流星のロックマン 水希リスタート   作:アリア・ナイトハルト

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27話(中 ii) 来訪。コダマ小学校へ

姉との会話を済ませ、すぐさま靴を履いて表へ出る。

 

水希「お待たせスバル。そんじゃ行こっか」

スバル「うん」

 

(ひさし)(玄関口で見かける屋根)の下でトランサーをいじっていたスバルに出発を促し、一先ずバス停へと向かうことにした。

ちなみに何をしていたか聞いたところ「いきなり押しかけるのもどうかと思って…」と言って自らメールでアポを取り、天地さんも快くオーケーしてくれたらしい。

確かに連絡することは大事だし、了承して貰えたなら尚良しですな。

 

水希「ねぇ、スバル」

スバル「ん?」

水希「ふと思ったんだけどさ……この世でさ、僕らが生きてる間でも、ぜっったいに電波変換させちゃダメな人がいると思うんだよね……」

リヴァイア『奇遇だな水希。俺も一人だけなら心当たりあるわ』

 

手を後ろに組んだままスバルと横並びに歩いていた道中、リヴァイアと二人して度々思っていたことを口に出した。

 

スバル「……一応訊くけど、誰なの?」

「お姉ちゃん」 / 『あかねさん』

ウォーロック『即答…』

スバル「…で、兄ちゃん達はどれくらい嫌なの?」

『「さすがの僕(俺)でも泣いて逃げたくなるレベル」』

スバル「だよね〜…」

 

こればかりはリヴァイアも同意見だった。実際2回もハモってたし。

隣で聞いていた二人も、姉の脅威的な側面をなんとなく察していたようだった。

 

水希「それになんたって、夜中無理やり叩き起こされては組手のサンドバッグにさせられてたし」

スバル「いや物騒だろ!! マジで言ってんの!?」

水希「うん、至極(しごく)大マジ。今じゃだいぶ落ち着いてるけど身内の中でも一際頭ぶっ飛んでるしね、あの人」

スバル「誤解を解く余地すらないとか可哀想じゃん……」

水希「あんま気にしなさそうだけどね」

 

さっきは殴られたとはいえ、スバルにも脅威的な側面が現れないでほしいと願うよ、本当に。

 

(そういやボッコボコにやられた後、お姉ちゃん…オカンから説教受けてたよなぁ〜たしか)

 

もちろん良い意味ではないが。

過去の出来事を思い返していたところ、ぱったり喋らなくなったスバルに視線をやる。

 

水希「今言ったら完全に「お前が言うな」なんだけどさ。……そんなしっぶい顔をしてくれるなよ」

スバル「無理だっての」

 

微妙な空気のなか、バス停まで目前の所だった。

 

「――見つけたわよ!! 星河くん!!」

 

突如遠くから声高々に呼び止められ、名指しを受けたスバルは渋そうな顔を色濃くさせたという。

自分もスバルと同じ苗字なのはこの際ツッコまないこととしよう。

 

声のする方へ向くと、件のドリ……特徴的な髪型の少女こと白金さんを筆頭に、体格差が著しい男の子二人が白金さんの後に続いて僕達のもとへ歩み寄って来たではないか。

 

スバル「……うっわ」

ルナ「何が『うっわ』よ! 腫れ物みたいに見てくれちゃって、本当に失礼ねアナタって!」

スバル「そういう君は妙にモノマネ上手いね。逆に感心しちゃうよ」

ルナ「そこツッコむとこなの? まぁ別にいいけど。……あ、お兄様こんにちは!」

水希「あぁ、ども…」

 

ツンケンとした態度でスバルに突っかかった矢先、ついでとばかりに挨拶をしてくれたのはいいとして、

 

水希「…お兄様呼びはちょっとむず痒いな……」

 

と、呼ばれ慣れてないから余計むず痒く思ってしまう今日この頃である。

 

ルナ「ゴン太!キザマロ! あなた達もご挨拶なさい!」

「はい!」

「おう!」

 

白金さんの先導のもと、男の子二人が前に出た。

 

「はじめまして。僕は最小院 キザマロです。僕のお供であるマロ辞典の知識量は委員長にも負けてないと自負しています。どうぞお見知りおきを」

 

声の主は僕から見て白金さんの右隣。身長がひと際小さい子だった。途中に眼鏡を掛け直して、なぜか得意気にニヤリとしながら自己紹介してくれた。

 

「俺は牛島 ゴン太だ! 主に美味いモンを食うことが生きがいなんだぜ。よろしくな、兄ちゃん!」

 

対して左隣にいる声の主は言っちゃ悪いが横の面積が広い子。道理で食べ盛りなワケか。

 

水希「うん、よろしくね。二人とも」

 

さっきの険悪なムードも晴れて、挨拶してくれたのは素直に嬉しかった。

だがしかし、未だスバルさんの表情は曇っているようである。

 

水希「そういやこっちの紹介がまだだったよね?

僕は星河 水希。気軽に下の名前で呼んでくれて構わないよ。それとスバルとはよく兄弟と間違われるけど一応はスバルの叔父なんだよね」

「「「え? ………ええぇぇぇぇ!!?」」」

 

ポリポリと頬をかきながら関係を打ち明かした結果、三人とも息が合うようにそろって間の抜けた声を出して、僕とスバルを交互に見ては驚愕していた。

 

ゴン太「ってかさ、“おじ”ってなんだよ? おじやのことを言ってんのか?」

キザマロ「ここに来てなぜ食べ物の話になるんですか、ゴン太くん……」

ルナ「あ、あの、非常に失礼極まりないですが、今おいくつでしょうか?」

 

ゴン太くんの勘違いぶりにキザマロくんが呆れながら指摘しているなか、白金さんからいきなりな質問を受けた。

 

水希「歳? 今年で二十歳だよ。因みに僕、お姉ちゃん……スバルのお母さんの弟で12歳も離れてるんだよね」

ルナ「そんなにも離れているんですか…?!」

キザマロ「マロ辞典に載せてしまうほどの衝撃です…!」

 

白金さんはあんぐりと口を開け、若干引き気味な様子。

てかマロ辞典て何さ、造語?

 

ルナ「でもそうよね。さっきお姉ちゃんって言ってたし。でもその割に水希さんって…ブツブツブツブツ………」

ゴン太「どうしたんだよ委員長。腹壊したのか?」

ルナ「何か言ったかしら、ゴン太?」

ゴン太「イエ…ナンデモナイデス」

 

最後のあたりが聞き取れなかったが、白金さんから鋭く睨まれるゴン太くんの様子を見て、気が逸れてしまった。

 

ルナ「…ていうか話が逸れてるじゃない!」

 

そう言って、スバルに向かって指を突き出した。

 

ルナ「今日という今日は来てもらうわよ学校に! ちょうど祝日なんだから人目を気にすることも無いでしょう?」

スバル「そういう問題なの!? 授業もないのに!?」

ルナ「そりゃそうよ。要件はね、今度やる学芸会にあなたも参加することが決まったの。今回は授業と全く関係ないんだし、何しろ1番大事な役を()()()()()()()んだから断る理由もないと思うけど?」

スバル「はぁ? 別に頼んだ覚え無いし。大体、大事な役をやらせるなら他当たってくれない?」

ルナ「何よその言い方……」

 

(……白金さん、スバルもたぶん心ん中で同じこと言ってるかもよ。二人とも言葉にトゲありまくりでギスギスしてるし)

 

いつになく強く出るスバルに臆せず、白金さんは強引に腕を引っ掴んだ。

 

ルナ「ならセットだけでも見に来ればいいじゃない。 そこまで時間取らせるつもりじゃないんだし」

スバル「だとしても行・か・な・い! それに先約があるから今日は無理なの。分かったらもう放っておいてよ……」

 

嫌悪感を剥き出しにして振り払られれば当然、白金さんも眉間が皺寄るほどに苛立っていた。

 

ルナ「アナタねぇ、ここまで親切にしてるのになんたって強情張るつもりなのよ!」

スバル「だ〜か〜ら〜! 行かないって何度も言ってんの!! いい加減しつこいんだよ!」

ルナ「しつこいのはアンタだっておんなじでしょうが!! 毎度毎度、時間を割いてまで説得しに来てる苦労がわからないの!?」

スバル「あぁわからないね! そんな風に恩着せがましく言われりゃ誰だって願い下げだよ!」

ルナ「なんですってぇ……!!」

 

驚いた。

まさかあのスバルが声を荒らげてまで反論するとは…。

蚊帳の外になりがちな二人を見ても、僕と同じような反応してると取れる。

 

よし、ここは年長者としてこの場を収めなければ!

 

水希「まぁまぁ、二人とも落ち着いて……」

ルナ「そんなこと言わずに! 水希さんもこの分からず屋を説得してくださいよ!」

スバル「……兄ちゃんは僕の味方、だよね?」

水希「あ、あはは……」

 

はぁい全然ダメでしたー……。

ごめんね。ゴン太くん、キザマロくん、しゃしゃり出ておいて普通に役立たずだったわ。

 

ルナ「水希さん!」

スバル「僕の味方なんだよね? お兄ちゃん」

 

すごく…怖いです…、二人の眼差しが。

特にスバル。いつも僕がお姉様の機嫌を信号機で例えるように、糸目っぽくニッコリとした表情から見て『赤信号(レッドゾーン)』と断定したわけよ。

なんせ組手してる時さ、あんの憎たらしい笑顔でタコ殴りにされてガチのトラウマになったからね。

 

……ね? だからさっき電波変換させちゃダメって言ったっしょ?

この世終わるよ、マジで。

 

水希「まあでもなんだ、僕も偉く言える立場じゃないからスバルにはあまり強要しようと思ってないの」

ルナ「私は説得をしてほしいと言って……」

水希「黙って最後まで聞きな。……強要しないというか、する資格がないのはね、学力不足で高校受験落ちたせいで両親から勘当されて家を追い出されてんのよ」

 

当然真っ赤な嘘ではあるが、白金さんはどこか思い詰めたような顔をしだす。

 

ルナ「そうなんですか…?」

水希「そうなんだよ。だから今お姉ちゃんに匿ってもらって、バイトしながら適当に食いつないでるし、正直なとこ説得力無いと思うよ?」

ルナ「そんな……」

スバル「そのわりに厳しく当たられることもあるけどね」

 

スバルはそう言いつつ勝ち誇った顔をしている。

ていうか厳しくなるのは当たり前でしょ。アンタ、得意とする分野以外じゃいつまで経ってもだらしないんだから。

 

水希「ただし、今回はセットを見たうえで参加するかはスバルの選択に委ねることとする。これくらいの条件がなきゃ張り合いがないでしょ」

スバル「そうそう行くかどうかは僕が決め…はァ!?」

 

や〜いや〜い、口車に乗せられてやんの〜ww

m9(^Д^)

 

スバル「なんで見に行く前提で話進めてんのさ?!」

水希「だって〜もし行くとしてどんな役をやらされるか、気になるじゃん? 晴れ舞台になるかもだし」

スバル「……兄ちゃんのバカ……」

 

一度決めたら曲げない性格を知ってるからこそ、スバルは観念しつつも文句を垂れるしかないだろうが、

 

(ヘソ曲げんのも無理ないけど、別に考えなしに言った訳じゃないんだよ、スバル)

 

内心ひっそりと諭し、白金さんに向かってこちらの要望を言い渡した。

 

水希「そういう訳だから。今言った条件を飲めないなら、悪いけど君の提案は受け付けられないかな」

ルナ「ですが…」

水希「用事がある以上こっちも暇じゃないの。分かってくれる?」

 

強く言い過ぎた感じはするが、この際致し方ない。

 

ルナ「……わかりました。それでは案内します」

キザマロ「っ、委員長…!」

ゴン太「置いてくなよ二人ともー!」

 

渋々了承してくれたことで一段落ついたが、不服ながら先導する姿を見た二人は焦って白金さんの後を追う。

 

(やっぱあの子、信武と似てるかも。委員長と呼ばれるだけあって皆をリードしたりする積極性の良さとか。

大吾さんもそうだったけど……本気で変化を起こそうとする人の強引さって何だかんだで強みになるんだよね。その分、反感を買うこともあったけど……)

 

スバル「やっぱり、兄ちゃんも学校に行けって思ってるんだ…?」

水希「言ったでしょ、スバルの判断に委ねるって。ほら行こ、兄ちゃんが付いてるからさ」

スバル「……うん」

 

そっぽ向いてふて腐れるスバルの手を取り、僕らも後に続いて校内へと向かった。

 

スバル「あとさ、さっき僕のこと煽ってなかった?」

水希「100%気のせいだよきっと」

スバル「こっち見てから言おうよ、ねぇ?」

水希「……ごめんちゃい」

 

いずれ姉以上に怖い人と化すのを、僕はまだ知る由もなかったのだった。




水希談。
あかねさんの危険度レベルは「青信号(セーフゾーン)」「黄信号(グレーゾーン)」「赤信号(レッドゾーン)」の3つとなる。
赤信号(レッドゾーン)」の大まかな判断基準は「表情」「声色」「キレられる原因」によるらしい。

***

ご無沙汰しております。
相変わらずの投稿頻度ではありますが、今年中にお出しできるのはこれで最後となります。
来年も忙しくなりますが、10話以上は投稿するという目標のもと活動していく所存でございます。

読者の皆様、今年も残りわずかですがどうか良いお年をお過ごし下さい。
そして来年も、お身体に障りがないことを心からお祈り申し上げ致します。
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