流星のロックマン 水希リスタート   作:アリア・ナイトハルト

31 / 87
地の文から既にキャラ崩壊っぷりが激しい件について…。
だけど過去最高に書けた気がする。


EX-3話 避けられぬ戦い

 

スバルside

 

4/21 pm 13:30

 

ミソラちゃんを家に匿ってから数時間が経つ…。

重苦しい状態が続くと思うと気が滅入り、お昼を食べた後、気分転換にとゲーム機とソフトをリビングに持って来るのだった。

 

持っているソフトのほとんどが兄さんからのプレゼントで、ジャンルは豊富そのもの。

二人でよく遊んでいたのもあり、今や僕にとっての宝物だ。

 

そして現在…

 

ミソラ「あぁ、もう! また負けた〜!」

 

みんな大好き【ダリ男かぁ〜と】で対戦したはいいものの…ほとんどが僕の圧勝で終わったが、余程の負けず嫌いなのか……もう10回以上も連戦していた。

 

スバル「…ん〜でも、さっきよりは上達したと思うよ?」

ミソラ「よく言うよ! 涼しい顔して余裕で勝っちゃうんだから。あぁもう悔しいぃ〜!」

 

咄嗟のフォローも効果なく、むくれたと思えば寝転がり、ギュっと丸まるよう縮こまってしまった。

何と言うか……忙しい子だ。

当時の僕も兄さんにボロ負けして泣きついた記憶しかなく、今思えば子供相手に容赦ねーなと苦笑混じりに呆れ果てるのだった。

 

ミソラ「よ〜し、もう一戦!」

スバル「え"っ? そ、そろそろ別のゲームに…」

ミソラ「やだっ!」

スバル「えぇ…」

 

勘弁してくれ…と眉がハの字に吊り下がりそうな時。

 

あかね「はいはい、盛り上がってるのは良いけど休憩は大事よ?」

 

取り分け用の小皿とフォークと一緒に、深皿に盛った苺がテーブルに置かれた途端ゴクリと喉を鳴らし、目線を苺の方へロックオンしだすミソラちゃん。

一方…僕は、注がれた麦茶を飲み干す。

苺と合うかはともかく、喉を潤せたので無問題(もうまんたい)

機転を効かせた母さんマジGJ。

 

ミソラ「ちょっと聞きたいんだけどさ…」

スバル「?」

 

既に2、3個ほど食べてるミソラちゃんから、急に話を振られる。

 

ミソラ「お兄さんって、普段何してるの?」

 

一瞬、自分にだけ雷に打たれた気がした……と思ったが、母も同様らしい。

どう考えても地雷発言です。本当にありがとうございました。

 

スバル「ね、ねぇ、母さん…? 兄さんって今日、大学で講義…?があったっけ?」

 

何故だろう…。一見張り付くような笑顔で「こっちに振るんじゃねーよ!」と目配らせてる気がする。

 

あかね「……エェ、ソウヨ。確か今日は講義の後にアルバイトがアッタハズヨ。うん…」

 

若干片言じみていたがミソラちゃんは気に留めず、それどころか目を輝かせているではありませんかヤダー。

 

ミソラ「大学か〜、いいなぁ。オシャレしてる人多いだろうし、私なら…友達とカフェ行ってみたり…音楽仲間とバンドを組んでみたりして……いいなぁ」

 

なんということでしょう…。

あれやこれやと妄想(ゆめ)を膨らませているではありませんか。

僕も聞いてて、なんだかほっこりしちゃいます。

 

 

まぁ嘘だけどね。

本当は兄さん…最終学歴が中卒で、僕と同じヒキニートじみた生活を送っておったのです…。

 

って誰がヒキニートじゃ! 偶にだけどちゃんと出歩いとるわ! 最近になってだけども!

兄さんはどうなんだって? ……そりゃ兄さんは、必要以上に語らないから知らなかったんだもん! 僕な〜んも悪くないもん!(汗)

 

……いや、割とマジで家事するぐらいしか知らなかったんです。はい。

 

 

ミソラちゃんには悪いけど、素性がバレたら色々とまずいのだ。咄嗟の対応力に圧巻だよ。

母さんマジGJ。

妄想に浸るミソラちゃんを他所に、二人して親指を立て合うのだった。

 

 

そうこうしてるうちに戸の閉まる音がした。

 

あかね「あれ、もう帰ってきたのかしら?」

スバル「ちょっと見てくるよ」

 

様子見がてらリビングを出れば予想通り。

靴を脱ごうとする半ば、いつに無く落ち込んでいるのが目に見えた。

 

スバル「おかえり、兄さん」

水希「……ただいま」

スバル「どうだった? 宇田海さんは…」

 

見つかった?と聞く前に、兄さんは首を横に振る。

 

スバル「……そっか…」

 

――やっぱ、そう簡単には見つからないか…。

状況を理解した上で兄さんに提案を促す。

 

スバル「…思ったんだけどさ、もう…向こうから現れるまで待つしかないんじゃない?」

水希「……そうだね。この話はまた今度でいい? ちょっと…つかれた……」

 

疲弊しきったまま階段を上がる兄の背を呆然と眺めていると、ウォーロックが急に口を開けた。

 

ウォーロック『相当参ってるようだな。波長がありえねーくれぇに荒れまくってる…』

スバル「……わかるの?」

ウォーロック『あぁ。()()()()()()以上はな。俺達FM星人でも…お前ら人間にも、孤独の周波数を持つように、喜怒哀楽といった感情にも含まれるんだ…。笑顔を見せても腹の(うち)は笑ってねぇように、感情の起伏すらも読めてしまう。だからFM星人は互いを信じようとしねーのさ。()()()()()()()()()だがな。全く…何度聞いても皮肉な話だぜ…』

スバル「兄さん……」

あかね「スバルー、水希もう帰ってきた?」

 

きりの良い所で母さんが現れるが、何やら買い物袋を肩に提げている様子…。

 

スバル「うん。…でも、しばらくはそっとしてあげた方がいいかも。なんか元気無いし…」

あかね「……そう。アンタが言うならそうしとく。母さん、これから買い出しに行くから、留守番よろしくね」

 

スーパーへ向かう母を見送った後、ひとまずリビングへと戻るのだった。

 

 

 

 

◆◆◆

 

ミソラside

 

pm 22:30

 

スバルくんの家に匿ってもらってからだいぶ経つ…。

お風呂を借りた後、ママさんが使っている部屋に居させてもらい、ベッドの上で横になっていた。

 

今の今までミュートに設定していたが、トランサーを開けば、着信履歴やメールの受信欄はマネージャーで埋め尽くされていた。

内容(中身)は開かずとも連れ戻す気満々に尽きるだけ。

 

……正直、帰りたくない。

 

役職柄…人と触れ合う時間があろうと、プライベートとなれば話は別。

口煩いアイツと居るくらいなら、いっそ……

 

あかね「まだ起きてたのね」

ミソラ「ひゃい!!」

 

トランサーを覆い隠したまま振り返る。

 

あかね「全く…、夜ふかしは肌に悪いわよ」

ミソラ「ご、ごめんなさい……」

あかね「…やっぱり、マネージャーのことで気がかりなんでしょ?」

ミソラ「……はい…」

 

無論、悪い意味でだが肯定するほか無かった。

 

あかね「どうしても寝付けないなら……アイツには悪いけど、昔話でも聞かせましょうか」

 

そう言うとベッドにのしかかり、私の隣に寝転んだ。

 

あかね「……昼間、水希が普段何してるか…聞いてたわよね」

ミソラ「大学に通ってたって話…でしたっけ?」

あかね「そうなんだけど、アレね、実は嘘なのよ」

ミソラ「え…?」

 

まさかの事実に驚きを隠せず、目を見開く。

 

あかね「ごめんなさいね。本当はあの子…中卒で、スバルに寂しい思いをさせない様にって、()()()()()()まで居候していたのよ」

ミソラ「……どうして私に…」

あかね「ん〜、なんて言うか……今の貴女を見てると、昔のスバルにそっくりでさ…」

ミソラ「昔の…スバルくん……?」

 

気がつけば、話に夢中になっていた。

 

あかね「三年前…。私の夫である大吾さんが、ある日を境に行方がわからなくなってね…。スバルにとって…受け容れたくないことだから、その日以来……人と関わろうとしなくなったの」

ミソラ「……そんな事が」

あかね「うん。その時…水希が居てくれたからこそ、スバルは徐々に笑顔を取り戻して行った…。水希からしたら、大吾さんの代わりになれないみたいだけどね……」

 

それでも、誰かの為に頑張れるのは凄いと思う。

私も…大好きなママの為にと歌い続けて来たけど…それすら霞むほどだ。

正直、恵まれた環境にいるスバルくんが羨ましいと思えてしまう。

 

あかね「……ミソラちゃんはまだ若いから、やり直すチャンスは幾らでもあるわ」

ミソラ「…?」

 

黙り込んでた矢先、突然喋りだされて困惑するなか、頭を撫でられた。

 

あかね「どんなに頑張っても、投げ出すほど嫌になった時こそ…一度だけ手放してみてもいいと思うよ。そこから自分を見つめ直して、本当にやりたい事を見つけるまで、ひたすら探し続ければ良い…」

ミソラ「……!」

あかね「……ごめんね。貴女がどれだけ辛い思いしてきたか…少ししか知れなかったから、こんな事言う資格なんて無いと思う」

ミソラ「…それでも…嬉しいです…」

あかね「そう。なら良かった…」

 

今までは周りからの期待とアイツからの罵詈雑言の嵐だったから、こうして面と見てくれる人がいると思うと安心するのだ。

……そうか、これが人の温もりか…。

失いかけたそれが思い出され…胸がポカポカと温まり、凍りついた筈の心が溶け……癒えて行く。

 

あかね「…もう寝ましょうか?」

ミソラ「はい…」

 

灯りが消された後…互いにおやすみの挨拶を交わし、眠りにつくのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌朝…。

 

いつもと変わらぬ時間に目を覚ます。

……と言っても大抵、5時より前に起きる習慣が身についており、ママさんは未だ…傍らで寝息を立てていた。

 

ミソラ「……」

 

物音を立てないよう部屋を出て身支度を済ませ…去り際に振り返り、深くお辞儀をする。

 

ミソラ「…お邪魔しました……」

 

匿って貰っておきながら薄情ではあるが、これ以上迷惑をかけられないと思い…薄明るい空の下、トボトボと歩く。

そして辿り着いたのが、展望台。

 

スバルくんとの出会いが印象深いせいか、ここに立ち寄らずにはいられなかった…。

 

ミソラ「………」

 

その時ふと、ギターに手を伸ばし……ピックを添え、鼻歌混じりに弦を弾く。

 

ミソラ「〜…、〜〜。〜〜〜……」

 

…が、そう長く弾けなかった。

 

ミソラ「……ママ。私、分かんなくなってきた。生きてく為にもお金は必要だけどさ…。アイツの言いなりになってまで、歌いたくないよ……」

??『そうよねぇ。意地汚い大人のせいで、大好きな歌を穢されたんですもの。いっそのこと、その誰かさんが居なくなればいいのにって思ってるんでしょ?』

ミソラ「――誰っ!?」

 

突如、ポロロンと和らげな音が響き渡り、脳に語りかけてくる声に気づく。

 

??「ポロロン……――こっちよ…」

 

一瞬…ママに似た声に導かれ姿を表すが、人間と思える姿をしておらず。寧ろ、楽器に魂が宿っている様にも見えた。

 

ミソラ「誰なの…あなた……」

??「ワタシの名前はハープ。貴女の奏でる音に導かれた…音楽の女神よ」

ミソラ「音楽の…女神……」

ハープ「そうよ、ミソラ。貴女は運がいいわ…。だって貴女は、音楽を力に変えることが出来るのだから……」

ミソラ「でも私…歌いたくない……」

 

私は、大好きなママの為に歌い続けたい。……けど、お金に汚い人間の為に歌いたくない。

それでも、彼女を受け入れなきゃ何も変わらない。

本当の自分を殺したまま歌い続けなければならない。

それだけは嫌だ。

 

入り交じる葛藤に狼狽えていると、ハープと名乗る女は手を差し伸べる。

 

ハープ「大丈夫よ。ワタシを受け入れてくれたら、貴女の音楽を穢す輩はいなくなるわ。だって…貴女の音楽は、貴女の為にあるもの…。そうでしょう?」

ミソラ「……私は…」

 

もう…何もかも、ワカラナイ…。

 

***

 

『いい、ミソラ…。歌はね、傷ついた人達の心を癒やし勇気づけるためにあるの。いついかなる時もそれだけは忘れちゃダメ。母さんとの約束よ?』

 

『はーい! 指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲〜ます! …それじゃ行ってくるね!!』

 

『フフフ、行ってらっしゃい。母さんはここで応援してるから精一杯頑張りなさい!』

 

『うん!!』

 

***

 

 

ミソラ「ごめんね、ママ…。約束、破っちゃって…」

 

差し伸べられた手を取り、光に呑み込まれるのだった…。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。