流星のロックマン 水希リスタート   作:アリア・ナイトハルト

21 / 87
久々に水希が本気出します。
宇田海さんも初っ端からEXかSPクラスの強さです。

アニメのキグナスの声した人がまさかのランサーニキだったのには驚き。

一部の戦闘シーンはデアラをパク…いや、参考にさせていただきました。

変に視点が切り替わるから、そこだけ注意。


追記:お気に入り登録者が着々と増えて嬉しい限りです〜。
別枠で短編集も作ってますので見ていってください。

「忘れたとは言わせねぇ…」のくだりがウォーロックのセリフだったのに、うっかりスバルのセリフにしちゃって
『うっわ、やっべーww』って焦りましたwww(もう直したけどね)
祝!嬉しくねぇけど、短編のNGシーンに追加しました。



17話 綺麗事を吐いても汚れは消えない

 

 

 

 

この3年間。ただひたすら…僕とレティの願いの為に、周りを欺き、自分を偽り、全てを捨てるような真似をした。

いつか報われ、皆が救われると信じて…。

 

 

だけど、どれだけ綺麗事を吐いても、汚れは…完全には消えやしない。

…事実。現状を見れば、悲しむ姿が目に浮かぶだけ。

 

 

それでもまだ、当事者としての責務を果たす為にも、欺き、偽り続けなければならない。

 

 

だけど…正直、これ以上はもう辛い。

演じたくない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――誰か…、誰でもいいから……助けて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

水希side

 

スバル「やっぱり、兄さんだったんだね…」

 

僕を見て、腑に落ちたとばかりに呟くスバル。

僕はそのまま、空中で見下ろしているキグナス(クソ野郎)に目線を合わせ、再び宣言した。

 

水希「おい、キグナスとか言ったか…? 前に忠告はしたからな。それでもまだ…籠絡(ろうらく)するつもりなら、こっちも遠慮なく殺してやる…」

リヴァイア「…ま、そういうことだ。今のコイツに手加減なんか期待すんなよ?」

水希「バトルカード、スキャニング――スイゲツザン!」

 

レヴィアワンドを手に取り、絵柄より細い刀身のスイゲツザンが具現化された。

一方、宇田海さんはというと…、不快感に満ちた表情をして目を細める。

 

宇田海「ブラザーとして、僕を止めるだと? 笑わせないでよ…。…所詮、『裏切りこそがこの世の本質』。僕にはもう、要らないものだよ」

スバル「宇田海さん…」

水希「――()のあなたなら、そう言うと思いましたよ…」

宇田海「何だと…?」

 

顔色変えずに言い捨て、鋭く睨まれる。

 

水希「宇田海さん。僕は、今のあなたが嫌いです。人との繋がりや、信じれるものが周りにありながら、それらをすべて、力で否定しようとした。…だから――」

 

握る力をこめ…指差すように剣を構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水希「本気で(たお)しに行きます。―――――簡単にくたばんなよ! 深祐!!」

 

…と、怒りのままに吠えた瞬間。

宇田海さんはしばらく固まるが、次第に嫌悪と憎悪でぐちゃぐちゃになっていた。

 

宇田海「―――――言わせておけばぁ!!!!

水希「っ!…――ハァッ!!!!」

 

拳を突き出す形で猛突進してくるが、それを剣の面で受け止め勢いつけて振放すと、今度は羽を投げつけようとする。

恐らく…力も速さも段違いだが、()()()の時に比べたら存外マシなレベルだ。

 

スバルに当たらぬよう、剣ひとつで捌き落とす。

 

 

水希「スバル、援護して!」

スバル「…!! わかった!」

 

準備に入らせる間は自分が突進し…剣を振るうが、相手もそれで殺られるほど弱くない。

気づいた時には飛翔し、剣に触れた箇所に僅かなクレーターが出来た。

そしてまた、〈ダンシングスワン〉を繰り出そうとするが、こちらは難なく回避する。

 

以前――信武から聞いた話。宇田海さんの家系にいる人達は、種目と年数がそれぞれだが武道を嗜んでいたらしく、近頃はする機会が無くとも、無意識に身体に染みついていれば、相手をするに厄介極まりない。

…だから何だって話だけどね!

 

宇田海「――流石だね。そう簡単には行かないか…」

水希「ごめんね? 負けてやるつもり無いから」

 

形勢は不利だと思える状況に、彼が焦るのも無理はない。

相手は腐っても古株。伊達に絞られて来てはいないのだ。

 

とは言え…自分にとって、ある意味初めての対人戦。

戦闘スタイルは能力頼りなため、近接戦に不安はあれど、…今の自分なら…

 

宇田海「――考えてる暇あるのかい?」

水希「…っ!? しまっ―――がぁっ…?!」

スバル「兄さん!!」

 

 

電波体のみが扱える基礎的な技の一つ【ワープ】。

完全に出遅れてしまい、左ストレートを打たれ、吹き飛ばされる。

 

スバル「この野郎っ…!!!」

 

スバルはガトリングで牽制しようとしたが、宇田海さんは食らうことも防ぐこともせず…

 

宇田海「……遅いよ…」

スバル「う"っ……!?!?」

 

スバルの眼前…それも弾が当たらない位置に転移し、腹部に掌底を浴びせた。

それなりに加減してくれているはずだが…スバルからしたら痛恨の一撃に等しく、突然の衝撃に目を見開き、倒れ…腹を押さえて悶絶する。

追い打ちをかますかと思ったら、上空へと駆け上がる。

 

宇田海「…悪いが、君達を相手してられるほど、暇じゃないんだ…。しばらくは、この子達と遊んで貰うよ!! ――〈ワタリドリ〉!!!」

 

100を優に超える数のアヒルが召喚され、そのまま何処かへと消えて行った。

 

すかさず、周りに被害が及ばぬように魔法陣を生成し、〈縄で捕縛〉するよう命令を与え、スバルのもとへ駆け寄った。

 

 

 

 

 

***

 

その頃、戦場から少し離れた所では……。

 

ゴン太「…水色の兄ちゃん、スゲェな…。さっきまで、あの鳥野郎にも負けてなかった…」

ルナ「………」

キザマロ「………」

 

常人でも時折、目で追えぬ速さで繰り広げられた戦闘。

特撮物のそれと見紛う迫力に、フェンス越しから眺めても息が詰まるものだと痛感させられてしまう。

特に、感心するゴン太を除いた二人なら尚更。

 

――安心して! 今から車を止めるから。舌噛まないよう何かに掴まっといて!

 

いつかの夜。車窓越しでも微かに見えたシルエットから確信づいたキザマロは、視線をルナへと向ける。

 

キザマロ「委員長。もしかして、あのとき僕たちを助けてくれたのって…」

ルナ「……あなたの考えは、きっと間違ってないと思う。でも今は、あの人達を見守りましょう…」

 

ロックマンが現れてからの熱狂は何処とやら。

冷静に見やるルナの返答に、視線を戻し「……はい」と答えるほかなかった。

 

 

 

***

 

 

息つく間もなくしゃがみ込み、腹をさするスバルの肩に触れた。

 

水希「スバル、大丈夫…!?」

スバル「ゲホッ……なんとか。宇田海さんって、結構、強かったんだね…」

水希「………うん……」

 

とても大丈夫そうにないが…他の言葉をかけてやれるほど余裕はない。……がスバルは、腹に残る圧迫感にむせ返りながらも、体を起こせるだけの余力はあったようだ…。

その様子に、内心胸を撫でおろす。

 

しかし、アヒルを召喚した後だって…訳もなく逃げたと思えなかったし、居場所を掴めないからこそ、油断ならない現状にある。

 

水希「……ねぇ、どこにいるの……深祐さん」

 

空を見上げてから数秒待たずして、研究所からサイレンが鳴り響く。

 

水希「何事…?」

天地『―――皆さん、一度しか言わないので、聞いてください。……たった今、この研究所に人工衛星が墜落して来ると判明しました…』

水希&スバル「「――ッ!!?」」

 

館内放送を通じて、聞き捨てならない事態に体は強張り、思考もうまく働かず呆然としていた。

 

天地『慌てるのも無理はありませんが、ご安心ください。緊急時に備え、館内と正門付近の2箇所に地下シェルターを設けていますので、まだ研究所にいらっしゃる方は急いで向かってください!』

 

『緊急事態発生の為、地下シェルターを開放します。研究所に居られる方は、職員の指示に従い、すみやかに避難してください。――繰り返します……』

 

ひとしきり通達を終えたのか、気づけば避難勧告の放送に切り替わっていた。

 

スバル「ちょっと…いま、人工衛星って…?!」

水希「まさか……深祐さんが…?」

 

――信じらんない……何でこんな……

 

いくら否定したくとも、天地さんですら動揺を隠せないのだから、刻一刻と危機が迫っていることは確かだ。

 

程なくして着信音がうるさく鳴る。

 

リヴァイア『水希、天地さんから電話だ!!』

水希「応答して!」

 

左腕のガントレットに視線を落とし、画面越しにいる天地さんと対話する。

 

天地『…聞いての通りだ、水希君。宇田海のやつ…使われなくなった人工衛星をここに落とすつもりだ』

スバル「はぁ!?」

水希「何考えてんの、あの人!?」

天地『…宇田海のパソコンからようやく状況を理解した時点で遅かった…。こちら側でもハッキングを試みたんだが、外部からの干渉が不可能になってるんだ。… 現状、止めるためにも頼れるのは君達しかいないと思う。どうか…宇田海を頼む!』

水希「………」

 

どういう経緯があって暴走したかは分からないけど……でもきっと、少なくとも、深祐さんはこう思ってるはずだ。…僕を止めてくれと。

だが上空にはアヒルの大群がいるため、二人して止めに行こうものなら、その隙に研究所を破壊しつくすのは容易だろう。

 

押し付けがましいのは承知だが、止める手立ては一つしか浮かばなかった。

 

水希「スバル、まだ動ける?」

スバル「うん…。痛みも少し引いてきた…」

水希「そう。…出来れば一緒に行きたいけど、まだコイツらを片付けないといけない。だから、スバル。深祐さんを助けてあげて…」

 

スバルは一瞬戸惑うが、時間がないと判ってから立ち上がる。

 

スバル「……わかった。全部話すって約束、忘れないでよ!」

水希「…上等。さ、早く行って! 足止めしてるうちに!」

 

スバルはそのままウェーブロードへ飛び移り、宇田海さんを止めに行った。

多分ウォーロックがいるから大丈夫なはず。今は彼を信じよう。

指を鳴らすと同時に縄が解かれる。

 

アヒル達は皆、慌ててスバルを追うつもりだが、そうなればこちらから立ち塞がるまでだ。

勢いをつけてウェーブロードに飛び移る。

 

水希「アヒルさ〜ん。スバルを止めたいんだったら、まずはウチを倒してからにしなよ!………つっても、まぁ…アンタら程度じゃ足しにならなそうだけどね」

 

案の定…挑発した甲斐あって、アヒル達は一斉に攻めかかってきた。となれば、後はこっちのもんだ。

すかさず一枚のバトルカードを通し、気づかれにくい額の位置に小さく…照準代わりに陣を貼り付ける。

 

水希「――撃ち落とせ…〈ホーミングミサイル〉!!!」

 

命令を下すとともに背後から魔法陣が現れ、彼らの下へ暴虐の雨が降り注がれるのだった。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

スバルside

 

兄さん達に託された以上…早急に止めければならないが、宇宙まで到達するための通路が見当たらず焦り始めた時。相棒が機転を利かせるように一点を指し示した。

 

ウォーロック「スバル、あそこにあるアンテナを使え!」

スバル「……あれか!!」

 

言われるままに目をやると、アマケンにとっての顔でもある通信塔を見つける。

他のウェーブロードとは違い、空に向かって一直線状に繋がれているため、好都合と踏んで…ようやく彼と鉢合わせる。

 

宇田海「もう追ってきたのか…。今さら君が何をしようと…僕の復讐の邪魔はさせないよ!」

 

なんと言おうが関係ない。それに…兄さんは助けてあげてと言ってた。

なら、力ずくで行くよりも…今は説得に専念すべきだと己を奮い立たせた。

 

スバル「宇田海さん……この前話したように、悪い人だって確かにいるよ。…でも、同じくらい、天地さんみたいに優しい人達だっているじゃん! どうしてそれを分かっていながら、誰も信じることが出来ないの!?」

宇田海「……確かに天地さんは優しいよ。あのクズにしてやられて、ヤケになった僕に『科学者としての夢を諦めないで欲しい』…って、笑顔でそう言える人なんだからね」

スバル「だったら!」

宇田海「でもね、スバル君…『世の中…どれだけ綺麗事を言っても、汚れは消えることはない』って。…皮肉なことに、君のお父さんがよく口にしていたんだよ…」

スバル「え……」

 

僕の知る父さんは、そんなネガティブなことを吐く人だと思えなかった。

驚きを隠せないでいる僕に構わず、宇田海さんは話しを続ける。

 

宇田海「水希君だってそうさ。目的を果たす為なら…友情も思い出も、平気な顔して捨てられる人間だと、あの時になって思い知ったんだよ。

信武ともあんなに仲良くしておいて、よくも…!」

スバル「宇田海さん…」

宇田海「仮に、君の言う良い人間がいたとしても…中身が腐ってるなら尚更、信じる必要性なんてどこにもないんだよ!!」

スバル「そんな……」

 

何を言っても通じる気配はない。

実際、兄さんがいたら少しは変われたかもしれないのだ。…たかが一人にできることが限られてるのなら、悔しいことこの上ない。

 

――どうしよう…このままじゃ……

 

ウォーロック「じゃあお前…今まで関わった奴ら全員が、お前にしてきたこと全部…裏切りに入るってのかよ?」

 

言葉が見つからずにうろたえる僕を、見かねたウォーロックが宇田海さんを睨みつけ、物申した。

 

宇田海「……何が言いたい?」

ウォーロック「忘れたとは言わせねぇぞ…。スバル(このバカ)は…お前が実験中にヘマして落っこちた時も、辛い過去を…傍らで聞いてた時も、ずっとお前を気にかけてただろうが!」

宇田海「……ッ」

ウォーロック「水希だってそうだ。お前らにどういう事情があったかは知らねぇけど、数少ない親友だからこそ……誰よりもお前を助けたいと思ったはずだ!

だが状況が悪くて、俺達に託すほかないと悔やしがってたんだぞ!

……それとも何だ? テメェにとっての絆は、繋がりは……些細なコトで崩れ去っちまうほど脆いもんなのかよっ!!」

 

怒気をはらんだウォーロックの叱責には、さすがの僕も圧倒されてしまった。

普段はぶっきらぼうに見えて、意外と情の深い奴なんだなと認識を改める。

だけど、今の宇田海さんには、何者の声も届かないようだった……。

 

宇田海「……あぁ、そうさ! 脆いよ、脆いとも! 今まで屈辱を味わってきた分、今度はこっちが壊してやればいいんだよ!!」

ウォーロック「それが間違いだっつってんだバカ野郎がっ!! おいスバル、もうコイツに遠慮なんかするな!!」

スバル「……わかった…」

 

言われるがまま…無力感に押しつぶされたまま…【キャノン】をプレデーションし、構える。

 

当然…止めに入るが、距離が縮まったことで運良く撃つことは出来た。

その傍ら、僕の耳に宇田海さんの優しい声が届いた。

助けてくれてありがとう…と。

 

 

……が、安心していたのも束の間。

 

周囲に舞う白羽根が、宇田海さんの体をを突き刺すように入り込み、それに伴って宇田海さんが苦しみだした!

 

宇田海さんっ!! と呼びるがとうに遅く、変身体に戻ったということは、だ。

――()()()()()は、完全にキグナスに乗っ取られてしまった。

 

キグナス「フフフ…。この体は僕と相性が良くてね。もうしばらくは使わせて貰うよ」

スバル「…! 待って――」

 

そそくさと去ろうとする彼を追うつもりでいたが、ダメだ!と、声を荒げるロックに止められた。

 

ウォーロック「アイツを止める前に、やらなきゃいけねぇコトが残ってるだろ!!」

スバル「そうは言っても……宇田海さんは?!」

ウォーロック「最悪…地上にいる水希に任せりゃ良い。……とにかく今は、人工衛星をどうにかすんのが先だ!」

スバル「ッ、……あーもう!」

 

その後、衛星本体に繋がれた太陽光パネル――そのうち一つを破壊し、軌道をずらすことによって墜落を阻止できた。

 

結果がどうあれ、今は宇田海さんの安否を祈りながら、急いで帰還することにした。

 

 

 

◆◆◆

 

水希side

 

スバルが深祐さんを止めに行って数分経った頃。

大多数はミサイルで仕留めたが、撃ち損じた残党にはスイゲツザンで切り伏せていった。

 

ある時は刀身に水を纏わせ斬撃のように飛ばし、ある時は刃先を鋭利に凍らせ突撃しては斬りかかって行き……残るは一体のみ。

 

間髪入れず一気に間合いを詰める。

 

水希「……これでッ!」

 

喉を穿かれたアヒルは呻くことなく霧散していった…。

 

水希「……はぁ、……はぁ…」

 

……正直、誤算だった。

切っても切っても絶えずして襲って来られるのだから、100体なら余裕だと高をくくっていた自分を殴りたい。

 

いっそのこと、言霊の陣を惜しまず使えば楽だったが支払う体力(コスト)もバカにならないので、結局の所『ムダな消耗を抑えるなら白兵戦が無難』なのだ。

 

とは言え……休みなく動けば、さすがに疲労は溜まってくる。

刀を地面に突き立て、深く息を吐き出した。

 

リヴァイア『おいおい、お前まだ20代だろ。もうそんなにヘバってんのか?』

水希「…んな時に、…冗談、止してよ…」

リヴァイア『……はぁ。いっちょ前に挑発すんのは構わねぇけど……ちったぁやせ我慢も程々にしとけよ? お前ほんっと危なっかしいんだからさぁ…』

 

心配なのはわかるが…こうも言い諭されては、反論のしようがない。

いつからリヴァイアは、親みたいな感じになったのやら。

 

水希「……ったく。――!」

 

訂正。背後にまだ一体残っていた。

ソイツは隙を見計らったと思い上がり、そのままつっかかってくるが……

 

水希「遅いっ!!」

 

片手を背後に上げ、魔法陣を展開しきったと同時に雹弾で迎え撃つ。

 

「―――――――」

 

腹を穿たれ力無く呻き、灰のように散り逝く姿を見届け、討伐は完遂した。

 

――そういや…もう、避難は済んだんかな。

 

雑魚処理で騒しかった分、余計に静けさが増していき、気がつけば空を見上げ…スバルを呼んでいた。

 

その時、天地さんからの呼び出しに気づき、すぐさま応答ボタンを押した。

 

天地『水希君、朗報だ。スバル君が軌道を反らしてくれたお陰で…どうにか難は逃れたよ』

 

確かに。上空からは、人工衛星らしきものが熱を帯び、パラパラと散っていくのがわかる。

上手いことやってくれたスバルに感謝したいが、今はグッと押し留め…深祐さんの安否を問う。

 

水希「……それは良いとして、深祐さんは…」

天地『残念だけど、運悪く仕留め損なったのか……現場から200メートル離れた先で生体反応が途絶えた。よって今のところ、宇田海を見つけだすのは厳しいんだ。すまない……』

水希「……わかった。とりあえず、一度スバルと合流してからそっちに向かう」

天地『了解した』

 

通話を切る。

 

 

 

……本当なら、自分が行くべきだった。

 

けれど、勝手に連絡を断って…遠避けておいて、今更仲直りだなんて都合が良いだけだし、説得を聞き入れてもらえないのは明白なこと。

……だからあの時、スバルに押し付けるほかなかった。

 

水希「……くそ……」

 

誰にも咎められぬが故、虚しく独りごちるしか出来ずにいた。

 

そんな今だからこそ…無条件で得られるのなら、どんな苦境にも立ち向かえる……勇気が欲しいと(こいねが)っていただろう。

 

 

 

◆◆◆

 

スバルside

 

夕方…。

騒動の後、委員長らと出会すことはなく、そのままトボトボと…兄さんと二人並ぶように家路を辿っていた。

 

スバル「ごめん、兄さん。僕じゃ…宇田海さんを止められなかった…」

 

落ち込む僕を宥めるように、兄さんは頭を撫でてくれた。

 

水希「……いいよ。誰だって失敗はあるんだし…それに、まだチャンスはあるはずだって…」

スバル「……そうだね」

 

怒ることもなく、慰めようとするところが兄さんらしいなと思った…。

 

二、三歩早く進んで…回り込むように兄さんと顔を合わし……

 

スバル「宇田海さんは、絶対に助けよう!」

水希「……うん!」

 

何があっても諦めないという意志を、互いにぶつけ合ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

NOside

 

その夜。とあるマンションの一室。

ちょうど風呂上がりだったのか、青年は頭を拭きつつ部屋に戻る。

ドアを開けると同時に着信音が鳴り響いた。

 

??「?……なんだ?」

 

ベッドに置いてある端末から、応答ボタンを押すと、見知った顔に呆けてしまう。

 

 

??「……深祐?」

 

画面越しにいる男は、怪しげにニヤつきながら青年に囁く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇田海『信武。……真実を知りたくはないかい?』

信武「……!?」

 

青年――信武は、驚きのあまりタオルを手放しそうになるが、難なく掴みとると眉間にシワを寄せだした…。

 

信武「……やっぱり隠してたじゃねーか、水希のこと…」

 

 

 




本来の自分と水希君とじゃ…性格が真反対過ぎて、ただ自分の理想を詰め込んでる感が半端ないなって思います。

自分を基準に主人公を作り上げると必然的になってしまうんでしょうね…。

こんなご都合主義満載な作品ですが、最終目標として伏線回収ができるようにしていくつもりですので、今後とも水希リスタートの応援よろしくお願いします。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。