スバル「キモっ」
アリア「グハッ……?! 何もそんなストレートに言わなくたって良いじゃんかよスバルさぁぁん!!」(;ω;)
追伸。
時任さんが宣伝してくださったことも相まって、UA数も無事4000を突破致しました。
新規の方を含め、ここまでご愛読してくださり本当にありがとうございます。
正直、回を追うごとに、原作で語られてきた設定すら全否定してしまう所はありますが、最後までお付き合いしてくださると幸いです。
それでは、本編の方…お楽しみください!
水希side
水希「―――――、んぅ……」
視界が横転してると判るくらい目が冴えてきた頃。
意識は徐々に回復するが、寝起きなせいか…起き上がるには時間がかかってしまう。
リヴァイア「……気がついたか?」
水希「あれ…りゔぁいあ? なんで出てきて………ああ、そうか…。思い出した…」
原理まではわからないが、ペガサスによって連れ込まれた以上…ここで寝転んでても無理ないわな。と、目を擦りつつ溜息をこぼした。
いくら現実味が無かろうと…
足を放り投げるよう座り込み、街を見下ろした。
その右隣にリヴァイアが寄り添うと、互いに目を合わせないまま、僕は独りでに語りかけるのだった。
水希「いつか…アンタが話してくれた、過去のこと。ホントだったんだね…」
リヴァイア「…あの状況下で、俺がお前らに嘘つけるとでも思ってたのか?」
水希「っ、――自分から聞いておいて、逃げ出すくらいだったしね…」
不機嫌な声色に一瞬息を飲むが、言葉は濁さず、思いのまま伝えると、リヴァイアは気怠げに頭を垂らす。
リヴァイア「はぁーあ、俺ってそんなに信用されてなかったんだなー」
水希「だからごめんって――ばぁっ!?」
棒読みで拗ねだす相棒をなだめようとすると、急に抱きつかれ、声も裏返ってしまっていた。
水希「えっ、ちょ…、ど、どしたの……?!」
リヴァイア「いつかお前にされたことへの仕返し。たまにはされる側も悪くねぇだろ? 事あるごとに、抱きつこうとする癖だけは治らねぇからな。お前」
水希「………」
不敵にニヤつく姿を見てムキになり、がら空きだった腕を背中に回せばあら不思議。
今度は気恥ずかしそうに頬を真っ赤にさせたではありませんか。
リヴァイアよ、こんなことされて嫌がるとでも思ったのか? 残念だったな!(*´ω`*)
鼻歌を口ずさむほど上機嫌になりながら、リヴァイアの首元に頬を寄せる。
水希「……あったかい」
リヴァイア「そうか?」
水希「うん…。
リヴァイア「……そんなもんかねぇ」
水希「そんなもんなの」
………その姿を見て、黙ってられる連中はいないのだろう。
「「「どぅえぇきてるうぅ」」」(  ̄ ³ ̄)b
リヴァイア「〜〜っ ///」
不意打ちのバックコーラスは異様にハモり、リヴァイアの耳に向かってダイレクトに響き合う。
瞬間。背筋をむず痒そうに震わせ…目をしかめるリヴァイアは未だ、頬を赤らめておったとさ。
水希「ふふふ…、可愛い奴め♪」
リヴァイア「うっせ、バカヤロ……ッ///」
更に追い打ちをかませば、うわずった声で狼狽え、そっぽを向いてしまったそうな。
やはり相棒をからかうとなると、どうにも反応が面白くて仕方ないから、止めようにも止められない。
それに、何気に相棒から抱きつかれるのは初めてだったが、別に悪い気はしないからこのままでいよう。
デンパくん達の煽りじみたバックコーラスを添えて。
野次馬どもからの声援がようやく収まった頃。
お互いまだ腕を離さずにいたが、いい加減姿勢がキツくなったので腕をおろし、リヴァイアの肩に体重を預けた。
水希「……ごめんね、リヴァイア。いっつも巻き込んでばっかなのに…」
リヴァイア「言うな。過ぎたことを嘆いたところで何も変わりゃしねぇ。――もう同じ後悔を繰り返さないようにって……強くなろうと頑張ってきただろ。俺達…」
水希「――うん…」
あまり言い訳にしたくはないが、ここ一番でドジを踏み後々いじけたり、一度の失敗を引きずってしまう性格は、どう足掻いても治りようがなく。今こうして近くに慰めてくれる人がいなければ、より一層…落ち込んでいたと思う。
……それでも
――もっと、強くならなきゃ…。
単純ながらその強迫観念に気圧されてからは、自らの
……それが間違いだと気付けずに。
しばらく感傷に浸っていたが、リヴァイアによって沈黙が破られる。
リヴァイア「俺の力を際限なく扱えるだけでも…十分素質はあったんだがな。
でも師匠は、俺達の失態を…見透かしていたんだろうな……」
水希「……そうかもね…」
首が長いことを煩わしくさせていたが、片目だけでも…と。リヴァイアは僕と目線が合うよう首をくねらせた。
リヴァイア「なぁ、水希。師匠はああ言ったけど……それでもお前は、力が欲しいか?」
水希「…………」
思うように口が開かず、即決できない。
本当なら今すぐにでも欲しいが、後のことが気がかりで仕方ないのが理由だった…。
力の解放がトリガーとなり、理性も保てないケモノに成り下がるのは嫌だが、今のままでは信武にも……――ましてや、怨敵と相対した所で敵うかどうかもわからない。
……矛盾しているが、言い表すならそれが最適解なのだ。
しかし。返答するための言葉が見つからず、視線を落とす。
水希「……僕は…」
正直、迷っていた。
それ以上に自分は、何を一番恐れていたのか。
一度見つめ直そうと脳をフル回転させる。
――何が怖い?
目の前で大切な人が死ぬこと?
縁を切られ、もう二度と…会うことすら許されなくなること?
住処だけでなく、心の在り処を失くしてしまうこと?
…………いや、違う。それだけではない。
僕が一番恐れているのは……多分、自分が自分で無くなってしまうことだ。
明白なはずの答えなのに、今まで知らん顔をしていたから……余計、困惑しだした。
――――覚えておけ…水希。弱肉強食が世の常である限り、優しさだけでは全てを救うことなど叶わん。
己に刃を向く輩に対し…時に非情にでもならねば、実物なり言葉なり刺されて朽ちるのみ。渡り合う為にも…生涯、闘い続ける他はない。
水希「……ユリウス……」
不意にその名を呼んでしまった。
実力が及ばなかっただけに、道化へと堕ちた男を救えず……逆に助けてくれた恩を返せずにいたことを、今でも後悔していた。
もう一度…過去に戻れるとしたら、
水希「―――――リヴァイア」
面を上げる。
水希「今…僕が言えるのは、すぐに結論づけるのは、無理なの。不用意に力を解放させたくないから……」
リヴァイア「……あぁ」
水希「――でも、本当に必要だと思った時は……その時はまた、力を…貸して欲しいの……」
弱々しく、途切れ途切れになりながらも、なんとか目を向けて伝えられたが、終始心許ない表情を見せたのは、鏡越しでなくともわかっていた。
それでもリヴァイアは、さして気にするどころか……口元を緩ませ、宥めるよう頭を撫で回したのだった。
リヴァイア「ようやく素直に言えたな、水希。良く出来ました」
水希「もう、茶化さないでったら…」
リヴァイア「茶化してない。褒めてんの」
笑顔のままキッパリ言い捨てられると、余計恥ずかしいのだが…。
何も言い返せずにいると、続けざまに語り始めた。
リヴァイア「普通の
周りの人達はよく理解しているから、お前に力を貸そうとしてくれたんだぜ。――それに、飯島さんも言ったろ? 『人に頼ることも大切だ』って……」
水希「そうだけど…」
最後まで言い切ろうとしたが、リヴァイアの腕が背中に回されたことで遮られてしまう。
リヴァイア「……元より俺は、お前を置いて逃げるという選択肢はとっくの昔に捨ててきたんだ。だからもう…遠慮なんかすんな。辛くてどうしようもねぇなら、ガキの頃と変わらず…俺に甘えろよ。……いいな?」
甘く胸を締めつけるような苦痛に、顔を歪ませてしまう。
水希「……めんどくさいよ。結構」
リヴァイア「知ってる。たとえお前が、嫌と言っても……離れねぇからな。俺は…」
水希「――――っ」
……あぁ、やっぱダメだ…。
堪えなきゃ…、ダメなのに……。涙が、止まらない。
水希「……そんなこと、言われたら…………そんな風に…っ、言われたら、余計…断れないじゃん……!」
……でも、嬉しい。
こんなどうしようもないバカを相手に、一喜一憂して……時に叱ったりして……稽古をつけてもらったりして、嬉しかった。
いつも一緒だったから、もう知ってるよね。
『誰ひとり欠けることなく、みんなが笑顔でいられる世界を作りたい』って、大吾さんにも負けないくらい…強い理想を抱いていたこと。
僕ひとりで愚直に戦い続けていれば、みんな安心して暮らしていけるんだって……ずっと、信じてたの。
その考え自体に、根幹から履き違えているって気づこうとせずにね…。
一人ひとりが違う悩みを抱えていて、その人にとっての正解を言い当てられるほど、出来た人間じゃないからさ。
……だから人よりズレてるってバカにされるんだろうね。
今までしてきた事は、ただ居心地の良い空間を作ってただけ。
そして……自分にとっての幸せは、自分の手で掴み取るものなんだって……今になってようやく理解したんだ。
本当、何も知らない他人みたいに…さっさと見捨てておけばよかったのに。それでもまだ、離れずにいてくれる…優しい人だ。
その強く逞しい彼に、すがりつくよう抱き返した。
秘めていた想いを一言一句、聞き逃させない為に。
水希「…ありがとう、リヴァイア。――大好き」