流星のロックマン 水希リスタート   作:アリア・ナイトハルト

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EX-6話 悲壮するが故の発露

辺り一面が暗闇に覆われ……そこに立っているか分からない空間のなか、重たげな(まぶた)をようやく開ける。

 

「―――? ……ここは?」

 

彼女――ハープを受け入れてからの記憶が無く、どれほど時間が経ったのかもあやふやになっていた…。

それに加え…体中、水に浸かる感触に包まれながら、まともに呼吸できる違和感から、現実世界では無いと悟る。

 

「…わたし…いったい…………――ッ!!!」

 

しばらく呆けていたら、唐突にフラッシュバックが起こり、鮮明に見えはじめた時には目を疑い、絶句してしまう。

 

…それもその筈。今の今まで、彼女によって操り人形へと仕立てられ、行き場のなかった怒りを…不満を…、ひたすら相手にぶつけていたのだから。

しかし、目覚めて早々…こうも悪夢を見させられて、堪えられる訳がない。

 

「な、によ…これ……。ぜんぶ…わたしが、やったっていうの……!?」

 

マネージャーに飽き足らず、ライブを心待ちにしてる人達にも攻撃をしたという事実が、――人の苦しむ様を見て、嘲笑う自分がいるという事実が、良心をえぐり取るには十分すぎた。

 

……何より、認めたくなかったのだ。

あんなに楽しかったはずの音楽(モノ)が、私の……唯一の生きる希望が、一瞬にして凶器に成り果てて行くのを……。

 

――…うそだ……信じたくない…。

 

そうしてずっと…頭の中で否定の言葉が羅列(られつ)されていく。

いくらドス黒い感情を押し殺そうと、目の前の自分(ハープ・ノート)にやめてと懇願しようと、一度火が付けば…勢いは止まらない。

 

 

――………わたしがしたかったのは…こんなことじゃ、ないのに…。

 

 

もう、目を向けることすらできず、そのまま崩折れてしまったのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

〜♪

 

 

……スバルです。今回こそはと…助けようとした子に思いっきりブン投げられたとです。

それでも何とか生きてるので、主人公補正A+(己の運の良さ)に…感謝しきれません。

 

……スバルです。電波変換した上でとはいえ、女の子に腕力で負けてしまったとです。

ショックのあまり…乾いた笑いだけがこみ上げてきます。

 

……スバルです。顔から着地したのちに、某青狸みたく、直立不動の如く、胸の辺りまでブッ刺さったとです。

 

【挿絵表示】

 

 

悲しみの果てに…マンドラゴラになっちまいそうです。

 

……スバルです。結構、悲惨な目にあってんのに…肝心の相棒ときたら、わりと無事で済んだとです。

 

理不尽です……理不尽です……理不尽ですっ!

 

 

ウォーロック「おうおう、なんとも可哀想になぁ……。――じゃねぇー!! 自虐る暇あんなら、はよ起き上がれや! これじゃ尺の無駄遣いじゃねぇかよぉぉ!!」

スバル「ちょっと引っこ抜いておくんなまし…」

 

その後はなんとか、バスターから分離して現れたロックに、引っ張り上げてもらいましたとさ…。

 

 

 

ウォーロック「生きてっかぁ? スバルさんよ…」

スバル「死んだら今頃ボケちゃいねぇさ。ウォーロックさんよ…」

 

格闘ゲーム並みに投げ飛ばされたから、これを生身で受けたなら余裕で死ねるけど、電波変換のおかげで助かったと……そう信じたいものだ。

ようやく立ち上がると、ロックは恨めしそうな眼差しで遠くを見つめた。

 

ウォーロック「今回はよっぽど相性が良いんだろうな…。キグナスの頃と変わらねーぐらいに厄介だぜ……」

 

……確かに。今のミソラちゃんの手強さは、宇田海さんとそう変わらない。

それこそロックが言ったように、電波変換した後の強さは、人間(うつわ)との相性に左右されるそうだ。

 

……が、幸い。相手は同年代。

 

臆せず攻め入れば、まだ勝機はあるか…?

――と、思考を巡らせた時。

 

 

 

 

ウォーロック「……すまなかった…」

スバル「え…?」

 

突然の謝罪に、思わず気の抜けた声を上げてしまう。

 

ウォーロック「本来、オレたちは敵同士だ。いつ…お前の兄貴に殺されても、おかしくは無かった…。

それと、ろくに事情も話せずに、お前を戦場に巻き込んじまったこと……少しだけ、後悔してんだ……」

スバル「……僕が、父さんの息子だって……わかってたから…?」

 

最初会った日のことを踏まえて、声を震わせながら彼に問う。

 

ウォーロック「………」

 

返答はない。――が、何かしら思い詰めていることだけは、表情から見て取れた。

自分から聞いておいて勝手に幻滅しそうだったが、人に悪く言えるような立場でもないから、その辺はお相子だろう。

 

一度視線を反らし、顔を俯けた。

 

スバル「……前に母さんに叱られたこと、今ならわかる。兄さんが(うち)で過ごしてる間…ずっと疑問に思ってた。なんで兄さんだけ、無事なんだって…。――でも…問い質したらきっと、僕の前からいなくなるかもって思って……」

 

大切な人が消え去る恐怖を味わうくらいなら、いっそのこと平穏に暮らせればそれでいいや。…って。

楽な道を選んで、逃げたのだ。

 

そうやってズルズル引きずらせたのは、他の誰でもない…僕自身なのだから。

 

スバル「やっぱりさ、僕には資格が無かったってことでしょ? 聞いたところで、現状を変えられるだけの力は無かったから」

ウォーロック「スバル……」

 

あの夜、展望台にいなければ、父さんのことについて知る機会を失って、何も変われずにいたかもしれない。

だからこそ、ロックのおかげで、今こうして…兄さんと同じ土俵に立てているようなもんだ。

 

複雑そうな面を見せるロックと顔を合わせ、思うことを直接述べる。

 

スバル「君のおかげで、戦う為の力を得られたことは感謝してるけど、僕は……君を許せないと思う。どっちにしろ父さん達に危害を加えたんだから」

ウォーロック「――それで良い。…だが信じてくれ。オレも…この戦いが終われば、大吾のことも全部話す……」

スバル「わかった。後になって忘れたとか、言わせないからね」

ウォーロック「あぁ。――行くぞ、スバル!」

 

無言で頷き、再びミソラちゃんのもとへ急ぎ足で向かった。

 

 

 

 

いつか兄さんからも、事情を聞き入れなければ前には進めないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たとえ、殺し合うことになったとしても。




ミソラ編はあと2、3話増えると思います。
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