流星のロックマン 水希リスタート   作:アリア・ナイトハルト

19 / 87
宇田海さんの回は一部だけアニメ寄りになってます。

三章タイトルの英語の意味は疑念。
何となく響きがかっこいいなと思いつつ調べたら、現在進行中の出来事に対する不安を意味するのだと…。
多少、信武君にも当てはまりますね。


15話 古傷は癒えない

スバルside

 

4/13 pm 14:00

 

 

兄さんが用事で出掛けたあと…今日もまた、展望台に来ていた。

のんびり景色を眺めていると、トランサーから欠伸をするような声が聞こえた。

 

ウォーロック『お前、ここ数日間…ず〜っと空を眺めてばかりだな。いい加減飽きねーのか?』

スバル「うん、飽きないよ。ここに来れば星とかがよく見えるし、もしかしたら…父さんに会えるかもしれないからね」

ウォーロック『はぁ…。そろそろ別のモン見させろよな。オレもう退屈で仕方ねえぜ…』

 

む、…居候の癖して生意気な。

とは言え、せっかく手にした力を無駄にするのはもったいないし、…それに

 

――いつかアンタも、前向いて歩けるって信じてるから…。今のうちにちゃんと鍛えときなよ?

 

ただ、何もしないままでいることに気が引けた。

 

スバル「わかったよ。そこまで言うなら――電波変換! 星河スバル、オン・エア!」

ウォーロック「うおっ!」

 

特に理由もなく変身し、ウォーロックには呆れた目で見られる。

 

ウォーロック「…どうしたんだよ。いきなり…」

スバル「…別に、気が変わっただけ。少しでも電波体(このカラダ)に慣れておかないとね」

ウォーロック「なるほどなるほど、そう来なくっちゃなぁ……で、どこ行くスバル!!」

 

ほんと調子良いなこの宇宙人。

 

スバル「ん〜、手当たり次第?」

ウォーロック「んじゃ、飛ばしてくぜぇ!!!」

スバル「あ! ちょっと!?」

 

先導するように腕を引っ張られるがまま、あちこち駆け回ることになった。

 

 

 

 

◆◆◆

 

水希side

 

同時刻。実験が終わったあとの帰り…、道なりを歩いた時にメールが届く。

 

 

『お母さんから聞いた話、信武君、何日か前に家に来たみたい…。出歩く時は見つからないよう注意しときなさい』

 

「了解」と、落ち込みながらも返信したあと、今度はレティに『15時までに、いつもの場所に来て』と送信。

 

地図アプリに登録された座標を、目的地にセット。

その後、裏路地に移動しウェーブロードを伝って行く。

 

水希 「………」

 

 

 

 

 

それから数分後…。

 

着いたそこは、目視で20階はありそうな廃ビル。

長年使われなかったせいか…所々ヒビはあるが、その割には頑丈なため、呼び出す時はここに集まることになっている。

 

時間は……14時30分。まだ余裕はあるので、ひとまず降りた。

 

 

しばらく…フェンスに背もたれていると、少し離れた所から赤黒く…ノイズが迸り、空間を裂く。

そこから顔を覗かせたレティが目を見開いた。

 

レティ「あれ、もう来てたの? 慌てなくても待ってるのに」

 

そう言いながら出た瞬間、ゲートは閉じられた。

予定より早くに集合できたので、早速本題に入った。

 

水希「実は、謝っておきたいことがあってさ。…話しちゃったんだよね、ウチらの目的とか諸々…」

レティ「……そう」

 

レティは驚かず、むしろ分かっていたような反応をする。

 

レティ「…水希がどうしようと、私はアンタが決めたことに賛同するわ。無理強いさせてるのは私だし、味方はいてくれるに越したことはないわよ…」

水希「そう言ってくれると助かるよ。…ありがとう」

 

お礼を言った瞬間、レティの表情は一気に険しくなり、思わず後退る。

 

レティ「それで、誰に話したのよ?」

水希「い…今は、天地さんと飯島さんだけ。今後のために目的の一つは話しても問題ないっしょ?」

レティ「今はね。本来の目的は話してないわよね?」

水希「…当然だよ。まだ先のことだからね」

 

「そう、ならいいわ…」と肩を竦めるレティ。

 

水希「…ねぇ、うまく行くと思う? FM星人(アイツら)による乗っとりを利用して人員を増やすなんて……些か危険が高まると思うけど…」

レティ「少しでもアンタの負担が減ると思えば、そんなリスクは安いものでしょう。

だから今は、自分のことに集中しなさいな」

水希「……わかった」

 

要件が済んだとばかりに、開かれたゲートへ歩いて行く手前、こちらに振り向く。

 

レティ「私、しばらくは日本に滞在するから。もしもの時は援護するわね」

水希「うん、その時はよろしく」

 

レティは中に入り、やがてゲートは消え去る。

 

水希「…帰ろっか?」

リヴァイア『ああ…』

 

僕らはそのまま帰路につくのだった。

 

 

◆◆◆

 

スバルside

 

pm16:00

 

ベイサイドシティ付近を飛び回る途中、大勢のウイルスを相手することになったが、ウォーロックによる助言のお陰でスムーズに事が進み、気づけば都心から離れた…緑生い茂る山地に辿り着き、そこでようやく変身を解くのだった。

 

疲れを吹き飛ばすように深呼吸する。

 

スバル「…だいぶ遠くまで来たね」

ウォーロック『どうだ、少しは慣れてきたか?』

 

首を横に振る。

 

スバル「…あの人に比べたら、まだまだかな。でも、最初の時よりは戦い方がわかった気がする」

ウォーロック『なら、その調子で頑張れよ〜』

スバル「…。……?」

 

やけに上から目線なのが癪に触るが、そうも言ってられないかと聞き流す。

西日が照りつけるなか…遠くの崖から人影があり、今にも飛び降りそうに佇んでいた。

いったい誰なのかと、目を凝らす。

 

スバル「あれって…宇田海さん? 何して…まさか!?」

 

ほとんど髪型でわかったが、問題はそこじゃない。

急いで止めに入ろうとした瞬間、意を決したように飛び降り、その光景に慌てふためく。

 

スバル「うわあぁあぁあ!! 宇田海さん!!?」

 

もう手遅れかと無念に思ったが…

 

途端にジャキン!と、機械的な音がここまで響き

 

 

宇田海「――フハハハハハハ!! やった! やっと完成したぞ! これは誰にも渡さないぞー!!!」

 

 

何やら背負っている何かから翼が生え、鳥のように自由自在に飛び回っていた。

何気に凄い発明をするなと感心しつつも…さっきまで心配してたのに、まさかのどんでん返しに呆れて物も言えなかった。

しばらくはほっといてもいっか。と思ったが

 

宇田海「…なっ!? まさかのバッテリー切れ!? ――わあああああああああ!!!!」

スバル「宇田海さあぁぁぁん!!?」

 

驚く間にどんどん落ちていく。

ウォーロックはというと、もう変身する気力がないらしく、無事を祈りながら急いで下山するのだった。

 

 

 

時間はかかったがようやく下りきり、なんとか見つけ出すことはできた。

 

スバル「宇田海さん。大丈夫?」

宇田海「あれ、スバル君かい? どうして此処に…」

スバル「たまたま通りかかっただけ。怪我は?」

宇田海「大丈夫。あちこち痛いけど、幸いにも骨折してないから」

 

らしい。

とりあえずは無事で何よりだ。

ふと、さっきまで背負っていたものに目をやる。

 

スバル「ねぇ、宇田海さん。これって…」

宇田海「触らないでくれ!!」

 

我が子を守るように、それを抱きしめる宇田海さん。

ほんの少ししてから我に返り、顔を俯かせた。

 

宇田海「ご、ごめんね…スバル君。いくら君でも、これは見られたくなかったんだよ…。もう、奪われるのはごめんなんだ…」

スバル「……何があったの?」

 

本当は話したくないんだろうが、宇田海さんは少しづつ、話してくれた。

 

スバル「……そんなことがあったんだね。酷いや…」

 

過去に発明した作品を前職の上司から、理不尽にも手玉に取られたらしく、今でもそのトラウマを引きずっていたそうだ。

憔悴しきっていた時、天地さんに「一緒に働かないか?」と誘われ、今に至るのだとか…。

 

 

そして、夜。

 

宇田海「本当に送らなくていいのかい?」

スバル「うん。大丈夫だから。…元気出してね?」

宇田海「…ありがとう。夜道には気をつけてね」

 

そう言うと、宇田海さんは車を発進させ、あっという間に姿がみえなくなった。

 

天地さんなら絶対に盗むような真似はしない。

わかってはいても、本人がその人を信じれない以上……そう簡単に古傷は癒えないものだ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。