《……俺、今でもずっと…悔やんでるんですよ。水希が闘ってるとき、そばに居てやれなくて…。後ろで…ただ見守ることしかできなくて…》
それはノイズ混じりに途切れ途切れに続いた。
《無意識のうちに利用してきたせいで…水希の心を壊してるんじゃないかと思うと…俺、怖くなって…》
《だから言うたじゃろうに! 今のあの子達では、荷が重いと!》
《責任は必ず取ります。たとえ…俺達が帰れなくとも、あの二人だけは…ここに…》
***
―――目が覚める。
水希「……荷が重い…か…。よくよく考えたら…全部、独り善がりの選択だったのにね……」
雀のさえずりが聞こえる中、見知った天井を見つめ…ポツリと呟くのだった…。
◆◆◆
水希side
〜1
4/13 AM 8:30
今日はちょっとした用事があり、さきほど準備が整ったところだ。
理由については後ほど話す。
玄関にて靴を履いたとき、二階からスバルが降りてきた。
スバル「…あれ? どこか出かけるの?」
水希「うん。ちょっと用事が出来てね…」
スバル「そう……」
なんかよそよそしいなと思っていると、スバルが重たげに口を開いた。
スバル「…兄さん」
水希「何?」
スバル「――父さん、まだ生きてると思う?」
水希「………」
履き直し、立ち上がったところでスバルを見つめた。
水希「勿論、信じてるよ。大吾さんは…皆は、そう簡単に諦めきれるほどヤワじゃない…」
スバル「じゃあ、兄さんはなんであの時、宇宙に行くことが出来たの?」
水希「……悪いけど、今は答えられない」
スバル「兄さん!」
水希「仮に答えたところで、アンタに何が出来んの?」
詰寄るスバルを睨みつけ怒気を含んで言う。
スバル「……! それは」
水希「……確かに、アンタにはまだ教えてない事が沢山ある……。でも、正面から向き合ったあとで、嫌われるのが怖いんだよ。自分勝手なのはわかってる。
……だから、もう少しだけ、時間が欲しいの……」
スバル「…なんだよ、それ…」
玄関の戸を開け、もう一度スバルの方へ振り向く。
水希「いつかアンタも、前向いて歩けるって信じてるから…。今のうちにちゃんと鍛えときなよ?」
スバル「! 待って、兄さ――」
最後まで聞かずに家を出たあと……そのままウェーブロードに乗り移り目的地へと向かう。
リヴァイア『……良かったのか? これで』
水希「正直まだ、向き合う覚悟…できてない……」
リヴァイア『……そうか』
それ以上は何も言ってこなかった。
そして数分後。目的地に近づいたので人目につかない所に一旦降り、徒歩で現地へと向かう。
ようやく着いたそこは、天地研究所。
門をくぐり、しばらく歩いた先で
天地「――お、ちょうどいい時に来たね!」
入り口の近くにいる天地さんに出迎えられた。
僕らが来るまで、隣で腕を組んでいる男性――私服姿の飯島さんと雑談していたのだろう。
水希「どもー。リュウさんもおはよ〜」
リヴァイア『挨拶がなってないのは許してな』
飯島「いいさ。そんなに畏まらなくても」
申し訳なさそうに言うリヴァイアに対し、笑って返す。
水希「…でも珍しいね、今日は私服だなんて」
飯島「まぁ、いっつも制服じゃ堅苦しいからな」
水希「確かに…」
飯島さんの私服姿は、短い英文をプリントアウトした白地のシャツとその上に黒の革ジャンを羽織り、下は紺のデニムジーンズと黒のスニーカーを着用。
体格の良さとマッチした着こなしをしていた。
特に腕を組んでいるのもあって、服越しでも腕周りと胸元の筋肉の盛り上がりが増しており、市民の安全管理を担う役職柄、どれほど鍛え上げて来たかを物語らせている。
自分もそれなりに戦いに馳せ参じているから、多少付いてきてると思うんだけどなぁ〜。
……別に悔しいとか1mmも思ってねぇからな?
…………思ってねぇからな?(迫真)
飯島「どうした? そんなジロジロ見て…」(-_-;)
水希「ううん、何でも♪」
天地さんの方へ向く。
水希「ところで、天地さん。前に頼んだ
飯島「…あのカード?」
疑問符を浮かべる飯島さんに得意気に語りだす。
天地「実は僕…密かにバトルカードの開発と製作をしていたんですよ。彼には、その性能実験に手伝って貰おうかと…」
飯島「なるほどな」
「…それでだ、水希君」と、今度は僕の方へ向く。
天地「あれにはまだ問題点が多くてね…。特にレーダーミサイルの様な【属性の有無の判別】は、調整して無視できるからいいとして…【照準を単体と全体に、任意で切り替える】というのが、どうにも難しくてな…」
水希「――
天地「そうとも言えるけど、これくらいで諦めたらエンジニアの名が廃るもんだよ。…これ、渡しておくね」
差し出されたカードを受け取る。
渡されたそれは、従業員専用区画の通行許可証だった。
どちらかと言うとスバルが喜びそうな品ではあるが…。
水希「良いの? これ貰っても?」
天地「今後も実験で呼び出すことが多い筈だから、予め用意しておいたんだ。早々に無くさないでくれよ?」
飯島「頑張れよぉ? 前科持ち〜」
水希「う"っ…」
意地悪にニヤつく二人に、思わず耳を押さえる。
水希「拙者…なんだか耳が痛いでござるな…」
リヴァイア『サムライか』(°o°)\(−_− )
まるで呼吸でもするかのようにツッコミを入れる…リヴァイアさんであった。
べ、別にサテラポリスの入所許可証をヘマして
二人が勝手におちょくってるだけだからね?
すんません嘘です。
その時は、大吾さんとリュウさんに挟まれて滅茶苦茶怒られてました。
天地「…それじゃ、僕の研究室まで案内しますね」
飯島「あぁ、よろしく頼む」
飯島さんも同じような電子パスを持って館内へと入り、二人の後を追うように歩みを進めた。
天地「どうぞ。しばらくの間、待っててください」
場所は変わり、研究室…。
天地さんがノートパソコンを起動させている間、淹れたてのコーヒーを飲みつつ室内を見渡すと、壁に飾ってある…大きな翼のようなものに魅入られる。
水希「ねぇ、あれ見て」
飯島「? ……ほぉ…。こりゃまた迫力ある作品だな…」
天地「――あぁ、あれはフライングジャケットといって、宇田海が魂を込めた力作なんです。僕もあまり、うかうかしていると先を越されそうですよ。ハッハッハッハ!」
どこか…部下の成長を喜ぶように話す姿を見て、なんだかほっこりしてしまう。
最近見ないけど元気してんのかな…。徹夜のしすぎで身体壊してなきゃいいんだけど…。
水希「…ってことは、もしかして! アレを背負えば空を飛べるとか!?」
リヴァイア『まぁ、お前くらいの軽さなら余裕だろ』
トランサーにいる住人を睨みつける。
水希「……それ褒めてんの?」
リヴァイア『そりゃあ…悪い意味じゃねぇよ? うん』
水希「じゃあなんで目ぇ泳がせてんだよ、おい?」
リヴァイア (;−³−)〜♪
明後日の方を向いて、下手な口笛を吹く…リヴァイアさんであった。
怒らないからちゃんとこっち見て話そうか。なぁ?
飯島「…フフ。相変わらず仲いいな、お前達は」
天地「――水希君、準備が整ったよ」
水希「ほーい」
相棒を睨み続けている最中、ようやく起動が完了したらしい。
…そんな中、今更ながらの疑問をぶつける。
水希「…そういや、どうしてリュウさんも呼ぶことになったの?」
天地「それは順を追って説明するよ…。とりあえず、これを見てくれ」
そう促されるまま見る。
見た感じ……赤線で3✕5マスに区切られた何かのフィールドらしきものが、モニター越しに表示されていた。
水希「…あれ? これって、大吾さんが作ってくれた、訓練場と似てない…?」
飯島「だよな。『特訓に持ってこいだろ?』って、得意気に語ってたっけな…アイツ」
水希「何気に凄いもん作るよね〜。あの人」
途端に天地さんが咳払いをする。
天地「――本題に戻るよ、水希君。キミにはこの訓練場にて…試作中の〈ホーミングミサイル〉でウイルスを討伐してもらう。万が一取りこぼしても気にせず攻撃してくれ」
水希「…なるようになるって訳ね」
件のバトルカードが数枚組み込まれたフォルダを受け取る。
天地「では飯島さん。事前にお伝えしたように、回収したウイルスのデータを、このパソコンにインストールしてください」
飯島「…種類は何でも良かったんだったよな?」
天地「はい。それぞれ属性が違うウイルスを相手にし、何回か休憩を挟みつつ…最低30回を目安に検証していきます」
「ハイ質問!」と勢いよく挙手する。
天地「どうしたんだい?」
水希「パソコンにウイルス入れたら、後々大変なことにならない? そんな
天地「大丈夫だ、問題ない。これはあくまでも『余計なものは入れない。天地のサブ端末』だからね」
水希「…なにその食パンのCMっぽいキャッチフレーズ…」
天地「――と言う訳で、飯島さん。お願いします」
飯島「……了解。では早速…」
ちょっと引き気味な飯島さんが、懐からUSBメモリを取り出すと、パソコンに差してデータを送信した。
「そろそろ準備しますか…」と、まだ半分ほど残っていたコーヒーを飲み干し、デスクに置いた。
水希「コーヒーご馳走さま。……電波変換!」
流ロクファンの方々に質問。 ぶっちゃけた話…委員長も、ゴン太と同じように戦える展開はありですか?
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ありだと思う
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ナシ。むしろ邪道