ぼやけた視界に映るのは、いつか通い慣れた教室。
ずらりと整列された席に一人。窓の外を眺める影があり、俺の意志とは関係なしに歩み寄ろうとした。
覚えてる限り…そいつは他の生徒と混ざらず、生返事と無口を貫く木偶だったが、俺と一緒のときは変わらず反応を――色んな
「どうした? そこで黄昏れてさ。やな事でもあったか?」
「ううん。別に…」
今よりも幾分と高い声に懐かしさを覚えさせられる。
「…そっか、ならいいけど」
人によって態度を変えようとする故…周りは不愉快に感じ、お互い必要以上に関わろうとしなくなったのだ。
親友としても、もっと自分を出して欲しいと切に願うばかりだが、こうも定着してるんじゃどうしようもない。
「なぁ…お前って、高校どこ行くか決めてんの?」
「えっ…?」
そいつにしては珍しく…困った顔を見せ、考え込むよう俯くが、即座に首を振った。
「……俺らまだ中二だけどさ、早くにオープンキャンパスに行ってる奴もいるんだぜ? お前もそんなにグズグズしてられねーだろ?」
「まぁね……」
そして、相変わらずの生返事。
どこにいても仮面のように張り付く笑みを見せられる度…息が詰まりそうだった…。
もう一度だけで良いから、笑ってくれよ。水希…。
***
目が覚める……と言っても辺りは暗くなっており、時刻は20時を回っている。
――そうか、俺…ここで…。
倒すつもりで挑んだ相手に抵抗虚しくやられ、ベンチの上で寝転がらされてたのか…。
何時間も同じ体勢で寝てたせいか体が軋むが、気を振り絞り時間をかけて起き上がると、クラウンが現れた。
クラウン『起きたか…』
信武「…敵の癖して、やけに心配そうだな…」
クラウン『悪いか?』
信武「いいや、別に…」
あの女と戦う前もそう。俺ら人間を利用しておいて……ましてや、正気を保ったままでだ。
普通、己の保身に走ってもおかしく無いはずだろ…。
信武「なぁ…お前って、ただ俺らを利用したいが為に契約を交わしたんじゃないだろ?」
クラウン『なぜそう思う…?』
人差し指を立てて言う。
信武「理由は一つ。敵同士である以上…用済みにしろ、生存本能が働くにしろ、見捨てるのは容易い。だかそうしなかったのには別の目的や理由があるから。…違うか?」
クラウン『……仮に、知ったところでどうする?』
圧をかけるよう問い質したが、変に反論しない辺り…図星らしい。適当にはぐらかされるよりはマシか…。
両手を頭の後ろに回し、仰向けに寝転ぶ。
信武「さぁな。ただ…内容次第ではお前を殺すと思う」
クラウン『力を行使できないと知った上でか?』
信武「あぁ。それに…親父が生きてる保証なんて、もう無いだろうしな……」
クラウン『………』
無論、生きているのなら嬉しいが、コイツらを信用できないからこそ…過度に期待する気にはなれない。
何よりも今、俺が望むのは、水希の……幼い頃から変わらず見せてくれた無垢な笑顔をもう一度見たい。
ただ、それだけなんだ。