流星のロックマン 水希リスタート   作:アリア・ナイトハルト

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52話 再戦

「「電波変換!」」

 

二人同時に唱え、各々の色を象徴とする光粒子が全身を駆け巡るようにまとわりつき、やがて換装を終える。

 

スバル「……うぇ?!」

 

何をそんなに動揺させるのか疑問に感じていたが、リヴァイアが「なんじゃこりゃあ!?」と声を荒げ、視線を変えると……その疑問も呆気なく解けた。

 

さっきまでのツナギ服は何処へやら、いかにもファンタジーっぽさを匂わすような戦闘服らしい装いへと変貌しているではないか。

 

 

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いや、そこは一旦置いておこう……。

 

なんだテメェこの胸筋はよぉ!

ピッチピチのノースリーブ越しから自己主張しやがってふざけんじゃねぇぞ当てつけかコラぁ!?

 

スバル「兄ちゃん……目が怖いし、顔も怖い……」

ウォーロック「いやいや、俺を寄越せって脅してきた時よりまだ可愛い方だぜ……」

 

その節は本当に申し訳ない……今思い返しても完全にどうかしてたわ。

 

リヴァイア「は?………寄越せって何? まさか俺と信武(青二才)を差し置いてコイツと付き合おうとしてたのか?」

水希「違うし! なんでそんな曲解すんのよ!?」

リヴァイア「だよなぁお前に限ってこれ以上男増やすとかあり得ないし後々増えてこられても潰せば良いだけだし大丈夫大丈夫」

ウォーロック「おい待て命の保証はどこ行った!?」

水希「……もうその話は置いとこうよ」

 

 

 

 

そんなこんなで。スバルと二度目の模擬戦……と行きたいところだが、すっかり夜も更けているので明かりがある場所じゃないと落ち着かない。

 

そんなちっぽけな理由で、時間帯的に夜景スポットへと様変わりした都心にまで移動し、適当なビルの屋上へと降り立った。

 

無論。姉にはあらかじめ一言伝えたので心配かけることはないだろうが、たかが模擬戦だろうと集中しやすい環境が良いと判断して、消去法で都心にまで来た次第だ。

 

水希「見えにくいならもう少し低い建物目指す?」

スバル「いや、ここでも十分見えるよ」

 

僕の質問に答える間に準備運動をしていたので、こちらも準備に取り掛かることにした。

 

右手を差し伸ばし、目を閉ざした後に水蒸気をかき集めるようなイメージを描く。

 

蒸気をさらに凝集させて水に変えるイメージを描いて、大きさがバレーボールと同程度の水塊を造り出せた。

 

水希「……出来た」

 

自分でもわかるくらい弱体化したから不安だったが、【水を生成する】という単純な工程を多少時間がかかってもできたことに安堵する。

 

それと、水塊を先の尖った円錐(えんすい)状や棒状など様々な変形ができる辺り、コントロールと精度はそこまで鈍っておらず、戦うには申し分ないと知れたから充分だ。

 

水希「今回の模擬戦なんだけど、僕は水塊(コレ)一つでどこまでできるか試したい。でもスバルは前回同様どんな手を使ってもいいから攻撃をしてきて」

スバル「わかった。それじゃあ……行くよ!」

 

水塊をサーベル状に変形。硬質化が済んだと同時に、初手はスバルから仕掛けてきた。

 

ロックバスターからエネルギー弾を射出、狙いすました攻撃だったが少ない動作で危なげなく回避し、そのまま攻守交代。

 

眼前まで近づいてサーベルを振り下ろす。その行動に対してスバルはシールドを展開して対処。

 

水希「……少しずつギアを上げてくよ」

 

一度後退して構え直し、スバルも武器をソードに変えて、どちらともなく助走をつけて剣を交えた。

アバウトな言い草になるが、前回よりも遥かにスバルの動きが良くなっている気がして、もしかしてと思って質問を投げる。

 

水希「こんな短期間で太刀筋が良くなるくらいだから……ひょっとしてさ、信武に手解きしてもらったの?」

スバル「少しね。滅多にない機会だから勉強になったよ」

水希「そりゃそうだ。信武教えるの上手いから良い事づくめだしね。――続けるよ」

 

軽い談笑で緩んでいた気を引き締めて、再び打ち合う。

 

ただ惰性に剣を交えるのみならず、時折フェンシングの要領で突きを繰り出したりして変化を付けるが、どの攻撃も加減してるとはいえ、目視で追いつけるスバルの成長に感心してしまい、

 

水希「どんな手を使ってもいいって言ったんだから使ってみてよ、三賢者のチカラ」

 

我ながら魔が差して、変な提案を言葉に出したものだ。

 

一瞬戸惑いを見せたスバルだったが、それなら……と前置きをして、真剣な面持ちになりながら、懐から一枚のカードをチラつかせた。

 

スバル「兄ちゃんも、まどろっこしいのは止めて本気で来て」

 

瞬間。スバルの左腕に装着されていたソードが消え、普段身につけているトランサーとそっくりの端末が見えたと同時、

 

スバル「スターブレイク――アイスペガサス」

 

そこにカードを読み込ませて、合言葉を口にした。

 

 

 

 

 

 

……三賢者の力の一端を見た第一印象は、綺麗の一言だった。

 

憎悪など負の感情に満ちたリンドヴルムの力とは対極的で、淀みも穢れも全く感じられず、それでいて強大な力を内包しているように見て取れるから。

 

本当になんとなく思ったことだけど、スバルを使い手として選んだ三賢者はお目が高いのかも。

 

呑気なことを考えていた矢先、バスターを構えるスバルが仕掛けてきた。

 

スバル「〈アイススラッシュ〉!」

 

僕の十八番と似つかわしい氷の(つぶて)が迫ってくるが、サーベル状に型取っていた水塊を円盤状に広げていき、触れた瞬間に氷の礫が蒸発するが、スバルの表情に動揺は見られない。

 

むしろ遠距離が無駄だと悟って即座に間合いを詰めてきたものだから、近接戦闘になると予感して水塊を引っ込めて応戦した。

 

僕よりもバトルセンスがあるだけに身の熟しは悪くないけど、それなりに経験している身として簡単に隙を作らせるほど、甘くはない。

 

そう思い知らせるように、胸部目掛けて蹴りを放つ。

 

不意打ちで放ったからスバルも当然目で追えず、為す術もなく吹き飛ばされ、すぐには起き上がれそうになかった。

 

水希「もう終わり?」

スバル「…………そん、なわけ、ない!」

 

吐き捨てるように挑発すると、流石のスバルも苛立ちを隠せはしなかったようで、高く飛び上がってすぐさま両手を空へ掲げた。

 

スバル「SFB(スターフォースビッグバン)

 

リヴァイア「ッ! 水希!!」

水希「止めないで」

 

足元を照らす巨大な魔法陣に、危機的状況と見たリヴァイアが止めに入ろうとする前に抑制させて、スバルと視線を合わせて言った。

 

水希「来な。アンタのすべてを見せて」

スバル「――〈マジシャン・フリーズ〉!」

 

 

足元に冷気が漂う。

 

そう感じた直後に巨大な氷柱が生え、文字通り氷漬けにさせられるのだった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

兄ちゃんの挑発に乗せられたが故に、完全に血迷ってしまっていた。

 

地面に降り立って、我に返るけど……僕を叱りつけたい気持ちと兄ちゃんの安否が気になって仕方ない気持ちが入り混じったリヴァイアの顔を見て思った。

 

(や ら か し た !!)

 

そこからはもう頭が真っ白になって、呆然と立ち尽くすまま時間が過ぎるのだが、

 

水希「融けよ」

 

兄ちゃんの声が聴こえたその瞬間、みるみると氷が融けていき、余裕の笑みを浮かべる兄ちゃんと目が合った。

 

水希「まさかとは思ったけど、リヴァイアとの特訓がここで活きるなんてね」

リヴァイア「まさかってお前な! ホントにやられてたらどうする気だったんだよ?!」

水希「そりゃ腐っても能力の扱いを極めてきたワケだし。今のでやられるくらいなら、その程度だったって話じゃん」

 

呆れた……。

極めてる云々以前に、すぐ調子に乗って、挙げ句無茶ばかりする所もここまで来ると呆れてしまうもんだ。

 

スバル「だからってさ……僕が言えたセリフじゃないけど、何もそこまで体張ることなくない?」

水希「いいのいいの。あくまでも自己責任ってやつだし」

 

なんにも良くないんですけど?

むしろアウトだって理解してもらわなきゃ困るんですけど?

 

リヴァイア「……まぁさ、いざという時のために対策して損は無いって言ったの俺だけど、見てるこっちは肝冷えっ冷えで堪ったもんじゃねぇんだぜ」

水希「でも、無駄にはならなかったでしょ」

 

どれだけ(なじ)っても悪びれもしない兄ちゃんに呆れ果て、リヴァイアと共に重い溜息を吐いてしまうのだが。

 

水希「さっきのような大技が必ずしも通用するとは限らないから。どんな奴が相手でも、決して最後まで油断しないよう気をつけて」

スバル「う、うん……?」

 

兄ちゃんからアドバイスを受けたにもかかわらず、釈然としないまま、二度目の模擬戦は終了となった。




リヴァイアの戦闘服は、推し絵師である、はちのす様より描いて頂いたものです。マジ神作です大好きです。



【挿絵表示】

あと、本編でまったく触れませんでしたが水希の新衣装で、こちらは自(信)作です。
ロックマンシリーズ特有のメカメカしさ皆無ですが、デザインは好みの寄せ集めです。
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