とある飛空士への召喚録   作:創作家ZERO零

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第64話〜デュロ空戦〜

パリン。

 

そんな音がレミールの手元から聞こえてきた。リーム王国王都ヒキルガに設けられた宮殿には、レミール達パーパルディアからの亡命者達がラジオを聞いていた。

 

 

「これは……どういう事だ……?」

 

 

レミールの手元からグラスが落ち、凄みを効かせた声が部屋に響き渡る。

 

 

「…………」

「私が……国賊だと……しかもルディアス陛下まで……!」

 

 

レミールはワナワナと震え、そして怒りが沸き立った。

 

 

「そうだ……あの女狐だ……! あの女狐がルディアス陛下を唆したのだ!!」

 

 

レミールは辺りのテーブルに乗せられた書類をぐしゃぐしゃに丸め、破き、そして辺りに散らかした。

 

 

「アルゥデェェェェ!!!」

「は、はいぃ!!」

「あいつだ! あの女狐の息の根を必ずや止めロォォォォ! 軍を総動員して再軍備にカカレェェェェェ!!」

「は、はいぃぃぃぃ!!」

「私は諦めん! 諦めんぞぉぉぉ!! 絶対に捕まってなるものか!! そうだ、私はこのまま世界の母ニィィィ!!!」

 

 

レミールは狂気に満ちた。その中には、レヴァームと天ツ上への恐れと恐怖があった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

貴国の行いは明るみに出ている。

神聖レヴァーム皇国と帝政天ツ上は貴国の行動に遺憾の意を示す。

直ちに国賊レミールの身柄を神聖レヴァーム皇国と帝政天ツ上へ引き回し、パーパルディア皇国軍の残党を貴国の軍から引き離されたし。

万が一この要求が飲めない場合は、貴国を第三文明圏およびフィルアデス大陸における重大な脅威とみなし、神聖レヴァーム皇国と帝政天ツ上は宣戦布告も辞さぬ覚悟である。

なお、この貴国に対する宣戦布告はフィルアデス大陸73カ国連合からも同時に行われるであろう。

貴国の賢明な判断を期待する。

 

キルタナの持ってきた外交文書には、こう書かれていた。

 

 

「なっ!? な……な……」

 

 

国王バンクスは、狼狽する。理解が追いつかず、そんな間抜けな声しか出せなかった。彼はレミールを匿った理由として、宣戦布告をされる事はないだろうと甘く見ていたことが挙げられる。

 

しかし、この外交文書にある通り、レヴァームと天ツ上はリームへ宣戦布告も辞さない覚悟であると明記されている。しかも、その場合フィルアデス大陸の73カ国連合まで敵に加わるという。

 

 

「陛下、レヴァームと天ツ上が本気であることは明らかです。あの女を引き渡さなければ宣戦布告され、さらには、フィルアデス大陸の73カ国連合まで敵に加わってしまいます! 陛下、どうかご再考を!!」

「なっ……ああ……!」

 

 

キルタナはそう言った。が、バンクスはそこまで言い残し、泡を吹いて気絶した。辺りに医者を呼ぶ声が響き渡った。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

パーパルディア皇国の工業力の要ともいえる、東の工業都市デュロ。東の沿岸部に工場が密集しており、海岸線に沿って北側、南側が居住区。

 

西側に皇国三大基地の一つ、デュロ防衛隊陸軍基地が構える。この基地にはワイバーンオーバーロードも多数配置されており、北からの敵の侵攻に対する防衛の要だ。

 

基地内の司令部部棟の会議室にて、定例幹部会が行われていた。デュロ基地司令のストリームを含め、竜騎士長ガウス、陸軍将軍ブレム、海軍東部方面司令ルトス、その他副官や総務部長などの幹部も揃っている。この会議では、装備品、人事、様々な運用状況と今後について議論されている。……普段であれば。

 

 

「皆、先日皇都から緊急連絡があったことは知っておろう。皇都防衛隊陸軍基地は全滅、海軍戦力も大半が撃沈され、海軍本部も消滅した……皇都は上陸占拠され、皇都は敵の手に落ちた……」

 

 

会議室が重苦しい雰囲気に包まれる。工業都市デュロが占拠されたなら、まだ国は残る。が、皇都を失ってしまっては皇国を失ったも同然だ。

 

 

「幸いにも、皇都にいたレミール様は無事でリーム王国へ亡命できたそうだ。敵は次はこのデュロに攻めてくるだろう、各員の対策を求む」

 

 

幹部各員が口をつぐむ、明確な対策を考え出そうとしている。

 

 

「まず、竜騎士長ガウス。敵が使用してくるであろう飛行機械に対する対策はどうする?」

「飛行機械に対しては、ワイバーンオーバーロードにて対処します。竜騎士は半数を残し、西側の訓練飛行場に退避させて被害を分散します。もちろん、いつでも出撃できるように準備を整えて」

「勝てるか? 制空権を取られたら次は上陸してくるぞ? それから海からの侵攻も考えられる」

「哨戒に常に20騎を出します。不意打ち対策として分隊飛行は1騎が海面すれすれを飛ばせ、もう1騎は可能な限り上昇させます」

 

 

この高度を分ける戦術は、パ皇軍で不意打ち対策として挙げられている戦術だ。神聖ミリシアル帝国やムーを相手にするような時に使われる戦術である。これを文明圏外国との戦闘で選択することは彼らにとって屈辱的だが、致し方ない。

 

 

「ワイバーンオーバーロードも皇都周辺から増援が来ています。ですが……あまり数がいません、皇都周辺のワイバーンは軒並み全滅しているそうでして」

 

 

そのワイバーン全滅の原因を作ったのが、まさかたった一人の飛空士によるものだとは、彼らは知る由もない。

 

 

「ふむ……まあ増援は居ないよりマシか……して、海軍の方はどうだ?」

「海軍はすぐにでも出撃させます。監察軍を含めた500隻を超える大艦隊ですから、レヴァーム本土への攻撃にはうってつけです。必ずやレヴァーム本土、サン・クリストバルを火の海に変えて見せましょう!」

 

 

第三国から極秘に入手したレヴァーム本土の地図と海図、それを元にレヴァームの首都エスメラルダにほど近いサン・クリストバルという都市を攻撃目標に決めていた。だが、そこに要塞がある事を彼らは知らない。

 

 

「司令、おそらく敵はこれ程の防御を徹しても侵攻してくる可能性があります」

 

 

その時、陸軍将軍ブレムが冷静に意見を具申した。

 

 

「これ程の防御を徹しても、か?」

「はい。皇都への攻撃に使用された対地攻撃から基地を守るには、やはり対空魔光砲を使用するしかございません」

「た……対空魔光砲を使うだと!?」

 

 

対空魔光砲、それは誰もが認める最強の国家、神聖ミリシアル帝国で正式採用されている対空兵器である。

 

帝国の技術に少しでも追いつく為、そして仮想敵国であるミリシアルの兵器の性能を探る為に、秘密裏にパーパルディアが輸入していた。

 

多くの技術者が籍を置く工業都市デュロに運ばれ、これまで長い期間解析が行われてきたが、魔術回路が複雑すぎて複製も解析も進んでいない。

 

検証用で6門程しかないが、性能テストにおいてはワイバーンロードに対して驚くべき撃墜判定を叩き出していた。皮肉なことに、このデュロにある兵器の中では、最も高性能な兵器であった。

 

 

「あれを使うには……魔導エンジンの出力が足りんと聞いたが……?」

「魔導エンジンは使い捨てにして、その都度入れ替えます。そうすれば何度も撃つことができるでしょう」

「ぬ……う……仕方あるまい。もし防衛線が突破されて、何もできずに破壊されるよりはよかろう……あれを使えば、皇国も凄まじい兵器を持っていると敵も警戒せざるを得んだろうしな」

 

 

こうして、対空魔光砲の使用許可が下りた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

透き通るような青い空を、遠くに見える白の美しい水平線に向かって、ワイバーンオーバーロードが2騎、ガウスの指示通りに上下に分かれて分隊飛行していた。

 

パ皇軍でさえも打ち破るほどの強敵神聖レヴァーム皇国と帝政天ツ上。文明圏外国家でありながら皇国と対等以上に渡り合うレヴァームと天ツ上に対し、竜騎士中隊長マグネはある意味感心していた。

 

 

『マグネ隊長、ついにレヴァーム天ツ上と戦えるかもしれませんね』

 

 

血気盛んな若手の竜騎士サルクルが、上空から魔信でマグネに話しかけた。皇都の占拠は、一般兵にはまだ知らされていない。

 

ネガティブな戦闘結果は、せっかく上がった士気を下げてしまうので、デュロ防衛隊上層部で機密事項とされた。どこもかしこも、緘口令だらけだ。

 

 

「そうだな。しかし、決して油断するなよ! 列強国を相手にすると思って、全力でかかれ!」

『任せてください! ムーだろがミリシアルだろうが、私が落として見せますよ!』

 

 

自信満々の部下に、マグネはこっそりと苦笑いをする。若いな、それがマグネのサルクルに対する印象だった。

 

 

「ああ、活躍を楽しみにしている」

『しかし隊長、変な哨戒方法ですね。何故ガウス竜騎士長はこんな変な……飛び方まで指示なさったのでしょうか?』

「さあな」

 

 

確かに不可解な命令だった。2騎一組の分隊で哨戒を行う。ただし、1騎が海面近くを飛行して、もう1騎が限界高度を飛行する。今までにない哨戒飛行だ。

 

これには、マグネも首を傾げざるを得なかった。海面への激突を避ける為、練度の高いマグネが必然的に危険な低空飛行を行う。マグネは疑問を持ちながらも、忠実に任務を遂行する。その時だった。

 

 

「──ん? なんだ!?」

 

 

見通しの良い空の上、太陽のあたりに何か黒い点のような物が見えた。

 

 

「!!」

 

 

常人の目では、気づくことすら出来なかっただろう。しかし、竜騎士という常人離れした感覚の持ち主には、それが感じられた。

 

 

「太陽を背に……!」

 

 

魔信越しにそう叫びそうになった時、サルクルが血飛沫に彩られた。

 

 

「なっ……何っ!?」

 

 

サルクルは何かに斬られたかのように真っ二つとなり、肉片が雨のように落下していった。そして、サルクルのいた場所を黒い何かが通り過ぎていった。

 

 

「ひ……飛行機械!!」

 

 

初めて見るが、あれがムーの飛行機械だということがすぐに分かった。風車のような風車が、蚊のような胴体の後方に付いている。それが、恐ろしく速い速度で過ぎ去っていった。

 

 

「緊急! 緊急!! 敵の攻撃だ! 08分隊方向に行った!! 回避行動を取れ──ッ!!!」

 

 

マグネは魔信を握って力一杯叫んだ。

 

 

『こちら08分隊、攻撃の詳細を……!!』

「相手は飛行機械だ!! そっちに向かったぞ──ッ!!」

 

 

どうやら海面にいるワイバーンは狙わず、高空にいるワイバーンを狙っているらしい。

 

 

『ちくしょう!! 飛行機械──グギャッ!!』

『08分隊、一騎撃墜された!』

『くそぅ!!アスタルが! アスタルが!!』

 

 

次々と湧く戦死報告、あっという間に何騎ものワイバーンオーバーロードが撃墜され、今までにないほどの絶望感を味わう。

 

マグネの僚騎サルクルは、若く血気盛んだったが、周囲の人間に気を遣えるハキハキとした性格で、いい奴だった。アスタルは少し大人しいが、先月長男が生まれ、幸せそうに自慢していた。

 

 

「ちくしょう! 家族になんて説明すれば……ちくしょぉぉぉぉぉ──ッッ!!!」

 

 

と、低空飛行をしていたマグネにも、その破壊の死神が迫ってきたのを感じた。

 

 

「ヒィッ──!!」

 

 

思わず情けない声が出る。ワイバーンを操縦し、騎体を横に傾けるとそこを光弾が通過していった。背筋が凍る、あれがサルクルやアスタルを殺った攻撃なのだと理解した。

 

後ろを見る、飛行機械の全容が見える。死神のような黒い色に後部の風車、鳥のクチバシのような尖った機首。見たことのない兵器だった。

 

そして、その翼に三日月のマークを見つけることができた。地上で噂になっていた、天ツ上とかいう国の国籍マークだった。

 

 

「本部! 本部!! 敵は天ツ上……」

 

 

と、そこで通信は途絶えてしまった。マグネの乗ったワイバーンオーバーロードは、真電改の30ミリに貫かれて竜騎士ごとバラバラになったのだ。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

『ワイバーンを撃墜』

「よし、このままデュロまで向かうぞ」

 

 

帝政天ツ上海軍に異動となった波佐見真一()()は、昇進後初めての戦闘をこなしていた。ロウリア戦役での指揮能力を買われ、晴れて大尉にまで昇進した波佐見は新鶴型飛空母艦『新鶴』から離陸して爆撃機隊の援護をしていた。

 

本作戦には、『新鶴』の他に『白鶴』『凰龍』『神龍』の計4隻の新鶴型飛空母艦が参加している。2隻体制が2隊、万全なる布陣であった。

 

作戦は、デュロ上空の航空優勢の確保と陸上攻撃機の護衛。真電改には、もしもの時に備えてレヴァーム製対地攻撃用噴進弾を搭載されている機体もある。

 

哨戒していたワイバーンを短時間で全て撃墜し、十分ほど進むとそれが見えた。工業都市デュロ。工業都市の名がつく通り、パーパルディア皇国の工業と技術の全てが集まる重要性の高い都市だった。

 

天ツ上軍はエストシラントに上陸し、そのまま一直線にデュロへと向かう陸上部隊の制圧を円滑に進める為、あらかじめこのデュロを攻撃する必要がある。それを受け、波佐見達は攻撃を仕掛けようとしていた。

 

 

「来たぞ、ワイバーンオーバーロードだ」 

 

 

波佐見の視線の先、そこには数百は下らない数のワイバーンオーバーロードが布陣していた。

 

 

『なんてことだ……空がトカゲだらけだ……』

 

 

部下の樋口浩介大尉が、愚痴を漏らす。彼もパーパルディアの国力に呆れているのだろう。

 

 

『前方だけでも200、奥には300もいるんじゃないんですか!?』

 

 

波佐見のもう一人の部下、神藤一貴中尉も思わず狼狽しかけた。数を正確に見れば、真電改120機だけでは到底足りない。

 

 

「各地からワイバーンをかき集めてきたんだろう、あいつらを全部撃滅しなければ、デュロは攻略できん!! 行くぞ!!」

『『了解!!』』

 

 

彼ら三人は、真電改を加速させて高空からワイバーンに向かって突撃していった。それを合図に、周りの機体達も三段に分かれて高度を下げていく。

 

 

『不意打ちでワイバーンを倒したくらいで、いい気になるなよ天ツ上!!』

『皇国の竜騎士の凄みを思い知れ!!』

 

 

高度5000メートルからの急降下ダイブ、スロットを絞りつつ最大速度を叩き出す。

 

 

「そこだっ!!」

 

 

波佐見は機銃の引き金を引き、30ミリをワイバーンオーバーロードにお見舞いした。ワイバーンと竜騎士がバラバラに砕け散り、肉片となって墜ちていく。

 

 

『グァッ!!』

 

 

中央海戦争時にとある飛空士から「下手くそ」と呼ばれていた波佐見だったが、その後は鍛錬を続けてそれなりの操縦技術を身につけていた。あっという間にワイバーンの後ろを取り、機銃を叩き込む。

 

 

「次だ!!」

 

 

その後もワイバーンは次々と墜とされ、地に落ちていく。ものの数十分ほどでワイバーンは全滅した。

 

 

「制空権を取った!陸攻、侵入しろ!」

「了解、引き続きよろしく頼むぞ!」

 

 

ワイバーンが居なくなったのを見計らい、波佐見は陸上攻撃機と艦上機達に攻撃の合図を送る。四発攻撃機『流水改』の120機編隊が、デュロに向けて進行していった。

 

『流水改』の120機編隊が進む様は美しく、そして強大であった。中央海戦争に開発され、それを経て防弾装備が強化された『流水改』は、ある程度の攻撃でも十分耐えられるはずだ。パ皇軍にこいつを防ぐ手立てはない。

 

 

『エネルギー充填……98パーセント……99パーセント……100パーセント、エネルギー充電完了!』

「ん?」

 

 

と、その時波佐見の目が地上で光る何かを見つけた。眼下に広がる工場地区、その一角でフラッシュを確認した。

 

 

『属性比率、雷14、風65、炎21、自動詠唱開始』

『詠唱完了! 連射モード切り替え完了! 対空魔光砲、発射準備完了!!』

『皇国は蹂躙させぬぞ!!』

 

 

その光は、だんだんと強くなりまるで空に何かを打ち上げるかのような光が届いた。

 

 

『波佐見隊長! 地上に対空兵器を確認!!』

「しまった!!」

 

 

樋口からの無線で、波佐見は焦りの声を上げたが遅かった。前方を飛行していた『流水改』の操縦席付近を光弾が掠めた。一瞬だけブレた機体に再度光弾が飛来し、今度は『流水改』の右外側モーターに着弾、炎を上げた。

 

DCモーター内部の水素ガスに引火し、爆発と炎が上がったが、すぐに消火してプロペラを停止させた。黒い煙の糸を引き、『流水改」はバランスを崩しながらも飛行していた。

 

 

『くそっ、四番エンジンに被弾! ストール、出力7割5分!』

「大丈夫か!?」

 

 

波佐見が思わず質問する。

 

 

『機体は安定している、編隊を離れてサン・クリストバルまで戻る!』

「了解した!」

 

 

被弾した『流水改』を下がらせ、波佐見は対空陣地を見据える。対空兵器は目立つ光の光弾を撃ちまくっており、空からでも全容が確認できた。その数は6基ほど、それが一直線上に並んで配置されていた。

 

 

『隊長、対空兵器を攻撃します』

 

 

部下の樋口が波佐見に意見具申をした。

 

 

「やれるか?」

『対地噴進弾を温存していたので、やれます!』

「援護する、神藤も付いて来い!」

『は、はい!!』

 

 

二人の僚機を連れ、波佐見は対空陣地の横側、ちょうど一直線に見える空域まで飛ぶ。そこから、三機は一気に急降下をかけた。

 

 

『噴進弾、発射!!』

 

 

樋口の真電改の翼から噴進弾が発射され、白い尾を引いて直線的に進んでいく。噴進弾は直で対空兵器に当たり、色とりどりの爆発が起こる。

 

 

「っ!!」

 

 

さらに撃ち漏らしを波佐見の真電改から30ミリが放たれ、魔導エンジンもろともズタズタに破壊していく。あっという間に、切り札であった対空魔光砲はズタズタに破壊されていった。

 

 

「よし、脅威は無くなったな」

『第二斉射もありません、試作型か何かだったのでしょう』

『ミリシアルが言っていた、対空魔光砲とやらですかね?』

「まさか、技術不足なのに使うとは思わなかったな……帰投するぞ」

 

 

その後──デュロ工場地帯と陸軍基地は、『流水改』の攻撃に晒されることになった。対空兵器の沈黙を見計らい、高空から侵入して爆弾を落としていった『流水改』は、身軽になったその体を持ってサン・クリストバルまで帰投した。真電改と艦上機達は母艦に戻り、レヴァーム軍との合流作戦に備えて戻っていった。

 


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