市街地の中央部を走るメインストリートは石畳で舗装され、馬車や陸鳥が行き交い活気には触れている……普段は。

 

突然、大きな音とともに扉が開かれ、中から20代半ばくらいの女性が血相を変えて飛び出した。

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ……」

 

 

女性は体型にフィットしたぴっちりの鎧を着ており、腰に帯剣しつつ背中にも弓を背負い、帯剣したのとは逆側の腰には弓矢を携えている。その勢いの女性の後ろには、部下と思わしき若者達が続く。平和な街での異様な光景。全員が鎧を装備し、顔は緊張に包まれていた。彼らはマイハーク城の片隅にある城壁の上に走って並ぶ。鎧をつけた彼らは、息を整えながら上空を見上げた。

 

 

「まもなく未確認騎がこのマイハーク上空に飛来する!第六飛竜隊からの報告によると未確認騎はワイバーンよりも早い速度で侵入してくるぞ、総員配置につけ!!!」

 

 

騎士団の面々は左手に弓を持ち、矢をつがえて再び上空を見上げる。

 

 

((防衛と言っても、どこまで対応できるのか……)

 

 

イーネは心の中でそう呟いた。防衛隊、と言っても本来はこんな飛竜相手に立ち向かう様な勇気のある者達ではない。そもそも、歩兵はワイバーンには勝てない。

 

ワイバーンはたった一騎で万単位の騎士団を足止めでき、火炎弾や火炎放射で歩兵を焼き尽くす。弓やバリスタで対抗しようにも外皮は厚く、とても通らない。ワイバーンに対抗するにはワイバーンしかいないのだ。

 

 

「来たぞーっ!!」

 

 

東方向を監視していた棟の騎士団員が大声で叫ぶ。一斉に視線が東方向に集まる。粒の様に見えたそれは、やがて全容を表す。やがて「オオオン」という聞きなれない音があたりの空に響いた。

 

 

「あれは……」

 

 

しばらくすると騎がワイバーンの届かない高度を悠々と飛行してやってきた。マイハーク上空にたどり着いて見えてくるそれは、まるで渡り鳥の様だった。

 

 

「敵襲ーっ!!」

「うわぁぁ!!」

「退却だ!退却しろ!!」

「留まれ!持ち場を離れるな!!」

 

 

聞きなれない音と見慣れないシルエットに、騎士団はパニックに陥った。かろうじてイーネとその周りの若い騎士は平然を保っているが、不気味な音は神経を逆なでする。

 

 

「この音は何だッ!?」

「精神魔法かもしれん!耳を塞げ!!」

 

 

イーネほ手に持った矢をつがえて上空へ向ける。矢の向かう先は海、ここからなら撃って外れても民間人に当たることはないだろう。そして、ひょう、とつがえた矢が放たれる。しかし、無情にも矢は届く前に落ちて行き海に落ちる。

 

 

「無駄か……」

 

 

ワイバーンなら攻撃手段はあるにはあるが、第六飛竜隊は先程二回も緊急発進し、戻ってくる途中。現時点での対抗手段は地上からの弓による射撃しかなかったが、明らかに届かなかった。

 

 

「あ……あれは一体なんだ!?」

「ワァァーッ!化け物だ!!化け物が攻めてきたぞ!!」

 

 

イーネは城壁の内側の街並みを見据える。街の人々の顔は恐怖でひきつっていた。住民達が逃げ惑い、路上は隠れる場所を求めて走り回る人々で騒然となる。家にいるものは窓と扉を次々に閉めた。家の中で耳を塞ぎ、子供を抱き抱えて震えているものもいるだろう。

 

パニック状態の住民や騎士団を尻目に、イーネは未確認騎の全容を見据える。空に溶け込む青い騎体。そして羽ばたかない翼はカモメの翼のようなシルエットをしていた。あの体色、そして海の向こうからやってきたあの騎体はまるで……

 

 

「海猫……」

 

 

長い長い海を旅し、鳥のくせに猫みたいにみゃあみゃあと鳴く鳥。その騎の葵い見た目に思わず美しいとさえ思った。平和な街並みに恐怖をもたらした物体だっが、何をするでもなく要所要所を旋回したら満足そうに北東に飛び去っていった。

 

 




メリエルは聞いての通りのオリキャラですね。
誰がモチーフになっているかは御察しの通りです。

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