ソードアート・クロニクル   作:グランドK

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今回はゲームの中に入るだけって感じです
茅場に対する黎斗の感情は心が滾ってそうですね


2話 開幕!新たなstage

「準備が出来たぞぉぉ!」

 

 檀黎斗の声が、CRの司令室にけたたましく響き渡った。

 仰け反った姿勢で両腕を広げる彼は、まるで舞台の主役を気取っているようだ。相変わらずだな、と思う。よくあんなに体が曲がるよね…。

 でも、みんなの反応は案の定だ。ニコちゃんは眉をひそめ、大我さんは呆れたように舌打ち。唯一、飛彩さんだけが、氷のような視線で彼を射抜いていた。

 

「ちょっと、黎斗さん!」

 

 僕が思わず声を上げる。

 

「変身って、ちゃんとできるんですよね?」

 

 僕の質問に、黎斗さんがニヤリと笑う。いつもの、底知れぬ自信と狂気を孕んだ笑顔だ。みんながまた一歩引いてるのが分かる。やっぱり、黎斗さんだ…。

 

「その心配は無用だ、永夢ゥ!」

 

 彼は大仰に手を振った。

 

「何せ、君たち一人ひとりのガシャットデータを幻夢VRに組み込んだ。準備は万端だァ!」

 

「ただし…」

 

 黎斗さんが一瞬、芝居がかった間を置く。

 

「ハイパームテキとタドルレガシーは、調整に少し時間がかかる。もう少し待て」

 

 マキシマムマイティXだけでも十分チート級なのに、それ以上のガシャットが使えるなんて…。まあ、SAOの世界でどこまで通用するかは分からないけど、ちょっと不安だ。

 

「パラドの分は、永夢、君のガシャットのところにデータを統合してある。後で分配するといい」

 

 黎斗さんが付け加える。

 

「おい、ゲンム!」

 

 大我さんが鋭く割り込んだ。

 

「ソードアートって名前なのに、俺はスナイプの銃でいいのかよ?」

 

 確かに、そこは気になる。剣と魔法の世界に、銃ってどうなんだろう? ニコちゃんがクスクス笑ってる。ゲーマー同士、彼女も同じこと考えてたみたいだ。

 黎斗さんが大我さんを一瞥し、余裕の笑みを浮かべる。

 

「心配するな、花家大我。クロノスになった時、ガシャコンソードを扱えたことを忘れたか? すでにデータは組み込んである」

 

「マジかよ…もう入れてたのか?」

 

 大我さんが目を丸くする。

 

 今回の黎斗さん、妙に仕事が早い。『マイティノベルX』の時は黎斗IIだったとはいえあの件での敗北がよっぽど悔しかったんだろうな。僕はその様子を眺めながら、ふと飛彩さんの鋭い視線に気付いた。

 

「檀黎斗」

 

 飛彩さんが冷たく切り出す。

 

「お前は行かないのか?」

 

 その言葉に、部屋の空気がピリッと引き締まる。黎斗さんは一瞬だけ目を細め、答えた。

 

「私はここで幻夢VRの調整を行う。ガシャットの適合率やその他メンテナンスなどの調整で君たちを完璧にサポートするとも」

 

 

 そんな黎斗さんを見るポッピーはお母さんみたいだ。

 話が一段落したところで、僕がみんなを促した。

 

「じゃあ、そろそろ行くか。確か、SAOの掛け声って…」

 

「リンクスタート、でしょ?」

 

 ニコちゃんが得意げに言う。

 

「ありがとう、ニコちゃん! じゃあ、今度こそ!」

 

 僕たちは一斉にナーヴギア…じゃなくて、黎斗さんの作り上げた幻夢VRを装着した。心臓が高鳴る。どんな世界が待ってるんだろう? 不安と興奮が混ざり合う中、僕は声を張り上げた。

 

『リンクスタート!』

 

 

 ────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 一瞬の暗闇。次の瞬間、視界が鮮やかな光に包まれた。

 気がつけば、僕たちは見知らぬ広場に立っていた。石畳の地面、遠くに見える巨大な城壁、剣や盾を手に持つプレイヤーたち。まるで中世のファンタジー世界だ。空気には、どこか懐かしいゲームの匂いが漂っている。

 

「ここ、どこだ…?」

 

 大我さんが辺りをキョロキョロ見回しながら呟く。

 僕も同じ気持ちだ。とりあえず、メニュー画面を開いてみよう。指を動かし、空中に浮かぶインターフェースを呼び出す。アイテム、ステータス、スキル…そして、ログアウトボタン。あれ? 

 

「ログアウトボタンがない…!」

 

 僕の声に、みんなが一斉にメニューを確認する。

 

 

「つまり、これが原因で犠牲者が出てるってことだろ?」

 

 貴利矢さんの声は落ち着いているが、目には動揺が隠せない。

 

「ゲームオーバーになれば、脳が焼けて死ぬって話…」

 

 僕はなんとか説明するけど、頭の中はパニック寸前だ。いつもなら、ゲームの説明書なんて読まずに突っ走るタイプなのに、今回は命がかかってる。ヘルプ画面をじっくり読まなきゃ…。

 

 その時、突然、僕の体から赤と青の粒子が溢れ出した。バグスターウイルスだ。粒子が集まり、青年のような形に形成する。パラドだ。

 

「パラド…!」

 

 彼は少し戸惑ったように辺りを見回す。見慣れない世界に、さすがの彼も動揺してるみたいだ。

 

「こんな状況で悪いけど、みんなに良い話と悪い話がある。どっちから聞きたい?」

 

 パラドが軽い口調で言うけど、声には緊張が混じる。飛彩さんが冷たく切り捨てる。

 

「この状況でふざけてる場合か。速やかに、簡潔に話せ」

 

 僕とパラドの心は繋がってる、だから言おうとしてる事も、分かってる。さすが飛彩さん、容赦ない。パラドが少し肩をすくめる。

 

「ブレイブは相変わらずつまんないなぁ…」

 

「いいから早く言え!」

 

 大我さんが苛立ちを隠さず叫ぶ。

 

「わかってるって、悪い話は、現実との通信が一切できないってこと」

 

 パラドの言葉に、みんなが一瞬黙る。でも、予想通りだったのか、頷いて聞き流す。

 

「で、良い話は?」僕が促す。

 

「良い話は、俺だけが現実に行けて外との話が出来る」

 

「じゃあ神に言いたい事はパラドを通して伝えれば良いのか?」

 

「そういうこと」

 

 パラドがニヤリと笑う。

 

「で、最初の連絡だけど、永夢とブレイブのガシャットは遅くても1週間以内にに使えるようにするってさ」

 

「了解した」

 

 飛彩さんが短く答える。さすが、冷静だ。

 

 話が一段落したところで、僕はみんなを見回した。

 広場の喧騒が遠く聞こえる中、僕たちの戦いはこれから始まる。

 ログアウトできない世界。バグスターの脅威。そして、茅場晶彦というゲームマスターの影。

 このゲームをクリアし、みんなの命を救う。それが僕の、医者としての使命だ。

 

「皆さん、そろそろ行きましょう!」

 

 僕の声に、仲間たちが頷く。剣と魔法の世界に、仮面ライダーの戦いが始まる──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は試しのボス戦です!
簡単な話、1週間待ってムテキ使えばいいんじゃね?ってなるのは内緒
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