とある飛空士への召喚録   作:創作家ZERO零

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今回、オマージュシーンがあります。


第65話〜空雷〜

デュロ防衛艦隊と監察軍総勢250隻にも及ぶ魔導戦列艦は、デュロ沿岸から東南の海上300キロの位置に差し掛かっていた。

 

先ほどから、デュロ陸軍基地や海軍基地と連絡が取れなくなっている。常に大気の状態が不安定で魔導波が安定しないこの星ならではの問題か、もしくはデュロが攻撃を受けたか、そのどちらかだと考えられていた。

 

この日は西寄りの風がやや強く、『風神の涙』の出力をほとんど使う事なく、自然の風を帆いっぱいに受けて、レヴァーム本土へ向かっている。

 

 

「敵は……空を飛ぶ戦艦を率いてくるかも知れないらしい。副長、勝てるか?」

「艦長、仮に敵が空を飛んでいてもこちらも同じ土俵です。それに、兵の練度はそうそう簡単に上がるものではありません。恐れることはないでしょう。アルタラスにいた皇軍は、相手を蛮族と侮っていた。最初からムーやミリシアルを相手にする心構えでいけば、この作戦は成功しますよ」

 

 

『ムーライト』の副長は現場からの叩き上げでのし上がってきた。連勝経験しかなく、文明圏外との戦闘が多かったために経験則で話していた。

 

それもそうかと納得し、副長から目を離して再び艦前方を見る。日はすっかり傾き、空は夜闇に包まれていた。これでは、飛行機械も飛ばすことはできないだろう。この夜間に乗じてレヴァーム本土へ向かえば、必ずこの作戦は成功する。

 

 

「前方、上空に艦影を確認! 艦数4近づいてきます!!」

 

 

報告を聞いたサクシードは、望遠鏡を覗く。月明かりに照らされ、小さな艦影を4つ確認できた。

 

 

「なんだあの形は……?」

「はい……えらくのっぺりしていますね……」

『総員第一種戦闘配置! 離水開始!!』

 

 

間も無くして、旗艦から艦隊全艦に魔導通信が届く。パーパルディアが誇る、しかし残り数少ない飛空戦列艦艦隊は、空を飛んで戦闘配置へ移行する。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

シエラ・カデュス群島、マリヴェレス要塞付近空域。

 

 

「壮観な艦隊だな」

 

 

帝政天ツ上所属、重雷装巡空艦『井吹』の寵楼艦橋にて、『井吹』の掌空雷長黒乃クロト少佐はそう呟いた。

 

 

『右75度、距離1万5000。戦列艦約250隻、いずれも飛空艦艇』

 

 

静かだが不思議に通りの良い声が、敵の概要を伝えてくる。露天指揮所にいる見張員、戸隠ミュウ少尉の声だ。彼女の暗視視力のおかげで、レーダーの敷設されていない井吹型でもこうして索敵ができる。

 

 

『針路220度。速力20ノット。密集隊形、海上に艦隊は目視できず』

 

 

続け様、ミュウの報告が飛ぶ。これまで数百回繰り返した夜間演習においてミュウは自らの暗視視力の正確性を実証している。

 

 

「250隻、中央海戦争以来の実戦の相手には申し分ない」

 

 

月明かりが艦橋へ差し込んで、星彩を宿した紅の瞳と白磁の肌、軍帽の裾から流れ出る白髪と裏地に赤ピロードな大マントを鮮やかにした。白いブラウスに腰布を張ったコルセット、黒のショートパンツ、腰に巻いた儀式用の大剣。

 

艶やかな白い太ももの下、長い足を覆う軍靴。まだ18でありながら気品と清艶さを併せ持つ天ツ上美女の出立が、青い月光の中にゆらりと浮かぶ。彼女こそが、重雷装巡空艦『井吹』艦長、白乃宮イザヤ大佐だ。

 

井吹型重雷装巡空艦、これはかつて天ツ上が艦隊決戦を優位に進めるために既存の旧式巡空艦を改造して作り上げた産物だ。

 

『井吹型重雷装巡空艦』

スペック

基準排水量:5500トン

全長:174メートル

全幅:15メートル

機関:揚力装置4基

武装:

15.5センチ連装砲6基12門(上部3基、下部3基)

五連装空雷発射管40門

25ミリ連装機関砲10基

同型艦:4隻

 

両舷40門というとてつもない雷撃能力は、単艦で駆逐艦を凌駕し、戦隊を組めばその能力は計り知れない。そんな船が4隻もいる、これがマリヴェレス要塞から差し向けられた本土防衛艦隊だ。

 

 

「相手もこっちを探知しているかも、今夜は満月だし」

 

 

その傍、戦場の緊張感などかけらもない、安穏とした風乃宮リオ中佐がそう言った。だが、緊張感を喚き立てるよりはずっといい。

 

艦橋にいる三人には、まだミュウの見ている艦影が見えない。だが、ミュウの報告を信じて変針し、同航戦、つまりは並走する形で雷撃したいところ。

 

 

「舵そのまま」

『了解、舵そのまま、ヨーソロー』

 

 

操舵室からの返信と同時に、『井吹』は揚力装置を轟かせて前進する。それと同時に、イザヤは艦内放送で艦内の兵士たちに通達する。

 

 

「達する、艦長だ。本艦はマリヴェレス要塞での訓練中にパーパルディア皇国海軍の艦隊250隻を探知し、司令部からの通達で迎撃に入った。艦隊旗艦『五ヶ瀬』からの指示で、我々は遠距離雷撃を敢行することにした」

 

 

凛々しく毅然と言い切ると、艦内無線を通じて兵士達の楽しげな歓声が返ってきた。

 

 

『殿下ー』

『殿下ー』

『頑張ります、殿下ー』

 

 

わずか4隻の艦隊で250隻の艦隊に空戦を仕掛けようという無謀を、兵員達は能天気に受け入れる。

 

 

「訓練は実戦の如く、実戦は訓練の如く。落ち着いてやれば必ずできる。それだけの訓練を我々は積んできた、全員一丸となって勝利を目指そう」

 

 

凛としてそう告げると、ますます艦内から熱狂的な歓声が返る。

 

 

『殿下ーっ』

『殿下ーっ』

『頑張ります殿下ーっ!!』

 

 

状況を理解しているのか疑わしい、やたらと能天気な反応を受け、イザヤは若干口をへの字にする。

 

軍規に厳しい天ツ上海軍において、無闇に明るい『井吹』の雰囲気は完全に浮いてしまっている。軍艦という閉鎖環境の規律を決めるのは艦長、その個性によって大きく変わる。

 

イザヤは艦内の水兵達には笑顔を絶やさずに接してきた。笑顔を絶やさないことで、お互いを家族のように思える。『井吹』のそんな雰囲気だ。

 

が、あまりに仲良くなりすぎたというか、少し明るくなりすぎたというか。気がついたらいつのまにか『井吹』の艦内はイザヤとリオ、二人をアイドルとするファンクラブの様相を呈していた。

 

 

『姫さまー』

『姫さまもひとことー』

『お言葉をください、姫ーっ』

 

 

姫とはリオの愛称、呼びかけに応じてイザヤはリオへマイクを手渡す。

 

 

「みんな頑張ろうね! いつも通りやればできるからね! 終わったらみんなでパーティーしようね!」

『姫さまーっ』

『姫さまーっ!』

『頑張ります、姫さまーっ!』

「みんな、ありがとうーっ! みんなの事、大好きだよーっ!」

『うおーっ』

『ぎゃーっ』

『ひーめーさーまーっ!』

 

 

敵艦隊との接触に入ったというのに、艦内はリオとファンのコール&レスポンスが鳴り響くコンサート会場と化した。

 

 

「相変わらずアホの集まりだな」

 

 

その様子を、クロトは容赦なく伐採する。

 

 

「……士気が下がるよりはいい。それより、お前はこの艦隊でどう立ち向かう?」

 

 

井吹の策士であるクロトにイザヤが質問した。

 

 

「そうだな……まずは新しい玩具を試してみたいものだ」

「面白い、リオ針路は?」

「ちょっと待って。敵が直進してくる前提だと……」

 

 

リオは定規とコンパスで計算を始める、的確な雷撃位置を確かめる。

 

 

「面舵で北西に進めば、敵艦隊の前を横切れる」

「それで行こう」

 

 

クロトが頷くのを見て、イザヤは操舵室に命令し、進路を変更した。揚力装置の轟が辺りを響かせて針路を変更する。

 

 

「命す、右舷雷撃戦」

 

 

イザヤがそう命令すると、艦内通信からは空雷科兵曹長、鬼束響鬼の怒号が聞こえてくる。

 

 

『右空雷戦、相手は舳先をこっちに向けているのにいいんですか!?』

「問題ない、新しい玩具なら当たる」

『分かりました! 行くぞお前ら、元気出せ!!』

『一番から五番連管、問題ありません!!いつでも撃てます!』

 

 

うむ、とイザヤは頷く。その傍、クロトはミュウから対勢観測の数値を伝え聞き、暗算で射角を割り出す。

 

 

「玩具にその必要はないぞ」

「一応だ。左35度に調節して右斉射すれば、誘導装置の効力で全弾当たる。射角は最大にして目標が被らないようにしよう」

「わかった、やろう」

 

 

イザヤの了承をとってから、クロトは艦内無線で空雷発射指揮所へ伝える。

 

 

「右舷斉射。最小雷速、射角左30、誘導装置魔法探知モード。発射始め」

『右舷斉射! 最小雷速、射角左30、発射始めぇぇっ!!』

「用意!」

 

 

クロトがブザーを鳴らすのを合図に、イザヤは命ずる。

 

 

「撃て!」

『てぇっ!!』

 

 

鬼束の怒号と共に発射艇が次々に上げられ、一番から五番発射管、総計20本の空雷が夜空へと放ち出される。

 

さらに後方にいる僚艦の『菊池』『本明』『五ヶ瀬』からも次々と空雷が発射される。水素電池の白い尾を曳きながら右斜め前方へ扇状の散布界を作り出す。空雷はそのまま敵艦隊の針路を遮るような散布界を象る。

 

 

「一番から五番発射管、次弾装填始め!」

『右舷、次弾装填!』

 

 

 

通常、雷撃戦では敵の舳先に向かって雷撃をするのは好ましくない。空雷がそのまま艦隊の間を通過してしまうからだ。

 

だが、その空雷は何故か途中で針路を変えた。まるで飛空戦列艦に引き寄せられるかのように針路を変え、パ皇艦隊の飛空戦列艦の眼前で爆発した。

 

 

『命中! 命中!! 命中!!!』

 

 

次々と命中弾を叩き出す。帝政天ツ上が中央海戦争時に開発、発明した酸素空雷。酸素を水素電池の触媒に注入し続ける事で、とんでもない雷速を手に入れた空雷だ。

 

それは、いわば常にオーバーブーストを掛けた飛空機械に等しい。水素スタックの推進装置に酸素を注入し続ける事で、射程距離と雷速が大幅にアップした酸素空雷。それは、飛空機械のDCモーターの排気ガスを探知して誘導するSF兵器の登場も促した。

 

そして、今酸素空雷は中央海戦争を経て改良されて転移現象によりさらなる高みへと伝っていった。信管は磁気信管から近接信管を使用するようになり、誘導装置には魔力を探知する機能が追加された。それが、この12式酸素空雷である。

 

 

『本艦の命中は8、重複した模様』

「やはり重複するな、目標との距離が遠すぎる」

 

 

クロトがこの12式の弱点を指摘した。魔力を備えた飛空戦列艦にはちゃんと誘導しているが、その分目標が重複してしまっているようだった。やはり距離が遠すぎる。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「なんだ今の攻撃は!!」

 

 

一方のパ皇艦隊、戦列艦『ムーライト』の艦橋では謎の攻撃に対する憶測で騒ぎが起きていた。突然前方から飛んできた空飛ぶ槍のような物体、それは空飛ぶ飛空戦列艦に向かって導かれるように突き刺さった。

 

そして、戦列艦に突き刺さった槍状の物体はそのまま力を爆炎に変えて飛空戦列艦をバラバラに打ち破った。

 

 

「敵の兵器かと思われます! アレは船に向かって進む槍です! 空を飛んで突き刺して食い破るのです!」

「なんて兵器だ……アレに突き刺されたら戦列艦でも持たないぞ!!」

 

 

艦長と副長が狼狽し始める。

 

 

『敵艦! 発砲し始めました!!』

『例の長距離砲だ! 全艦回避せよ!!』

 

 

艦隊司令の声をもとに、戦列艦がゆったりとしたもどかしい速度で回頭をし始める。が、それも間に合わず最前列を進んでいた80門級魔導戦列艦『グリール』に連続して着弾。強烈な破壊音が立て続けに兵士たちの耳朶を叩く。

 

 

対魔弾鉄鋼式装甲を紙切れの如く貫通した15.5センチ榴弾は、弾薬庫で爆発した。爆発によって発生した炎が、上空で炸裂して花火となる。花火は艦の何十倍もの大きさに達し、『グリール』は真っ二つになって墜落していった。

 

 

「ばっ……馬鹿な!!」

 

 

列強たるパーパルディア皇国が誇る魔導戦列艦が、たったの数秒で轟沈されるという、かつてない現実に、それを見ていた誰もが固まる。

 

 

『敵艦、さらに発砲!!』

『戦列艦〈ライサー〉轟沈!! 戦列艦〈パタール〉轟沈!!』

 

 

100門級戦列艦『ムーライト』の船尾楼甲板で、絶望的な魔信が響き渡る。

 

 

『敵艦の一つが特出してきます!!』

『艦隊司令より各艦、あれを仕留めろ!!』

 

 

まだ無事な戦列艦は、接近してくる敵艦に艦首を向ける。『風神の涙』の出力を最大にし、帆が張り裂けんばかりに張る。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「旗艦『五ヶ瀬』より連絡、『貴艦の活躍と幸運を祈る』」

 

 

通信士が旗艦からの一文を読み上げる。イザヤはそれを頷き、艦内放送に切り替える。

 

 

「これでいいだろう?」

「ああ、これで空雷もお構いなしに撃てる」

 

 

策士クロトは、敵艦隊への突撃を提案した。あまりに遠すぎる地点から撃つのは、やはり目標が重複してしまう。それを防ぐには、最大雷速、おまけに最大散布角度で敵艦隊の中央で撃つしかない。

 

 

「達す、諸君、艦長だ。本艦はこれより、敵艦隊に対し突撃を敢行する」

 

 

凛と言い切ると、艦内通信越しに、各所から聞き慣れた声が返った。

 

 

『殿下ーっ』

『行きましょう殿下ーっ』

 

 

大きく息を吸い込み、イザヤは横隔膜を押し下げて、言葉の弾丸を艦内通信へ叩き込む。

 

 

「命す! 両舷空雷戦、反航!!」

 

 

帝政天ツ上史上、初めての両舷飽和雷撃が今、イザヤの口から命令された。同時に艦内から、乗員たちの焼き付くような鯨波。

 

 

「機関最大! 井吹、突撃!!」

 

 

途端に井吹の2基の揚力装置が唸り、夜空を吹き飛ばさんとする。最大船速まで船速が上がり、敵の大艦隊と向かい合う。

 

 

『敵艦隊、突撃してくる』

『〈菊池〉〈本明〉〈五ヶ瀬〉、再度空雷発射!』

 

 

ミュウと通信兵の報告を聞き、クロトとリオが入ってきた。

 

 

「敵に腹を見せさせよう、上昇だ」

「うん、それなら味方の空雷にも当たらない」

「では、そのまま最大船速。敵艦隊の真ん中を突破する!」

「砲の同士討ちを誘うつもりか」

「いかにも」

「怖い女だ」

 

 

それを聞き、イザヤは次の命令を下す。

 

 

「上昇! 上げ舵20!」

 

 

途端に井吹の揚力装置が唸り、高度を上げていく。それを追いかけるように飛空戦列艦も上昇していく。それで井吹は味方の空雷を避けられ、味方の空雷は飛空戦列艦だけを捉えられるのだ。

 

 

『味方の空雷、通過する』

 

 

井吹の下側を、味方の空雷が通過していく。魔力探知なので高度を上げた井吹には当たらない。

 

 

『味方雷撃!24発が命中!』

 

 

味方の空雷が次々と命中していく。そのうちに、味方からの砲撃が次々と敵艦隊に着弾し、井吹を援護する。

 

 

『敵艦隊の中央に到達』

 

 

やがて、敵艦隊の中央に到達した。これなら外れた砲弾が味方の戦列艦に当たる可能性がある。これでは、撃てない。

 

 

「クロト」

「出たぞ、俺が天才でよかったな」

 

 

イザヤがいう前に、クロトは凄絶な笑みをたたえた。そして、上甲板にある空雷発射指揮所へ続く通信を繋ぐ。

 

 

「行くぞ鬼束、両舷雷撃、最大雷速、最大散布界角!」

『ははぁっ!! やるぞてめぇらっ、両舷雷撃、最大雷速、最大散布界角!』

 

 

クロトの口の両端が耳へ向かって斜めに切れ上がる。堕天使じみた凄絶な笑みをたたえ、クロトは星空に必中の大三角を幻視する。

 

 

「全発射管、発射はじめ!」

 

 

号令してブザーを鳴らす。甲高い音が『井吹』艦内へ希望のラッパのように鳴り響く。

 

 

「ここだ」

 

 

備中の射点を見定めた刹那。

 

 

「用意!」

 

 

ブザーから手を離して発射ボタンを押す。

 

 

「てぇっ!!」

 

 

クロトの号令と同時に、鬼束は発射艇を上げた。刹那、なぎさから生まれた蝶が虹色の羽を広げるように、『井吹』両舷から40射線が迸り、左右対称の扇状散布帯を星空へ描きだす。そして──

 

 

『命中! 命中! 命中! 命中! 命中!!』

 

 

次々と命中の報告が上がる。艦隊が中央から火達磨になり、炎に包まれていく。艦隊が揚力を失い、墜ちていく。

 

 

「主砲、撃ちー方ー始めー」

『うちーかたーはじめー!』

 

 

イザヤの命令をもとに、舵を戻した井吹は上下側の砲塔を動かして、目に映る戦列艦を撃ちまくった。さらには対空機銃までとにかく撃ちまくり、戦列艦を撃破していく。

 

そして、敵艦隊はまだ誤射を嫌って撃つ事が出来ない。その間に、井吹は速度を上げてどんどん敵艦隊の中央に進んでいく。

 

 

「雷撃戦としては未曾有の大戦果だな」

「本当はこんな無駄なことはしないんだがな、砲撃で片を付ければ良いはずだ」

 

 

クロトは自分で考えた策をそう言って否定した。

 

 

「だが、俺は天才だ。この新しい空雷のテストも兼ねて雷撃戦を敢行した。それでいいだろう?」

「ああ、面白かったよ」

 

 

こうして、パーパルディア皇国デュロ防衛隊戦列艦250隻は、シエラ・カデュス群島にて、帝政天ツ上井吹型重爆雷装巡空艦戦隊と交戦し、全艦撃沈された。

 

この戦いは、パーパルディア皇国が唯一、レヴァーム本土を攻撃しようとした作戦として、のちの歴史書に小さく記載されるのだった。

 




今回の戦いはプロペラ・オペラのオマージュシーンになります。
え?主砲があるんならそれ使えって?ノンノン、空雷のテストも兼ねてあるのですよ、クロトさんは。

プロペラ・オペラ良いですよね〜とある飛空士とは別のハラハラ感が有ります。空の戦いはいいぞ〜

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