流星のロックマン 水希リスタート   作:アリア・ナイトハルト

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47話 眠り姫と王子様

宙に浮いているのだろうか?

 

地に足を付け、そこから動かず佇んだままなのか?

 

はたまた海底へと沈んでいっているのか?

 

……それらは、現時点では判明しがたい。

 

 

加えて、情報源となる景色や外音すらも、五感が絶たれているせいで一切把握できやしない。

 

正確な日時が判らずとも、かれこれ3日以上は過ぎている筈だろうが……しかし、それらを確かめる気力も湧かず、途方に暮れていた。

 

 

『……俺が、見誤ったせいで……』

 

一度目の暴走から11年が過ぎ、修練を重ね続けた上でなら力の使用は問題ないだろうと判断した。

 

――俺でも乗り越えられたんだから、きっと水希だって乗り越えてくれるはず。

 

…………そう信じて、本人の成長を誰よりも祈っていた。

 

だが結果、その選択(あやまち)によって二度目の暴走に繋がるトリガーとなり本末転倒なのだから、本当に世話がない。

 

やがて暴走し、主導権を握られ、五感を頼れないまでに陥ってしまっているからこそ、この状況から脱け出す策も……当然浮かぶ訳もなく打つ手無しだと悲観するほかなかったのだ。

 

 

いつものことであれば、己の抱える不安や恐怖心を殺してでも……兄として弟の隣に立ち、不安を和らげようと気丈に振舞えたと思う。

 

……そう。同じ心の傷を持ち、互いにその痛みを分け合える存在だから。

 

 

 

 

…………だから今、独りでは、とても心細く思う。

 

 

 

 

けど今は、常に孤独であることの辛苦を感じる以上に、水希が今どんな状況に置かれているのか……頭の中は、そういった心配事で埋め尽くされていた。

 

 

思い当たる節はただひとつ。――きっと心細くて、どこかで泣いている。

 

 

実の家族と大吾さん、そして俺を除く、水希と最も付き合いの長い男――宇田海(うたがい) 信武(しのぶ)

 

ソイツに隠し通していた秘密がバレた後も、それ以前の過去でも、……不安でどうしようもなかった時、水希はいつも俺以外の誰にも目の届かない場所で泣くことが多々あった。

 

……でもまぁ、幼少期に一度、信武に見つけられる時もあってな。

下手なタイミングで現実世界(おもて)に出られなかった当時、思わぬ登場に安心しつつもなぜかムカついたんだよな。

 

『――泣き止むまでそばにいてやるからな』

 

本当なら俺が言って、気休めでも安心させてやりたかった言葉。

 

それを他ならぬ信武に言われた事で、役目を取られているような気がしてならなかった。

 

その複雑な感情の正体が【嫉妬と独占欲】によるモノだと知ってからは、たとえお門違いだとしても信武を疎ましく思っていたけれど……信武と居る時にだけ見せる朗らかな笑顔を……そして年々増していくぎこちなさを見て、二人の尊い友情が壊れていく瞬間を想像したくないと強く思わされた。

 

だからせめて……俺の前では素の自分を、弱い所を沢山見せてくれ。

そしてそんなお前を宥める役目を担わせて欲しい。

その苦しみを理解できるのは俺だけの特権なんだから。

 

………といった感じで、しょうもない嫉妬心を抱きながら、水希との繋がりが絶たれない事を切に願っていた。

 

 

それに、こんなこと思うのも厚かましいんだろうけど、もし人間として生まれて来れたなら……なんて考える日は少なくなかった。

さっきも言ったように俺は元々宇宙人だから、下手なタイミングで外には出られない。

だからこそ、人目を気にせず外に出られたら良いのになと、密かに思い続けて………そうして年月を重ねていくうちに俺は、()()()()()()()と強く思い始めたのだ。

 

ユリウスが人型だったように……大吾さんや信武のような人間の体を得て、水希と一緒に日常生活を送れているって実感が欲しかった。

水希とゲームしたり、作ってくれた手料理を食べたり、一緒にお風呂入ったり、とにかく人間らしい事を体感したくてたまらなかった。

 

それもこれも、悪魔だの化け物だの貶され蔑まれてきた……そんな俺を受け入れてくれた水希が心の底から大好きだから。

 

……地球に移り住んで15年も過ぎた今。遠くから眺めてばかり、隠れてばかりなのは嫌なくらい、俺にとっての居場所になったから……。

 

 

 

……けれどもう、お役御免なのだろう。

 

(叶いもしない願いに縋るくらいなら……もういっその事、眠ってしまえばいいか)

 

諦めの言葉が脳を(よぎ)る。

だがその行動によって、水希を戦場から遠ざけ、呪いとも呼べる柵から解放させてやれるのならば……、相棒としても、兄としても、悔いは無いと思ってもいる。

逆にどの面下げて会えって話だしな……。

 

解放に至るまでの結末が悲惨であろうと、その選択肢が自己満足に過ぎないとしても、誘惑に負けてしまいそうな程に心が折れかけていた。………だと言うのに。

 

《―――また同じ選択(あやまち)を繰り返すの……?》

 

そう言って、俺を思い止まらせようとする存在に気付いてしまった。

 

脳内から語り掛けているのか。それとも一時的に聴力が回復してきたのか。

そんな事は些事に過ぎず、少年の声に懐かしさを感じながらも答える。

 

『……天地さんが俺らに説教した時のこと、覚えてるならお前もわかってるだろ?……俺達は、出会うべきじゃなかったんだ。だって、俺のせいでずっとお前を苦しませてるってのに……』

 

《それでも責任を感じて、何年もずっと付き添ってくれたでしょ?》

 

『ッ、だけど俺は、本望じゃなかった! 正直逃げたいと思ってた!!』

 

《知ってる。僕だってそこまでバカじゃないもん。……それに、『男なら、現実から目を反らすな』って、アンタもそう言ってたじゃん》

 

返す言葉が見当たらないまま、途切れ気味に聞き出した。

 

『……俺は、いったい、どうしたら……』

 

《迷ってる暇があるなら、前に進んで。アンタが諦めてちゃあ、向こうで待ってる僕が悲しむ……》

 

『…………』

 

その選択が、果たして正しいのかはわからないけれど、ここで立ち止まるくらいなら従う方が最良……なのだろう。

 

悩みに悩んだ末、意を決して前に進んだ。

方向感覚が掴めてなかろうと、ただひたすらに、前へ前へと突き進んだ――。

 

 

《……僕は、リヴァイアを恨んでなんかないよ―――》

 

 

……背後から声がして、止まって振り返ったら、少年時代の水希がそこにいた。

 

 

《たまに手厳しいこと言われた時もあったけど、その分いつも優しく接してくれた……戦う為に必要な力を与えてくれた……苦しくて…泣くほど辛い時、いつも泣き止むまで頭を撫でてくれた》

 

 

一時の別れを惜しむように、瞳が潤んだように見えたが、

 

 

《――そんな()()()()()と出逢えたことが、僕にとって唯一の誇りであって、失くしたくない居場所なんだよ》

 

 

優しく微笑みかけながら、手を振って見送ろうとしてくれる。

 

 

 

 

 

 

 

抑えきれないまま、水希を抱きしめた。

 

 

『……ありがとう、水希。大好きだ』

 

《………僕もだよ、リヴァイア。向こうで待ってるから、早く来てね》

 

『あぁ。すぐ会いに行く』

 

 

 

そうして、振り返ることなく、再び前へ進んだ。

 

 

 

 

……たとえ、水希とのやりとりが夢の中のことであったとしても、今までの苦悩が報われるように、胸につっかえたモノが取れてスッキリしたように、

 

 

迷いは、進み続けるうちに薄れていった………。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

頑なに閉ざされた瞼がようやく開かれ、視力と聴力が回復した頃。半月の佇む夜空が見え、静かに打たれる細波の音が聴こえた。

 

リヴァイア「―――――、ん?」

 

普段は起こり得ない現象。――地面に背中を付け寝そべる仰向けの状態に違和感を覚え、思わず困惑してしまう。

 

寝て起きて、体に異変が出るなんて思わないしな。

 

試しに腕を持ち上げてみたが、人間の手と似ている五本指を視認する。

ぎこちない動作で握ったり開いたりを繰り返し……『密かに抱いていた願いがこうも容易く実現するのか』と、歓喜と驚愕が入り交じりながらも、確かにその瞬間を目の当たりにした。

 

……それは一旦置いとくとして、だ。

 

リヴァイア「……どこだ、ここ……?」

 

体を起こして、月明かりを頼りに周囲を見渡すと、海辺の砂浜に寝転がっていたのだと理解する。

 

「―――やっと起きたのね」

 

艶のある白髪の少女。レティが声をかけたのは、現在地を把握したのと同時だった。

 

リヴァイア「……俺は、たしか……」

レティ「えぇ。つい最近まで心を乗っ取られてたわよ。アンタらが忌み嫌う奴にね」

リヴァイア「ッ!? 水希は、水希は大丈夫なのか!?」

レティ「落ち着きなさい。順を追って説明するわ」

 

水希の安否について問い詰める俺を鎮めてから、レティは事の次第を話そうとした。

 

レティ「5日経った今も、水希は病院のベットで眠ってるけど命に別条はない。

……それでも疲労が溜まった上で、人の身に余る力をフルに開放させたもんだから……まだ人間だった場合、最悪植物状態になってたでしょうね」

リヴァイア「そんなっ?!」

レティ「ま、あくまで『()()()()()()()()()()』が前提だし、“ご利用は計画的に”って話よ。――話を戻すけど……幸いにも、アンタが水希を電波体に変質させたおかげで、私の方でいくらでも治しようがあったワケ」

 

落ち着けと言った割に内容がもう深刻すぎなんですがそれは……。

だけど、本人がそう告げた通りに、水希の容体に関して回復の兆しが見えるのならば、

 

リヴァイア「ともかく……今のところは無事、ってことで良いんだな?」

 

再確認として訊ねると、レティは無言で頷いて話を切り替える。

 

レティ「――ところでアンタ。その身体になってから違和感はない?」

リヴァイア「……。元の体と勝手が違うから慣れない、くらいか。……もしかしなくても、お前が?」

レティ「そうよ。勿論加減はしたけど……不覚にも、リンドヴルムを消滅させるに足る一撃を放ったことで、本来表裏一体の存在でもあるアンタも危うく巻き添えになるところだった」

 

「……そこで、よ」と、レティは補足を入れた。

 

レティ「倒すついでにアンタの人格を回収して、新しく作った身体に宿したのよ」

リヴァイア「出来るのかよ、そんな人間離れしてること……」

レティ「心外ね。私を誰だと思ってんのよ」

リヴァイア「剛腕オンナ」

レティ「死にたいの?

リヴァイア「ウソデスゴメンナサイ」

 

顔立ちがあかねさんとそっくりだから……というか、それを抜きにしてもレティを怒らせたらアカンわ。絶対に。

 

ちなみに、やんわりとしたトーンと笑顔で脅迫されたのか、低めのガチボイスで死刑宣告されたのかはご想像にお任せします、はい……。

 

レティ「フン、まぁどのみち殴るからいいとして――」

リヴァイア「あぁ。結局殴られるのね……?」

レティ「耐久性を測るテストと思えば聞こえはいいでしょ」

リヴァイア「ごめん微塵も感じられないわ」

レティ「自業自得よ。甘んじて受け入れなさい」

 

「うえぇ…」と間抜けな声をあげてしまった直後。

間違いなく人を殺せるほどの威力で、拳が脳天にのしかかるのであった。

 

 

 

 

 

 

――場所は変わって、病院の屋上。

 

リヴァイア「でもさ、ホントに病院に立ち入って良かったのかよ? 俺達の身体の構造上、医療機器に影響を及ぼすはずだろ?」

レティ「当然。その辺も抜かりないわよ」

 

一つの疑問点を訊ねると、自信あり気な返答が返ってくる。

 

レティ「擬人化状態なら、今みたいに実体化しても電波やノイズが漏出されないように設計してる。……といっても、主成分はノイズ100%なわけだけど」

リヴァイア「果汁100%みたいな表現やめて?」

レティ「揚げ足取るのもやめて。……まぁとにかく、なんで私しか入れない空間(ノイズウェーブ)にアンタも入れるのか。これで分かってくれた?」

 

元居た場所から病院(ここ)に来るまでの移動手段として、ノイズゲートを潜るのには躊躇ったが……「黙って付いてきなさい」と言って先に進むものだから、ええいままよと覚悟を決めたものの……、レティの背を追って歩く道中。異空間内部が不気味だと思う以外、特に異変を感じなかった。

 

……多分だけど、いずれそういった場面が起こり得る事を想定して、俺の身体は根本的な部分が変化したのだろう。

そんな懸念を抱きながら進み続け、出口に辿り着いた次第だ。

 

リヴァイア「……さっきやった耐久性のテストも含めて、不具合が無いか試した次第か?」

レティ「正解よ。でもその様子じゃ、心配は要らなそうね」

 

……よくよく考えてみたら水希も電波体だから、例外なく入院なんて出来やしないけれど、病院側も何かしら対策してくれていることを願って、レティの後を追った。

 

 

 

そういった経緯があって今、水希が眠っている病室にまで来れたわけだが……洗面所の照明を点けた上で【新たなる俺の姿 〜腫れぼったいたんこぶを添えて〜】を鏡越しに見ても今一つ実感が湧かなかったのだ。

 

リヴァイア「……本当に、俺なのか……?」

 

人間の部位でいうほっぺたか?

試しに指で押すと、わずかに弾力を感じられ、浅黒い褐色肌とは裏腹に滑らかな触り心地なのに……やっぱり実感湧かない。

 

リヴァイア「つーか、なんで変な服装なんだよ……オーバーオールかこれ?」

レティ「つなぎでしょ……」

 

実のところ人間のファッションには疎い俺の背後で、壁にもたれかかって腕を組むレティに即ツッコまれる始末である。

 

レティ「そういえばアンタ、確かFM星(向こう)では漁村出身だったのよね?」

リヴァイア「……あぁ」

レティ「多分だけど、望郷の念が服装にも反影されたんじゃないかしら? 知らんけど」

リヴァイア「知らんのんかい」

 

創造主がそんなテキトーでいいのかよ……と。内心そう思いながらも、着用しているつなぎ服を再度見返した。

 

生まれ故郷のAM星から追放され、その後FM星の漁村で育ったこともあり、確かにそういった面影は無きにしもあらず……なのか。

 

地球(この星)にいる数多の漁師が着るような作業着。一見シンプルだが、腰回りのベルトにふと目が行った。

……簡素な形をした魚がベルトの中心部に飾られ、何万通りもある服装からこれを選出する辺り、『もしや遊ばれているのでは?』と内心疑問に思った。

 

鏡越しに視線を移し、呑気に口笛吹くレティを見て『黒だな』と確信する。

 

リヴァイア「……それでも、ありがとな。わざわざ俺なんかのために、ここまでしてくれて」

レティ「いいの。私のワガママに付き合ってくれた謝礼と思って貰えば、こんなのぶっちゃけ朝飯前よ?」

リヴァイア「お前の言うワガママって、内容がショボい癖にスケールは馬鹿デカいんだよな……」

レティ「それを知ってなお普通に接してくれるアンタらも、傍から見りゃ相当イカれてるけどね」

 

俺の言葉に笑って返すレティとは、あと数ヶ月後も経てば殺し合う関係ではあるのだが……、

 

リヴァイア「地球の未来を考えれば、無理もない話だがな」

レティ「……そうね。当然のことだわ」

 

そうと判って接触する時点で、俺達はとうの昔から割り切っているのだ。

今こうやって冗談交わすことが出来たとしても………。

 

 

 

 

ひとしきり会話を済ませた後、レティは去り際『しばらく顔を出さないつもりだけど、用があれば都度連絡して頂戴』と言い残して病室を出た。

 

そこから特にやることもなく、ベッドの横に座椅子を置いて、前のめりにもたれかかるように腰掛ける。

しばらく寝顔をジッと眺めるだけの筈が、気づけば水希の髪をかきわけるように撫でたり、指で頬を突いてみたりしたら………反応こそすれど、全く起きる気配がない。

 

リヴァイア「……フフッ、こんだけイタズラしてんのに起きねーのか?」

 

普段何気なくやっていたことも、以前のヒレみたいな手と勝手が違ってより細やかに動かせるので、心なしか口元が緩んでしまっている気がする。

 

 

飽きることなく続けていくうちに、夜明けを迎える。

正月を除けば、上空の暗い時間帯から日の出前の空を見るのは初めてかもしれない。

 

それを抜きにしても……このシュチュエーション、水希が小さい頃好いていた童話とそっくりなんだよな。

 

***

 

……出会った当初のことを、昨日のことのように思い出していた。

 

リヴァイア『――【ネムリヒメ】ぇ?』

水希『そうそう! ぼくこれ大すきなの! マジョのノロイで100年もねむらされたおひめさまをね、おうじさまがキスをしてめざめさせるんだよ!』

 

何が何だかわからない俺に遠慮もなく、手に取った絵本のあらすじを語ってくれやがってさ。

多分だけど、あかねさんの幼少期に読まれた物を大切に保管して、時折読み聞かせていたのだろうが……それはそれとしてツッコミどころしかなかったわけだが……。

 

リヴァイア『……なぁ、これ、どっちかと言えば女の子向けなんじゃねーの? 俺が言うのもなんだけど、趣向が変わってんだな、お前……』

水希『えへへ〜、そうでしょ〜?』

リヴァイア『うん、全然褒めてねぇからな』

 

前から人の話を聞かない奴だと思ったけど……幼少期の方がよっぽど質が悪かったと改めて思う。

それこそ、幼少期のスバルをヤンチャ小僧だと揶揄していた水希も、ご立派にクソガキやってた頃があってな。

 

ユリウスと出会った時も同様。…………思い返してもホント色々と酷かったぜ。

 

 

 

 

***

 

それでも、悪夢に魘されてない日の寝顔が可愛いのは、子供の頃とまったく変わんなかったけどな。

 

リヴァイア「いつもお前のワガママに付き合ってやったんだ、今更こんくらいの事で嫌がんなよ?」

 

眠り姫に悪態をつきながら、そっと……口づけをしてやった。

 

…………男の癖に柔らけぇとか反則だろ。と思った直後。

 

水希「…ん……ん〜ぅ……ッ」

リヴァイア「あらら、本当に起きちまうとはな……」

 

俺がそう呟いた後、わずかに身動(みじろ)ぎをしながら、十数秒かけてようやく目を覚ました。

 

水希「―――……ここ、は……?」

リヴァイア「よう、お目覚めか? お姫サマ」

 

こちらに顔を向けた水希に軽く挨拶すると、寝ぼけ眼をさらに細め、怪訝そうに見つめ返されてしまう。

 

水希「……あの……どちら様?」

リヴァイア「んだよつれねぇな……。小さい頃から一緒なのにわからねぇのか? ――俺だよ。お前の相棒、リヴァイアだよ!」

 

八つ当たりとして水希の頬をつっ突きながら、改まって自己紹介したわけだが。

 

水希「……………はぁぁあああああ?!?!」

 

数回瞬きして、飛び起きてからのこの仰天っぷりですよ奥さん。

 

水希「い、いや、確かに声は似てるけど、なんで?! なんで知らぬ間に擬人化してんのよ?!」

リヴァイア「端的に言ってレティが根回ししてくれたおかげだよ」

水希「……あぁ、なんか納得――じゃないよッッ!! 端的にーつったってアンタもう、こんなイケメンさんに大変身とかシンデレラじゃん! レティ完全に魔女ポジじゃん!!」

 

イエーイ! 水希がイケメンって言ってくれたー。やった〜!

 

リヴァイア「まぁ細かいことは抜きにして、今は休めよ――ってうわ!」

水希「ばかっ……本当に……本当に死んだかと、思ったのに……」

 

俺の胸元に顔を埋めながら、嗚咽混じりにそう言った。

 

……そりゃそうだよな。意識を奪われてから水希の顔を拝むまで、俺は数時間越しでも水希からすれば何日もかかったんだよな……。

 

リヴァイア「……あぁ、本当にな。心配かけてごめんな。もう二度と離れねぇから安心してくれ」

水希「よかった……よかった……ッ!」

 

いつまで経っても泣き虫な水希を真正面から抱き寄せ、あやすように頭を撫でた瞬間。

 

 

……本当に戻ってこれたんだなと、身に沁みて実感できた。

 

 

これから先……何年も一緒に居ていいのなら、もう離したくない。

気兼ねなく外に出てもいいのなら、もう隠れることなく、今みたいに抱き締めてやりたい。

そんでもって戦える力が残っているのなら……もう水希一人で負担せずに済むよう協力し、守ってやりたい。

 

 

それが、今の俺にできることだと思うから……。

 




イメージ曲「Not alone」「エゴイズム」
どちらもdova-syndromeの曲です

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次回もどうぞお楽しみに!

2023年7月4日:病室に入るまでの流れで少しだけ追記しました……。
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