流星のロックマン 水希リスタート   作:アリア・ナイトハルト

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本作『水希リスタート』を閲覧していただきありがとうございます。
今回は読者様の中で栞を挟んでいただいた方へ、お伝えしたいことがあります。

ミソラ編を制作した当初から、既存の23話〈俺達にできること〉との間に割り込み投稿を繰り返しておりました。
そのせいか(最新話と最初回に挟まれた分を除き)栞の位置がズレる現象があったのではと思い、保存された栞一覧から本作へ飛ぶ際に何らかのエラーが発生するのではと考えておりました。

もし心当たりがある場合、一度栞一覧から削除するか、別の話に差し直す等を試みてくだされば幸いです。

身勝手な行いにより、ご迷惑をおかけしたことをお許しください。


27話(前) 誘導尋問

被害者は、信武を含めて4人に増えたか……。

 

『原因不明の落雷!異常気象の前触れか!?』とネットニュースの文面に載せられ、近隣住人から不安の声を募らせたのは反省点と言える。それにミソラちゃんが暴走した件もあるから神経を尖らせても不思議ではないだろう。

……今更そう考えても、逐一住民を気遣えない状況は変わらない。

 

何しろ電波変換に至るまでの行程上、こちらが後手に回ってしまうのがネックだけど、レティとの話し合いで戦闘データを測るのに有効と見なし、サテラポリスのお偉方に公認して貰おうと動いたから変えようがないのだ。 

 

水希「……リヴァイア、何度もごめん。あの力は……」

リヴァイア『お前の判断に任せるよ。11年前の時みたく暴走したとしても、ユリウスがそうしたように命懸けで止めてくれる奴がいるだろうし。あの女(レティ)ならあっさりやってのけそうだけどな』

 

しつこく問いかける姿に煙たがられても、軽口を叩く寛容さは健在なようで。……さっすが、それほどの胆力がなければパートナーは一生務まらないと打ち明けてくれただけのことはある。

そんなリヴァイアの優しさに付け込んで、縋って、甘えてばっかだってのに。

自覚があっても治りようが無さすぎて、泣けてくる。

 

水希「もう一度聞くけど……リヴァイアは、僕なんかと一緒に居て良かったの?」

リヴァイア『……。“なんか”じゃねえって。“だからこそ”なんだよ』

 

間を置いてからリヴァイアは姿を現した。

 

リヴァイア「力を手にしたからには、その都度壁を越えてかなきゃ強くなれない。その辛さは俺だってよく理解してるさ。

それにお前、俺以外の奴から慰めの言葉を受けても薄っぺらく感じてたんじゃねーの?」

水希「………」

リヴァイア「アイツの言葉を真に受けすぎて、自分の殻に閉じこもっちまって……他人の悪意には敏感なのに、親しい人からの好意には疎くなった。

今のお前にとって、最も致命的な短所だ」

 

聞く耳を持てない点にも自覚があるから頷くほかなかったが、リヴァイアは怒りもせず…かと言って嗤いもせず…真剣な顔つきを崩さぬまま見据えられた。

 

リヴァイア「……けどな。どんな絶望にも屈せず、落ちぶれず、お前なりに前へ進もうと努力する姿は大好きだ。

だからこそ俺は、お前の選んだ道が間違いじゃないって信じてる。そこは今も昔も変わらねぇ」

水希「リヴァイア……」

 

飴と鞭が絶妙な発言を淡々と述べて、それでいて最後に笑みを見せられては何も言い返せない。

 

水希「……また、気を遣わせちゃったんだね」

 

俯きながら申し訳ないと告げたら、リヴァイアに頭をわしわしと撫でられたのちにポンと軽く叩かれた。

 

リヴァイア「判ってんなら聞かなくたっていいんだよ。お前は一生、人に迷惑かけ続けてりゃいい。その分、償おうという意志さえ貫いて行きゃいいのさ。だろ?」

 

……やっぱバレてたか。信武と対等に戦うにも、禁忌を犯してでも力を解放しなきゃダメってことを。

だから昨日の夜に”力が欲しいか“って聞いてきたんだもんね。

 

水希「……じゃあ、もう少しだけ付き合って。リヴァイア」

 

変身体へと換装し、戸を開けずにそのまますり抜けていく。

 

 

 

スバルの自室へ何度も訪れているが、入るたびに時間が止まったままようにも思えた。理由は言うまでもないだろうが。

 

リヴァイア「…水希、どうした?」

水希「……何でもない」

 

いけない、脱線しちゃった…。

一度ウォーロックと話をつけるために部屋まで来たのに、ボーッと突っ立っていたせいで、リヴァイアに急かされてしまった。

 

物音を立てぬよう心がけ、寝床へと向かう。

 

水希「……まだ寝てんのな」

 

年相応の寝顔を見て思わず笑みをこぼすが、被害を受けた三人と違って、信武と同様に自我を保ったまま戦う力を得たことにも憂えていた。

今はまだ大丈夫だとしても、遅かれ早かれ力に飲まれたらと思うと、尚更。

 

スバル「うぅ〜ん……」

 

所々うなされている様子から、じきに目が覚めそうにも見える。これ以上は長居できないか。

 

水希「ウェーブイン」

 

枕元にあるトランサーに触れ、電脳世界へとダイブした直後。思わず目を見開くことになる。

 

水希「……すっご、電脳(ここ)にも宇宙好きが反映されてんだな……」

 

大吾さんがカスタマイズした特注品なだけあって、足場を除いた周り全てが星空で埋もれ、流れ星をも一望できる内観となっていた。

あまりの綺麗さに見惚れるなか、スバルがこの景色を観られないという意味で勿体なく思ってしまう。

 

……って、また脱線しちゃってるじゃん……。

 

水希「ちょっとウォーロック。…ウォーロックってば!」

ウォーロック「……んぅ、なんだぁ…。オレぁまだ飲み足りてませんぜぇ…グヘヘへへ……」

 

大の字に仰向けて寝てるウォーロックを揺するも、起きる気配がない。それどころか呑気に寝言まで……。

 

水希「……ったく。ちょっと付き合って!」

ウォーロック「んぁ? ――って、うおぁっ?!」

 

スバルと似て寝坊助なコイツを強引に引っ掴み、電脳世界から引きずり出してはウェーブロードに放り投げた。……のだが、

 

水希「………あ」

 

ゴォォーーン!

 

誤って頭から降ろしてしまい、除夜の鐘の効果音まで付け足されそうな気がして笑い堪えていたのは内緒ねw

 

ウォーロック「痛っでぇぇぇッッ!!!」

 

頭を押さえながら転がり痛みにのたうち回っておるなか、リヴァイアから呆れ果てるような眼差しを向けられた。

 

リヴァイア「おいおい……言うたそばからこれかよお前……」

 

『人に迷惑かけ続けてりゃいい』って言うたそばからこの有様だからね。耳が痛いけど当然の反応だと思うよ、うん。

 

水希「ご、ごめんね? ウォーロック…。朝っぱらから手荒なマネしちゃって……」

 

手を合わせて許しを請うたが、ウォーロックが立ち上がってすぐに怒り増し増しな顔で詰め寄られた。

 

ウォーロック「手荒どころか物ぐさに投げ捨てんじゃねぇよアホぉ! 頭割れたかと思ったぞ!!」

水希「反省はしている。だがスバルに聞かれちゃマズい話が盛り沢山なんだ。許せ☆」

ウォーロック「反省する気あんのかおどれはぁ!!」

 

一応、全身にかけて周波数帯を弄ってるから近所迷惑にはならないけどさ……ウォーロックの怒鳴り声の方がよっぽど頭割れそうなんだけど。

 

リヴァイア「まぁ落ち着けっての。水希だってわざとやった訳じゃないしよ」

 

リヴァイアが間に入ってウォーロックを宥めようとするも、効果は今ひとつのようだ。

 

ウォーロック「あ゛ぁ?! どう見たって悪気有る無しの問題じゃねぇだろうが! お前も保護者ならもうちょいちゃんと(しつ)けとけよ!」

リヴァイア「無理。多分もう手遅れ」

ウォーロック「諦めんなよお前ぇ!!」

 

躾けとけて……ウチぁペットちゃうぞウォーロックさんよ……。

手短に済ませようとしたのに、これじゃあ踏んだり蹴ったりで埒が明かないな。

 

水希「……ねぇ、ウォーロック。アンタ、これからもスバルと行動を共にする気でいるの?」

ウォーロック「あぁ? なんだよ藪から棒に……」

水希「これまでの戦いから思うことがあったの。アンタをここへ連れ出したのも、それが理由……」

 

自ら話を切り出したことで、おちゃらけた雰囲気が一変して静まり返った。

 

水希「奴等と戦う時に、アンドロメダの鍵の事で揉めてたらしいけど…それって本当に、奴らにとって大切な代物なワケ?」

ウォーロック「っ、盗み聞きしてやがったのか…?」

リヴァイア「盗み聞きも何も、オックスの件で間近に居ただろ?」

ウォーロック「あぁ、そういえば確かに。……ここまで来ると、隠し通すのも野暮だよな……」

 

横やりを入れるリヴァイアの言い分を聞いて、ウォーロックは眉根を寄せながら溜息をこぼした。

 

ウォーロック「……大切な代物だってことは間違いねぇよ。何せ連中どもはスペアキーすら作ってなかったらしくてな。俺が持ち逃げたことで、奪い返しに襲ってくるのも頷けるだろ?」

水希「そりゃあ、ねぇ……」

 

もちろん面識のある奴――その誰も彼もが鍵返せと催促してくる様子は、遠目に見ても明らかなものだったが「けどまぁ…ミソラの時を除いて、俺らのピンチに駆けつけてくれて助かったけどな」と苦笑いするウォーロックから賛辞を呈された。

 

リヴァイア「なら、鍵さえ取り戻せばアンドロメダっつうのは何の支障もなく起動しちまうのか?」

ウォーロック「いいや……前提として、誰かが所持した上で鍵本体に燃料を蓄える必要がある。言ってしまえばアレは動力伝達の(かなめ)だからな。

()()()()()()()()()()()()()()以上、前述(それら)と相反するチカラ。―――絆とか、誰かを思う心。つまりは善意を宿して消滅させようと企てたのさ……」

 

……なるほどね。車でいうガソリンタンクみたいなもんだから、悪意(ねんりょう)の供給さえ絶てば、持ち帰ったところで使いもんにならないってことか。

幸いなことに鍵単体では全く機能しないらしいけど、所持者の感情とリンクした場合、善意が多けりゃ多いほど負のエネルギーは溜まらないだろうし。

逆に悪意が強けりゃ吸収力も高まるわけだから、フルまで溜まり次第起動されてしまうのだろう。

ここまでは流れとして分かること。

 

なら何故スペアキーを作らないのか? ……口揃えて『あえて予備を作らない』とほざくなら笑えないが。

ウォーロックの話から推察するに、あらゆる機能を詰め込んでコンパクトに仕上げた結果、極めて精密だから複製(コピー)できないということになる。

 

まぁ、あくまでも根本的な話とは別問題だけどね。

 

水希「理屈としては納得行くけど、どうしてスバルに?」

ウォーロック「さぁな。……強いて言えば、大吾の息子だからじゃねーのか」

水希「何それ……考えなしに近づいたって言ってるも同然じゃん……」

ウォーロック「それは違う」

 

呆れた矢先、ウォーロックに断言された。

 

ウォーロック「もちろん俺は大吾の指示に従って、お前らに協力を仰ぐつもりだった。それに、スバルと変身できたのだって成り行きに沿って動いた結果でしかないんだ」

水希「……そう」

 

ウォーロックとて、スバルとの変身は本望じゃなかったらしい。

むしろ、意識を乗っ取られてないだけありがたいと受け取るべきなんだけど、面と向かってハッキリ言われても複雑としか言えない……。

 

水希「まぁいいや。スバルの安否がわかった時点で殺る気も失せてたし、何にせよ都合がいいだけだしね」

ウォーロック「……おい、それはどういう意味だ」

水希「至って単純だよ。今後の戦いに向けて、こっちも戦闘要員を増やそうとしてたから」

 

退屈げに両手を頭の後ろへ回したら、ウォーロックは訝しげに睨みつけた。

 

ウォーロック「正気かよテメェ……自分が今何を言ってるか、分かった上でやってんのか?」

水希「当たり前でしょ。今もリヴァイアとタッグを組めてるけど、寿命がある限り、いつまでも体張って戦える訳じゃない。だから今のうちに頭数を増やすべきだって結論づいたワケ。

もちろん僕の独断上じゃなくて、サテラポリスのお偉方にも容認してもらったから、しばらく奴らの動向については泳がすことにしたの」

ウォーロック「……なら質問を変えるが、お前と同じ地球人がアイツらのいい様に操られてるのを見て、何とも思わねぇのか……。

スバルと同じくらいの子供が取り憑かれようと、心が傷まねぇってのか?」

 

普段見せる無愛想さから打って変わって、表情と声色にも、あからさまに怒気をまとっていた。

気持ちは判らなくもない。確かに心は傷むけど、結局のところ実力行使になることに変わりないんだよ。

 

……だからごめん、あえて言わせてもらうね。

 

水希「……だから? あくまでヒーロー役を演じて、それらしく倒せばいいだけじゃん」

 

端的に、淡々と述べたら、ウォーロックに胸ぐらを掴まれた。

 

ウォーロック「何がヒーローだ、ふざけんなよ! それじゃあスバルを守るとカッコつけときながら、人をモノ扱いしてるも同然じゃねーかよ!」

水希「どの口が言うんだか…。どっちみち人手が足りてないんだから補充するに越したことはないでしょ」

ウォーロック「んだとテメェ!!」

 

怒りに乗じて腕を振り上げられ、思わず目を瞑ったが……いつまで経っても殴られる気配がなく、様子見とばかりに片目を開ける。

……どうやらリヴァイアがウォーロックの腕を掴んで、睨み合っていたようだ。

 

リヴァイア「あのな、ウォーロック。水希はただ回りくどく言い過ぎてるだけで、端から強制させるつもりで言ってないんだよ。そこは理解してくれ」

ウォーロック「理解しろって……信用ならねぇ奴の心情をどう理解しろと…」

リヴァイア「信用がどうのこうのの話じゃねぇ。お前にも覚悟があってやってるかを訊いてんだよ、こっちは」

 

引っ掴まれた腕を振り払って、バツが悪そうに顔を俯かせた…。

 

ウォーロック「正直、迷ってる。……けどスバルとは、俺の知る限りのことを話すと約束した。だから、少なくとも今は、アイツを一番に守るつもりだ……」

水希「……大吾さんから何を託されたかは聞かないでおくけど、スバルの命は、アンタの持つ鍵と同等だってことを忘れないで。それが協力を飲む最低条件だから」

ウォーロック「いいのか、それで……?」

水希「そりゃあ戦場に放り出したくないけど、スバルもそれなりに覚悟を決めたなら話は別。甘やかす気は毛頭ない。

言ってしまえば、この戦いも目的を果たす前座に過ぎないんだよ。半分は自分の力でだけど……いつかの僕みたいに迎えに行きたいと願うなら、それに応えてあげるのが兄貴の務めだしね」

ウォーロック「それはどういう……?」

 

あまり詳しくは言わないけど、ヒントくらいならいいか。

 

水希「……選定は、時期が来れば下される。せいぜい4人ほど確保できれば上出来だろうね」

ウォーロック「…ちょっと待て……選定って何なんだ? もしそれでスバルが選ばれなかったら、俺はどうすれば……」

水希「それはスバルが決めること。アンタに出来る事は、せいぜい手を差し伸べるか…無理やりにでも戦場から下ろすくらいじゃないの?」

ウォーロック「だけど……!」

 

こっちの要件はもう済んだが、家に戻る前に立ち止まり、

 

水希「喧嘩振った側の()()に意見はない。抗いたいなら黙って受け入れな」

 

煮え切らない様子の彼に釘を刺した。

 

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