碧色のライバル   作:妖魔夜行@

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レポート:7『ポケモンリーグ』

「ビカァアアアア!!!」

「ギャオオオオオ!!!」

 

 凶弾を尾で弾き飛ばし肉薄するが、踏み鳴らして衝撃波を起こすことで接近を防ぐ。お互い体力は既に赤色になっている。一撃当てれば勝ち、当たられたら負け、しかしその一撃が遠く、長い。

 

 ナッシーは痺れで満足に動かせず、痛むはずの身体を、歯を食いしばりながら我慢し、動いている。

 相対するピカチュウも体力は既に尽きているはずなのに、限界を超えて走り続けている。

 一つのミスが負けに繋がってしまうこの状況で、2匹のポケモンは勿論、2人のトレーナーも神経を集中させていた。

 

 一挙一動を見逃さないよう、瞬きもせず目を見開いている。

 と、駆け回っていたピカチュウの足がもつれた。

 

 そこだっ、『たまなげ』!!

 

「ゲギャオオ!!」

 

 もつれた先に玉を放つ。5m、4m、ピカチュウに迫る。1m、50cm、まだピカチュウの体制は変わらない。30cm、10cm、ここでピカチュウの身体が静止した。

 ピタッとまるで時が止まったかのようにピカチュウは停止する。それと同時に玉が鼻先を掠めて通り過ぎる。

 

「『でんこうせっか』!!」

「ピィ……ッカァ!!」

 

 再び地面を蹴って加速する。しかしその勢いは戦い始めた時に比べるとかなり衰えていた。さっき急停止したことで体に負荷をかけてしまったのだろう。既にボロボロだったピカチュウの身体が更に傷ついていく。

 

 遅いんだよ!蹴り飛ばせ!!

 

 グリーンがそう指示すればナッシーがゆっくりと足を振りかぶる。

 

「オオオ!!」

 

 丸太のような足がピカチュウに迫る。しかし、ピカチュウの身体を捉えたと同時にそれは消滅した。

 

 ちっ、『かげぶんしん』か!

 

 見回してみれば10匹前後のピカチュウがナッシーを取り囲んでいた。序盤に比べると分身の数は大分少なくなっている。

 

「ピカチュウ、仕掛けるぞ。このままじゃお前の体力の方が先に尽きる」

「ピ、カァ……」

 

 いつの間にか『かげぶんしん』を囮にしてレッドの元へ戻っていた。作戦会議中のようだが、わざわざ狙わない必要は無い。大地を踏みつけて『じしん』を起こす。衝撃がピカチュウを襲うがそれを跳ぶことで回避する。

 

「速攻だ!『でんこうせっか』!」

「ピィ……カッ!!」

 

 力を振り絞ってピカチュウは加速する。しかしスピードは落ちており、先程の『でんこうせっか』よりも遅かった。

 

 遅えっつってんだろ!!『たまなげ』!!

 

「ギャオオ!!」

 

 ピカチュウの正面から5発の玉が投げられる。それぞれ避けなければ直撃するコースと、避けた先を想定して投げられたコースを作っている。

 

「かわせ!!」

「ビィィッ…!」

 

 ピカチュウは跳ぶわけでもなく後ろに下がるわけでもなく、身体を捻ることで玉を掠らせながらも最低限の動作で躱した。

 

「ピカチュウ!『かみなり』!!」

「ピカピカピカァー!!」

 

 ナッシー!『まもる』だぁ!!

 

「ギャオ!!」

 

 雷撃が再びナッシーを襲うが障壁に阻まれる。先程の『かみなり』と比べるとやはり威力は落ちていた。

 それとは別にナッシーが『まもる』を発動させたのを見て、グリーンは密かに安堵していた。

 

 (『まもる』が使えるかどうかは正直賭けに近かったが……)よくやった、ナッシー。

 

 一方のレッドは焦っていた。

 

「(このままじゃ『かみなり』が切れたタイミングに『たまなげ』を喰らって負けてしまう…)くそっ!」

「ピィィ……!!」

 

 ピカチュウも汗を流している。蓄積されていた疲労が一気に吹き出してきたのか、足も震えている。レッドがどうすればいいのか、考えていると、ピカチュウがナッシーの方へ向かって1歩、踏み出した。

 

「ピカチュウ…?」

「ビッ、カァ!!」

 

 ピカチュウは吠えると『かみなり』を撃っている状態のまま、『でんこうせっか』を繰り出した。フーディンを倒した時に使った方法だが、あの時と比べてピカチュウの体力はほんの雀の涙程しかない。仮に『まもる』が解けたタイミングで攻撃が当たったとしても自傷ダメージでピカチュウも戦闘不能になるだろう。

 

「ビィィ…!!!」

 

 しかしピカチュウの目は闘志に燃えており、諦めの感情などは微塵も感じられない。あくまでピカチュウは勝つために技を繰り出したのだ。

 

「そうか……頼んだピカチュウ!!『でんこうせっか』!!」

「ピカッ!!ピィ、カァ!!」

 

 また加速しただと!?ナッシー!『まもる』を解くな!

 

「ギャオ…!!」

 

 『まもる』は連続性、持続性が不安定な技だ。しかし研究はされており、平均展開持続時間はだいたい30秒と言われている。ナッシーは『まもる』を発動してからもう既に30秒近く経っている。

 

 タイムリミットはあと何秒だ?今度はグリーンが焦る番となった。その間にもピカチュウは距離を詰めている。遂に射程距離に到達し、『かみなり』を纏った『でんこうせっか』を喰らわせようとするが、『まもる』の障壁に阻まれる。激しい閃光と電撃が弾け、スパークする。

 

 ガリガリと残り少ないピカチュウの体力を削りながら障壁にぶつかり続ける。

 

 この戦いの勝敗は、自傷ダメージで先にピカチュウが倒れるか、『まもる』の時間が切れてナッシーが倒れるかのどちらかとなる。

 

「ピカチュウ!!!」

「ビィィイイイイ!!!!」

 

 ナッシー!!!

 

「ギャオオオオオ!!!!」

 

 2匹のポケモンが奮起するための雄叫びを上げながらぶつかり合う。手に汗握る戦いとはこのようなバトルのことを言うのだろう。

 

 さてここで突然だが『まもる』について説明したいと思う。『まもる』というのは先程説明したとおり、連続性、持続性が不安定な技だ。しかし、博士たちの研究によると持続時間は短くて5秒、長くて80秒程らしい。ここでの秒数の違いだが、ポケモンの体力、気力に関係しているのではないかと言われている。それが真実かどうか定かではないが。

 

 戦いに戻る。

 

 やはり体力が尽きかけているのか、ピカチュウが纏っている電気の勢いが段々と弱くなっていく。たが同時にナッシーを覆っている障壁も薄くなっている。堪らずグリーンとレッドは声を上げる。

 

 耐えろナッシー!!

 

「破るんだピカチュウ!!」

 

 2人の声に呼応して弱まっていた勢いが再び強くなる。

 

「ギャオオゥルルァアア!!!!」

「ビィィィィ〜〜〜カァアアアア!!!」

 

 そしてそれは突然、いや遂に起こったと言うべきだろうか。『まひ』の痺れがナッシーの動きを止める。それと同時に『まもる』の障壁が消失し、ピカチュウがナッシーに向かって体当たりする。

 

「ギャ、オ!」

「ピッッカァ!!」

「ギャオッ───グオ、ア……」

 

 ピカチュウがナッシーの身体に触れるとピカチュウが纏っていた電撃がナッシーを襲う。しかし、それでもピカチュウを睨みつけ、一撃を喰らわせようとするが、彼はそれを許さなかった。体当たりした反動を上手く使い、電撃ごとナッシーの巨体を吹き飛ばした。

 吹き飛ばされたナッシーは壁に激突し、その後静かに倒れた。

 

「よしっ!!やったなピカ───」

 

 名前を続けることが出来なかった。何故ならピカチュウも倒れていたからだ。モニターを見てみれば2匹の体力を表すゲージは無くなっており、『Double Knockout !!』と表示されていた。

 

 それを見てグリーンはナッシーをボールに戻す。そしてゆっくりと深呼吸をした。

 

 さあ、お互い最後のポケモンだ。これで勝者が決まる……!

 

「……」

 

 レッドは何も言わない。ピカチュウを戻して静かにボールを撫でた。そして最後のポケモンが入っているボールを掴み、掴んだまま胸の高さまで腕を上げる。グリーンに突きつけるように見せるボールの中には、炎が轟轟と燃え盛っていた。そう、闘志の炎が。

 

 全力で行くぜ!!レッド!!!

 

「…ああ!これが俺達の最後のバトルだ!!」

 

 いけっ───

 

「いけっ───」

 

 

カメックス!!!「リザードン!!!」

 

 投げられたボールが開き、ポケモンが姿を現す。

 

 グリーンのボールからは、正面に大砲を向けながら咆哮するカメックス。

 

 レッドのボールからは、翼を羽ばたかせ尾の炎を激しく燃やすリザードン。

 

 

 最後の戦いが始まる。

 

 

◇◇◇

 

 

「リザードン!!『メガトンパンチ』!!』

「グァアウ!!」

 

 宙を舞い助走の意味で一回転する。勢いをつけ、滑空しながらカメックスに向かう。

 ドズンと重く鈍い音が部屋中に響くがカメックスは倒れるどころか後退すらしなかった。

 

 俺のカメックスは、生半可な攻撃じゃビクともしないぜ!!

 

「何!?」

 

 カメックス!!『ハイドロポンプ』!!

 

 ギラリと砲身がリザードンに向けられ光る。巨大なエネルギー、もとい水がどんどん蓄積されていく。

 

「逃げろリザードン!」

「グァウ!」

「ガァァ、ガメッ!!ガメェ!!!」

 

 水の大砲が2発、放たれる。

 レッドの指示を聞くと直ぐにリザードンは飛翔する。しかしそれは飛沫を撒き散らしながらリザードンを追尾する。一撃は何とか躱したが体勢を崩された。そのせいで二撃目をモロに喰らってしまった。堪らずレッドはリザードンの名を呼ぶ。

 

「リザードン!!」

 

 白煙をかき分けてリザードンが着地する。しかし、やはりと言うべきか効果抜群であるみずタイプの、しかも最高の火力を持つ『ハイドロポンプ』をマトモに受けてしまったのは不味かったらしく、モニターのゲージはギリギリ赤にならない程度の黄色まで減っていた。

 

 ちっ、しぶといな。

 

「まだいけるな、リザードン」 

「ガウ」

 

 完全に仕留めたと思っていたグリーンは吐き捨てるように呟き、反対にレッドは己とリザードンを奮い立たせるために鼓舞する。

 

「『ほのおのうず』!!」

 

 尾を振ることでカメックスに炎を飛ばす。炎はカメックスに当たる前に地面に着火し、渦を巻くように燃え始めた。

 『ほのおのうず』というのは厄介な技で、一度囚われてしまえば何かの拍子で抜け出すまで延々と熱によるダメージを受け続けてしまうのだ。

 

 当然グリーンはそれを喰らった時の対策をしている。

 

 カメックス!水を撒け!

 

「ガメェ!」

 

 二つの砲身からシャワーやスプリンクラーのように水を撒く。

 元々みずタイプであるカメックスにほのおタイプの『ほのおのうず』は効きにくい。が、身体を熱されればその後の展開に響いてしまう。なので砲身からシャワーのように水を噴出させることで熱くなった体を冷やすことと周りの炎を消すのを同時に行えるのだ。

 しかしレッドもそれをただ見ているだけでは無い。すぐにリザードンに次の指示を出していた。

 

「今だ!『ちきゅうなげ』!」

「グァウ!!」

 

 カメックスが『ほのおのうず』を破っている間にリザードンはすぐそこまで接近していた。

 

 しまっ───カメックス!

 

「遅い!!」

 

 消火に気を取られすぎた結果、接近に気づくのが遅れてしまった。指示を出そうとするが、レッドの言葉通り遅すぎた。リザードンはカメックスの懐に潜り込むと両腕でカメックスの体を持ち上げ、翼を使い天井近くまで飛び上がると勢いそのままに地面へ叩きつけた。その衝撃は凄まじく、クレーターが出来る程の威力だった。

 

 カメックス!!

 

 グリーンは自身のポケモンの名前を叫ぶ。呼ばれたカメックスは立ち上がろうとするがやはりダメージは大きいらしく、膝をついてしまった。

 

「畳み掛けるんだ!!『ほのおのうず』!!」

「グルァア!」

 

 再びリザードンが尻尾を振りかぶる。

 

 そう何度も喰らうかよ!『まもる』!!

 

「ガメェ!!」

 

 障壁が炎を阻む。弾かれた炎は燃えることなく消滅する。カメックスは『ほのおのうず』を防いだのを確認するとすぐさま『まもる』を解く。リザードンの体勢は尾を振り切った状態で、素早い動きを取れそうになかった。

 

 これで終わりだ、『ハイドロポンプ』!!!

 

「ガァァ……メァアア!!!」

 

 二つの砲身から水の大砲が撃ち放たれる。それはしっかりとリザードンを捉えていて、その場にいようが左右に避けようが確実に直撃するコースと空を飛んで避けようと考えた時のコースに別れていた。加えて、リザードンの残りの体力を考えると一撃でも当たれば戦闘不能になるはずだ。

 

「リザードン!!飛ぶんだ!!」

「グァウ!!」

 

 地面に尻尾を叩きつけ、その反動で宙に浮き翼を広げる。これで一発目の『ハイドロポンプ』のコースからは逃れることが出来た。

 

 ちっ!だが、もう一発は完全に当たるぜ!!これで、俺の(・・)勝ちだ!

 

「まだだ!まだ俺達は(・・・)諦めない!!」

「グォオウ!!」

 

 今更リザードンがどうしようと『ハイドロポンプ』は直撃する。空中に飛んだことで地上の『ハイドロポンプ』は躱すことが出来るがもう一発は避けようがない。

 遂に『ハイドロポンプ』がリザードンの眼前にまで迫り、当たる。グリーンが勝利を確信した、その瞬間。

 

 リザードンが口を大きく開ける。口内は爛々と紅蓮に燃えていた。

 

「『だいもんじ』!!」

「ガルアアア!!!」

 

 打ち放たれるはほのおタイプ最強の技(最高火力の切り札)『だいもんじ』。しかし炎は大の字に開いておらず蕾が閉じているようだった。あえて言うなら炎弾、そう表した方がいいだろう。

 

 炎弾は水の砲撃とぶつかり衝撃波を生む。水が炎を消火しようと、炎が水を蒸発しようと、お互いがお互いを打ち消しあっていた。

 

「グルォオオオ…!!」

「ガメェエエ!!!」

 

 リザードンとカメックスも唸りながら技の出力をあげる。既に一発『ハイドロポンプ』を外したカメックスは残りの一撃に全ての力を注いでいる。対するリザードンも火力をあげるために炎弾に火炎を放射している。

 

 そんなちんけな炎、貫いちまえ!!カメックス!!

 

「ここが正念場だ!堪えろリザードン!!」

 

 二人のトレーナーも自分の相棒達の競り合いを見て声を出す。しかしやはりと言うべきか、相性差というものは存在しており、初めは水砲を中間まで押し返して拮抗状態に持ち込んだ炎弾が徐々に押し戻されている。カメックスが水砲に集中し始めたからだろう。このまま行けば『ハイドロポンプ』がリザードンに当たり、カメックスの勝利となるはずだが、グリーンはどこか違和感を感じていた。

 

 (なんだ、このモヤモヤとした感じ……そうだ、何でレッドは『堪えろ』なんて言ったんだ?ここでカメックスを倒さなきゃ勝ち目はないはずだろ…?)

 

 そう思考していたグリーンがふと顔を上げるとあることに気づいた。炎弾の勢いが先程より衰えているのだ。リザードンが火炎を放射し続け着いたはずなのに何故、とグリーンが考えようとした矢先、レッドが叫んだ。

 

「今だ!!『だいもんじ』!!!」

「グゥアウアアア!!!」

 

 大の字に開いた紅蓮の炎が水砲に押されている炎弾にぶつかる。すると閉じていたはずの炎弾が『だいもんじ』と接触したことにより大の字に開いた。二つの『だいもんじ』が重なり合い巨大な大の字を空中に描く。その火力は凄まじく、押していたはずの水砲が押され始めていた。

 

 くっ……そぉ…!!カメックス!!もっとだ!!もっと『ハイドロポンプ』を出すんだ!!

 

「ガメェ!ガメ…!?」

 

 グリーンの指示通りもう一つの砲身から『ハイドロポンプ』を出そうとしたカメックスだったが、どうやら『ハイドロポンプ』にさける水量を既に使い切ってしまったらしく、もう一撃『ハイドロポンプ』を撃つことも出来なければこれ以上威力をあげることも叶わない。

 

「どうやら、技の限界に達したみたいだな」

 

 レッドはこれを狙っていたとばかりに笑うと帽子を深く被り直す。

 

 勝利から一変、脳内に浮かぶ敗北の二文字にグリーンは焦り始める。

 

 くそ、くそ、くそ!!ふざけんな!!!こんな所で、こんな所で───

 

「リザードン!!!トドメの『だいもんじ』!!!」

「ガアウ!!ガァアアア!!!」

 

 三発目の『だいもんじ』、三つの『だいもんじ』が重なるとまるで太陽のような炎が『ハイドロポンプ』を打ち破りながらカメックスに迫る。

 

 あと、もう少しだったのに───

 

 巨大な『だいもんじ』がカメックスを包み込み、炸裂した。

 

 


 

 

┏━━━━━━━━━━━━━┓

┃しゅじんこう グリーン  ┃

┃もっているバッジ  8 こ┃

┃ポケモンずかん 128ひき┃

┃プレイじかん  38:00┃

┗━━━━━━━━━━━━━┛

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

┃ここまでの かつやくを       ┃

┃ポケモンレポートに かきこみますか?┃

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

 

┏━━━━┓

はい ┃

┃ いいえ┃

┗━━━━┛

 

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

┃ グリーンは             ┃

┃ レポートに しっかり かきのこした!┃

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