流星のロックマン 水希リスタート   作:アリア・ナイトハルト

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18話(後) 欺瞞は愛すべき者達の為に…

 

信武side

 

信武「………」

水希「………」

信武「逃げられると思うなよ。お前には聞かなきゃならないことがあるんだからな」

水希「……わかった」

 

バツの悪そうな顔で俺を見る水希に釘を刺すと、観念したのか…水希はベンチの左端に寄り、ここに座ってと言わんばかりに促され右端に、互いが距離を取るように座った。

 

水希「もしかして、深祐さんから聞いたの? この3年間のことも全部…」

信武「あぁ、大体な。――それでだ……なんであの時、ブラザーバンドを切る必要があった?」

 

単刀直入に疑問をぶつけると、水希は顔を俯かせながら言いだす。

 

水希「…信武に、心配かけたくなかった…」

信武「……は?」

水希「…僕なりのケジメとして、皆を見つけるまでは会わないことにした。それが、信武の為になるかもって…思ってたの…」

信武「…なにが、…何が俺の為になるんだよ…」

水希「……」

信武「それを聞いて、少しでも納得するとでも思ったのかよ…」

 

的を得ない言い訳に…俺の腸は煮えくり返り、咄嗟に胸倉を掴みとる。

 

信武「ふざけんな!!! 散々黙っておいて、今更探したところで何になんだよ!!! あの事故がきっかけで…お袋も死んだんだぞ…。仮に救えたとして、親父にどう顔合わせりゃいいんだよ……」

水希「え……?」

 

――そんな事…聞いてない。

そう言いたそうな目で訴えかけるように見え、怒りは頂点に達した…。

 

信武「……その様子じゃ、なにも知らなかったんだな…。……そうだよな、…お前は昔から、自分のことで精一杯だったもんな? 「終わり良ければ全て良し」って言うように…自分さえ良けりゃ他はどうとでもなると思ってたんだろ!?」

水希「違う!…そんなこと…」

信武「嘘つけよ! じゃあ、この状況はなんだ? 自分勝手な判断で親父達を見捨てて、俺とも縁を切って、保身と言う名のぬるま湯に浸かってるだけじゃねーか!!」

水希「――んなこと…」

信武「わかってねぇだろ何も!! …お前が生きてると知ってから、どんな思いして過ごしたかも知らねぇ癖に。よくもそんなに、いけしゃあしゃあとしてられるな?!」

水希「………」

 

――必死に否定したと思えば、今度はだんまりかよ……。

ムシャクシャして仕方ないのは同じなのか…気づけばギリギリと歯ぎしりしていた。

 

水希「だったら…」

信武「…?」

水希「だったら…話したところで、アンタに何ができたの? 他の奴らみたいに黙って見ることしかできないだけだってのに!!」

信武「なんだと……!?」

リヴァイア『水希、お前…』

 

「黙ってて!」とトランサーから聞こえる声に、水希は猛反発する。

 

水希「…こっちだってもうウンザリだよ! 願い下げなんだよ! 大体何なの!? やれる事はしたってのに、人の気も知らないで偉そーにイチャモンばっか付けてさぁ? 好き勝手言っておいて、何もしない奴の言葉なんか聞くわけねぇだろ…。…せめて、同じ立場に立ってから文句言えってんだよっ!!!」

 

怒り任せに放った言葉は、俺の心を砕くに容易なものだった。

アホらしさに呆れ果てた俺は手を放し、右頬に一発…お見舞いしては、地面に蹲るバカを見下ろすのだった。

 

信武「俺、お前と一緒に居られたら、他は何も要らなかったんだぞ。…それでも、何一つ信じてくれないんだな…。…見損なったわ…」

水希「…だろうね。こんなクズ相手に…よく仲良くしてくれたなと思ったよ…」

 

立ち上がると同時にトランサーにカードを通し、辺り一帯が光に包まれ……収束した時には、いつか見た姿に変わっていた。

 

信武「……なぁ、水希。俺にも、その力を扱えれば、親父を助けに行ける思うか?」

 

一点を見つめたまま、水希は首を横に振った。

 

水希「……無理だよ。アンタの心が弱ければ、奴らの思う壺。洗脳されて暴君と化すだけ。――はっきり言って邪魔でしかない」

信武「なっ…!?」

 

顔を俺に向けた時の水希の顔は、涙で溢れていた。

 

水希「じゃあね、信武…。出来ればもう、二度と会わないようにしとくよ…」

信武「! おい待――てよ……」

 

水希の手を握るよりも先に、また…どこかへ消えてしまった。

 

別に、お前に責任取れとか言うつもりはないんだよ…。

俺はただ、理由もなしに居なくなってほしくなかっただけなんだよ…。なのに…!

 

 

 

――しのぶ〜! 帰ったらまたどっか遊びに行こ!

――あぁ。次会った時にな!

 

やりきれない気持ちに押し潰され、地面に崩れ落ちる。

 

信武「……やっとの思いで会えたってのに、なんでまた……俺を突き放そうとするんだよ…!」

 

 

 

 

――皆を助けだすまで、アンタとは会わない。…お願いだから、これ以上は関わらないで…

 

 

 

信武「…畜生ォォォォ―――――!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上空。ウェーブロードにて。

 

リヴァイア『……こんなところで立ち止まっても、なんも意味ねぇぞ……』

水希「……わかってるよ、そんなことくらい……」

 

顔を俯かせ、自身の手を見つめた…。

 

水希「……"自分の得た力で大切なものを守るために戦う"…。そう決めたってのに、結局…空振りしまくって……もうほんと、何がしたいんだろうね…」

リヴァイア『………今日はもう休め。さすがの俺でも、波長が乱れまくってるのがわかる……』

水希「……………そうする」

 

 

 

 

 

 

 

――ブラザーとして、僕を止めるだと? 笑わせないでよ…。…所詮、『裏切りこそがこの世の本質』。僕にはもう、要らないものだよ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深祐さんが言った言葉。今なら…よく分かる。

あの人にとって、弟同然に大事な存在である信武を裏切ったから。きっと…そのことで怒ってたんだと思う。

 

信武の気持ち、理解したつもりでいた。

…でも、思い違いだった。

 

結局…目的の為にエゴを突き通すしか出来なくて、傷つけ、悲しませてしまうだけ…。

 

こんな……心の乾いた奴が親友だなんて…笑っちゃうよね。…幻滅するはずだよね。

 

でも、仕方ないって思ってる。

今更引き返せないんだって……そう割り切らないと、この先やってられないから。

 

だから…、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ごめんね……信武。

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