現実(学業)が忙しくて更新できませんでしたが、ようやく投稿再開です!!
え? 待たせすぎだって?
そんなの気にすんな☆
…………(汗)
……いやホント、マジすんませんでしたぁあああああああああ!!!
駄文かと思いますが暖かい目で見守ってくださいぃいいいいいいい!!!
戦争に参加することになったその日、ゲン達は聖教教会の本山である【神山】の麓に位置する【ハイリヒ王国】の王城まで足を運んだ。標高八千メートルを超える【神山】から王城まで繋がっている魔法のロープウェイのようなもので移動した時、異世界で初めて見る魔法を目の当たりにした生徒達がはしゃいだのは余談である。
王城に到着して待っていたのは【ハイリヒ王国】の国王であるエリヒド・S・B・ハイリヒに王妃のルルアリア。国王と王妃の子供である第一王女のリリアーナと第一王子のランデルという、王族一家のオンパレードである。その際、国王であるエリヒドがイシュタルを立って出迎えたことから教皇の立場がより上位だと分かり、この国を動かしているのは“神”だと察した。その後晩餐会が開かれて大臣や騎士達と挨拶したり、ランデル殿下が香織に頻りに話しかけたり、王国の全員を無視してゲンがハジメに執拗に構ったり……
晩餐会の後、王国から支給された各自に用意された部屋で休むことになった。どの部屋にも天蓋付きベッドが用意されていることに驚愕したハジメであったが、それ以上に『兄妹だから』という理由でゲンと同室にされたことに一番の衝撃を受ける。その情報が耳に入った香織はちょっとアレな目付きになって仕切りに部屋交換の提案をハジメに持ちかけてきたのだが、異世界に転移した後にクラスメイトが義姉になるかもしれない不安もあり丁寧に断った。元の世界の騒動も含めて朝からドタバタしていたこともあり、フカフカのベッドにダイブした途端に疲れが溢れ出てハジメの意識は闇に沈んでいく。
(ハジメたん………なんて可愛い寝顔♡ ちくせう! カメラを持ってくればッ! 父さん母さん! 我らの天使ハジメの寝顔を見せられない不出来な息子を許してくれぇええええ!!)
ハジメのあどけない寝顔を横目で見ながらゲンは、何百万もする高級カメラでその寝顔を模写しつつ録画したいという欲望を抑えるのに必死だった……異世界に来てまでドン引き発言なんですけど、この主人公。
———◆———
翌日から訓練と座学が始まった。
生徒達は訓練場に集められ十二センチ×七センチ程の銀色プレートを配られる。そのプレートを何だ、コレ? と不思議そうに凝視する生徒達に、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明する。
騎士団長が訓練に付きっ切りでは問題あるのではと思ったハジメだったが、本人曰く“勇者様一行”を半端者に任せるわけにはいかないとのことらしい。メルド団長本人も「むしろ面倒な雑事を副長(副団長)に押し付ける理由ができて助かった!」と豪快に笑っていたくらいだから大丈夫なのだろう。
そんなメルドを見たゲンは「うるさい上に暑苦しい人だなぁ……」と呟き、周囲のクラスメイト全員(ハジメも含めて)が『お前だけは言うなぁッ!!』と無言のツッコミを頂戴する。全くだ、彼は『ブーメラン』という単語を知らないのだろうか。
「よし、全員に配り終わったな? このプレートはステータスプレートと呼ばれている。自分達の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼ある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だから失くすなよ?」
非常に気楽な喋り方をするメルド団長。豪放磊落な性格故に「これから戦友になる相手に何時までも他人行儀に話せるか!」と、他の騎士団員にも普通に接するように忠告するくらいだ。
ハジメ達もその方が気楽であった。遥か年上の人達から慇懃な態度を取られると居心地が悪くてしょうがない。
「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに一緒に渡した針で指に傷を付けて魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所有者が登録される。『ステータスオープン』と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな、神代のアーティファクトの類だ」
「アーティファクト?」
異世界あるあるの聞き慣れない単語に光輝が質問する。
「アーティファクトっていうのは、現代じゃ再現できない強力な能力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷属が地上にいた神代に創られたとも言われている。そのステータスプレートもその一種でな、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通のアーティファクトは国宝になるものだが、これは一般市民にも流通している。身分証明に便利だからな」
メルドの説明に生徒達は「なるほど」と頷き、指先に針を少し刺し浮き上がった血をプレートに擦り付けると魔法陣が淡く輝き、ステータスプレートが空色へ変色しつつ数値が映し出された。
ハジメも皆と同じように少し期待しながら……
「ぎゃああああああ!! 針を深く刺し過ぎた! 血が、血がぁあああああああ!? だ、誰か絆創膏ぉおおおおおおお!!」
……後方で騒いでいる
南雲ハジメ 17歳 女 レベル:1
天職:錬成師
筋力:10
体力:10
耐性:10
敏捷:10
魔力:10
魔耐:10
技能:錬成・言語理解
まるでゲームの世界に入り込んだような、ハジメはちょっとしたワクワク気分で自分のステータスを見つめている。その隣で復活した
その後、ステータスとレベル、そして天職についての説明がメルドの口から発せられる。
「後は、各ステータスの見たままだ。大体レベル1の平均は十くらいだな。まぁ、お前達ならその倍数から十数倍は高いだろうけどな! 全く羨ましい限りだ!」
自分に何かしらの才能があると言われて口の端がついニヤついてしまうハジメだったが、メルドの放った言葉で全身が膠着し、背中に嫌な汗が伝った。尚、眼前でコサックダンスをしながらプレートを見せびらかす
(え? どう見ても平均レベルなんだけど……ザ・平均なんですけど? チートじゃないの? 私TUEEEEEEな展開はないの? ……で、でも、他の皆も似たようなものじゃ……)
そんな根拠もない予想を思い浮かべ、藁にも縋る思いでキョロキョロと周囲を見渡す。その後ろを着いて
しかしハジメの淡い希望を打ち破り、光輝が前へ出てステータスの報告が行われた。
天之河光輝 17歳 男 レベル:1
天職:勇者
筋力:100
体力:100
耐性:100
敏捷:100
魔力:100
魔耐:100
技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解
正にチートの権化であった。死んだ目になったハジメは後に語る。
「ほぉ、流石だな。レベル1でもう三桁か……技能も普通は二つ三つなんだかな、規格外な奴め! 頼もしい限りだ!」
「いや〜、ははは……」
メルドの称賛に光輝は照れたように頭をかく。因みにメルド団長のレベルは62、ステータスは300の平均を保っている。これがこの世界でのトップレベルの強さである、むしろレベル1で三分の一まで迫っている光輝が規格外なのだ。
勇者(笑)である光輝だけなら、とハジメは淡い希望を捨てなかった。しかし現実は無情であった、どのクラスメイトもステータスが80を超えていた。というか、他の生徒の殆ど(ゲンは論外)が戦闘系天職ばかりなのだ……
「……ハジメさん? そろそろお兄ちゃんのステータスも確認しに来てくれないかな? さっきからハジメに見えるように見せびらかしているんだけど無視してなーい? 泣いちゃうよ? 俺のガラスのハートが砕け散っちゃうよ?」
「うるさい黙れ、今それどころじゃないの。どうせ、天之河君とは違う意味で規格外なんでしょ? 天職が『シスコン』とか『変態』とか、もう見なくても普通じゃないって分かるよ……それとお兄ちゃんの場合、ガラスどころか
「ハジメたん!? 天職が『変態』って、俺のことをそんな風に思っていたの!? 勘違いしてもらっちゃ困るぜ! 変態は変態でも、俺は変態の中の変態と言う変態を凌駕する変態と言う名のシスコンだ!」
「変態変態連呼するな! もう気が散るから喋るな!!」
「ムグ!!?」
何処からか取り出した超強力粘着性のテープで、ゲンの口を完全に塞ぐハジメ。その様子を見てクラスメイト一同は「またやっているよ。あのペナントといいテープといい、あの兄妹は一体何処から持ってきたんだろうな〜?」と心で呟き、大半が呆れ顔に染まっている。
報告の順番が回ってきたので周囲の生徒達の視線を無視しながらハジメはメルドの元まで歩きプレートを見せた。
今まで『神の使徒』に相応しい力を持っていた生徒を見てメルドはホクホク顔になっていたが、ハジメのステータスを見た途端「ん?」と訝しみ、見間違いと勘違いしてブンブン顔を横に降ったりプレートを光にかざしたりしたが、やがて微妙な顔になってハジメにプレートを返す。
「ああ、その、何だ。錬成師というのは鍛治職のころだ。鍛治する時に便利だとか……それからお前の兄は、その…大丈夫なのか? ……頭とか」
「あはは、バカ兄の件も含めてホントにすみません。ご期待に沿えられなかったみたいで……」
「い、いや? そんなことないぞ? 熟練の錬成師が精製した武器はアーティファクトに負けない物もあるし、アーティファクトの整理だってできるぞ? それから……」
「いえ、気にしていませんから……」
メルドなりのフォローをかけたが、ハジメは諦めた雰囲気で苦笑していた。こういうフォローをしてくれるメルド団長はかなり良識人なのかもしれない。
そこへゲンが口に貼り付いているテープをベリィイイイイ!! と引き剥がしてメルドに詰め寄る。無理に引き剥がしたことで唇がタラコ状に腫れ上がったまま「アァン?」口調の喧嘩腰になっていた。
「オイコラおっさん、もっとマシなフォローをかけられねえのか? ウチの
「お、おう、すまんな……それじゃ、お前のステータスも見せてくれんか? お前で最後だからな」
ゲンの怒気が含まれた剣幕と適切な指摘にメルドは慄いてしまい、声のトーンが少し下がった状態でゲンに言う。ハジメに適切な言葉をかけられないことが許せないまま、プレートを「ほらよ」と投げ渡すゲン。
妹がこれなら、兄はどうなのか? とメルドだけでなく他の生徒も気になってゲンのステータスに注目する。
特に南雲兄妹を目の敵にしている檜山達はそんな欠点を見逃すはずもなく、兄であるゲンもきっとクラスの中で低レベルだと勝手に思い込み、ニヤニヤしながらゲンのステータスを嘲笑おうと画策した。
そのステータスは………
南雲ゲン 17歳 男 レベル:チョベリバ
天職:とにかくスゴイ人
筋力:なんかスゴイ
体力:もうヤヴァい
耐性:マジパねえ
敏捷:とにかく素早い
魔力:………え? なさスギィ
魔耐:もう空っぽっぽ(笑)
技能:頑丈・言語理解……とかじゃね?
……何かもう、色々おかしかった。
『…………ハァッ!!?』
全員が驚愕の声を隠せなかった。普通なら数値が示されるはずが年齢の数値を除いて全部適当な文字、技能に関しては『?』が尾ひれについて投げやりな言葉遣いになっている。
色々疑問点が多すぎるが、まず天職の『とにかくスゴイ人』が何なのかメルド率いる騎士団達は気になってしょうがなかった。誰もが驚く中、ハジメだけは「ほらね、規格外だったでしょ? 知っていたから」と投げやりな言葉をかける。
その意味不明なステータスで何を思ったのか知らないが、檜山一派の中心人物である檜山が困惑寄りのニヤニヤ顔をしながらゲンに寄ってきた。
「オイオイ、南雲。お前もしかして非戦闘系か? それでどうやって戦うつもりなんだよぉ? お前の妹もそうだけど、無能って言葉はお前等のためにあるんだ——」
「『とにかくスゴイ人』パーーーーーンチ!!!!」
「———ブゴォオオオ!!?」
ステータスが違う意味で規格外なのに、どこにそんな力があるのか、クラスメイト達の疑惑や恐怖の様々な視線がゲンの周囲で飛び交う。それを横目にやりながらゲンは「ったくよぉ……」と話し始める。
「あのなぁ、天職が戦闘だの非戦闘だの、ステータスが強いとか弱いとか、それ以前にお前らはお前らだし、俺は俺だろ? 勝手に強くなった気でいやがって調子に乗っているからこんな風になっちまうんだよ。ファンタジーな世界観に酔い痴れるのは分かるけど、そいつの人柄まで決まるわけねえだろ。そこ勘違いすんなよ……それにハジメたんの天職は『史上最上の大天使』だ」
(((———最後の一言は絶対にいらないだろぉ!?)))
正論だが、最後の一言で全て台無しだと内心で叫んだクラスメイト。
そこへ、愛子先生がトテトテ小走りしながらハジメとゲンの近くに来た。
「南雲君、南雲さん! 気にする必要はありませんよ! 先生だって非戦系? とかいう天職ですし、ステータスだって殆ど平均ですからね。二人だけじゃありませんから!」
そう言って「ほらッ」と愛子先生はハジメに桜色に染まった自分のステータスプレートを見せた。
畑山愛子 25歳 女 レベル:1
天職:作農師
筋力:5
体力:10
耐性:10
敏捷:5
魔力:100
魔耐:10
技能:土壌管理・土壌回復・範囲耕作・成長促進・品種改良・植物系鑑定・肥料生成・混在育成・自動収穫・発酵操作・範囲温度調整・農場結界・豊穣天雨・言語理解
「……アハハ、どうせ私なんて」
今度こそ、ハジメの目が死んだ。
盛大に落ち込み始めたハジメを見て「あれ? どうしたんですか!? 南雲さん!」と肩を揺さぶる愛子。確かに全体のステータスは低いし非戦闘系天職であるが、魔力だけなら勇者に匹敵し、技能数に至っては凌駕している。戦争において食料の管理は重要視され、ハジメのように代えのある職業ではない。これらの考察から、愛子も負けず劣らずのチートである。それを見たメルドも「何!? 作農師だと!? おい、至急、王に報告しろ!」と騒ぎ始め、兵士達がドタバタ慌ただしくなった。
「あらあら、愛ちゃんったら止め刺しちゃったわね……」
「な、南雲ちゃん! 大丈夫!?」
「ハジメたーーーーん!? 立ち上がるんだ! お前はこんなところで終わるような娘じゃない!! ……っていうか愛ちゃん先生よ! 慰めるどころかテクニカルブレイクした挙句K.O.して、どうするのかね!?」
「あ、あれぇ〜?」
「………クソぅ!! 可愛いから迂闊に怒鳴ることができない!!!」
反応がなくなったハジメを見て苦笑いする雫、心配そうに駆け寄る香織とゲン。首を傾けた愛子の愛らしさにほっこりしてしまい何も言い出せないゲン。ゲンの一言で「か、可愛いっ?」と頰が真っ赤になる愛子……現場はカオスと化していた。
取り敢えず、ハジメ達に対する嘲笑が止まる目的は達成したが、これから異世界や
———◆———
「ルルル〜、私の妹は何処へ〜〜、お兄たんの胸へ〜〜♪」
男子トイレで用を足しながらシスコン全開の鼻歌を歌う男——言わずともゲンだ。結局あの後、ゲンの天職は色々とおかしかったため教会側まで顔を顰める。後にゲンは『不明』と呼ばれるようになったが、本人はそれを知る由もない。
ステータスプレート授与及び説明で一日を終え、深夜に訪れたトイレにて気晴らしとして鼻歌を歌うゲン。小便を済ませて手を洗い、無意識に手をポケットに突っ込んだ。
「ん? 何だ、コレ?」
その時、違和感に気付く。何も入れてなかったはずの右ポケットから何かの感触があった。それは掌よりふた回り小さい硬い物だ。
ゲンは気になってポケット内を弄って取り出す。ポケットから検出されたのは一握りで覆い隠せるぐらいの小物。色が失われたような灰色の、所々ヒビ割れが入ったスイッチみたいなものだった。
「こんなの持っていたか? ………まぁいっか」
ゲンは再びポケットに戻した。よく分からんから後でハジメに見せよう、そう思いながら歩いた。おいおい、それで良いのかよ? というツッコミはこの際、置いてもらいたい。
この小物、実はゲンがステータスプレートを作るまではポケットに存在しなかったのだ。つまり、ゲンがプレートを手にしたと同時に、この小物はポケット内にあった。このことに気付かず、ゲンは得した気分のまま持ち帰る。
……そして次の日、その存在ごと完全に忘れてしまうのだった。