三章タイトルの英語の意味は疑念。
何となく響きがかっこいいなと思いつつ調べたら、現在進行中の出来事に対する不安を意味するのだと…。
多少、信武君にも当てはまりますね。
スバルside
4/13 pm 14:00
兄さんが用事で出掛けたあと…今日もまた、展望台に来ていた。
のんびり景色を眺めていると、トランサーから欠伸をするような声が聞こえた。
ウォーロック『お前、ここ数日間…ず〜っと空を眺めてばかりだな。いい加減飽きねーのか?』
スバル「うん、飽きないよ。ここに来れば星とかがよく見えるし、もしかしたら…父さんに会えるかもしれないからね」
ウォーロック『はぁ…。そろそろ別のモン見させろよな。オレもう退屈で仕方ねえぜ…』
む、…居候の癖して生意気な。
とは言え、せっかく手にした力を無駄にするのはもったいないし、…それに
――いつかアンタも、前向いて歩けるって信じてるから…。今のうちにちゃんと鍛えときなよ?
ただ、何もしないままでいることに気が引けた。
スバル「わかったよ。そこまで言うなら――電波変換! 星河スバル、オン・エア!」
ウォーロック「うおっ!」
特に理由もなく変身し、ウォーロックには呆れた目で見られる。
ウォーロック「…どうしたんだよ。いきなり…」
スバル「…別に、気が変わっただけ。少しでも
ウォーロック「なるほどなるほど、そう来なくっちゃなぁ……で、どこ行くスバル!!」
ほんと調子良いなこの宇宙人。
スバル「ん〜、手当たり次第?」
ウォーロック「んじゃ、飛ばしてくぜぇ!!!」
スバル「あ! ちょっと!?」
先導するように腕を引っ張られるがまま、あちこち駆け回ることになった。
◆◆◆
水希side
同時刻。実験が終わったあとの帰り…、道なりを歩いた時にメールが届く。
『お母さんから聞いた話、信武君、何日か前に家に来たみたい…。出歩く時は見つからないよう注意しときなさい』
「了解」と、落ち込みながらも返信したあと、今度はレティに『15時までに、いつもの場所に来て』と送信。
地図アプリに登録された座標を、目的地にセット。
その後、裏路地に移動しウェーブロードを伝って行く。
水希 「………」
それから数分後…。
着いたそこは、目視で20階はありそうな廃ビル。
長年使われなかったせいか…所々ヒビはあるが、その割には頑丈なため、呼び出す時はここに集まることになっている。
時間は……14時30分。まだ余裕はあるので、ひとまず降りた。
しばらく…フェンスに背もたれていると、少し離れた所から赤黒く…ノイズが迸り、空間を裂く。
そこから顔を覗かせたレティが目を見開いた。
レティ「あれ、もう来てたの? 慌てなくても待ってるのに」
そう言いながら出た瞬間、ゲートは閉じられた。
予定より早くに集合できたので、早速本題に入った。
水希「実は、謝っておきたいことがあってさ。…話しちゃったんだよね、ウチらの目的とか諸々…」
レティ「……そう」
レティは驚かず、むしろ分かっていたような反応をする。
レティ「…水希がどうしようと、私はアンタが決めたことに賛同するわ。無理強いさせてるのは私だし、味方はいてくれるに越したことはないわよ…」
水希「そう言ってくれると助かるよ。…ありがとう」
お礼を言った瞬間、レティの表情は一気に険しくなり、思わず後退る。
レティ「それで、誰に話したのよ?」
水希「い…今は、天地さんと飯島さんだけ。今後のために目的の一つは話しても問題ないっしょ?」
レティ「今はね。本来の目的は話してないわよね?」
水希「…当然だよ。まだ先のことだからね」
「そう、ならいいわ…」と肩を竦めるレティ。
水希「…ねぇ、うまく行くと思う?
レティ「少しでもアンタの負担が減ると思えば、そんなリスクは安いものでしょう。
だから今は、自分のことに集中しなさいな」
水希「……わかった」
要件が済んだとばかりに、開かれたゲートへ歩いて行く手前、こちらに振り向く。
レティ「私、しばらくは日本に滞在するから。もしもの時は援護するわね」
水希「うん、その時はよろしく」
レティは中に入り、やがてゲートは消え去る。
水希「…帰ろっか?」
リヴァイア『ああ…』
僕らはそのまま帰路につくのだった。
◆◆◆
スバルside
pm16:00
ベイサイドシティ付近を飛び回る途中、大勢のウイルスを相手することになったが、ウォーロックによる助言のお陰でスムーズに事が進み、気づけば都心から離れた…緑生い茂る山地に辿り着き、そこでようやく変身を解くのだった。
疲れを吹き飛ばすように深呼吸する。
スバル「…だいぶ遠くまで来たね」
ウォーロック『どうだ、少しは慣れてきたか?』
首を横に振る。
スバル「…あの人に比べたら、まだまだかな。でも、最初の時よりは戦い方がわかった気がする」
ウォーロック『なら、その調子で頑張れよ〜』
スバル「…。……?」
やけに上から目線なのが癪に触るが、そうも言ってられないかと聞き流す。
西日が照りつけるなか…遠くの崖から人影があり、今にも飛び降りそうに佇んでいた。
いったい誰なのかと、目を凝らす。
スバル「あれって…宇田海さん? 何して…まさか!?」
ほとんど髪型でわかったが、問題はそこじゃない。
急いで止めに入ろうとした瞬間、意を決したように飛び降り、その光景に慌てふためく。
スバル「うわあぁあぁあ!! 宇田海さん!!?」
もう手遅れかと無念に思ったが…
途端にジャキン!と、機械的な音がここまで響き
宇田海「――フハハハハハハ!! やった! やっと完成したぞ! これは誰にも渡さないぞー!!!」
何やら背負っている何かから翼が生え、鳥のように自由自在に飛び回っていた。
何気に凄い発明をするなと感心しつつも…さっきまで心配してたのに、まさかのどんでん返しに呆れて物も言えなかった。
しばらくはほっといてもいっか。と思ったが
宇田海「…なっ!? まさかのバッテリー切れ!? ――わあああああああああ!!!!」
スバル「宇田海さあぁぁぁん!!?」
驚く間にどんどん落ちていく。
ウォーロックはというと、もう変身する気力がないらしく、無事を祈りながら急いで下山するのだった。
時間はかかったがようやく下りきり、なんとか見つけ出すことはできた。
スバル「宇田海さん。大丈夫?」
宇田海「あれ、スバル君かい? どうして此処に…」
スバル「たまたま通りかかっただけ。怪我は?」
宇田海「大丈夫。あちこち痛いけど、幸いにも骨折してないから」
らしい。
とりあえずは無事で何よりだ。
ふと、さっきまで背負っていたものに目をやる。
スバル「ねぇ、宇田海さん。これって…」
宇田海「触らないでくれ!!」
我が子を守るように、それを抱きしめる宇田海さん。
ほんの少ししてから我に返り、顔を俯かせた。
宇田海「ご、ごめんね…スバル君。いくら君でも、これは見られたくなかったんだよ…。もう、奪われるのはごめんなんだ…」
スバル「……何があったの?」
本当は話したくないんだろうが、宇田海さんは少しづつ、話してくれた。
スバル「……そんなことがあったんだね。酷いや…」
過去に発明した作品を前職の上司から、理不尽にも手玉に取られたらしく、今でもそのトラウマを引きずっていたそうだ。
憔悴しきっていた時、天地さんに「一緒に働かないか?」と誘われ、今に至るのだとか…。
そして、夜。
宇田海「本当に送らなくていいのかい?」
スバル「うん。大丈夫だから。…元気出してね?」
宇田海「…ありがとう。夜道には気をつけてね」
そう言うと、宇田海さんは車を発進させ、あっという間に姿がみえなくなった。
天地さんなら絶対に盗むような真似はしない。
わかってはいても、本人がその人を信じれない以上……そう簡単に古傷は癒えないものだ。