毎度の如く、段取り悪くてすんません…。
時系列で言うと22話から少し後の時間帯になります。
ミソラ編の累計閲覧数が信武編より越えるとは…作者的に嬉しさ半分、ちょっとショック…。
今考えたら、大吾さんの役職が変わるのも現実的に無理あったから、最初から科学者として動かせば良かったと後悔してる主です。(宇宙飛行士になるための道のりを調べた限りでは、ギリギリ行けそうな気がしたんですがね)
23話 俺達にできること
飯島side
飯島「…という訳なんだ。これからしばらく…水希君は奴等と戦わざるを得なくなる…」
場所は市街地から離れた廃ビルの屋上。所々ヒビが入った塔屋の中にいる。
なぜこのような経緯に至ったか、順を追って話そう。
事の発端は巡回中。
車載した索敵用のレーダーから膨大な力を感知し、原因究明のため足を運んだはいいが…その正体が水希君と知って腑に落ち、同時に安堵した。
実際、ウイルスも元をたどれば電波生命体に過ぎないし、彼の身体はリヴァイア改め電波星人が持ちうる
そして、信武君のことやこれからの事を一通り聞き、大吾の妻こと――あかね君にも説明をして今に至る。
普通なら口外できない内容だが、彼女も身内として知る権利があるため避けられようがなかったのだ。
あかね『…そう、ですか…。少し、驚きましたけど…可能性として見れば、納得が行きます…』
そう細々と呟き俯くあかね君は、明らかに不安で押し潰されていた。
当然、彼女からすれば弟が夫に続いて居なくなるのは御免だろうし俺も同意見だが。脅威とされるFM星人との干渉は厳しく、結果的に力を行使できる水希君しか頼れない。
その事実を、現状を、誰よりも受け止めなければならないのが証拠だった。
全く…市民を守る立場に居ながら情けない…。
飯島「すまない。本来なら、我々が対処すべき問題だが…」
あかね『こればかりは仕方ないですよ。言い方は悪いですが…今の私達にできる事なんて、たかが知れてる。でも…その分だけでも、あの子を支える事はできるはずです』
飯島「……そう、だな。そうだよな…」
それでも…ただ傍観しているだけでなく、真剣に向き合おうとする姿勢は称賛物と思える。
並大抵の精神力では見向きもしないだろうから尚の事だ。
あかね『もし、また……弟が、何らかの事件に関与することがあれば……――その時は、弟のこと…よろしくお願いします』
飯島「任せてくれ。どんな事があろうと、あの子は絶対に死なせない…」
通話を切り、錆びついた
視線の先。――夕暮れ時の陽射しを背に受け、手すりにもたれかかって街一帯を見下ろす青年がいる。
その隣に、俺は寄り添った。
しばし沈黙に包まれるなか、しょぼくれている雰囲気だけは目を合わさずとも感じ取れた。
飯島「コダマタウンからZ波が過多に流れ出てるって…署内で大騒ぎだったから、まさかと思ったがな……」
宇田海の件に加え…甥である信武君でさえも取り逃し、いかに助けだすのが困難か…、敵がどれほど強大かを思い知らされた。
…が、相手の実力が未知数でありながら、水希君は本音を押し殺してでも戦うことを望んだのだ。
友を救いたい。その一心で。
水希「すみません…。いつも嫌な役目を押し付けて…」
飯島「過ぎたことは仕方ない。今後、失態をどう巻き返すかを考え…動いて行けば良い。
それにな、お前一人でどうにかできる問題じゃないんだから。もう少し、周りに頼ることだって大切なんだぞ?」
水希「……はい」
俺からすればこの子には、戦士として…当事者として、背負うべき覚悟も、責任も、重たすぎる。
叶わぬと知っておきながら、何度替わってやりたいと願ったことか…。
水希「リュウさん」
飯島「何だ?」
不意に呼ばれ、手すりを握る力が弱まる。
水希「以前…スバル――弟から聞いたんだけど、ある警官が『御用だ!御用だ!御用だー!』って言いながら、僕達のこと…嗅ぎ付けていたらしくて…」
やけにドスの効いた声マネには驚いたが、お侍さんがタイムスリップしたかのような口調に心当たりがあった。
と言うか…、その人に対して思うことはあったのよ。
――あんた、時代考証ズレてね? …って。
飯島「? ――…あぁ、五陽田さんね。うちの部署に配属されたのも最近のことだから、お前達のこと…知らないのも無理ないだろうな…」
水希「通りで…」
飯島「つーかモノマネうますぎやろ」
水希「よく言われます☆」( ̄▽ ̄)b
リヴァイア『○ォーナンスッ!!』(≧∇≦)ゞ
飯島「ブフォw…鼻水出たじゃねーかよこんにゃろ…」
そしてまさかの二段構えと来たよ。
長年、苦楽を共にしてるからこそ…一朝一夕では成し得ないこのコンビネーション。
コイツら、できる…ッ!
ってか、今そんなことどうでもえーわ!!
水希「はい、ティッシュ」
飯島「おう、サンキュ」
一礼して鼻を噛んだ。
水希「ねぇ…、リュウさん」
飯島「どうした?」
水希「今まではさ……僕らの存在が公にされないように配慮してきたけど、そろそろ限界なんじゃないかな…」
飯島「……多分な」
突然にしてFM星人が襲来されるまで――水希君がサテラポリスの
彼自身の日常生活に支障がでない為に……マスコミ関係に漏えいしないのは勿論のこと、同業者にも口止めを施すなど事後処理は欠かさず行った。
……しかし、だ。
ここ最近の騒動の全貌が明らかになり始めたことで、暴挙を起こす者が…それらを食い止める者が誰であれ、いずれ存在を知られることは確実。
それこそ、水希君の言い分はもっともだった。
飯島「でもまぁ、お前を晒し者にしようとするバカが現れたところで、是が非でも殴り倒すヤツがいるから心配いらないだろ」
リヴァイア『へへッ、言ってくれるじゃねぇか…』
水希「いや…それだと、かえって事態を悪化させるだけだからね…」
飯島「冗談だよ」
どの口が言うかと叱るべきだが、あのまま「アンタそれでもサテラポリスかよ…」と真面目に返される前に断っておいた。
俺も大吾の隣にいた影響か、少しばかりふざけてしまったのだろう。アイツのせいにする罪悪感は………余程のことじゃなけりゃ多分、一生湧いて出ねぇだろうな。うん。
飯島「あの娘――レティと話してから、決意は固まったか?」
水希「……どうだろ。正直、信武とは戦いたくなかったから、自信が無い…」
飯島「そっか…」
水希「でも、実際に戦って…いかに自分が弱いかを知れたから良かったのかも。痛い目見なきゃわかんない
飯島「…だとしたら、アイツのアホさ加減が移ったのかもな」
水希「言えてる」
お互い思う所は一緒なのか。二人して笑ってしまった。
水希「…けどさ、大吾さんが…――ううん。リュウさんも、天地さんと深祐さん、お姉ちゃんとスバル、そして…信武も。
――リヴァイアが与えてくれた、このチカラで……守りたいなって思える人が居なかったら、今よりもっとヘコたれてたと思う。
だから、戦うきっかけを作ってくれた事と、他の何より、脆く壊れやすい絆を守り抜く大切さを、教えてくれたことには感謝してるんだ…。
……迷惑かけてばかりの
リヴァイア『水希…』
飯島「それでいいじゃねぇか。
その人達から、地球のことを託されたからには、絶対に無駄にはしちゃいけねぇ」
水希「わかってる…。元より、僕自身で決めたことだから、少しずつ…できる事をしていくだけだよ」
飯島「……」
――不安なんだよ、水希のこと…。……アイツの時間を奪ったんだと思うとな…。
飯島「……今なら、大吾が怯えてしまうのもわかる」
水希「え…?」
飯島「こっちの話だ。気にすんな」
たった一つの出会いで、ここまで事が大きくなると誰が予想したんだろうな…。
偶然見かけたと思えば拾い上げ、危うく処分されかけた所で人々に貢献できる可能性を見越して、彼は死なずに済んだ。
そんなことも露知らず……当時の彼は、戦うことを生き甲斐としており、目の前の敵に怖れるどころか…むしろゲーム感覚でバッサリとなぎ倒していったのだ。
新しいおもちゃを片手にはしゃぎ回る姿を見て、俺は内心「こいつイカレてるな」としか思えなかった。
だが…それは、ただ彼なりに傷つかないようやり過ごしていたのだと…今更になって気づかされた。
その証拠に、一つの事件が終息したあと、大吾はこう呟いたのだ。
『人としての心を殺してしまった』…と。
俺達の知らない所で、ずっと…見えないプレッシャーに打ち負かされそうになってたんだろうな。
それでも、めげずに肩を並んで歩こうとした。…正しい道へと導くのが、俺たち大人の務めだと、よく口にしていたから。
なぁ…大吾。
その役目――今だけでも俺に背負わせてくれ…。
飯島さんが水希に「お前」って呼ぶとき
東方での永琳が、輝夜に対して「姫様」って呼ぶが、二人きりだと名前で、それも敬語を使わずに親みたいに接する感じを意識して書きました(* ̄▽ ̄)
5章のタイトルはミソラ編が終わったら公開します。