レミリア・スカーレットは百合百合暮らしたい   作:名無しのメイド

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レミリア・スカーレットは百合百合暮らしたい

「私を満たしてくれる日々はいつ来るのかしら(私の癒しはどこにあるの?)」

 

 大好物のトマトジュースをジョッキで飲み干しながら、紅魔館当主レミリア・スカーレットは呟いた。

 数多の雑多な吸血鬼たちが人々に忘れ去られ、伝承の中だけの存在となる中、スカーレット家は吸血鬼として栄華を極めたと言って良いだろう。堂々と人間社会にその名を広め、現代の人々に恐怖され、その生き血を啜りながら現世を謳歌しているのだから。まさしく吸血鬼のスーパーエリートと言って良い一族である。

 

 しかしレミリアにはある不満があった。

 

「諦めは彼らを殺すのであろうか?(代行者うざい)」

 

 そう。吸血鬼という怪物が現存している以上、それを退治する組織も当然ながら存在している。レミリアは性懲りもなく襲撃してくる代行者を返り討ちにする日々に飽き飽きしていた。毎日毎日、神の力とやらを振りかざして襲い掛かってくる連中を一秒でミンチにする作業もいい加減うんざりなのだ。

 

 ちなみに先ほどからレミリアの言葉が妙なのは、大昔に自らでかけた術が原因である。彼女は主に他者に舐められるのを避けるため、「言動がカリスマっぽくなる程度の術」を自分にかけていた。

 これにより口から出た言葉が妙に芝居がかった言い回しに翻訳される。……のだが、レミリアはとっくにこの術の存在を忘却しており、自分の言っている言葉が翻訳されているのに気付いていなかった。

 

「代行者たちは華がなくていけないね(毎日毎日むさい男ばっかり倒す日々は飽きたー! かわいい女の子かもーん!)」

 

 ……そう、このレミリア・スカーレットという吸血鬼は、三度の飯よりかわいい女の子が好きであった。これで襲撃してくる代行者が美少女だったら文句はないのだが、残念ながらごく一部を除いてオッサンばかりだった。ちくしょう。美少女だったら吸血して眷属にしてしまうのに。

 

 ちなみにどの程度美少女好きかというと、『みんなかわいいから』という理由だけでメイドに全く向かない種族である妖精をメイドにするぐらいには好きであった。そして後から妖精の役立たずぶりに慌てふためくぐらいには考え無しであり、その後に妖精が不滅の存在だと知って代行者の襲撃の被害がほぼ無くなったとはしゃぐ程度には脳天気であった。

 

「彼女も来ないしね(『弓』の人も来てくれないしー)」

 

 先ほどの『ごく一部』に当たる、レミリアの脳内美少女フォルダに保存している『弓』というらしい代行者の一人である美少女が最近めっきり来てくれないのも退屈な要因であった。そもそもレミリアは血生臭いやり取りがあまり好きではない……吸血鬼だけど。戦うにしても目の保養がないとやってられないと残念な思考を巡らせていた。

 

「どこかに飛び立ちたい気分だわ(遠くへ行きたい)」

 

 完全に引きこもりの現実逃避と同じ思考展開をしながら、レミリアはふと思い出す。そういえば、レミリアの祖父の兄の娘のいとこの叔父の息子に当たる吸血鬼が「幻想郷っていう忘れられた妖怪の楽園があるらしいから侵略してくるわ」とか言っていた気がする。

 別に自分は侵略なんぞに興味はないが、その幻想郷という場所には大いに興味がある。そこなら代行者どもも追っては来れないだろうし、ゆっくりできるのではないか。何より。

 

「新たな出会いを求めるのも悪くないわね(かわいい女の子がいるかも!)」

 

 そんな出会い系サイトで女漁りするニートと同レベルの極めて残念な動機で、レミリアは紅魔館の幻想郷行きを独断で決定した。何より人外の楽園というのが気に入った一因である。レミリアの経験上、人外には美少女が多い(自分や妹を含む)。レミリアの癒しになってくれる女の子がきっと沢山いるに違いなかった。願望だけど。

 

「行こうか、忘れられし者たちの楽園へ(そうだ、幻想郷、行こう)」

 

 そんなこんなで、まだ見ぬ女の子たちときゃっきゃうふふするべく、レミリアは友人であるパチュリー(美少女)に、紅魔館ごとの転移術の発動を依頼するのであった。

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